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蛍光灯とLEDの違いは?それぞれの特徴や電気代の違いを徹底比較!

LEDは表示や照明の分野で幅広く使われており、電気店の電球売場では今やLED電球が主役になっています。この記事では蛍光灯とLED照明の違いや特徴について両者を比較して説明します。また、LED照明の電気代や経済性についても蛍光灯と比較しながらご紹介します。
2020年8月28日
aakm.yamada
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まず蛍光灯とLEDの発光の仕組みを解説

Photo byCristianUribe

これまで白熱照明に比べて省エネ照明とされてきた蛍光灯ですが、さらに省エネとされるLEDが登場してその地位を奪われつつあります。この記事では蛍光灯とLED照明の違いをいろんな面から比較していきますが、まずは両者の発光の仕組みから見ていきましょう。

蛍光灯の発光の仕組み

発光原理を正しく理解するには専門知識が必要ですのでここでは大まかな説明をします。蛍光灯の管の中には水銀ガスが充填され、管の内面には蛍光塗料が塗られています。蛍光灯内の電極に電圧がかかると、マイナス極から電子が飛び出して、管内の水銀ガスに衝突します。衝突により水銀原子が振動して紫外線が発生します。この紫外線がガラス管内面に塗られた蛍光塗料に衝突し、蛍光塗料が発光するのです。

LEDの発光の仕組み

LEDとは

LEDとは発光ダイオード(Light Emitting Diode)と呼ばれる半導体発光素子のことです。P型(ポジティブ/ Positive)半導体とN型(ネガティブ /Negative)半導体を接合したもので、P-N接合が作られています。P型半導体には正孔/ホールが多くあり、N型半導体には電子がたくさんあります。

LED発光の仕組み

LEDに順方向の電圧がかかると正孔はN極の方向へ、電子はP 極の方向へと移動して、電流が流れます。正孔と電子は接合部でぶつかると結合します。結合すると、お互いが持っていた余分なエネルギーが光として放出されて安定した状態になるのです。これがLEDの発光の仕組みです。

蛍光灯とLED照明の特徴比較:光の性質

Photo by timo_w2s

蛍光灯の光の性質

蛍光灯電球とLED電球を比較して光の性質の違いを見てみましょう。蛍光灯電球ではほぼ360度の広範囲を均等に光が照らしている感じで、あまりまぶしさは感じません。

LEDの光の性質

LED電球では蛍光灯電球とは違い、光は電球の正面部分(吊り下げられた電球では真下の方向)にしか発していません。正面部分では、電球に表記されたワット数の明るさが出ていますが、正面を外れた部分では正面ほどの明るさが出ないため、暗く感じられます。そのため、LED電球は正面ではまぶしいけれど全体的に暗いと感じる人が多いようです。

信号機のLED化

LEDの光が正面部分しか照らさないという特徴は、電球ではメリットとは言えませんが、交通の信号機ではメリットになっています。信号機では正面方向からだけ見えればよく、LED化された信号は従来より目立って見やすく、評判が良いのです。省エネの面でも効果が見込まれ、LED化された信号機は今後増えていくものと思われます。


蛍光灯とLED照明の特徴比較:光の色

蛍光灯の光の色

蛍光灯の光の色は、通常蛍光灯売り場で見られるのは、昼光色、昼白色、電球色の3種類ですが、白色,温白色を加えた5種類の光があります。

LEDの光の色

LEDでは3原色を混合することにより、白色を含む全色を出すことが可能なのです。LED照明ではいろいろな光の色に変更できる調色機能を持った製品が出てきています。LED電球では二つの光の色を切り替えられるタイプのものが発売されています。

蛍光灯とLED照明の比較表:寿命や発熱など

蛍光灯とLEDについて光の性質や光の色について比較しましたが、これ以外の項目については違いが分かりやすい様に比較表の形で下に示します。

蛍光灯とLED照明の:寿命、発熱などの比較表

項目 LED  蛍光灯 (備考)
寿命 40,000時間  13,000時間  
発熱 熱をほとんどもたない 熱を発する  
省エネ(消費電力)① 14+14=28(w) 28+30=58(W) (丸型「30形+32形照明」の場合)
省エネ(消費電力)② 約 75% 100% (同じ明るさでの比較:%で表示)
点滅耐性 点滅に強い 1回の点滅で1時間寿命が縮まる  
点灯応答速度 即時点灯する 点灯に時間がかかる  
赤外線、紫外線 ほとんど放出しない 放出する  
破棄処分(有害物質) 破棄が容易 水銀を含むため不燃ゴミで破棄できない  

蛍光灯とLED照明の特徴比較:寿命

蛍光灯の寿命は従来6,000~12,000時間といわれていましたが、最近では定格寿命15,000時間の製品もあります。蛍光灯の定格寿命は製品によって大きな差があるのです。前に示した比較表には、平均的な寿命を13,000時間として載せ、経済性の検討などに使用することにします。一方、LEDの寿命は40,000~60,000時間とされていますが、安全サイドを採って40,000時間として比較表に載せています。

蛍光灯とLED照明の特徴比較:紫外線と発熱

蛍光灯は紫外線が発生しますが、紫外線は虫を引き寄せやすく、また紙などを変色させることもあります。また発熱を伴う特徴もあり、美術館、博物館、文化財などの管理場所などには適しません。LEDは紫外線の放射も発熱も少なく、このような場所には適しています。なお、LEDが熱を出さないことでデメリットになる場合もあります。前に信号機のLED化を紹介しましたが、雪国では信号機に付着した雪が溶けないのです。雪国では発熱する蛍光灯タイプの方が適しています。

LEDは熱に弱い

また、比較表には載せていませんが、LEDには熱に弱いという特徴があります。そのため高温になりやすいような場所での使用には適さないというマイナス面があります。

蛍光灯とLED照明の特徴比較:消費電力

同型の製品で比較


蛍光灯とLED照明の経済性を検討する上で、それぞれの消費電力の比較が必要です。「丸型30形+32形の照明」について比較した結果が前に示した比較表の数字です。丸型蛍光灯の定格消費電力は合計で58W、丸型LEDの方は合計で28Wで、丸型LED/丸型蛍光灯の比は0.48です。また、60W型の蛍光灯電球と60W型LED電球で比較すると、蛍光灯電球の消費電力は12W,LED電球は9WでLED電球/蛍光灯電球の比は0.75となります。いずれも省エネ度ではLEDが勝ります。 

同じ明るさで比較

明るさの単位ワット

白熱電球の時代には電球照明の明るさはワット(W)で表していましたが、ワットは正しくは電球の消費電力で、明るさの単位ではありません。当時は明るさはワットに比例していましたので、ワットを明るさの単位としても使っていました。照明器具が蛍光灯,LEDと新しいタイプが現れてくると消費電力のワットで明るさを表すことはできなくなります。現在では、照明器具から出るすべての光の束(光束)の量を表すlm(ルーメン)が使われます。
 

同じルーメンでの比較

蛍光灯とLED照明の比較で、明るさ(lm/ルーメン)とその時の消費電力を測定し、lm(ルーメン)当たりの消費電力を計算した報告があります。これによると蛍光灯とLEDのlm(ルーメン)当たりの消費電力(W/lm)はLEDの方が少なく、その割合は平均的にLED75に対し蛍光灯100とのことです。前の比較表にはこの比率を%にして載せました。

蛍光灯とLED照明の比較:電気代と経済性

蛍光灯とLED照明の経済性を検討する上で関係する要素としては、初期費用(器具の値段)、ランニング費用(電気代)、器具の寿命の3者があると思います。寿命についてはすでに説明済の蛍光灯13,000時間に対してLED40,000時間、を使用します。電気代については同じ明るさではLED/蛍光灯=0.75と言う数字を頭に置きつつ、電球型照明の実際例で計算してみたいと思います。初期費用については、電球型照明器具の価格で比較してみたいと思います。

蛍光灯とLED照明の電気代(ランニング費用)

具体例として60W型の電球形蛍光灯とLED電球で電気代を比較してみます。パナソニックの60W型の電球型蛍光灯では、消費電力11W(全光束670lm)、価格534円です。同じくパナソニックの60W型LED電球では、消費電力7.2W(810lm)、価格836円です。電力単価を27円/kWh、使用時間を1日6時間×年365日として、60W電球1個当たりの1年間の電気代を計算します。蛍光灯は650円/年、LEDは426円/年となります。参考までに、LEDの明るさ810lmを670lmに下げて比例計算してみると、LEDの電気代は352円/年となります。

蛍光灯とLED照明の初期費用と経済性

電球型照明の場合の初期費用(購入費用)は、前項で示した60W型では、電球型蛍光灯543円、LED電球は836円でした。経済性の比較では、LED電球の寿命が40,000時間ですので、この期間に必要な全費用を計算して蛍光灯とLEDの比較をします。40,000時間を365日×6時間で割ると18.2年間となりますので18年間での経済性比較ということになります。

電球型蛍光灯のトータル費用(18年間)

前項で示した60W型のデータを使い、電球型蛍光灯の18年間のトータル費用を計算します。蛍光灯の初期費用は電球型蛍光灯の購入費用が40,000/13,000=3.08で3回分必要になりますので、543×3=1,630円となります。電気代は1年に650円ですので、18年分では11,700円となります。トータルで13,330円です。

LED電球のトータル費用

18年間のトータル費用を計算します。初期費用は、LED電球購入費用1回分で836円です。電気代は1年間で426円で18年間では、7,668円となり、トータルで8,504円となります。参考までにLED電球の電気代を、蛍光灯の明るさ670lm、LEDの明るさ明るさ810lmの比で蛍光灯に合わせて補正すると、6,343円となります(LED/蛍光灯=54.2%)。トータルでは7,179円となります。

経済性

18年間での照明器具の購入費用と電気代を合計した金額の割合は、LED電球/電球型蛍光灯=8,504/13,330=0.64(同じ明るさに補正すると7,179/13,330=0.53)となり、経済性はLEDの方が蛍光灯より大幅に良く、全費用も6割程度で済むことになります。電球以外にも、丸型蛍光灯やシーリングライトなどでもLEDタイプが発売されていますが、トータルの経済性では、蛍光灯タイプに比べLEDタイプが優れていることは間違いないといえます。

LED化が進むシーリングライトとヘッドライト


LED化が進行する分野に天井直取り付けのシーリングライトと車のヘッドライトがあります。シーリングライトはすでにLEDタイプが大部分を占めています。ヘッドライトはLED化の初期段階ですが、大いに有望な分野です。その状況についてご紹介します。最初はシーリングライトです。

シーリングライト

LEDタイプのシーリングライトが初めて発売されたのは2010年でしたが、当初は調光機能、調色機能を持った高級、高額の商品が多かったですが、その後種類が増え低価格化も図られ、シェアーを増やしていきました。2012年には販売数量で蛍光灯タイプを上回り、現在ではシーリングライトといえばほとんどがLEDタイプになっています。

蛍光灯タイプとLEDタイプの比較

LEDタイプには調光装置、調色装置が装備されているのが通常であり、中には光センサーと組み合わせて自動的に調光して省エネを図るものもあります。平均的にはLEDの寿命は蛍光灯の寿命の3倍であり、トータルコストの面で丸型蛍光灯タイプより経済的です。蛍光灯タイプの場合数年に1度は蛍光灯の寿命で交換作業が必要ですが、LEDタイプでは寿命が来たらLED球だけ交換するのではなく、全体を交換します。LED球だけ交換することは出来ないのです。

車のヘッドライト(ハロゲンライト、HID、LED)

車のヘッドライトの主な光源は、以前は電球タイプのハロゲンライトでした。その後、蛍光灯タイプのHID、そして最近のLEDヘと進化してきたのです。最近の新車での純正品ヘッドライトにはLEDタイプが増えてきています。現時点でのLEDヘッドライトの比率はまだ低いですが今後急速な拡大が予想されます。

ハロゲンライト、HID、LEDの比較

ハロゲンライトは白熱電球の1種でランプ内にハロゲンガスを微量加えてあり、明るくなります。以前は車のヘッドランプといえばハロゲンライトでした。消費電力が大きく、寿命は800時間程度でした。HIDは高輝度放電ランプとも呼ばれ、アーク放電で発光します。非常に明るく、寿命も2,000時間と長いです。LEDライトは一番の長所といえばハロゲンライトやHIDを超える圧倒的な長寿命(30,000時間)です。明るさはHIDに譲りますが省エネで勝り、点灯速度も速く瞬時に最大光量に達します。

おわりに

ここまでお読みいただき有り難うございました。いかがでしたか?
これまで照明の省エネを牽引してきた蛍光灯ですが、今ではLEDに置き換えられつつあります。LEDは今ではいろんな方面で広く使用されるようになっています。新しいところでは、交通の信号機、天井直付けのシーリングライト、ひと昔前まではハロゲンライトだけだった車のヘッドライトなどの分野がありますね。

LEDヘッドライトが気になる方はこちらをチェック!

車のヘッドライトをハロゲンライトやHIDからLED化したいと考えている人におすすめの記事です。HIDとの詳しい比較がいろいろです。