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水稲育苗のポイントとは!水稲の種類や育苗の管理方法も徹底解説!

水稲の苗は農協などで買う以外にも自分で育苗することもできます。珍しい品種の水稲を育てたいと思っている人、苗にこだわりがある人など自分で行う苗の育て方・苗床の作り方や管理方法を種まきから順を追ってご紹介しましょう。水稲の育苗を自分でしたいと思っている方必見です。
2020年8月27日
佐藤3
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はじめに

稲床の育て方・作り方!育苗マニュアルをご紹介

稲作は日本人の主食である米を作物としておこなう栽培です。日本の稲作は水稲といって水を張った田に苗を植え付ける田植えという方法でおこないます。この田植えに必要なのが稲の苗。最近は機械化が進んで機械に入るかごの中で育苗することが主流です。この田植え用の稲の育苗を種まきから発芽・管理して苗にするまでのやり方を解説します。

水稲の育苗について

稲の基本情報

科・属:イネ科イネ属
原産地:中国
学名/英語名:Oryza sativa/Rice
*以前はインドが原産とも考えられていましたが、2019年現在考古学調査等から中国が原産説が有力となっています。

稲作の歴史

中国での稲作は紀元前6000年ころからおこなわれている非常に古くから栽培が行われていた穀物ですが、日本の稲作は約2600年ほど前の水田跡が確認されている最古のもの。約2800年前のものとされる縄文式土器に稲と見られる穀物の跡がついていてとも言われています。

現代の稲床で求められるもの

年に1度の収穫で長期間の食を賄うことになるので、病気や気候による収穫量の減少は小麦製品など他の主食に頼ったり海外からの輸入米が多くなるなど毎日の食生活に大きく影響します。自分で個人的に育てる苗であっても病気に強く暑い・寒いなどの気候の変化にも影響されないような丈夫な苗が求められています。

稲床の作り方種まきからの水稲育苗マニュアル1

稲の基本情報や歴史など見てきたところで早速育苗について解説していきます。水稲苗用の土は花や観葉植物用の土とはまた違ったものを使用するのが特徴。こまかく砕いたもみがらなどがその一例。苗を育てるために通気性のよう土づくりを意識しましょう。

育苗方法1.土づくり

育苗の土は他の園芸植物とは少し違います。腐植に富んでおり通気性が良いものが理想的。良いとされる土の粒も4-5ミリと細かく決まっています。まずはふるいでこの大きさに土をそろえ、通気性をよくするためにくんたんを混ぜ入れpHを見ながら(4.5-5.5の範囲)もみがらなども加えていきます。

配合が難しい人におすすめの育苗用の土

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栽培面積が大きくなりがちな水稲栽培は病気が発生するとその被害も大きく、土の殺菌・消毒も必要です。またくんたんを入れることでpHが酸性に傾きがちになってしまうのでそれを調整するのも大変。大きな農家であると自家配合した土を用いた方がコスパが良いですが、自分で食べる分作るのであれば市販の土を買った方が手間もかからず失敗も少なくなるのでおすすめ。

育苗の管理方法・コツ

稲床用の土づくりの際に農薬を混ぜて害虫対策・箱あたり1-2グラムのチッソとリン酸・カリを肥料として混入しておきましょう。中苗の場合はこの肥料は不要で、追肥で栽培します。

稲床の作り方種まきからの水稲育苗マニュアル2


育苗方法2.種もみの準備

土を育苗箱に準備できたら次におこなうのは種もみの準備です。特に機械植えの場合は発芽率がまばらであると田んぼに稲があるところ、ないところが出てしまってロスとなります。均等に十分に発芽させるようにするためこの準備は大切な作業となります。

消毒

消毒作業の前に種もみの選別を塩水選などの方法でおこなう場合もありますが、市販の種もみであれば塩水選はスキップできます。種もみの消毒からはじめましょう。ヘルシードTフロアブルなどの消毒薬を用いて10-15度程度の冷たい水でパッケージのとおりに希釈種もみを浸して十分に消毒します。この消毒薬の場合24時間の浸け込み時間が必要になります。

浸種

浸種とは発芽を揃えるために種もみを水にひたしておく作業をいいます。栽培する水稲種もみの品種によりますが10度で10日程度を目安とします。種もみの休眠期間が長いものほどこの期間を長くとるようにしましょう。例:ふさおとめ・萌えみのり

催芽

催芽とは種もみを少し発芽させた状態まで30度のぬるま湯につけ込む作業です。時間目安は24時間までとしそれ以上つけ込むのは良くないとされています。催芽の判断は目視でおこなえ、種からほんの少し幼い芽が発芽した状態が良く、伸び過ぎないように注意してください。

育苗の管理方法・コツ

種もみの準備は市販のものであれば消毒して病気対策→発芽率を揃える浸種→種まきできる状態にしてあげる催芽という流れでおこないます。少量で選別できるのであれば、催芽で芽がでないようなものは避けて良いものだけ種まきしていくようにするとその後の作業も水稲の生育も良い状態となるでしょう。

稲床の作り方種まきからの水稲育苗マニュアル3

育苗方法3.種まき

土を準備した箱をまずは潅水します。種まき後は潅水できないのでここで十分水を吸わせておき、そこに種もみが重ならないようにまいていきます。

水稲の発芽温度は

水稲の苗の育て方は温度管理が大切になります。発芽までの温度は30度。これより高くならないよう育苗器や温室の温度管理をしてください。これは昼も夜も一定の温度である必要があります。

ハウスや育苗器があると便利

発芽までは30度を一定に保つ必要があります。そのために育苗器という機械があると30度をずっとキープしてくれるので発芽率も良く、温度管理が楽でとても便利。稲床ではなくプランターなど小規模で稲を作る場合なら他の植物用の小型の育苗器も利用可能です。

育苗の管理方法・コツ

発芽するまではシルバーシートなどを上に掛けて温度を下げないやり方もあります。種まきの時期に30度の気温が保てるところは日本ではなかなかないので、ハウス・温室・育苗器を利用することとなるでしょう。

稲床の作り方種まきからの水稲育苗マニュアル4

育苗方法4.水稲苗の緑化


発芽した稲を苗まで生長させるには緑化や硬化という育て方作業が必要になります。ここでは字の通り稲の小苗を緑にしていく緑化作業についてご紹介します。

育苗器から出して緑化させる

Photo bygeralt

緑化をする為に発芽したら苗は育苗器から出してしまいましょう。ここでも温度は大切で昼は25度、夜でも15度を下回らないような場所で管理します。最初は寒冷紗などで日光をある程度遮りながら少しずつ日光に当てて、緑の苗にしていきます。

育苗の管理方法・コツ

緑化の際に発芽して盛り上がっている土の部分があったら指でおさえておくこと。種もみが表に出てしまっているものについては覆土をして埋め直します。緑化中は水分不足になりがちなので水分管理もご注意ください。

稲床の作り方種まきからの水稲育苗マニュアル5

緑化から硬化は一連のお世話となりますが、温度や水分量の違いが出てきます。緑化との違いを意識するのがポイントとなるでしょう。

育苗方法5.苗を硬くする

緑化の次におこなう育て方は硬化といいます。稲を育苗箱の中で植え付け出来るくらいまで育てることで、田植えの日程が決まっている場合はそれに合わせて生長管理もすることになります。家庭で小規模で自分ひとりでできる場合は特に生長抑制などは必要ではないので、植え付けの大きさまで注意して育てることになります。

育苗の管理方法・コツ

Photo byQuadronet_Webdesign

硬化期間の育て方は温度と水分量の管理になります。その期間の目安は15-20日程度。温度は昼夜ともに5-25度以内の温度になるよう調整します。水やりは潅水にておこない、乾燥させすぎたり逆に過湿にならないように注意しましょう。

稲床の作り方種まきからの水稲育苗マニュアル6

育苗方法6.定植可能な大きさ

温度や水やりに注意しながら硬化をおこない、田植えできる時期までになるのは日数だけでなく苗の大きさも目安になります。本葉の数が2-4枚程度が田植えできる苗の目安。これは茎に張り付いている下の方の葉(不完全葉)は含まずに茎から広がり伸びているものを数えます。

育苗の管理方法・コツ

苗の育て方最後の締めともいえる作業となります。ここまで順調にきていたのに最後の詰めで徒長させてしまったり、葉色が悪い苗・病気の発生なども十分考えられます。期間は短いですので温度や水管理をしっかりとして丈夫で健康な田植え用の苗を育ててください。

稲床の作り方種まきからの水稲育苗マニュアル7

育苗方法7.全体的な管理ポイント


種まき用の苗の育苗方法の流れはここまでで解説終了です。最後に全体的な管理ポイントをご紹介しましょう。することや温度の管理などシーンによって変わるのでわかりにくいという場合にご活用ください。

気温・水温は重要

まず気温ですが、発芽までには昼夜30度。シートなどかけている人はそれを外して日光に当てておこなう緑化のときで10-25度。昼は25度で夜は10度以下にならないよう管理します。最後に硬化のためには5-25度。緑化と同様に考えて昼は25度程度となるように夜は5度を下回らないように注意するとよいでしょう。

水やりは乾燥に気をつけつつも過湿を避ける

太陽に当てるタイミングなどはわかりやすいと思いますが、温度管理とともに様子をみながらやっていくのが水やりです。乾燥よりも怖いのが水のやりすぎです。あたえる具合がわからないという方は、節水管理を心がけた方が過湿にするよりも失敗しにくくなるでしょう。

病気に注意

最初にpHが高すぎると病気のトリガーともなります。また低温すぎてもムレ苗と呼ばれる病気の原因に。過湿は立ち枯れ病という水稲苗の病気になりやすくなるでしょう。適切な温度と水分量を守ることが病気を防ぐことには重要です。水を受け皿などで常時おこなうのではなく朝に十分あげたらそのあとは一切あげないなどメリハリある管理をしてください。

育苗の管理方法・コツ

病気に強い苗を育てるのはやはり丈夫で健康な種もみ選びであったり、清潔な苗床土づくりとなります。難しいところですので、自分で選別・土作りをおこなう場合は一番気をつけてください。他の植物や作物よりも手間がかかる水稲苗の育苗。それだけにたわわに実った稲の収穫は感無量のうれしさがあることでしょう。

まとめ

丈夫で健康な水稲の育苗を

水稲栽培における育苗をご説明してきましたがいかがでしたか?土や種もみは市販のものを使うと病気のない消毒された清潔な土やしっかりと実がつまった種もみが手に入るのでおこなう作業がグンと減り、よい苗となる成功率があがります。家庭で栽培する稲なら大変な部分を市販品におまかせして楽しい栽培をするのがおすすめ。温度管理や潅水に気をつけて水稲を育ててみてくださいね。

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