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オオクチホシエソとは?見た目が怖い深海の生物の特徴や生態をご紹介!

ひと目見ればその怖い外見に驚かされること間違いなしの、オオクチホシエソを知っていますか?この不思議すぎる魚、怖い見た目が特徴なだけでなく、とんでもない特殊能力を秘めていることでも注目されています。知られざるオオクチホシエソの特徴や生態に迫ります。
2020年8月27日
はぐれ猫
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オオクチホシエソの生息地

世界の温暖な深海に潜む

とても怖い見た目のオオクチホシエソは、一般人にとっては滅多にお目にかかれない姿です。しかし実は意外にも、世界の海で確認される深海魚です。水温が高い、温かな熱帯や亜熱帯の深海域を回遊しています。500‐3,000mという真っ暗で、水圧が物すごい深海だけを好む傾向にあります。

日本の深海にも

この興味深いオオクチホシエソ、広い排他的経済水域を有する日本の深海にも生息しています。特に1年を通じて温暖で深さのある海が、彼らの住処となります。代表的なのは南方の小笠原諸島や、沖縄の南西諸島の周辺の深海のあたりです。ただし深海魚のため、人生で遭遇する確率はかなり低めです。

オオクチホシエソの怖い顔の見た目

怖い顔つき

深い海の底にいると、魚もゴツい顔に進化しやすいようです。特にオオクチホシエソはまるで映画のエイリアンを彷彿とさせる、すごい見た目に進化しました。その怖い顔は、たとえ指名手配の張り紙がなくとも、一度見たら忘れられないレベル。密かに深海魚ファンからの人気を獲得するに至っています。

すごい顎

獰猛さを表しているのが、オオクチホシエソのすごい顎。その下顎は明らかに体のサイズと不釣り合いで、体から飛び出すほど大きいのが不思議過ぎです。顎には人間とはまるで異なる、針のような細く鋭い歯が幾つも並んでいます。このすごい口でどんな魚をむさぼるのか気になりますね。

顎の底が抜けている

時々生物はよくわからない姿をしていますが、このオオクチホシエソも明らかにそんなタイプです。何故なら大きな顎の底に、穴が開いているからです。穴があったらせっかく食べた獲物も逃げる場合もあり、欠陥のように考えられますが、彼らにとっては単なる特徴としか言いようがありません。

目が先端に付いている

多くの魚は鼻先を長く伸ばすことで、眼球を傷つけない構造になっています。しかしこのオオクチホシエソの場合、まるで目ん玉が一番前にあるのが当たり前かのような見た目です。深海魚のはずなのに何だか目がギョロリと大きい魚ですが、その理由は後に述べる発光器に関係しています。

オオクチホシエソの体の見た目

真っ黒で円筒形

象徴的な怖い顔より下はどうなっているのかと言えば、これまたオオクチホシエソの胴体のほうも不思議な特徴だらけです。円筒形をした体は、隅々まで木炭のように真っ黒け。皮膚の質感としては、どことなくウナギにも似たようなツルリとした感じを受けます。

ヒレが少ない

どこでも良くいるタイプの魚と大違いな見た目は、オオクチホシエソのひれ。両側の胸びれは見当たらず、本来背びれや腹びれがあるはずの場所にもひれがありません。後部に目をやれば、こじんまりとした尾ひれが付いています。全体にひれが極端に少ないことで、不思議さが誇張されているようです。

サイズ


すでに捕獲された個体の調査では、オオクチホシエソが成体になると体長は15~25cmほどになります。中でも大きいものは、体長が30cmを超える個体も確認されています。小さくて安心するサイズ感ですが、もしこの怖い姿のままで体長1m以上もあったら、誰もが怖がってしまいそうです。

オオクチホシエソの世界唯一の発光器

顔の赤外線発光器

特定の部位から光を発する生物は稀にいて人気ですが、オオクチホシエソもその一種として知られます。しかしオオクチホシエソの場合には、世界で他に例を見ない、特殊過ぎる発光器を有していることが最大の特徴。それは顔の発光器から赤外線を放つという、生物ではなかなか有り得ないものです。

点滅する光で暗闇を照らす

誰もが知る赤外線とは、赤い光を放ち、熱で温め、暗闇を撮影するなどの役割があります。オオクチホシエソの発光器から放たれる赤外線は、深海の近距離を明るく照らす役割です。しかし他の深海生物からは赤外線の赤色が見えないため、自らは発見されることなく獲物を手中に収められるというわけです。

クロロフィル誘導体を用いた発光

どうやって発光器が赤外線を放つのかと言えば、これもオオクチホシエソの怖いだけじゃない体の特殊性が関係します。自らの身体でクロロフィル誘導体を合成し、それを赤外線の蛍光に変えることができます。クロロフィル誘導体を体内で生成できる魚は、世界の生物でもこのオオクチホシエソだけです。

赤外線の感知もできる

完全なサーチライトのように闇の深海を照らせる一方、オオクチホシエソは別の不思議能力も有しています。それは赤外線の赤色を感知する能力です。魚類で目に見えない赤い赤外線を感知できるのは、オオクチホシエソだけだとされています。この能力によって仲間を見分けていると考えられます。

オオクチホシエソの食事

プランクトンや小魚が基本

そのすごい発光器でどんな獲物を口にするのかと思いきや、実はオオクチホシエソは至って現実的です。彼が好んでいるのは、深海に浮かんでいる大型の動物性プランクトンや、自分より小さな魚の種類。深海はそんな細かい生命に溢れているため、小柄なオオクチホシエソが食事に困る心配は無用です。

大きな獲物も

ただし時にオオクチホシエソが備えた発光器は、より大きな獲物を照らし出すこともあります。その時オオクチホシエソが腹ペコ状態なら、一気にかぶりつく場合もあります。その大きさは、怖い顔のすごい顎が食らいつける大きさ。顎の巨大さは、ある程度大きい獲物でも行けることを意味しています。

オオクチホシエソの分類

ワニトカゲギス目

ほとんどが深海に生息する硬骨魚綱の分類の中に、ワニトカゲギス目があります。ワニトカゲギス目は4科52属414種も存在しますが、総じて奇妙な見た目が揃っているのが特徴です。ワニトカゲギス目の下に、ホウキボシエソ亜科があり、その中にオオクチホシエソが含まれています。

ホウキボシエソ亜科


全く聞き慣れないホウキボシエソ亜科は、別の書き方をすればほうき星亜科。ほうき星はハレー彗星のような天体のことで、それに見た目が似ていることから、ワニトカゲギス目の中でもこの分類が存在します。オオクチホシエソは恐い顔をしながら、ほうき星という何処か幻想的な星に関連づいています。

ホテイエソ亜科

特徴的なワニトカゲギス目を眺めてみれば、ホテイエソ亜科にも俄然注目してしまいます。なぜならホテイエソ亜科は190種も存在している、ワニトカゲギス目では最大勢力で、オオクチホシエソ同様、怖い顔をした人気の深海魚が見つかるからです。

オオクチホシエソの名前

オオクチホシエソの意味

まさに不思議の塊みたいなオオクチホシエソは、名前自体もとても奇妙なものです。オオクチとは口が大きい見た目を表しているのはわかります。ではホシエソとは?ホテイエソとも共通しますが、エソは「狗母魚・鱛」のことで昔からの魚の名前です。ホシとは星のことで、これはほうき星に関係します。

英名はストップライトルーズジョー

では外国のほうでは、オオクチホシエソはどんな名称なのか気になります。英語圏のほうでは、一般的にストップライトルーズジョー(Stoplight loosejaw)と呼ばれています。この不思議な名前はオオクチホシエソの発光機を持つ構造や、ルーズな口の特徴などが関係しているようです。

英語の属名はマラコステウス

一方で英語の属名のほうは、マラコステウス(Malacosteus)となっています。この名は柔らかい意味のマラコス、骨を意味するオステオンを組み合わせた、ギリシャ語が由来です。やはりオオクチホシエソの奇妙な見た目の顔つきが、名前に影響していました。

中国では黒柔骨魚

ではお隣の中国では何と呼ばれているかを調べてみると、黒柔骨魚となっていました。オオクチホシエソは骨が柔らかいという話は聞かないので、不思議な名前です。実はこの名、マラコステウスを直訳した柔骨魚に、黒い見た目を組み合わせた命名でした。

オオクチホシエソは釣れる?食べられる?

食べた情報は無い

もし船釣りで予想外にもオオクチホシエソが釣れてしまったなら、食べていいのかどうかも気がかりです。調べてみてもホテイエソ同様、食べてみたという経験談はどこにも見当たりませんでした。しかしワニトカゲギスの種類に毒があるとの話は聞かれないので、食べられないことはないと考えられます。

深海魚なので美味しい可能性も

その見た目の不思議さとは反して、深海魚には意外と美味しい種類が多いことが知られます。オオクチホシエソはエソですが、同じエソのアオメエソは食べて美味しいと呼ばれる深海魚です。ホテイエソも含めて身が少ない印象なので、唐揚げなどシンプルなところから試して見ていいかもしれませんよ。

釣るのは難しい

そんな興味深さ満点なオオクチホシエソですが、釣ってみたいと考えてしまうのが海の男というものです。しかしこのオオクチホシエソ、釣り上げることは難しい魚です。水深500~3,000mという深海にいることが、最大の理由になります。しかし運が良ければ、船釣りでヒットする可能性はあります。

流通していない

深海魚好きなファンが注目する、オオクチホシエソ。しかしこの魚はどこのスーパーでも市場でも見つけるのは困難です。ホテイエソ同様に、そもそも流通していないことが理由です。釣りも無理、購入も難しいとなれば、何処で見学できるのかは知っておきたい情報です。


オオクチホシエソの展示

生体展示がないオオクチホシエソ

すぐネット検索でヒットする、深海魚の展示場所と言ったら各地の水族館。大人気な水の観光スポットは、イルカショーや不思議な魚類の展示があり、休日は人でごった返します。しかし注目のオオクチホシエソの、生きたままの展示を行う施設は、今は存在しません。今後登場することに期待してしまいます。

博物館で見れるかも

一方で時折展示が見られる可能性があるのが、各地で人気の博物館です。深海魚の特別展などで、オオクチホシエソが展示されたケースがあります。東京の国立科学博物館の深海魚展にオオクチホシエソが登場していたこともありました。近年では、萩博物館でホルマリン漬けの展示が見られます。

萩博物館情報

【所在地】山口県萩市堀内355
【電話】0838‐25‐6447

萩博物館

画像検索を駆使する

手っ取り早くオオクチホシエソを見てみたい、ネット検索を駆使することです。日本語サイトでホテイエソと共に見つけ出すのも良いですが、例えば英名のStoplight loosejawで検索してみれば、画像や動画はかなり出てきます。知られざる生態に近づくならば、動画のほうがおすすめです。

人気のオオクチホシエソに出会いたい

いつかは生きている実物に

予想外にも赤外線を駆使してしまう、ハイテクにも勝るとも劣らない命体、オオクチホシエソ。そのすごい特徴から密かに人気なこの魚は、見た目も生態も不思議だらけで魅力的でした。今は生きた実物を見られない魚ですが、いつかは泳いで赤外線を放つ姿を目にしてみたいものです。

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