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自転車のブレーキの種類図鑑!その特徴や仕組み、操作方法まで徹底紹介!

自転車のブレーキは、前輪と後輪で独立。また、シティサイクルやロードバイクや、マウンテンバイクなど、種類ごとに求められるブレーキ性能が違うことも、多種多様な理由の一つです。本記事では、そんな自転車ブレーキの数々の種類をご紹介。仕組みや操作方法も解説いたします。
2020年8月27日
haekon
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はじめに

通勤や通学、お買い物に欠かせない自転車ですが、付属しているブレーキについては、情報をお持ちでない方が、多いのではないでしょうか?200年ほど前に誕生した自転車は、最初は前の輪径がとても大きく、博物館でみると、異様に感じる乗り物。バランスが悪く、急にブレーキを握ると、前転をしてしまうことも、たびたびだったとのことです。

一般人も乗れる安全な自転車は、100年ほど前に登場。ブレーキは今のものと似ています。その後、街乗り向けやレース向けなど、目的の多様化により、ブレーキも進化、製造がおこなわれていないものも含めると、粗い分類でも10種を軽く超えるほど。本記事は、その中でも、今も利用されている計11個のブレーキをご紹介していきます。停止の能力やコントロール性の他、外観もさまざま、お楽しみくださいね。

ブレーキには、専門用語が多いため、最初にいくつかの説明をした後、概略のご紹介などに入っていきます。

自転車の用語説明

リムとハブ

ホイールの部位名で、リムは、タイヤを付ける外枠部分です。ハブは中心にある軸の部分。ハブの中心には、ハブシャフトという車輪の軸が通るため、ベアリングボールにより抵抗が少なくなる工夫がされています。

シューとパッド

同じに思われがちですが、シューとパッドは違うものです。シューはリムブレーキやハブブレーキにおいて、回転体との間に搭載される、摩擦を起こす部品です。ゴム製から金属製のシューまで材質はさまざま。また、ブレーキの構造により形状も違います。

パッドはディスクブレーキというブレーキ専用の部材で、間接的にホイールをはさんで、回転速度を制御します。パッドの材質はレジンとメタルがあり、スピードコントロールならレジンのパッドがおすすめ、ブレーキの効きを求めるならメタルのパッドが良いといわれています。

ブレーキの概要

ブレーキの種類

ブレーキは、前輪と後輪で独立しています。後輪のブレーキ(リアブレーキ)は「キャリパーブレーキ」、「カンチブレーキ」、「Vブレーキ」を主とする、ホイールのリムをはさんで制御を行なうブレーキ。「バンドブレーキ」、「ローラーブレーキ」、「サーボブレーキ」を代表とする、ホイールの回転軸部分(ハブ)に設置され、動きを制御するブレーキがあります。

前者を「リムブレーキ」、後者を「ハブブレーキ」と呼び、自転車のブレーキにしばしば用いられる分類法です。

ブレーキの現状

ママチャリなどのシティーサイクルの、前輪のブレーキは、キャリパーをはじめとするリムブレーキが多く、リアブレーキには、ハブブレーキが搭載。一方、マウンテンバイクなどのスポーツタイプは、前輪・後輪が、Vブレーキを主とした、軽量で操作性の良いものがフィット。また、レース用には、重くても悪天候に強く、静止や制御能力の高いディスクブレーキが選ばれることもあります。

ブレーキの操作について

前ブレーキとリアブレーキは役目が違う

ブレーキの種類をご説明する前に、操作について、簡単に述べたいと思います。ブレーキは、前後で役目が異なり、前ブレーキは自転車を止めること、リアブレーキはスピードの調整を行うことが役目です。

ブレーキと前輪・後輪の関係は重要

日本の(JISの)自転車企画によると、右が前ブレーキで、左がリアブレーキ。止まるための、前ブレーキをかけるのは、右手(右利きの場合)が有利との考えから決定されたそうです。ところが、海外メーカーやレース向けの自転車は、左が前ブレーキに対応しているもの多いのが現状。

レースなどの際に、右手はドリンクの取得や、合図などで使うため、急な動作が求められる、前ブレーキには向かないという理由です。日本製にしても、海外製にしても、前と後ろブレーキの役割が違うのは同じ。ブレーキの対応関係を知っておくことは重要ですね。

「左右片方だけ」や「力いっぱい」は危険


リアのレバーだけを握ると、後輪のみが回転しにくくなるので、スリップする可能性も。また、前のレバーだけを強く引くとと、後輪が浮き上がり、転倒の可能性があります。特に、Vブレーキなどの強力なブレーキは、力いっぱいかけると、上記の後輪が浮きやすくなるので、お気を付けください。

スピード制御や止まり方のコツ

ブレーキは程よく効かせ、回転が完全に止まらないようにしましょう。スピード調整の場合、転倒危険性が少ない、リアブレーキで軽く、こまめに行うのがポイント。止まる場合は、リアブレーキを先にかけて、体重をリア側に持っていってください。もともと強く設定されている、前ブレーキとのバランスが良くなり、安全に止めることが可能です。信号の前では、30mから50m前からの減速を心がけるようにしてくださいね。

自転車のブレーキ・種類と選び方1

「キャリパーブレーキ」の仕組みや操作

これから、リムブレーキを4つ紹介していきます。このブレーキは、ロードバイクやクロスバイク、ママチャリにも適用されるもの。いくつかの種類がありますが、現在は「デュアルピボット」というものが主流です。ブレーキレバー(以後レバー)を握ると、ブレーキワイヤー(以後ワイヤー)が、引っ張られ、リムの両側から、シューが摩擦をかける構成になっています。

特徴や他との違いは?

軽くて小型のため、スピードの制御がしやすいのが強み。ロードバイクに適しています。一方、ボルト一つで固定しているため、左右のバランスが悪くなりやすいことが短所の一つ。こまめに、片効きになっていないことの確認をおすすめします。シューと、ホイールとの間隔は数mmが適切。併せて点検をしてくださいね。こちらは、前輪、後輪のどちらにも採用されています。制御能力は大きくないので、過信は禁物。停止に必要な距離を把握しておいてくださいね。

自転車のブレーキ・種類と選び方2

「カンチブレーキ」の仕組みや操作

チドリという部品が印象的なブレーキ。チドリとは、2本のワイヤーを結んでいる部品のこと。レバーに力を入れると、チドリが上に引かれます。ワイヤーは下のフレームに取り付けられているため、シューが閉じる方法に動き、ホイールと接触する仕組み。

特徴や他との違いは?

キャリパーブレーキよりは制御能力が高く、後述のVブレーキより低いレベル。こちらのブレーキを搭載した自転車は、たびたび調整が必要という欠点もあり、他のブレーキに主流を譲っています。一方、シクロクロスというオフロードのロードレース用として、まだ健在。シュー幅を、広くできるため、極太タイヤに対応できることや、泥にも強いことが利点となっています。泥により、ロックの危険性が大きい、前輪向きです。

自転車のブレーキ・種類と選び方3

「Vブレーキ」の仕組みや操作

現在のクロスバイクのほとんどが、採用しているもの。レバーに力をかけると、アームの上側が外に広がります。その時、逆に下側にある2つのシューが内側にせばまるため、ホイールに接触する仕組み。

特徴や他との違いは?

アームが長いため、ワイヤーも長いのが特徴。レバーの引き代が大きいので、他と比べると、コントロール性が低いという欠点があります。停止能力は最高水準。メンテナンス性が良いのも、利点の一つです。子供向けの自転車用にも、多数採用されていますよ。前輪・後輪の両方に、取り付けられるのが一般的です。

自転車のブレーキ・種類と選び方4

「油圧リムブレーキ」の仕組みや操作

レース用など、限定的に使われているもの。機械式ではなくレバーにより、油圧ピストンがシューを動かすことが特徴。仕組みは他のリムブレーキと同様です。
 

特徴や他との違いは?

静止させる力は強く、コントロール性も良いのが利点。後述の油圧ディスクブレーキに対し、軽量で安価ですが、雨天の走行性能や、シューの劣化など、メンテナンス性が欠点となります。前輪・後輪に適用されます。

自転車のブレーキ・種類と選び方5


「バンドブレーキ」の仕組みや操作

ここからはハブブレーキをご紹介していきます。こちらは、ママチャリのリアにも利用されるもの。低コストですが、「キー」という不快音が欠点。ホイールに固定した円形ドラムと、それを囲んで取り付けられた円形シューが主な部品です。ブレーキにより、シューが内側に縮まり、ドラムを締め付ける仕組みです。
 

特徴や他との違いは?

安価な自転車の、後輪に使われることが多いブレーキ。音を消すために油をさすと、効きが弱くなり、危険です。また、雨の日は摩擦力が減り、こちらも利きにくい傾向になるので、運転に注意が必要。どうしても音が嫌な場合は、次にご紹介するサーボブレーキに交換してくださいね。数千円かかることも多いので、今から購入する方は、ブレーキのタイプを事前にご検討ください。

自転車のブレーキ・種類と選び方6

「サーボブレーキ」の仕組みや操作

こちらも、シティーサイクルのリアブレーキにとして使われます。上で述べたブレーキ音などの欠点を改良したもの。不快音が低減し、雨水も入り込みにくいという利点があります。ブレーキをホイールに固定しているのは、前述のブレーキと同じ、ドラムの内側にシューがあるのが違いです。レバーにより、中心にあるカムが回転、シューを押し広げて、ドラムと摩擦する仕組みになっています。

特徴や他との違いは?

こちらも後輪に使われるブレーキです。名前で用いられている「サーボ」とは、自己倍力のこと。いったんブレーキが効きだすと、摩擦力が自動で増えていくのが特徴です。また、長期間使うと、車輪が回りにくくなることや、自転車が重くなるなどの現象も、このタイプの欠点。シューが磨耗で変形し、通常でもブレーキがかかった状態になるのが原因です。その場合、ブレーキを分解し、シューを削るなどして整形する必要があります。この状態になったら自転車屋で見てもらうのがおすすめ。

自転車のブレーキ・種類と選び方7

「ローラーブレーキ」の仕組みや操作

こちらは、やや高級なシティーサイクルや、電動自転車のリアブレーキに、採用されています。ブレーキが、ホイールに固定してあるのは、他のハブブレーキと同じ。ドラムの内側にシューがあるのは、サーボブレーキと同様です。ブレーキを作用させると、中心部のカムが回転、カムの外側に配置される複数のローラーを押します。それによりローラーがシューを広げ、ドラムの回転を制御できるようになっています。

特徴や他との違いは?

こちらも後輪に使われます。金属部品のみのため、磨耗がしにくく、寿命が長いのが利点の一つ。自己サーボ効果はないので、急ブレーキが効きにくいという欠点があります。

消耗部品はありませんが、グリスは消耗品なので、点検が必要。音が気になる場合やブレーキの効きが悪い場合は、グリスの追加をしてくださいね。その際はブレーキ本体の、グリス穴をご利用ください。バンドやサーボブレーキとは互換性がなく、このブレーキへの交換の場合は、ホイールごと変える必要があります。

自転車のブレーキ・種類と選び方8

「メタルリンクブレーキ」の仕組みや操作

名前のとおり、金属で回転の制御をおこなうブレーキです。バンドやサーボブレーキなどが付いてるホールに、取り付け可能です。ブレーキにより、外側から金属で、ホイールの回転軸を制御する手法。高い停止能力が特徴です。金属間の摩擦のために、グリスが必要となります。

特徴や他との違いは?

リアブレーキとして、後輪に使われるブレーキです。摩擦で発生したグリスの熱を放出できるように、放熱板が付いているのも特徴的。外周にある最も大きな金属板が放熱板、こちらは、かっこいいと人気ですが、一方では重くなる欠点もあります。

自転車のブレーキ・種類と選び方9

「ディスクブレーキ(機械式)」の仕組みや操作

このブレーキは、今までの手法とは異なるタイプ。部品は大きく分けて、「ローター」と「キャリパー」からなり、ホイールのハブに取り付けられます。レバーをつかむと、キャリパー内の2つの「カム」が双方からパッドをはさみ、その結果、ローターをホイールに接触させて、制御する方法。発生する摩擦熱は、ローターが放熱してくれます。雨のような悪天候でも、停止能力が高いため、レース用の自転車にも採用されるブレーキです。

特徴や他との違いは?

制御能力が高いため、自動車の前輪用として、採用されることが多いブレーキ(後輪にも使われています)。こちらのブレーキはパッドが減ることにより、ローターへの距離が変わってしまうのが難点。ブレーキの反応が遅くなる場合や、レバーが効く位置が変わってきた場合は、こちらが原因の可能性が大です。キャリパーのパッド位置調整ボルトを緩めて、ローターとパッドの距離が、数mm程度になるように修正してください。

自転車のブレーキ・種類と選び方10


「ディスクブレーキ(油圧式)」の仕組みや操作

こちらのブレーキの部品は、機械式と同様「ローター」と「キャリパー」からなります。レバーに力を入れると、油圧の力でキャリパー内の双方の「ピストン」が、パッドを押し、ローターをホイールに摩擦させるやり方。油圧を用いたことで、弱い力でも、制御能力が高いのが利点です。機械式と同じく、雨などの悪天候時でも、能力を保持できるので、レース用の自転車にも、採用されるブレーキです。

特徴や他との違いは?

機械式同様、停止能力が高いため、自動車の前輪に、採用することが多いブレーキです。特徴は、正しく取り付ければ、数年間メンテナンスフリーということ。ピストンに取り付けられた部品(ピストンリング)が、ローターとパッドの距離を一定に保つため、パッドの摩耗などの劣化を吸収してくれます。

自転車のブレーキ・種類と選び方11

「コースターブレーキ」の仕組みや操作

主に、海外でビーチ用の自転車などに使われている、変則的なブレーキです。ペダルを逆回転させることで制動がかるため、サーフボードなどの道具を持っていても、操作可能なのが人気。

ホイールと一体化した多数の部品からなりますが、動作はシューと、クラッチなる2つの部品で説明できます。こちらのシューは回転軸内に沿った、2つの金属部品からなっています。ペダルを逆回転させると、クラッチがねじのように、2つのシューの中に入っていきます。部品間の幅を徐々に押し広げるため、回転軸との摩擦が起きるシステムです。

特徴や他との違いは?

主にリアブレーキとして採用。手を使わなくてもブレーキをかけられるため、力の弱い子供向けの自転車にも採用されています。金属のシューを使っているため、寿命が長いことなども利点。日本の法律では、前後のブレーキを付けることが義務のため、日本で使うには、前輪に他のブレーキを付ける必要があります。

自転車ブレーキ・まとめ

自転車には、様々なブレーキがありました。キャリパーブレーキや、ローラーブレーキなど、ママチャリのブレーキだけでも何種類もあり、ロードバイクやマウンテンバイクに至っては、Vブレーキや油圧式ディスクブレーキなど、性能を競うために様々なブレーキが、前輪・後輪に組み合わされています。

また、逆回転させると、ブレーキがかかるコースターブレーキも、面白い仕組み。海外旅行などをしたときなど、探してみてはいかがでしょうか?また、メタルリンクブレーキは、性能だけではなく、外見のかっこよさだけでも使ってみたくなるブレーキです。

ブレーキは、自転車の選定時に、あまり気にされていなかった項目かもしれません。ブレーキの種類によって自転車を選ぶのは、通っぽくていいですね。また、ブレーキの調子が悪いときにも、この記事の情報が役に立つかもしれません。

また、今回は、詳細はご紹介できませんでしたが、ブレーキの交換やメンテナンスも、自転車好きにとっては、楽しい作業。関連記事のリンクをしておきますので、そちらにもトライしてみてはいかがでしょうか?

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自転車のブレーキについては、こちらにも詳しく掲載されています。チェックしてみてくださいね。