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真柏(シンパク)の育て方講座!立派に育てるコツと枯れない手入れ方法をご紹介!

真柏(シンパク)とは盆栽で親しまれる樹木の種類です。手入れや剪定のやり方によって、魅力的な樹形に作ることができます。今回は、盆栽で人気の真柏を枯れることなく立派に育てるための育て方、手入れや剪定のやり方などを一挙にご紹介したいと思います。
2020年8月28日
水木誠人
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真柏(シンパク)の手入れ方法や育て方をご紹介

Photo by JerryLai0208

盆栽で使われる樹木として、人気の高い魅力のある真柏。すばらしい幹の立ち上がり、ジンとシャリが描き出す艶美な姿に、一度はこんな盆栽をやってみたいと考えたことのある方は少なくはないはずです。今回は、盆栽で欠かせない真柏について、その種類や育て方、手入れの方法や枯れることなく育てるためのコツややり方などについてご紹介したいと思います。

真柏(シンパク)とはどんな種類の樹木なのか

庭木としての名はミヤマビャクシン

Photo by hiropiro.

真柏の種類は、ヒノキ科ビャクシン属の常緑針葉樹で、多くは日当たりのいい海岸沿いの砂地や崖などに自生します。風が強い岩場などで力強く育つ姿が魅力で、盆栽として非常に人気の高い種類でもあります。盆栽では真柏と呼ばれていますが、樹木の名はミヤマビャクシンと言います。北海道から屋久島まで分布しますが、現在では天然の樹木は少なくなっています。

ビャクシンは種類が豊富

Photo byilyessuti

庭木としての真柏、ミヤマビャクシンは、ビャクシンの一種です。ビャクシンは、滋賀県の伊吹山にちなんでイブキとも呼ばれ、種類がいくつもあることで知られています。ミヤマビャクシンは、幹から枝が斜め上に伸びるのが特徴ですが、似た種類では地面を這うように育つ特徴のハイビャクシンのほか、樹高50cm程度のタチビャクシンなどの種類もあります。

真柏(シンパク)の魅力的な特徴とは

真柏は、日本全国に自生していますが、中でも有名なのが新潟県糸魚川に自生する真柏です。険しい岩肌に育った糸魚川の真柏は、幹が折れたり枯れたりして生まれるシャリの姿に、葉が細かく緑が深く、繊細な姿が魅力です。多くの愛好家を魅了する真柏の魅力には、葉の繊細さ、幹の力強さなどが挙げられます。

真柏の葉の繊細さが魅力

真柏の葉は、先が丸いうろこ状をした鱗片葉です。この葉は、無入りに剪定したり、樹形を整えるために無理に曲げたりすると、樹木にストレスがかかり、先のとがった鋭い葉になってしまいます。この葉は杉のような葉であることから杉葉と呼ばれ、よくない葉とされています。手をかけて樹勢を回復させることで、自然の葉に戻っていきます。

真柏の幹は力強く荒々しい

真柏の葉は、先が丸いうろこ状をした鱗片葉です。この葉は、無入りに剪定したり、樹形を整えるために無理に曲げたりすると、樹木にストレスがかかり、先のとがった鋭い葉になってしまいます。この葉は杉のような葉であることから杉葉と呼ばれ、真柏の盆栽ではよくないとされています。手をかけて樹勢を回復させることで、自然の葉に戻っていきます。

真柏の枝や幹でジンやシャリを入れる魅力とは

真柏の盆栽で、ぜひとも挑戦してみたいジンやシャリ入れ。ジンとは枝先を一部枯れるようにすることで、シャリとは幹の一部を枯れるようにすることです。真柏のように荒々しい環境で育つ樹木は、強風や落雷などで枝や幹が傷つけられ、その一部が白骨化することがよくありますが、これを人為的に作る楽しみと魅力が真柏盆栽には存在します。もちろん、すばらしい姿に至るまでには正しいやり方を習得する時間や経験が必要となりますが、真柏を育てるのであればぜひ挑戦してみたいと思いませんか。

真柏(シンパク)の日々の手入れのやり方とは

真柏は日当たりや風通しがいい場所で手入れを

真柏は、日当たりがよく、風通しがよい場所で手入れするやり方で育てていきます。真夏でも強い日差しで管理しても問題ありませんが、樹勢の弱いものなどは半日陰で育てた方がベターです。また、ジン入れやシャリ入れをした樹木は、水の吸収力が弱いため、様子を見ながら冬場は保護する必要もあります。

水はけのいい土で十分に水やりを

真柏はアルカリ性の土を好みます。実際、自生地では石灰岩質の土地で力強く育っている姿を見かけます。このため、真柏を育てるための用土は、赤玉土に川砂などを3~4割程度まぜて使うようにしましょう。水やりは基本的に土が乾いたら行うやり方で手入れします。春は一日1回、夏は一日2~3回、冬は2~3日に1回程度です。真夏は葉水を与えると、病害虫予防となります。葉色も元気よくなりますので、積極的に水やりを行いましょう。


真柏(シンパク)を枯れることなく育てる育て方①

植え替えは春先に

真柏は、樹木の生長に合わせて、2~4年に一度は植え替えるようにしましょう。植え替えん時期は、2月のはじめごろ、寒い時期がよいとされていますが、寒い時期に植え替えをしてしまうと、その後の手入れのやり方によっては樹木を枯らしてしまうこともあります。このため、3月過ぎごろに植え替えを行うようにしましょう。

植え替えのおすすめのやり方とは

真柏の植え替えでは、まず、根の周りの土を30~50%ほど落とします。そして、根をていねいほぐし、土を落としていきます。それから、鉢の周りにある伸びすぎた太い根を切り詰めていきます。植え替えが終わったら、日陰に置き、しばらく育てましょう。植え替えの後は、樹木が弱っています。1~2週間ほど経ったら元の場所に戻しましょう。

真柏(シンパク)を枯れることなく育てる育て方②

春になったら芽摘みを

真柏は、3月の終わりごろから4月のはじめごろにかけて芽が出てきます。このころは、芽摘みに専念するタイミングです。芽摘みはハサミではなく手でやることが重要。ハサミを入れると芽が出なくなってしまうこともあります。芽を摘むときは、樹形の輪郭に沿って摘み取っていきましょう。

剪定するときの注意

真柏は、わりと成長が遅く、樹形が崩れることもそうありませんが、春からの成長期に、芽摘みだけでは枝が混んでしまい、樹形が崩れていくことがあります。そこで、2~3年に一度、剪定をして樹形を整えることで、樹形を新たに作ることができます。真柏の剪定では、不要な枝や葉を剪定することで、風通しをよくすることもできますので、タイミングを見てしっかりと剪定を行いましょう。

真柏(シンパク)を枯れることなく育てる育て方③

春の終わりに肥料を施す

真柏に肥料を与えるのは、春の終わりがおすすめです。春になったばかりのころに肥料を施すと、樹勢がよくなりすぎて、杉葉が出てしまうこともあります。このため、真柏に肥料を与えるのは、5月の終わりごろから6月のはじめごろがベターです。

杉葉が出た場合の処置は?

肥料を施してから杉葉が伸びてしまったら、肥料を中止しましょう。できるだけ早く元の状態に戻すことが先決です。樹勢を落ち着かせ、杉葉が出なくなるのを待ちましょう。杉葉は、放っておくと、いつの間にか枝が間延びしてしまいます。

真柏(シンパク)を枯れることなく育てる育て方④

春は水やりを忘れやすい

春から夏にかけては、真柏が大きく生長する時期です。この時期は、土や葉の表面から水分が蒸発しやすいため、気づくと水切れを起こしていたということもよくあります。夏になると暑さのせいで水やりを意識して行いますが、春はすっかり水やりを忘れることもありますので、水やりを忘れないようにしましょう。

水やりのし過ぎもよくない

水やりは毎日の手入れのひとつとして大切ですが、だからといって水やりをし過ぎると、根腐れを起こすこともあります。基本的には土の表面が乾いたら水やりをするようにして、日照時間が伸びてきたら、朝と晩に水やりを行うようにしましょう。なお、根腐れしやすい樹木の場合、時期を見て植え替えをするか、串などを使って鉢の中の土に穴を通して水はけをよくしましょう。


真柏(シンパク)を枯れることなく育てる育て方⑤

針金かけで枝の向きを変えるのは秋がおすすめ

真柏の枝の向きを変えたいとき、秋ごろに針金かけを行うことができます。一方、大きく樹形を変えたいときは2月ごろがおすすめです。針金かけでは、軟らかいアルミ線の針金を使いましょう。太さもいろいろありますが、1ミリ~4ミリ程度の針金を用意して、枝の太さによって使い分けるようにします。

無理に樹形を変えるのはNG

針金かけは、元気な枝や樹木に行うようにしましょう。傷つけないように針金かけをして、樹形が整ったら外すようにします。針金をきつくかけると、枝に傷がつくことがあります。枝や幹に針金が食い込んでしまうと、なかなか治らなくなります。また、何度も枝や幹を曲げると、傷つきやすくなります。一度で無理に樹形を変えようとせず、ていねいに作業を行うようにしましょう。

真柏(シンパク)を枯れることなく育てる育て方⑥

秋の剪定とは

成長期が終わりに近づく秋も、真柏の剪定を行うよいタイミングです。全体的に葉が混んでくることもあり、樹形がぼんやりとしてしまいます。樹木の頭頂部にあたる樹冠部は、とくに枝葉が伸びやすいため、芽摘みだけでは足りない場合もあります。このため、混んだ枝葉を落としたい場合、秋に剪定を行うようにしたいです。

剪定後の樹勢をイメージすることが大切

真柏の枝を剪定する際、剪定した後の姿を想像しながら行うようにします。予備の枝として残しておくこともひとつですが、残しておいた枝が結果的に不要な枝になってしまうこともあります。ただ、不要枝をジンにしてあえて残し、樹姿にハクが付く場合もあります。こういう場合、剪定するべきかどうか迷うところですが、枝筋がよくわからない枝は、ほかの枝の成長を邪魔することもあるので、思った時に剪定したほうがいいでしょう。

真柏(シンパク)を枯れることなく育てる育て方⑦

秋には肥料も

真柏に肥料を施すタイミングは春と秋です。秋に肥料を与える時期は、夏の終わりから秋の間、具体的には9月ごろ~11月ごろまでです。このタイミングで肥料を与える理由は、厳しい冬を越すため、また、針金かけや剪定などでエネルギーが必要となるためです。厳しい夏が終わったら、肥料を与えて冬に備えるというわけです。

肥料の種類とは

真柏に施す肥料ですが、好みが分かれるところです。樹木の大きさや性質によって、与え過ぎてしまう場合もありますので、様子を見ながら与えていくのが大切です。一般に、固形の肥料や窒素分の追い油かすを与えます。場合によっては、薄めた液肥を与える方もいらっしゃいます。真柏は、比較的、肥料を好みますので、タイミングを見て肥料を与えると元気になります。

真柏(シンパク)を枯れることなく育てる育て方⑧

冬の準備をはじめるには

真柏は、元来、厳しい自然環境で育つ樹木です。このため、本来は寒さに強い種類ですので、過剰に冬の支度をする必要はありません。ただし、小さな盆栽であるほか、植え替えをしたばかりの樹木や針金かけをしたばかりの樹木など、いささか弱っている可能性のある樹木は、冬の間、ムロに入れて保護する必要があります。

冬の間の手入れとは

冬の間は休眠期ですので、さまざまな手入れの必要がなくなります。ただ、剪定や針金かけなどの作業を行う場合もあるほか、ムロに入れて保護する場合、ムロ内が乾燥してしまうこともありますので、週2~3回は土の乾き具合を確認し、必要に応じて水やりを行いましょう。水やりは午前中に済ませるようにしないと、夜の間に凍結して樹木を傷つけてしまうこともありますので注意しましょう。


真柏(シンパク)を枯れることなく育てる育て方⑨

ジン入れのやり方とは

ジン入れとは、枝を白骨化させて、厳しい自然の中で生きる力強さを表現する方法です。人為的に作る場合、枝の樹皮を剥ぐほか、彫刻を施すやり方で作ります。ジン入れの時期は春で、3月~4月ごろが適期です。樹木が休眠から目覚めた後なので、樹皮に水分が含まれ、樹皮を剥がしやすくなります。

センスを光らせたジン入れを

ジン入れを行う場合、まずどのように入れていくのかを想定することが重要です。ジン入れは、あまりしつこく入れてしまうと、わざとらしくなってしまいますので、枝の場所やサイズを見ながら、どの枝に施すのかを考えていきます。自然な姿を演出し、かつ、樹木の見せ場となるような姿を作り出すことができれば文句なしです。

真柏(シンパク)を枯れることなく育てる育て方⑩

シャリ入れのやり方とは

シャリ入れとは、真柏の幹を白骨化させて朽ち果てた姿で生き抜く力強さを表現する方法です。シャリ入れの適期もジン入れの適期と同じく3月~4月ごろで、シャリを入れる位置やサイズはしっかりと想定することが大事です。また、シャリを作る場合、樹木が必要とする水や栄養分を取り入れる部分まで傷つけないように行う必要があります。このため、シャリ入れは一気に行うのではなく、様子を見ながら時間をかけて行うようにしましょう。

シャリ入れで注意したいこととは

シャリ入れは、しっかりと設計してから行うようにしましょう。シャリ入れを行う前日は水やりを控え、樹木の水吸いの境目に注意して樹皮を剥いでいきましょう。水吸いのつながりを寸断させないように注意します。表皮を少しずつ削り、水吸いの境目がどこにあるのかを見極めながら行いましょう。シャリ入れをはじめると、ますます手を加えたくなりますが、あまり手を入れ過ぎると、樹木を傷つけるだけではなく、自然の魅力が失われてしまうこともあります。ほどよく味が出るように作り込むことを念頭に行いましょう。

真柏で盆栽をはじめてみるのはいかが?

真柏は、盆栽をはじめてみようという方はもちろん、経験のある盆栽家にとっても、とても魅力のある樹木です。真柏を育てるにあたって、さまざまな細かい手入れ方法ややり方、季節に応じた育て方などがありますが、だからこそすばらしい樹木に育っていくのです。これを機にぜひこの魅力的な真柏で盆栽をはじめてみてはいかがでしょうか。

Photo by JerryLai0208

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