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ビカクシダの種類と育て方!成長に合わせたコツや板付けのやり方は?

ビカクシダはコウモリランとも呼ばれ、名前のとおり鹿の角もしくはコウモリの羽のような葉姿を楽しめるシダ植物です。近年人気が高まり様々な種類が出回るようになりました。ビカクシダの水やりや肥料などの育て方や株分けによる増やし方のコツをご紹介いたします。
2020年8月27日
Yukari.S
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ビカクシダってどんな植物?

ビカクシダという面白い植物をご存知でしょうか。ビカクシダは、マダガスカルなどの熱帯地域に自生する植物です。木に直接根をつける着生植物なので、板付けという方法で育てることができます。日本では観葉植物として徐々に人気が出てきていて、おしゃれなカフェなどに飾られているのを目にします。とても印象的で熱帯雨林の雰囲気そのもの。では、ビカクシダの特徴や、育て方・増やし方のコツを見ていきましょう。

ビカクシダの名前の由来

ユニークな草姿とともに、一度聞いたら忘れられないような面白い名前がつけられています。ビカクシダを漢字で記載すると、「麋角羊歯」。「麋」は大きな鹿をあらわし、大きな鹿のシダ植物という意味になります。また、こうもりが羽を広げたような形にも見えることから、コウモリランと呼ばれることもあります。

ビカクシダの葉は2タイプある

ビカクシダには、2タイプの葉っぱがついています。ひとつは巣葉(貯水葉)で、もうひとつは普通葉(胞子葉)です。

巣葉(貯水葉)とは?

巣葉(貯水葉)は、幹に沿うようについていて、上部でぱっと広がった形をしています。この広がりは、ジャングルなどで自生するビカクシダが、ほかの植物の葉っぱを集めるためのものです。動物の名前がつけられたビカクシダですが、まるで動物のような働きに驚いてしまいます。巣葉(貯水葉)は、はじめのうち緑色で、成長とともに茶色くなって枯れます。枯れるのですが落葉することはなく、株元に積み重なってスポンジのような層をつくっていきます。スポンジ様になった巣葉(貯水葉)は、水分や肥料分を吸収し溜め込む役割を果たし株の成長を促進させます。

普通葉(胞子葉)とは?

普通葉(胞子葉)は、ほかの種子植物と同じく光合成をおこない株の成長をサポートします。ただしビカクシダはシダ植物。普通葉(胞子葉)は、光合成だけでなくシダ植物ならではの胞子を作る役目も担っています。

ビカクシダの基本データ

科名属名

ウラボシ科ビカクシダ属

学名

Platycerium

和名

麋角羊歯(びかくしだ)

別名

こうもりらん

英名

stag horn fern

原産国

マダガスカル、アフリカ

ビカクシダの種類

種類によって雰囲気の異なるビカクシダ。なかにはあまり出回っていないものもあり、発売するやいなや売り切れてしまう希少なものもあるそうです。では、いくつかおすすめの種類をご紹介いたします。

種類1・ビフルカツム


「ビフルカツム」は、日本で出回っているビカクシダのなかで最もメジャーな品種です。ビカクシダと言うとこの品種を思い浮かべる方も多いようです。まさに鹿のツノのようなパワフルな外観を一度見ると心奪われて、ぜひ育ててみたいと思ってしまいます。比較的子株が発生しやすく増やしやすい品種なのも嬉しいところです。

 

種類2・リドレイ

明るい黄緑色の葉っぱが、やわらかな印象をもたらしてくれる品種です。鹿のツノというよりは、うさぎの耳にも見えるような可愛らしい雰囲気があります。珍しい品種なので、見つけたら是非手に入れたいですね。

種類3・エレファントティス(アンゴレンセ)

こちらは、鹿のツノならぬ、ゾウの耳のような形のビカクシダです。ジャングルにはこんなにも多彩な植物が茂っているのかと想像すると、好奇心を掻き立てられます。希少な品種なので、売り切れ必須です。

種類4・シルバーウィングス

銀の翼というカッコイイ名前がつけられたビカクシダ。名前のとおり、少しシルバーがかったグリーンカラーが素敵です。葉っぱが細く、葉色とあいまって上品な雰囲気で、寝室などに飾るのにも最適ではないでしょうか。

種類5・メンテロッシ

なんとも言えず面白い雰囲気のメンテロッシ。キャベツなど野菜が壁にかかっているような個性的な雰囲気です。とても珍しくあまり出回っていない品種で、愛好家のあいだで高値で取引されているようです。

種類6・ネザランズ

ネザランズは、波打つような葉っぱがキュートなビカクシダです。写真のように小さめに仕立てるとその可愛らしさが一層引き立ちます。もちろんもっと大きく育てることも可能。大きくなると少しダイナミックな印象になります。

種類7・コロナリウム

コロナリウムは、ビカクシダのなかでは比較的おとなしい印象の品種でしょうか。一見すると、何かほかの観葉植物のようにも見えます。しかしやっぱりビカクシダ。よく見ると葉っぱは2タイプあり、ビカクシダならではの存在感をひそやかに発しているようです。

ビカクシダの育て方1・土作り

シダ植物であるため、水はけがよく水持ちのよい土壌を好みます。小粒の赤玉土や山野草専用の土に腐葉土などを混ぜ込んだものを準備しましょう。また、土以外の資材で栽培することも可能。水苔のほか、ベラボンと呼ばれる資材が販売されています。とくに板付けして鑑賞する場合には、水苔やベラボンの利用がおすすめです。

ベラボン

ベラボンというのは、天然のヤシの実を加工して作られたスポンジのような資材で、洋ランやシダ植物などに用いられます。ベラボンは、吸水性や保水性、そして排水性に富む資材です。水を吸収すると1.5倍くらいに膨らみますが、水が抜けるとまたもとの容量に戻ります。

水苔

水苔は、水はけと水持ちの両方ともに優れていて、ラン植物などの栽培に重宝されています。水苔に植え付けるときは、あらかじめ水苔を水にひたしたあと絞っておきましょう。

ビカクシダの育て方2・肥料

ビカクシダの成長時期である春から秋のあいだに、定期的に穏効性の固形肥料を与えます。もしくは、観葉植物やシダ植物専用の液体肥料をほどこしてもよいでしょう。だいたい1~2カ月に一度の割合を目安に固形肥料を与えるか、2週間から1カ月に一度の割合で液体肥料を与えます。板付けしている場合は、肥料がこぼれないように、水苔のうえにうまく肥料を置くようにしましょう。

冬の休眠時期は肥料をストップする


冬の休眠時期は成長が止まってしまうため、肥料は必要ないとされています。成長しない時期に肥料を過度に与えてしまうと逆に株を弱らせて、成長を妨げますので気を付けてください。

ビカクシダの育て方3・水やり

水を好む植物なので、たっぷりと水やりをします。植えている土や水苔などが乾いたな、と思ったらこまめに水を与えましょう。とは言え、あまりに水を与えすぎて多湿の状態にありすぎると、今度は根腐れを起こして枯れることがあります。一度水をやったら次に乾くまでは水やりをせず、乾いたなと感じてから再び水やりをするイメージです。

冬の休眠時期は水やりを控える

冬の寒いあいだは、ビカクシダの休眠時期になります。この時期にあまり水をやりすぎると、株が休眠していて水を吸収せず、その結果、鉢などに水が溜まりっぱなしとなり根腐れの要因となります。冬の時期は、水やりの頻度をさげましょう。

葉水も効果的

葉水というのは、霧吹きで直接植物の葉っぱに水を吹きかける水やり方法で、観葉植物やシダ植物に効果的です。葉水をこまめにおこなうと、葉っぱがより活き活きとしますし、埃などの汚れが取れきれいな状態をキープできます。素敵なデザインの霧吹きがたくさん販売されていますので、インテリアの一部として植物のそばに置いておくと、葉水がおっくうになりません。

ビカクシダの育て方4・場所

ビカクシダにはいろいろな種類があり、種類によって日当たりを好むタイプ、日陰を好むタイプなど、管理する場所が変わります。とは言え、いくら日当たりを好むタイプでも、夏のギラギラとした日差しが照り付ける場所は苦手で、葉焼けを起こして枯れてしまうことがあります。また日陰を好むタイプも、あまりに暗いところで栽培すると、徒長したり、株自体が弱々しくなり成長が妨げられることがあります。

ビカクシダの育て方5・植え付け

日本の暑い真夏の時期や寒い冬の時期を苦手とするビカクシダは、主に鉢植えで栽培します。鉢植えにしたものを春夏秋冬の時期の気温などに合わせて移動させましょう。植え付けに適した時期は、春から夏にかけてです。鉢はプラスチックのものより、通気性のよい素焼きのものを選ぶ方がよいでしょう。鉢の底には、排水性をよくするため大きめの底石を多めに入れましょう。そのあと土や水苔、ベラボンをセットして、苗を植え替えます。植え替えた苗がしっかり安定するまで、直射日光のあたらない風通しのよいところで管理しながら、水やりを続けましょう。

ビカクシダの育て方6・板付け

もともと木の幹などに張り付くようにして自生する植物なので、板付けという栽培方法で楽しむことができます。板付けとは、へご板などの資材に株を植え付ける栽培方法です。板付けしたものを壁に吊り下げるようにすると、ほかの植物にはない雰囲気を楽しめます。板付けに適した時期は、4~5月ごろです。

 

板付けの手順

まず板付用の板を準備します。インターネットや専門のお店で色々な種類が販売されています。杉板など樹木を材料にしたものはもちろん、アクリル板で出来たスタイリッシュなものもあり、植え付ける板によって、かなり雰囲気が変わります。水苔を水にひたしてよく水を絞ったら、板の真ん中あたりに置きます。水苔で苗の根っこを覆うように苗を置きます。苗を置くときは、吊り下げたときに、成長点が上に、普通葉(胞子葉)が下にくるようにしましょう。シュロ縄や針金を使って、苗と水苔を固定したら板付けの完了です。なお板付けしたものに水やりをするときは、霧吹きを利用すると便利です。

ビカクシダの育て方7・植え替え

育てているビカクシダが大きくなってきたら、ひとまわり大きな鉢に植え替えます。植え替えに適した時期は、春から夏にかけてです。株に対して鉢のサイズが小さくなると、鉢のなかで根詰まりを起こして成長が阻害され、やがて枯れてしまうこともありますので定期的な植え替えは必須です。なお、育てている株に子株がついていたら、植え替えと株分けを一緒におこなうとよいでしょう。

植え替えのとき水苔なども新しく交換しよう

株を鉢から抜き取って新しい鉢に植え替えましょう。その際、今まで使ってきた水苔などの資材はきれいに取り除き、新しいものに取り換えてあげましょう。植え替えた株がしっかり根付いて安定するまで、直射日光のあたらない風通しのよいところで管理しながら、水やりを続けましょう。植え替えてからしばらくは特に株をこまめに観察するようにして、根がついたなと思ったら、いつもどおりの水やりに戻してください。

ビカクシダの育て方8・病気

うどんこ病

うどんこ病は、かび菌を要因とする病気で、あらゆる野菜や植物に発生します。うどんこ病が発生すると、名前の通り、白い粉のような病斑部が葉っぱなどにあらわれます。はじめは小さな病斑部ですが、放っておくとじきに全体に広がってきて、植物を枯らせてしまいます。うどんこ病を見つけたら、病斑部をすみやかに切り取ってください。なお、うどんこ病はじめじめとした多湿の環境に発生しやすいので、とくに梅雨時期などには気を付けて観察するようにし、早期発見を目指しましょう。

灰色かび病


灰色かび病は、糸状菌により発生する病気です。小さな薄いグレーの病斑部が、だんだんと大きく濃い色になり、茶褐色の大きな病斑部となります。観葉植物の見栄えが悪くなりますし、放置していると株が弱り枯れてしまいます。病斑部が小さいうちに取り除くことが重要です。小さいうちは色も薄くやや分かりずらいのですが、こまめに株を観察するように心がけましょう。

立ち枯れ病

立ち枯れ病は、植物の植え替えや株分けなどの際にキズついたところから病原菌がはいりこみ発生することが多いです。まず葉っぱなどがややしおれたようになってきます。はじめは水不足かな、と思う方が多いのですが、じきに株ごと弱ってきて枯れてしまいます。立ち枯れ病は一度発生すると治癒が困難な病気です。また立ち枯れ病は次々と感染するので、育てている株が立ち枯れ病に侵された場合は、残念ですがすぐに処分しましょう。

ビカクシダの育て方9・害虫

カイガラムシ

カイガラムシの幼虫は、じめじめとした環境に発生しやすい害虫です。一匹の大きさはとても小さいのですが、群生して発生することが多くやっかいです。さらには葉っぱに寄生してしまい、植物の栄養分を吸い取ってしまうこともあります。また、見栄えが悪くなりますし、放置しておくと成長を妨げ株が枯れてしまうことさえあります。カイガラムシを見つけたらすみやかに駆除しましょう。なお、カイガラムシの幼虫は実にかたい殻をしており、通常の殺虫スプレーを吹きかけてもびくともしません。ブラシなどで直接こそぎ落として駆除しましょう。

ナメクジ

ナメクジは、梅雨時期などのじめじめとした環境で発生しやすい害虫で、とても大食漢です。あっという間に植物の葉っぱや茎を食べつくしてしまいます。ナメクジは植物のやわらかいところが大好きで、とくに成長点を食べられてしまうと、致命傷になってしまうこともあります。ナメクジは比較的発見しやすい害虫ですので、こまめに株をチェックしながら、もしも見つけたらすみやかに駆除しましょう。

アブラムシ

アブラムシは、野菜やお花、観葉植物などあらゆる植物に発生しやすい害虫です。グリーン色をした小さな害虫で、植物の葉っぱなどに寄生して、栄養成分を吸い取ります。一匹の大きさは小さいのですが群生して発生するのがやっかいなところです。さらに、アブラムシは独特の香りのする排泄物を出し、その香りにほかの害虫が引き寄せられる特徴があります。二次被害を避けるためにも、アブラムシを見つけたらすみやかに駆除しましょう。

ビカクシダの増やし方1・株分け

ビカクシダの増やし方としては、株分けが一般的です。ただし種類によってはあまり子株が発生せず、株分けによる増やし方が適用できない場合もあることを頭に入れておきましょう。株分けによる増やし方に適した時期は、春から秋です。とは言え株分けは真夏の一番暑い時期は避けるほうがよいでしょう。育てている株から子株が発生し、しっかり育ってきたら株分けによる増やし方のチャンスです。まず親株ごと、土や水苔などから抜き取って、きれいな手やハサミで株分けします。株分けしたあとの親株はもう一度これまで植えていた鉢に植えましょう。株分けしてできた子株は、サイズの合った新しい鉢に植え替えます。親株、子株ともに株分けした株は、直射日光の当たらない風通しのよいところで管理しましょう。株分けした株が、しっかり根付くまで水やりを続け、根付いたら通常の水やりの頻度に戻します。

ビカクシダの増やし方2・胞子まき

ビカクシダの増やし方のふたつめは、胞子から増やす方法です。胞子での増やし方と聞くと難しそうに感じますが、いわゆる種子植物の種まきと同じ要領での増やし方です。胞子からの増やし方に適した時期は、5~8月ごろです。葉っぱの裏に胞子がついていますので、スプーンなどで削り取るように胞子を採取します。育苗トレーなどに土を入れあらかじめ水で土を湿らせておいたものに、削り取った胞子をまきましょう。上から新聞紙などをかぶせ、乾燥しないようにしましょう。直射日光の当たらないやや日陰で管理しながら、乾燥しないように霧吹きでこまめに水やりを続けていると、芽が出てきます。

ビカクシダの世界はとても面白い

まさに鹿のツノ、コウモリの羽のような個性的な植物「ビカクシダ」。「ビフルカツム」という品種がはじめに広まり、その面白さから新しい品種がどんどん輸入されはじめています。種類によってさまざまな雰囲気を醸し出しますので、コレクションしても楽しいでしょう。シダ植物ならでは胞子により増やすこともでき、ガーデニングの新たな扉が開きそうです。

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