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ヒマラヤスギ(ヒマラヤシーダ)とは?その特徴から育て方をご紹介!

森の中でもあたま1つ抜け出る程大きくなる、ヒマラヤスギをご存知ですか。街の公園などでも時々見かけられるこの樹木、ただ大きいだけではなく多方面に渡る魅力を秘めています。その知られざるヒマラヤスギの数々の特徴や、自宅での育て方もご紹介致します。
2020年8月27日
はぐれ猫
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ヒマラヤシーダー(ヒマラヤスギ) 樹高1.8m前後 露地苗 シンボルツリー 常緑樹

ヒマラヤスギとは

巨大な針葉樹

地上には様々な植物が膨大に生息する中で、ヒマラヤスギは巨大に成長する針葉樹の種類に含まれています。日本の森や公園の中にあれば、にょっきりと天高くまで育っている様子が良く目立っています。名前を見て分かる通りヒマラヤスギとは日本原産ではなく、明治の頃に日本に輸入された種類でした。

様々な効能や用途

とても巨大に育つヒマラヤスギには、様々な用途があります。その種類には文化、宗教、建築、健康など多方面にあり、意外と知らないうちにヒマラヤスギは日常にも溶け込みやすい樹木のようです。新たなヒマラヤシーダの魅力を、感じ取って損はしません。

ヒマラヤスギの由来

明治12年に横浜に輸入された

一気に開国が進んだ明治時代の1879年、ヒマラヤスギが日本へ持ち込まれました。当時から貿易港となっていた横浜港が上陸地点で、そのため日本最古のヒマラヤスギはいまも横浜山手公園で見ることができます。ヒマラヤスギは文明開化の世では、象徴的な樹木の1種だったようです。

ヒマラヤ山脈原産が名の由来

名前を見てピンと来ますが、この樹木はチベットやインドにまたがるヒマラヤ山脈に名の由来があります。ヒマラヤスギは別名をヒマラヤシーダとも呼び、このラテン語のシーダ(シダー/cedrus)はギリシア語のkedrosに由来し、ビャクシンやヒマラヤスギなど香りの強い樹木を表す呼び名でした。

ヒマラヤスギの特徴

本来の生息環境

標高は優に1,500mを超えているヒマラヤ山脈西部と周辺の高原が、本来のヒマラヤスギの生息地です。高所では標高3,200mでの生息も確認される通り、ヒマラヤシーダは気温が+20度~-20度という寒冷な土地を生息地に選んでいます。アジアの高原のほか、欧州や北米なども分布する場所です。

大きさ

高さ16mもある電柱より遥かに大きくなってしまうのが、ヒマラヤスギの最大の特徴です。日本では温暖な土地であることが影響してか、大きくなっても20mを超える程度。しかしヒマラヤを始め南アジアや欧州などの高原では。40~60mに達してしまうヒマラヤシーダも確認されています。

幹と枝

そんな高さのあるヒマラヤスギなので、その幹の太さも尋常ではありません。大きなものでは直径が3mにも達して、人が手で囲いきれないほどの幹周りになります。樹皮はマツの種類同様に、細かくひび割れた姿が特徴です。その枝もかなり太くなり、特に横方向にぐんぐんと伸びていきます。

葉っぱ

葉っぱを見ればマツ特有の細長い姿があり、ヒマラヤスギがやっぱりマツなのだと認識できます。針のような葉は1本あたり2.5~5cmほどが多く、10~30本が一か所からまとまって伸び始めます。葉の色合いは、黄緑色から青みがかった緑色をしているのが特徴です。

樹齢


マツの種類からは樹齢1,000年を超える個体も見つかっていますが、日本国内のヒマラヤスギはそれほど古くありません。それは日本に輸入されたのが19世紀後半だったからです。国内では横浜山手公園の樹齢140年が最長で、東京の小石川植物園など全国に樹齢100年を超える樹木も見つけられます。

ヒマラヤスギの雌花と雄花

樹齢30年以上で花を付ける

実はこのヒマラヤスギ、育て始めたばかりの頃には花を見ることができません。他の植物が1年目から花期を迎えるのとはまるで違い、樹齢30年前後ももったいぶらせてやっと雄花と雌花が顔を出します。マツに分類される種類の花は、他の植物とは異次元の違いを見せてくれるのも面白い特徴です。

ヒマラヤスギの花期

葉っぱの上で卵のようにたたずむ楕円形をしたヒマラヤスギの花は、まだ瑞々しい状態の松ぼっくりです。その花期は冬に始まり、成熟して落下する直前の11月まで続きます。花期には雄花と雌花の違った姿や、徐々に色や形が変化していく様子も見ものです。

大きな雌花の特徴

特に松ぼっくりの花が巨大化してくるのは、ヒマラヤスギの雌花のほう。雌花の直径は花期の最盛期には10センチほどにもなり、大きいものでは15cmに達するものまで見つかります。雌花は青緑の色を含み、まるでおしゃれなケーキのような美味しそうな見た目が特徴的です。

花粉を出す雄花の特徴

一方でちょっと貧弱な見た目に感じるのが、ヒマラヤスギの雄花のほう。花期に成長すると直径は雌花と変わらぬほどですが、細長い姿はバナナと間違ってしまいそうです。毎年花期の2月から大量の花粉を放出して人々に花粉症を発生させるのは、ヒマラヤシーダの雌花ではなく雄花のほうです。

シダーローズ

卵みたいなヒマラヤスギの松ぼっくりは、落下して乾燥するとやがてシダーローズの名で呼ばれます。シダーローズとは、まるでローズ(薔薇)のような見た目なことに由来する名称です。公園では部屋のトロッケンクランツ(乾燥させた植物の飾り)を作る目的で、拾い集める女性の姿も目立っています。

ヒマラヤスギの分類と品種

スギなのにマツ科の分類

てっきりスギなんだと思い込みがちなヒマラヤスギですが、実はこの名は分類上では当たり前でも、世間的には不思議に思えてしまうところ。何故ならヒマラヤスギはマツ目マツ科の針葉樹で、ヒノキ科スギ亜科スギ属のスギとは違うのだから。分類を元にすれば、ヒマラヤマツに改称したいくらいです。

ヒマラヤスギの近縁種

近縁な種類としては、遠くレバノンの地に自生しているレバノンスギがあります。このレバノンスギもヒマラヤスギ同様、分類上はマツなので、名の由来には誰かの勘違いが影響するかもしれません。レバノン杉もかなり巨大になる種類ですが、伐採が進んで絶滅も心配されています。

寒さに耐える品種や園芸用品種

存在感の高いヒマラヤスギには、違う品種に分類されるものがありました。寒さに耐える品種と言えばインドやアフガニスタンのポーラーウィンターやカシミールなどで、日本ではあまり見かけません。ヒマラヤシーダの園芸品種としては、シルバースプリングが国内でも出回っています。

ヒマラヤスギの育て方


種まきから始める

もし近所でシダーローズを入手した場合には、ヒマラヤスギは種まきから始めることもできます。雌花の種(球果)は自然とバラバラになり、その一つ一つに指先ほどの大きさの種が入っています。春~夏に培養土を使って育苗ポットに種まきをして、水を多く与えていれば発芽を始めます。

苗から始める

ヒマラヤシーダー(ヒマラヤスギ) 樹高1.8m前後 露地苗 シンボルツリー 常緑樹

種まきよりリスクが少ないのは、ヒマラヤスギの苗からの育て方です。苗は街角の園芸店に見かけることもありますが、ネットの通販で販売もしています。大きめに育てられたものは値が張ることもあるので、じっくり探してみることが大切です。もし節約志向なら種まきからのチャレンジをおすすめします。

育て方の要点

すぐに大きくなりやすいのがヒマラヤスギで、種まき後の日当たりと水やりを気をつけていれば、苗の段階から年間10~20cmも伸びます。育て方では植える場所に注意しないと、数年で巨大化して邪魔になりかねません。大きくしないなら鉢植えか盆栽にして、栄養を制限する育て方もアリです。

ヒマラヤスギの文化

ヒンドゥー教の聖樹

古来よりインドのヒンドゥー教の中で、聖樹や神木として存在し続けたのがヒマラヤスギです。古代インドの賢者がダルカヴァナと呼ばれるヒマラヤスギの森に住み、シヴァ神を崇拝しながら修行を重ねたと伝えられています。その高山に生える立派な姿は、確かに神懸ってもおかしくないようです。

パキスタンの木

そうした聖なる樹木としての存在感は、インド周辺地域の人々に広く支持されていました。そのためヒマラヤスギはパキスタンを象徴する木としても選ばれているほど。パキスタンと言えばカレーやケバブと言った印象ですが、今後はヒマラヤスギのことも思い出す必要がありそうです。

ヒマラヤスギの薬用

アーユルヴェーダのヒマラヤスギ

紀元前に誕生した歴史あるアーユルヴェーダは、インドで今も重視されている複合的な民間療法です。ヒマラヤスギはアーユルヴェーダの中で、病気を治す力がある樹木とされてきました。ヒマラヤスギから抽出した成分を用いたオイルでのマッサージ、アロマテラピーなど幅広く使われています。

アロマテラピー

セダーウッドオイル(セダー油)を使うアロマテラピーは、欧米のほうでも支持されています。独特なヒマラヤスギの芳香で部屋を満たせば、精神のリラックスと体を休める効果を得られるのが魅力。古来よりインドでは病気の改善にも効果があると言われてきたのも頷けます。

防虫や防カビ

このヒマラヤスギから抽出されるオイルは、昔からインド周辺で家畜用虫よけとして使われてきました。害虫が寄り付かなくなり、家畜だけでなく人の生命も守られる効果が出てきます。カビを除去する効果が確認されていて、天然の防カビ薬としても利用されています。

ヒマラヤスギと建築

建築材料としての特徴


大ぶりなヒマラヤスギから取れる立派な木材は、水に強く耐久性があるので建材にも好まれてきました。木材に腐食に対する強さがあることで、建物を長持ちさせることに繋がります。表面を磨くとツヤが出るので、建築の見栄えを良くできる木材でもあります。

南アジアでの建築

古くは伝統的な寺院や水上や屋外の建築材料に、ヒマラヤスギが好んで使われた記録がインド周辺には残されています。近代になってからは、橋や鉄道の車両にも使われていました。ただ繊細な加工をするには向いていないとされ、椅子を始めとした荷重をかける家具に使われる様子はあまり見かけません。

ニューヨークの給水塔

意外に知られていない話としては、ヒマラヤスギが大都会のニューヨークでも使われる事実もあります。市街地の建築物の屋上に設置されている給水塔は、伝統的にヒマラヤスギの材木を使う傾向にあるのです。風雨と腐食に強いヒマラヤシーダの特徴が、給水塔に向いていたからでした。

ヒマラヤスギの飾り

ヒマラヤスギのリース

近くの公園でコロコロしたヒマラヤスギの松ぼっくりを拾ったなら、それは魅力的なリース作り変えることもできます。もともとは古代ローマの権威の象徴に由来し、やがてクリスマス飾りとして使われたのがリースでした。シダーローズが、自宅の玄関やお部屋をかわいい印象に変えてくれます。

ブーケやフロッグ

近年はトロッケンクランツが流行っていますが、リース意外にもヒマラヤスギの松ぼっくりの飾りは色々と出来ます。たとえばクリスマス飾りとなるブーケやフロッグもあるし、雄花や雌花の置物を作ってみることもできます。クラフトを趣味としている女性なら、松ぼっくり拾いに忙しくなりそうです。

ヒマラヤスギに接してみよう

種まきからの育て方やクラフトも楽しめる

ほとんど知らなかったヒマラヤスギの特徴や由来や分類の不思議に、ぐっと迫ることができました。種まきからの育て方も試してみたり、花期の雄花や雌花を観賞したり、拾い集めてクラフトするのも面白そうです。多方面からヒマラヤスギを楽しんでみたいですね。

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当サイトではヒマラヤスギの他にも、多様な植物の情報をまとめています。樹木の育て方や名所が気になる方もチェックしてみてください。