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街路樹や庭木で有名なエンジュ(槐)とは?花言葉などの特徴と育て方を解説!

道ばたで花や豆を実らす様子を見かけることもある、エンジュの木をご存知ですか?この樹木はいつの頃からか、幸福を呼ぶ縁起物としても扱われてきました。これから庭木として取り入れてみたいエンジュの特徴、そして花言葉や育て方など気になるところを解説します。
2020年8月27日
はぐれ猫
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エンジュとは

中国原産のマメ亜科の植物

生命力がひときわ強いことから、街路樹にも相応しいとして採用されるエンジュ。この樹木は国内ではなく中国大陸のほうに起源を持っている木で、昔日本に取り入れられました。エンジュは樹木なのに、インゲンマメなどと近縁なマメ亜科というのは、知らない人も多いかも知れません。

魔除けとなり幸福を呼ぶ樹木

ずっと人々にエンジュが好まれてきたのは、昔から幸福を呼ぶ木、魔よけの木として知られていたからです。街路樹として自治体などに採用されるのも、この意味合いが関係するかもしれません。エンジュが1本あれば人生を良い方に導いてくれるとしたら、自宅に1本欲しくなってしまいます。

エンジュの樹木の特徴

10mを超えるサイズ

見上げるほどまで大きくなる、エンジュの木。数百年を生きる木であり、その樹高は成長を続けると10m以上になり、幹の周囲も1mを遥かに超えます。当然ながらマメ亜科の中では最大級のサイズです。したがって市街地や街路でエンジュを放置していると邪魔になるので、定期的な剪定が必要となります。

エンジュの新芽

他の樹木との違いが明確といえば、エンジュが春の時期に見せる新芽です。まん丸な蕾の中から顔を出してくる新芽は、全体が産毛に覆われ、銀色を帯びているという何とも魅力的な姿。この新芽は数週間をかけ、日々ぐんぐんと大きくなっていきます。

エンジュの葉っぱ

小枝に並ぶ楕円形をしたエンジュの葉っぱは、1枚が3~5cmほど。左右対象な形で規則正しく並び、春に黄緑色で広がった後、真夏には濃い緑色となります。葉っぱの裏側を見れば白っぽくフェルト状になっていることも、エンジュを見分けるポイントです。

エンジュの紅葉

色の変化を季節ごとに楽しめるのも、エンジュの特徴であり好まれる理由でもあります。左右に広く枝を広げるエンジュの葉っぱは、秋口には全体が黄色に染まり始めます。やがて葉っぱ全体が紅葉らしい、赤に近い色合いで満たされるようになり、地面まで落ち葉で彩ります。

エンジュの花と豆

白い蝶形の花

この蝶形をした不思議な花は、エンジュが夏の季語となっている所以です。エンジュの花は夏の7月の時期になると一斉に開花します。円錐花序の形で配列する花は、白、黄色、黄緑色が合わさった色合いでとても綺麗。エンジュの花の蜜を求めて、ミツバチや蝶が集まってくる様子も観察できます。

エンジュの豆果

咲き誇ったエンジュの花が散った後、マメ亜科の特徴が見られる豆が実ります。エンジュの黄緑色をした豆は5~8cmほどあり、くびれが大きいのが特徴。摘み取った豆をパッと見れば、エダマメやエンドウマメにも間違えてしまいます。豆は熟成すると全体が黒に変色し、種としての役割を果たします。

エンジュの名前


槐と和名

鬼の木と書いて槐(エンジュ)と読みますが、この名は和名の恵爾須(ゑにす・えにす)が転訛したのが由来であると言われます。辞書によればゑにすとは、槐子や槐樹を由来にしている名称です。エンジュは延寿(寿命を延ばす)に通じているため、幸福と共に長寿のご利益があるとも言われています。

エンジュの別名

このエンジュの花や蕾を乾燥させると槐花(かいか)と呼ばる生薬になり、熟成させた豆のほうは槐角(かいかく)の名前がありました。またエンジュは、槐樹やカイヨウなどの別名を持っています。外国のほうではJapanese Pagoda Treeで、昔から欧米では日本の樹木との認識があったようです。

エンジュの花言葉と由来

上品

前向きな印象を感じさせるエンジュで、花言葉の一番手に取り上げられるのが、上品という単語です。明治時代以降にこの花言葉が選ばれた由来には、古代中国の宮殿にも植えられたとの歴史的な経緯や、見るものを虜にする新芽、夏の蝶形の花などの見た目が関係しています。

幸福

やっぱりエンジュの花言葉を調べてみると、幸福という2文字が含まれていました。明治の頃にこの花言葉が付けられた由来は、新芽や花などが時期ごとに楽しめることは勿論、花や蕾が薬として使われて生活に幸福をもたらしたことも由来すると考えられます。

慕情

さらにエンジュに似つかわしく感じさせる、慕情という花言葉もあります。慕情とは慕わしく思う気持ちを表す言葉で、特に異性に対しての思いを表現しています。エンジュに慕情の花言葉が選ばれたのは、人々に慕われるエンジュの綺麗で前向きな特徴に由来していそうです。

エンジュの種類と品種

イヌエンジュ

北方や山岳といった気温の低い土地を好む種類に、イヌエンジュがあります。イヌとは犬のことであり、名の由来の定説では、エンジュと違って犬のように品がないことを意味するとされます。しかしエンジュ同様、新芽や花はとても綺麗です。アイヌはチクベニと呼んで、墓標に用いていました。

ハリエンジュ

文明開化と共に明治にアメリカから入ってきたハリエンジュは、ニセアカシアの別名を持つ有名な樹木です。その大きさは20mを超えるほどで、生命力が強く街路樹としても見かけます。花は天ぷらにして食べられ、アカシア酒や蜂蜜が取れることでも知られています。

シダレエンジュ

独特なしなやかな枝の群れを見せてくれるのは、シダレエンジュと呼ばれる品種です。もっさりとした枝葉が、まるでロン毛のアフロのように地面のほうに下がっています。特に中国のほうで人気のある品種であり、日本でも公園などで見かけられます。この品種は接ぎ木の方法で増やすのが一般的です。

ゴールドスタンダード


凍える時期を迎えると枝全体の黄金色が際立って見える、ゴールド・スタンダードという品種があります。中国生まれのエンジュの品種ですが、欧州経由で日本に入りました。春や夏の時期も、枝が黄色がかっている様子がわかります。シダレエンジュ同様、この品種は接ぎ木により増やすのが一般的です。

エンジュの育て方

種からの育て方

真っ黒けなエンジュの種から、立派な木に育てるのも良いかも知れません。秋に取っておいた種は、暖かくなる3~4月の時期に育苗ポットの培養土に埋めます。種を埋めるなら、一晩水に浸して発芽率を高めるのがおすすめです。発芽した後は土を常に湿らせ、乾燥させない育て方が必要です。

苗からの育て方

市販されているエンジュの苗からの育て方のほうが、難易度は低めです。春3~4月の時期、植木鉢や地面などに苗の植え付けをします。庭木にするなら特に日当たり良好で、乾燥しない土壌が必要です。育て方の要点になるのは、苗木は根が弱いので時々肥料を与えることです。

接ぎ木

特定のシダレエンジュといった品種を庭木にする時、増やす時に用いられる方法が接ぎ木です。接ぎ木の育て方では元になるエンジュの苗木の幹を切断して台木にしたり、成長した枝を切除して接ぎ木するのが一般的です。穴を開けて枝を差し、紐やテープで固定するとやがて一体化します。

成長が早いので剪定が必須

とても枝葉の成長が早いと知られるエンジュの育て方では、剪定がカギを握ります。剪定バサミを使って、込み入った枝や伸びすぎた枝を剪定します。全体が丸い形状になるよう意識すると、綺麗な形になります。あまり放置すると大きくなり過ぎるので注意が必要で、高所の剪定はには高枝バサミが必要です。

エンジュの害虫と駆除

害虫①エンジュヒメハマキ

疫病神的な害虫の一番手は、エンジュヒメハマキといって過言ではありません。体長1cmほどの乳白色の幼虫は、やがて成長して蛾となります。この害虫は、エンジュの幹や枝に穴を開けて食い破る性質があります。駆除は目視による手作業、スミチオンなどの農薬、木酢液などが一般的です。

害虫②マメドクガ

4月の早い時期からエンジュの葉っぱを食い荒らしてしまうのが、マメドクガの幼虫です。全身もっさりとした毛に覆われた害虫は、1シーズンで複数回葉っぱを食べてエンジュを弱らせます。農薬や木酢液などを使って除去するほか、剪定で被害のひどいところを丸ごと除去する対策も必要です。

害虫③ハリエンジュアブラムシ

特にハリエンジュのほうで寄生する姿が見られる害虫がこれです。ハリエンジュアブラムシは春から夏の時期に発生する灰色の虫で、体長はわずか2mmほど。この群れなす害虫がエンジュの庭木に付くと黒ずみが現れ、新梢が縮れたりなどの被害が出ます。上と同様、剪定や農薬の方法で駆除可能です。

エンジュの薬としての用法

止血や静脈疾患の薬になる

古来より薬としても珍重され続けた、ご利益のあるエンジュ。その薬としての役割の第一は、止血の効果です。エンジュの蕾を乾燥させた槐花の生薬が原料で、これを傷口に塗ることで効果を得ていました。エンジュの花や蕾から抽出されるトロキセルチンは、外国では静脈疾患の薬にもなっています。


ルチンがサプリメントに

いま蕎麦に含まれているルチンが大注目を集めていますが、このエンジュの槐花や豆の中にも含まれています。ルチンは血行改善、高血圧予防、抗酸化などの効果がある物質で、摂取すると健康に良いとして人気です。エンジュ由来のルチンは、サプリメントで販売されています。

エンジュの工芸品としての用法

食器

魔除けや幸福の威力を持つエンジュは、木工製品としても好まれる傾向にあります。中でも食器はエンジュの綺麗な木目を活かすことができ、おしゃれに食卓を飾れる商品になります。深皿、湯呑、スプーンなど様々に加工されたものが手に入り、割れにくい特徴があって長持ちします。

アクセサリーや置物

魔除けのお土産として人気なのが、エンジュのキーホルダーやアクセサリーの種類です。またエンジュ製の置物は多様に作られていて、動物をモチーフにしたものが多く、歴史を題材にした種類もあります。そうしたエンジュ製品を部屋を飾りつければ、瞬時に幸福のアイテムになります。

槐染め

昔から染料としても用いられて来たのが、エンジュの花と蕾でした。エンジュの花や蕾を潰すことで、衣服を染められる黄色の染料を抽出することができます。現在でもこれを用いた槐染めは盛んに行われ、全国のワークショップなどで体験することもできます。

エンジュで幸福を呼ぼう

庭木やアイテムを入手してみよう

上品さと幸福をもたらしてくれるエンジュの、庭木として植えるに相応しい特徴がわかってきました。エンジュの育て方も簡単なので、種や苗から始めてみても良さそうです。部屋の中でも食器やアクセサリーなどのグッズを集めて、おしゃれに魔除け効果を高めてみたいですね。

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