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真っ赤な実が特徴!オトコヨウゾメの育て方を徹底解説!剪定方法や虫対策も

どこか奇妙な名前と真っ赤な実の姿が印象的な、オトコヨウゾメという樹木があります。とても小さい種類なため、庭木として育てやすいとして人気な植物です。オトコヨウゾメの基本的な特徴から剪定方法や虫対策まで、育て方の基本的なところから詳しくお伝えします。
2020年8月27日
はぐれ猫
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オトコヨウゾメとは

スイカズラ科の日本固有種

庭木として期待の高まって来るこのオトコヨウゾメは、スイカズラ科ガマズミ属に含まれます。東アジアでは、日本列島だけに見られる固有種です。春の花や秋の紅葉だけに限らず、この落葉樹は1年を通じて様々な表情を見せてくれます。低木なので、環境さえ整えば育てやすさを感じ取れる樹木です。

本州以南に自生する

極端な豪雪や寒冷な土地を好まずに、比較的に快適さを求めて自生しているように見えるのがオトコヨウゾメです。その生息範囲は北海道と北陸を除いた、本州より南に限られています。決して日当たりの今ひとつな山林の斜面や、森林の道ばたなどによく自生している姿が見かけられます。

オトコヨウゾメの基本情報

【名称】オトコヨウゾメ
【学名】Viburnum phlebotrichum
【科名】スイカズラ科
【属名】ガマズミ属
【生息地】日本列島の北海道や北陸を除く、本州、四国、九州

オトコヨウゾメの特徴

樹木のサイズ

見た目から男らしさとは無縁なほど、小ささを感じるオトコヨウゾメ。その樹高は、せいぜい1~3m程度までしか成長しません。枝葉の幅のほうも1~2m程度にしかならず、若干縦長の涼やかな形状を見せます。お手頃なサイズで場所を取ることがない点が、庭木としておすすめな要素です。

株立ち

地面から無数の枝を伸ばすという、株立ちをするタイプがオトコヨウゾメです。株立ちしたそれぞれの幹(枝)は、若いものは赤褐色で、成長すると灰色系の色に変化しています。無数の枝のまま育てたり、剪定して1本だけにしたりと、育て方が多様になるのも株立するオトコヨウゾメの魅力です。

葉っぱ

小枝に対生しているオトコヨウゾメの葉っぱは、形や色が特徴的に感じられます。それぞれの葉っぱの直径は3~7ほどの大きさ。輪郭のギザギザとした形状に加え、表面には幾筋もの深い溝が入っています。葉っぱの全体の色合いは黄緑に紫色を含んで、表面には細かな絹毛の姿も見られます。

オトコヨウゾメの冬芽

寒さが迫る紅葉後の時期から、オトコヨウゾメは冬芽と呼ばれるつぼみを付け始めます。冬芽の存在は、冬の季節のオトコヨウゾメが独特な風景を作って見せる要素のひとつです。春を迎えれば冬芽はぐんぐんと成長して、暖かさを感じる時期になると一斉に新芽を吹き出しています。

オトコヨウゾメの花と実

オトコヨウゾメの花

冬芽から新芽が出てからまもなく、オトコヨウゾメは梅にもよく似た、男らしくない可愛らしい花を咲かせます。開花の時期は温かい地方のほうが早く、見頃となるのはおおむね4月下旬~6月の間です。小枝の先につく白く小さな花は散房花序の配列で、3~30個ほどが一か所に集まっています。


赤くて小さな実

開花をしてしばらく経過した8月から10月の頃になると、オトコヨウゾメは小さな実を付け始めます。直径はわずか5~8mm程度にしかならない楕円形の核果は、この樹木の成長過程をあらわす見どころの1つ。当初は緑色だったものが徐々に熟して、光沢ある真っ赤な色合いへと変化して行きます。

赤い実は食べられない

見るからに甘くて美味しそうな赤い実ですが、実はそのまま食べることは不可能です。オトコヨウゾメの実はじつに渋くて酸っぱい味わいなので、まず間違いなく苦虫を噛み潰したような顔になります。しかしこんなに渋くて不味い実でも、野鳥は好んで食べるというから不思議なことです。

オトコヨウゾメの紅葉

紅葉の時期

ちょうどオトコヨウゾメの実が真っ赤っかに染まる頃になると、株立ちする枝の葉っぱには独特な紅葉も始まっています。オトコヨウゾメの紅葉が見頃を迎えるのは、10月下旬から11月の頃。赤い実と紅葉した葉っぱの取り合わせが、他の植物と違ってほんわかした情景を醸し出してくれます。

紅色や紫色を見せる紅葉の特徴

多くの落葉樹が黄や真紅に彩られるのが紅葉の常ですが、オトコヨウゾメの場合は違いが明確です。最初は黄や紅を含む色合いですが、徐々に全体がシソの葉のような紫へと変化します。これは葉っぱの乾燥がもたらすオトコヨウゾメだけの変化で、散り際には黒に近い色にまで変わる独特な表情が楽しめます。

オトコヨウゾメの名前

漢字で書くと男莢迷

片仮名でも意味不明なこのオトコヨウゾメ、漢字にしてみれば読み方すらわからぬ植物です。莢迷とは近縁種のガマズミのことで、同じ漢字なのにヨウゾメと読み方が違います。莢(ふさ)は豆の外側の覆い部分を指しています。この名はまるで、莢のように樹木が覆う森の中で迷子になった男のようです。

オトコヨウゾメの名前の由来

植物にオトコと付くのは用を成さない意味があって、男性はとことん酷い言われようです。オトコヨウゾメの別種のヨウゾメは染料になったので「よう染め」が名前の由来とも言い、対して本種は染料に使えないためオトコが付いた説があります。酸っぱくて食べられないのでオトコが付いた説も有力です。

別名にオトコガマズミやコネソ

別名の1つは、莢迷の別の読み方をしているオトコガマズミ。そして調べても良くわからないのがコネソなる別名でした。コネソは漢字自体が不明で、似た言葉を連想しにくい印象です。昔編笠をかぶり尺八を吹いて歩いた虚無僧(コムソウ)は、どこか哀愁を感じさせる姿と名前が通じますが、関連は不明です。

花言葉は委ねられた想い

ついでにオトコヨウゾメの花言葉についても調べれば、委ねられた想いという何か不思議な響きが登場します。オトコヨウゾメに対して、誰がどんな想いを委ねたのかと考えてしまうところです。可愛いオトコヨウゾメを子供のように育てていれば、想いを委ねている自分に気づくのかもしれません。

オトコヨウゾメの育て方


日当たりは半日陰の育て方で

本来の山地での生息環境が半日陰を好んでいるため、オトコヨウゾメの自宅での育て方も、日当たりほどほどな場所が求められます。例えば午前の時間だけ日当たりを得られる場所、または1日を通じて他の植物の日影になるような環境など。真夏に灼熱となる日向は成長を妨げるので、避ける必要があります。

植え付けは落葉の時期

そんな日当たりほどほどな地面に対して、オトコヨウゾメをばっちりと植え付ける場合は時期が大切です。植え付けに相応しいのは、落葉する晩秋から冬にかけて、10月~2月頃の時期。これはオトコヨウゾメの成長を阻害せず、うっかり枯らしてしまわないために必要なことです。

剪定の基本も落葉の時期

低木なので剪定もそんなに苦労しないオトコヨウゾメですが、その時期についても落葉の頃が最適です。これも樹木の成長を止めないための対策です。剪定ばさみを用いて、株立ちした邪魔な枝、空中の邪魔な枝を切り取ります。剪定し過ぎると見た目が悪くなるので、剪定はほどほどが求められます。

オトコヨウゾメの害虫

テッポウムシ

あまり聞き慣れない害虫の種類に、テッポウムシがいます。これはよく知られたカミキリムシの幼虫で、穿孔(せんこう)性の特徴があります。要するにオトコヨウゾメの幹や枝に穴を開ける被害をもたらし、枯死に至らせるのです。テッポウムシは木くずを出すので見つけやすい虫。早急な対処が必要です。

アブラムシ

冬芽から葉を勢いよく広げ出す春先は、アブラムシに気をつける必要があります。とても小さな虫ですが、オトコヨウゾメの枝葉に群生してどんどん数を増やします。葉っぱに穴をあけるようにして食べて行くので見た目が悪くなり、新芽の健全な成長を阻害されてしまうなど厄介な存在です。

害虫の駆除

完全におじゃま虫となるオトコヨウゾメの害虫に対しては、幾つかの基本の駆除方法が考えられます。目視で発見、手作業で排除は勿論、有効な農薬を使うのがもっとも効果が出る方法です。無農薬で他の虫にも優しい駆除を追求するなら、木酢液や竹酢液を希釈した液体を噴霧することもおすすめです。

オトコヨウゾメの盆栽の育て方

盆栽として好まれる低木

1年を通じて多様な表情を見せてくれるオトコヨウゾメは、盆栽とする楽しみも出て来る樹木です。株立ちした幹と枝からの冬芽、春の小さな花々、秋の赤い実と独特な葉っぱの紅葉などなど。庭木より小さな盆栽を形作ってみれば、オトコヨウゾメならではの色んな魅力が凝縮された世界が完成します。

盆栽の作り方

特に成約はなく、鉢の上という小さな空間では自由にオトコヨウゾメの姿の表現ができます。株立ちしたまま手をほとんど加えず、自然に伸ばしてあげるのも良いです。または針金での曲げや苔の植え付けなどで、理想の形も追求できます。日当たりの悪い環境でも、盆栽を維持できることもメリットです。

オトコヨウゾメの増やし方


取り木

無数に枝が株立ちするオトコヨウゾメは、その枝の一部からの取り木にて増やすことが推奨されます。取り木とは1本の枝の1点に湿らせた培養土を取り付けて固定し、人為的に根っこを出させて切除して増やす方法です。盆栽を作る時にも、この方法で増やすのがもっとも時間をかけません。

種まき

その一方で、種からの簡単な増やし方ができるのもオトコヨウゾメです。秋に採れた黒い実の中の種を取り出し、春になったら水に浸して発芽を促します。育苗ポットの培養土に埋めて水を切らさずにいれば、やがて発芽します。成長させるにはある程度の日当たりと、害虫予防が大切になってきます。

オトコヨウゾメの利用

昔は鎌や鍬の柄とした

いまでは鎌や鍬(くわ)の柄とする材料は、色んな樹木が使われます。一昔前には、オトコヨウゾメの幹(枝)を切って、鎌や鍬の柄とすることも一般的でした。成長したオトコヨウゾメの幹の太さが、人が握りやすい柄とするにちょうど良いサイズ感であり、山林で入手が容易だったことも理由でした。

実を果実酒とする(酒税法違反に注意)

激マズなオトコヨウゾメの赤い実を、美味しく変化させる方法が存在しました。それは果実酒にしてしまう利用法。赤く熟れた実を集め、ホワイトリカーや蜂蜜を混ぜて熟成させれば、渋みが取れた独特な果実酒が完成します。ただし製造する場合には、酒税法違反とならない対策が必要になります。

オトコヨウゾメを育ててみよう

庭木や盆栽で1年の変化を楽しもう

じっと見つめてしまう赤い実、そして不思議な紅葉や冬芽など、魅力的な表情の豊かさを持っているのがオトコヨウゾメでした。この低木を庭木とするなら、日当たりや剪定をそれほど気にかけず、気楽な育て方ができそうです。まだ盆栽が未体験な人も、オトコヨウゾメから盆栽を始めてみても良いですね。

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当サイトではオトコヨウゾメの他にも、盆栽とするに相応しい植物の情報をまとめています。これから盆栽にチャレンジする方はチェックしてみてください。