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アンペアを計算して出す方法を解説!ワットとボルトとの関係や意味は? 

アンペアという単語は誰でも学校の授業で聞いていますが、実社会でアンペアに初めて遭遇したのは電気の契約でアンペア数を計算した時という人が多いです。この記事でアンペア、ワット、ボルトの意味や相互関係、アンペアの計算方法など説明しますので電気代節減に生かして下さい。
更新: 2021年3月7日
aakm.yamada
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まずアンペア(A)とは

Photo byClker-Free-Vector-Images

アンペアとは電流の単位です。毎秒1クーロンという量の電荷(電気量)を流すような電流が1アンペアです。

また、アンペアという名前は、電流と磁界
との関係を示した「アンペールの法則」を発見したフランスの物理学者アンドレ・マリ・アンペールに因んでいます。電荷、クーロン、アンペールの法則など難しい単語が出てきましたので下に説明しておきます。

電荷(電気量)とクーロンについて

電荷とはものが持っている静電気の量のことです。電荷には正電荷と負電荷があり、同じ種類の電荷は反発しあい、異なる種類の電荷は引き合います。電子または陽子1個が持つ電荷(電気量)の絶対値を電気素量或いは電荷素量と呼び「e」で表します。

[e」は電荷(電気量)の最小の単位であり、すべての物質の持つ電気量はこれの整数倍になります。クーロン(C)は[e」の6.241 509 629 1×(10の18乗)倍の電気量です。この電気量を1秒間に流す電流が1アンペア(A)なのです。

アンペールの法則について

アンペールは導線に電流を流すと、電流の方向を右ねじの進む方向としたときに右ねじの回る方向に磁場が生じることを発見しました。この法則は、「右ねじの法則」、「右手の法則」などと呼ばれることもあります。

そして、導線を中心とした同心円の上ではどこでも磁場の大きさは等しく、磁場の強さをH(N / Wb) 、電流 をI (A/アンペア)、導線からの距離を r( m /メートル)とすると、2πr×H=Iの公式が成立します。以上がアンペールの法則の内容です。

公式の補足説明

上記の公式の意味は、(電線を中心とした半径rメートルの同心円の円周:2πr)×(電線から直角にrメートル離れた場所の磁場の強さ:H)=(導線を流れる電流量:I)」となります。したがって、rが小さく導線に近い場所ではHは大きく、rが大きく導線から遠場所ではHは小さくなります。

磁場の強さHの単位(N / Wb)において、Nは力の単位ニュートン、 Wbは磁束の単位ウェーバーです。磁場の強さHの単位(N / Wb )は( A / m )アンペア/メーターで表現されることもあります。また、πは円周率のパイです。

ワット(W)とキロワットアワー(kWh)

ワット(W)は仕事率や電力などを表す単位です。1ワットとは毎秒1ジュール(と同等のエネルギー)を生み出す仕事率と定義されています。

ワットは仕事率で1秒間の仕事量ですが、実際に行った仕事量や消費した電力量などを表現する場合にはワット(W)に使った時間をかけて表します。すなわち、ワット×時間=Wh(ワットアワー)などです。電気料金ではワットアワー(Wh)を1,000倍したキロワットアワー(kWh)が良く使われます。

ジュール(J)とは

ジュール(J)は、仕事量、エネルギー、熱量などの単位です。仕事とはなんでしょう? 例えば、地面に置かれたある物体に力を加えて数メートル動かしたとすれば、これが仕事です。トータルの仕事が仕事量(ジュール)で1秒間あたりで言えば仕事率(ワット)になります。ジュールとワットの違いをはっきり認識しましょう。


ジュール(J)の計算式

具体的に1ジュール(J)はどのぐらいの仕事量かというと、標準重力(加速度)下で102グラムの物体を重力に逆らって1メ-トル持ち上げる時の仕事に相当します。また、1 ジュールは1ニュートン(N)の力を物体に加えてその力の方向に物体を 1メートル動かすときの仕事でもあります。

1 秒間に 1 ジュール(J)の仕事が行われるときの仕事率が1 ワット(W)ですので、ある仕事に要したジュール(J)の出し方の方法はワット(W)数に掛かった秒数(s) をかければよいのです。次の式であらわされます。J =W× s ( 上の画像の中の式と同じことですね)。

1ニュートン(N)とは

ニュートンは力の単位であることは説明済ですが、1ニュートンとはどのくらいの力なのでしょうか? 力は質量×加速度で定義されますが、1ニュートンは1キログラムの質量をもつ物体に1m/(sの2乗)の加速度を与える力と定義されます。

したがって1ニュートンは、1N=1kg×m/(sの2乗)の式で表せます。また、1ニュートンを重量キログラム(キログラム重)で表すと、1N=≈0.10197 kgf となります。

ボルト(V)について

ボルト(V)は、電圧(電位差)の単位です。電圧とは、電流の回路の任意の2点、例えばヒーターや扇風機などの入り口と出口を考えたとき,その間の抵抗にうちかって電流を押し流そうとする能力のことです。

1ボルトとは1アンペアの電流が流れる回路上の2点間で生じる電力が1ワットであるときの、その2点間の電圧です。すなわち、V=W/A です。この式は、500Wのヒーターに流れる電流が5アンペアであるときの電圧の出し方にも使えます。この場合の答えは「100V」ですね。

電気抵抗オーム (Ω)の計算式

電気回路上の2点間の電圧が1ボルト(V)であるときに、この2点間に1アンペア(A)の電流が流れていた場合にはこの2点間の間の電気抵抗(電流の流れにくさ)を1オーム (Ω) といいます。 オームはボルトとアンペアから定義され、 (Ω = V/A)の公式が成り立ちます(この式はオームの法則と呼ばれます)

この式は100Vの電源で500Wのヒーターを使って、5Aの電流が流れているときのヒーターの電気抵抗の出し方にも使えます。この場合の答えは「20Ω」ですね。

アンペアとワット、ボルトとの関係

ここまで、アンペア、ワット、ボルトについて関係のある専門用語も含めて説明してきました。ここでは、これら3者の相互関係についてご説明します。ボルト(V)の説明で、V=W/Aという公式が出てきました。書き直すと、W = A×V ともなります。

この関係はよく水の流れに例える方法で説明されますが、ここでは、荷物を積んだ何台ものトラックが道路を走って荷物を輸送している状態に例えて説明します。トラックの台数が電流(A)です。

トラックの走行速度が電圧(V)です。運ばれる荷物の量が電力(W)です。トラックの台数が増えても、トラックの速度が速くなっても運ばれる荷物の量は増えますね。W=A×Vの関係式が成立します。

アンペアを計算して電気代を節約しよう

電気料金の仕組みは電力会社によって違いがありますが、アンペア制という基本料金の制度を採用している会社が多いようです。アンペア制では使用できるアンペアの上限を区分ごとに決めて、その区分ごとに決められた基本料金を支払うものです。

東京電力の例(2018年11月時点)では10アンペアから60アンペアまで7段階に分ける方法をとり、10アンペアで281円、60アンペアで1,685円となっています。契約アンペアを超えてしまうとブレーカーが落ちて停電状態になってしまいます。

契約アンペアが小さすぎると基本料金を無駄に支払うことになります。アンペアを正しく計算して最適なアンペアで契約をしたいですね。

電気料金の仕組み


アンペアの計算に入る前に、電気料金全体の仕組みがどうなっているか見ておきましょう。それによって全体的にみて効率的な電気代の節約ができるかもしれません。

電気料金計算の3要素

電気料金計算は次の3要素を合計します。「基本料金」、「電力量料金」、「再生可能エネルギー発電促進賦課金」です。これらの合計が電気料金として請求されるのです(上の画像の中にも3要素がみられます)

具体的な中身は電力会社ごとに若干の違いがありますが、平均的な例として東京電力の場合を見ていきます。基本料金については前項で紹介しましたので電力量料金と再生可能エネルギー発電促進賦課金の説明をします。

電力量料金計算の単価

電力量料金の出し方の方法は基本的に使用した電力量に電力単価を乗じて計算しますが、電力単価を電力使用量に応じて何段階かに変えるなど、電力会社によって細部に違いがあります。ここでは東京電力の例で電力単価を紹介します。3段階に分かれて下記のように決められています。
・ 月間で120kWhまでは、1kWh当たり19円52銭
・ 月間で300kWhまでは、1kWh当たり26円00銭
・ 月間で300kWh以上は、1kWh当たり30円02銭

再生可能エネルギー発電促進賦課金

太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスの5種類の再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が一定価格で買い取ることを国が公式に約束する制度「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」があります。

この制度によって電力会社が買い取りに要した費用を電気の使用者に電気使用量に応じて賦課するものです。賦課率は毎年見直されて違いがありますが、2019年5月から1年間はkWh当たり2円95銭と決まっています。

アンペア計算と正しい契約アンペアの決め方

Photo byPublicDomainPictures

アンペアの計算方法

前に説明した「アンペアとワット、ボルトとの関係」の最後にW=A×Vという公式がありました。ワットはアンペアとボルトをかけたもの、という意味です。この公式を変形すると、A=W/Vという式になります。

アンペアの出し方の方法は消費電力ワットを電圧ボルトで割って求める、ということにリます。通常、家電には消費電力WやkWが表示されています。また日本の通常の家庭では電圧は100ボルトと決まっています。

したがって家電の消費アンペアは表示されている消費電力ワット(kW表示の場合は1000倍してWになおします)を100で割れば求められます。

家電のアンペアを計算して正しく契約

家庭の中の電気を使う備品は照明のように常時使用するもの、暖房、冷房のように夏冬など季節によって使用する期間に違いがあるもの、また1日の中での使用する時間帯に違いがあるもの、などいろいろな種類があります。

季節、時間帯を考えて、同時に使う可能性のある、消費ワット数の合計が大きそうな組み合わせをいくつか作ったうえで、それらの消費アンペアを計算しましょう。その結果合計が一番大きかった組み合わせのアンペア数より大きい、契約アンペア数を決めるのです。

効果的な電気代節減のために

電気代を節減する手段の一つとして契約アンペアの適正な決め方を説明してきましたが、それ以外にも電気代節減のためにするべきことはあります。それはできるだけ家電の無駄な使用時間を減らして使用電力量全体を減らすことです。

そのためには自分の家の家電の大まかな消費アンペアを頭に入れておくことも必要でしょう。下に主な家電の消費アンペア数を示します。


主な家電の消費アンペア数

消費電力の大きい家電の平均的な消費アンペア数を示します。
(冷房、暖房関係):電気ストーブ(約10A)、エアコン(約7A)、コタツ(約5A)
(料理関係):電子レンジ(約15A)、オーブン(約14A)、IHヒーター(約14A)、食器洗い機(約13A)、炊飯器(約13A)
(そのほか):ドラム式洗濯機(約13A)、ドライヤー(約12A)、電気湯沸かし(約10A)、掃除機(約10A)

パソコンの消費電力は

上の主な家電には入っていませんでしたが、どの家庭にもあるパソコンの消費電力はどうなのでしょう。デスクトップでは平均的に使用時で100W、待機電力は2.3W程度です。1日3時間使用、21時間待機状態とすると1日あたり354Whです。ノートパソコンですとこの半分程度になります。あまり気にしなくてもよさそうですね。

電力単価や電力各社のプランも意識して

電気代節減に関して追加しておきます。前にご紹介しましたが電力量料金の計算に使う単価は使用量が増えるほど高くなる設定になっています。東京電力の例では月間使用量で120kWhまで、300kWhまで、300kWh以上の3段階で単価に違があり、使用量が多いほど高くなっています。

それを意識して極力安い単価の範囲で収まるように努力すると良いでしょう。また、電力会社毎にいろんな料金プランを準備していますので、それらについて内容の違いを見直してより自分に適したプランがあればそのプランに変更することも考えるべきでしょう。

おわりに

契約アンペアを決めるための、家電の消費電力(KW)からの消費アンペアの出し方、家電の商機アンペアの電力料金の仕組みの知識を総動員して電力代の節減に取り組んでみてください。

電気暖房が気になる方はこちらをチェック!

電気の暖房を考えている人には参考になるサ記事です。いろんな暖房器具の消費電力を比較しています。