検索アイコン
エックス
Facebook
LINE

「ラピュタの道」の現在に迫る!熊本地震後の状況と気になる復旧目処は?

雲海により空に浮かんだように見えることから人気を呼んだ「ラピュタの道」は、熊本地震による被害で現在通行止めとなっています。ジブリの「天空の城 ラピュタ」を彷彿とさせる絶景や、熊本地震での道路の被害状況、今後の復旧の見通しなどについてご紹介します。
2020年8月27日
mochi.kaba
※商品PRを含む記事です。当メディアはAmazonアソシエイト、楽天アフィリエイトを始めとした各種アフィリエイトプログラムに参加しています。当サービスの記事で紹介している商品を購入すると、売上の一部が弊社に還元されます。

ラピュタの道とは

雲海の中、空に浮かんだような幻想的な姿がジブリの「天空の城 ラピュタ」を彷彿とさせる「ラピュタの道」と呼ばれる場所があります。地元ライダーやサイクリストの間で人気が高まり、その絶景を眺めようとする観光客も多く訪れるようになり絶景スポットとして話題を集めた、熊本県屈指の絶景スポットです。
しかしその美しい道は残念ながら現在通行止めとなっています。熊本地震による大きな被害を受け2018年8月現在、全面復旧の見通しは立っていません。

ラピュタの道の魅力

「ラピュタの道」の魅力はなんと言ってもジブリの「天空の城 ラピュタ」に登場するような風景です。雲海が広がると空にぐっと突き出した道が幻想的な絶景を見せ、まさに作品の中のような眺めとなります。その眺めのみならず、外輪山を縫うように走る狭く曲がりくねった道はツーリングコースやサイクリングコースとして人気を集めました。

ラピュタの道はどこにある?

「ラピュタの道」と呼ばれたのは熊本県阿蘇市の市道狩尾線の上側で、阿蘇駅からは距離にして15㎞程度の場所です。外輪山の麓の狩尾地区と、ミルクロードと呼ばれる県道339号北外輪山大津線とを結んでいました。アクセスは不便ですが阿蘇カルデラを見下ろす場所となり、そこに発生する雲海により「天空の城 ラピュタ」を彷彿とさせる景観が望めます。

ラピュタの道へのアクセス

「ラピュタの道」へのアクセスは、熊本ICから車で約1時間半、JR赤水駅から車で約30分です。公共交通機関によるアクセスはありませんので、自家用車などにより向かうことになります。ミルクロード側からのアクセスはかぶと岩展望所などを目印に、道路沿いの駐車場に停車して見学します。麓側からのアクセスは県道149号河陰阿蘇線より、尾ヶ石郵便局やつつじ公園の看板が目印になります。通行止め区間への立ち入り危険なためできませんので、ご注意ください。

地震による被害

「ラピュタの道」は2016年4月の熊本地震により被害を受けました。阿蘇市で震度6弱を観測し、各地で深刻な被害が出る中、険しい山肌に位置する「ラピュタの道」も被害を免れませんでした。美しい道路の一部が崩落してしまい、土砂崩れや道路の陥没などもあり、計31ヶ所で地震による道路への被害が確認されました。絶景であることには違いありませんが、2年以上が経過した今もまだ地震の傷跡が生々しく残っています。
現在も崩落などの危険があるため、「ラピュタの道」は通行止めとなっています。

ラピュタの道の通行止め

出典: https://www.irasutoya.com/2013/10/blog-post_3451.html

「ラピュタの道」は熊本地震以前にも2012年に起きた九州北部豪雨による崩落などの影響で通行止めになっていましたが、翌2013年に復旧しています。災害による通行止めからよみがえり、ライダーや観光客から愛される場所でした。しかし熊本地震による被害は甚大で、発生から2年以上が経過した今も地震の被害を受けたままの状況です。

ラピュタの道の元々の姿


ラピュタの道は従来、地元住民が使う農道でした。牧草を運ぶなどの目的で住民の生活のために使われており、観光客による多くの通行があることを想定した道路ではありません。駐車場なども整備されておらず、車がすれ違えないような細い道です。その美しい姿と走る楽しさがライダーやサイクリストの評判を呼び、雲海が出た日の絶景を目当てとする観光客も多く訪れるようになりました。

観光客の増加による問題も

出典: https://pixabay.com/ja/%E4%BA%A4%E9%80%9A%E6%B8%8B%E6%BB%9E-%E8%87%AA%E5%8B%95%E8%BB%8A-%E8%A1%8C-688566/

2013年頃から人気に火が付き、自治体の広報活動の効果もあり多くの観光客が訪れるようになると、さまざまな問題も表面化しました。従来の役割である農道としての機能が果たせない、違法駐車やゴミの置き去り、エンジン音などの騒音に苦情があがるなど地域住民には悩ましい問題となりました。観光資源として有用な「ラピュタの道」も、その絶景を見にあまりにも多くの人が詰めかけたことで、幻想的な姿が失われることもありました。

愛されるラピュタの道

これらの問題も、ラピュタの道が多くの人気を集めたからこそ起こったことです。地震被害により通行止めとなっている現在は多すぎる観光客による問題などはありませんが、道の入口には通行禁止の看板が出され、あちこちが無残に崩れてしまっています。美しい「ラピュタの道」の姿が戻り、通行が再開されることは関わる誰もが望んでいることでしょう。

ラピュタの道の現状 

現状では「ラピュタの道」の復旧は進んでいません。道は相変わらず危険なため通行止めのまま、地震による被害の爪痕を残しています。
阿蘇市観光協会に「ラピュタの道」について問い合わせると「以前はそう呼ばれる道があったのですが…」と、通行止めとなっていて、復旧の見通しがない現状を申し訳なさそうに伝えてくれました。

ラピュタの道に続く道の一部復旧

阿蘇市は平成30年度中に「ラピュタの道」のに続く市道狩尾幹線(総延長5.8km)の麓側にあたる県道149号河陰阿蘇線の交差点から長寿ヶ丘つつじ公園まで約2㎞の復旧工事を行い、開通させる方針を発表しました。
この工事が完了すれば「ラピュタの道」の下側が開通することになります。一方、その先のミルクロードへとつながる区間の復旧はまだ見通しが立っていません。

ラピュタの道付近での砂防工事

「ラピュタの道」に続く道にあたる長寿ヶ丘つつじ公園の付近で、熊本県による土砂崩れなどを防ぐための砂防工事が進められています。阿蘇市が「ラピュタの道」の麓から長寿ヶ丘つつじ公園までの区間の復旧工事を行う考えを発表したのは、この工事に伴ったものです。砂防工事と並行して道路の復旧工事を進め、開通を目指します。

長寿ヶ丘つつじ公園までが通行止めから復旧見込み

長寿ヶ丘つつじ公園は標高約600mの位置にある小さな丘で、全面にツツジが植えられており、その数およそ1万株というツツジの名所です。手入れがされなくなり花の数は減ったようですが、それでも美しい花を咲かせています。麓からこの場所までの区間の復旧工事を行い、アクセスが可能になる予定です。
しかし阿蘇市観光協会によると、この区間の道路が開通するにはまだ2年ほどかかる見通しとのことで復旧にはまだまだ時間が必要です。

長寿ヶ丘つつじ公園の眺望


長寿ヶ丘つつじ公園からは阿蘇五岳や阿蘇谷を一望でき、パノラマの眺めとツツジのシーズンである5月には咲き誇るさまざまな種類のツツジが素晴らしい景観を見せてくれる場所です。現在は手入れが行われていませんが、道路が復旧されたらまた人の手が入り美しいツツジが満開になることが期待されます。

全線復旧に必要な費用は100億円超

「ラピュタの道」は阿蘇市道狩尾幹線の上部を指しますが、その名前から思い起こされるのはルート上部の道が突き出し雲海が眼下に広がる絶景。長寿ヶ丘つつじ公園より先のその区間は被害が大きく、復旧の目処は立っていません。もちろん、長寿ヶ丘つつじ公園からも素晴らしい眺望が望めますが、「ラピュタの道」の全線復旧には約100億円以上の予算がかかるといい厳しい見通しです。

激甚災害対象事業としての復旧を見送った

2017年には国から90%の費用が出る激甚災害対象事業として復旧を検討しましたが、阿蘇市が10億円もの費用を負担するのは財政的に困難として復旧を断念しています。国や県の事業として復旧を目指すというち見通しも現在のところありません。

地震によって減った観光客

「ラピュタの道」も被害を受けた熊本地震により、熊本県への観光客数は大きく減少しました。宿泊・観光施設が被災したことが大きな要因です。「ラピュタの道」がある阿蘇市についても同じ状況で、年間の総観光客数も地震以前は1500万人を超えていたのが、熊本地震が起こった2016年には1000万人を切っています。

現在も戻らない団体客

阿蘇市観光協会によると、個人旅行の観光客は概ね8割程度まで戻ってきたそうですが、団体客は未だに3割程度までしか回復していないといいます。通行できない道路があり特に大型バスなどでのアクセスが不便なことや、大勢に昼食を提供する施設がそろわず、団体客の受け入れができない現状だそう。熊本地震の影響は未だに深刻です。

阿蘇山への入山規制の解除

そんな中、明るい話題もあります。今年2018年2月に阿蘇山火口への入山規制が解除されました。入山規制は2014年から続いていたので実に3年半ぶりの再開です。熊本地震による被害からの復興がいまだに続いている中、弾みになると期待されています。

ラピュタの道からの絶景

「ラピュタの道」の絶景を、熊本地震以前のものも交えて改めてご紹介します。どれも一度は見てみたくなるような景色です。「ラピュタの道」が復旧され阿蘇が誇る素晴らしいこれらの眺めがまた見られるよう、願ってやみません。

ラピュタの道で広がる雲海

雲海が広がり、突出した部分の下が雲に隠れるとまさに天空の道というにふさわしい眺めとなります。雲海は春や秋に出やすいですが、条件が揃わないと現れません。
適度な水分、朝晩と日中の温度差、風がないという3つの条件を満たした日でないと見られず、日の出から朝9時を過ぎると消えてしまいます。


雲海のない晴れた日も絶景

山の麓まで見通せる晴れた日もまた、雲海が出た時とは一味違う絶景が広がります。青い空と眼下に見渡せる田園が広がる阿蘇市の風景、そして山の稜線は素晴らしい眺め。ラピュタの道の付近はこんな絶景が続きます。

ラピュタの道の目印

「ラピュタの道」の絶景ポイントにはその場所を示す石があります。「名物 ラピュタの道」と刻まれており、誰の手によるものかはわかっていませんが、ここから見えるのがまさに「天空の城 ラピュタ」の風景です。この石自体も「かわいらしい」と訪れる人に評判でした。

新緑のラピュタの道

春から夏にかけては山肌の鮮やかな新緑が美しく、田園も緑のグラデーションとなります。鮮やかな太陽に照らされた風景が広がる季節です。

黄金色のラピュタの道

秋にはススキの穂が揺れ、黄金色に輝く「ラピュタの道」の姿が望めます。田園も収穫を控えて色づく時期。季節により表情を変える「ラピュタの道」は、何度でも訪れたくなる絶景が望める場所です。

まとめ

素晴らしい眺望を誇る「ラピュタの道」ですが、その復旧については現在も見通しすら立っていません。復旧がかなわないまま廃道となる恐れもあります。多くのライダーやサイクリスト、観光客、そして地元の方に愛された絶景がまた見られる日は来るのでしょうか。「ラピュタの道」の復旧、そして熊本地震の被害からの復興が待たれています。