はじめに
小麦粉はどの家庭にもありますが、正しい保存方法をご存知ですか?保存の仕方を間違えると、品質が落ちるだけでなく、ダニ・カビなどが入り込み、健康被害を起こす危険もあるのです。意外と知らない小麦粉保存についてのあれこれを詳しくみていきましょう。
小麦粉の保存はみんなはどうしてる?
小麦粉保存のやり方は家庭によってさまざまですよね。買ってきた袋のまま保存している方、袋や保存容器などに移し替えて保存している方といろいろです。そして、常温のキッチンの引き出し、パントリー(食品収納庫)、冷蔵庫や冷凍庫などが収納場所として選ばれています。
小麦粉に保存期間ってあるの?
小麦粉の保存期間や賞味期限といわれても、あまりすぐに思いつかないですよね。知らないままでなんとなく使っていた方も多いのではないでしょうか。この機会に一度確認してみましょう。
小麦粉の賞味期限は?
強力粉、中力粉、薄力粉の3種類が家庭でよく使われる小麦粉です。メーカーによって賞味期限が表示されています。一般的に、強力粉は6か月、中力粉・薄力粉は1年となっています。強力粉は、中力粉、薄力粉と比べて、グルテン(タンパク質)が多く含まれ、品質が劣化しやすく、賞味期限、保存期間が短くなります。
小麦粉メーカーが推奨する保存方法は?
市販の小麦粉のパッケージに記載されている保存方法は、直射日光、高温多湿を避け、常温で保存するといった内容です。温度差による結露の発生と、他の食品からのニオイ移りを防ぐために、冷蔵庫での保存はおすすめされていないようです。密閉することが前提ですが、意外にも常温保存が推奨なのですね。
小麦粉以外の粉ものの保存は?
小麦粉以外にも、お好み焼き粉やホットケーキミックス粉、てんぷら粉などさまざまなものを家庭で使いますこれらのようなミックス粉は、開封後は常温ではなく冷蔵庫で保存するようにとされています。
小麦粉単独に比べて、砂糖や味付けのための旨み成分などがたくさん含まれ、虫害のリスクが高まるからです。保存期間にもより注意が必要ですね。
開封後はどうすればいいの?
開封後の小麦粉は、密閉できる容器などに入れ、できるだけ早く使い切るようにとされています。開封した後の賞味期限は1~2か月くらいまでが目安です。常温保存できますが、先述したように開封後のミックス粉は冷蔵庫での保存となります。
小麦粉の間違った保存による危険とは?
小麦粉の保存の仕方を間違えると、実際どんな問題が起きるのでしょうか。
湿気やニオイ移りによる劣化
まずよくあるのが、湿気やニオイ移りによる品質の劣化です。粉末なので、その性質上、湿気やニオイをよく吸い取ってしまいます。中に水分がが入り込むと、粉が固まったり、カビが発生したりします。また、ニオイの強い食品の近くにおいていると、小麦粉にニオイがつきやすくなります。
ダニやカビの発生
小麦粉を保存するうえで、特に注意すべきは、ダニ・カビの発生です。ダニやカビが発生しても一見わかりにくいので、知らずに口に入る危険があります。料理と一緒にダニ・カビを食べてしまうなんて、考えたくありませんよね。これについては後程もう少し詳しく述べますのでご参考ください。
賞味期限切れ
小麦粉のように賞味期限が長い食品は、どうしてもその期限を意識する機会が減ってしまいます。どこかに収納したままで、気がつけば賞味期限がとっくに過ぎていた経験はありませんか。小麦粉の消費量は家庭によって異なるものです。時々少量ずつ使うくらいという方は特に気をつけてください。
小麦粉の保存:ダニから守ろう!
家の中でダニがいる場所といえば、布団やカーペットを想像しますが、実はいたる所に存在しています。食品の収納場所であるキッチンもその一つです。小麦粉は加熱調理しますが、ダニが死滅したとしても、死骸やふんなどがアレルゲン(アレルギーを起こす原因物質)となり、それが健康被害につながります。
ダニとは?
地球上にはたくさんの種類のダニがいます。体長は0.3~0.5ミリほどで、昆虫とは違い、クモの仲間に分類されます。小麦粉の虫害として問題になるのは、ヒョウヒダニやコナダニという種類のダニです。条件が整えば、1~2日で爆発的に繁殖します。
ダニは栄養分と、温度25~30℃、湿度60~80%の環境を好みます。湿度55%以下と乾燥すればほとんど死滅します。
ダニが小麦粉に入るとどうなる?
ダニはとても小さいので、わずかな隙間からでも入り込みます。未開封のものでも長期間置いていると、袋を食いちぎって侵入する場合もあります。白っぽい体のダニは、小麦粉の中に入っても見えにくく、気が付きません。爆発的に数が増えると、小麦粉が動いたり粉が吹いたりして見えます。
ダニの入った小麦粉を食べるとどうなるの?
大量にダニの入った小麦粉を食べると、アレルギー症状が起きる場合があります。特にダニやハウスダストによるアレルギー体質を持つ人は症状が出現しやすいです。
蕁麻疹や痒みのような皮膚症状がよくありますが、時に全身性に強いアレルギー反応が起こり、急速に血圧低下、呼吸困難などアナフィラキシーショックと呼ばれる状態になります。命にかかわる重篤なもので、1分1秒を争います。海外では、パンケーキシンドロームともいわれています。
ダニを防ぐには
一度小麦粉にダニが入り込むと、取り除くのは困難です。小麦粉を購入したら、まずはダニを侵入させないことです。ダニが入っている恐れがある場合は、使わないほうがよいでしょう。
小麦粉の保存:カビから守ろう!
小麦粉に発生するのはダニだけではありません。カビにも要注意です。小麦粉は粉で乾燥しているのにカビが生えるの?と思ってしまいますが、カビ対策も大切ですよ。
カビとは?
カビとは、生物学的に真菌とよばれる真核生物のことです。一般的な細菌とは構造、大きさも違います。カビはあらゆるところに存在し、空気中にも浮遊しています。何万もの種類があり、人間に有益なカビもありますが、食品に発生してよく問題になるのは、青カビや黒カビです。
カビが好むのは温度0~45℃、湿度70%以上です。
カビが小麦粉に入るとどうなる?
通常であれば乾燥している小麦粉ですが、水分が入ってしまうと、袋や容器の中の湿度が上がります。小麦粉が栄養分となり、一気に増殖します。小麦粉が固まる、色が黒っぽくなるといった変化が見えます。
カビの生えた小麦粉を食べるとどうなるの?
カビそのものより、カビが出すカビ毒が問題になります。普段健康な人がそれを食べても、体への影響はほとんどありません。カビ毒の中には発がん性を持つ種もありますが、現在のところ日本では存在しないといわれています。
しかし、カビだけでなく食中毒の原因となる他の菌によっても汚染されている可能性が高いです。それが原因で急性の食中毒やアレルギーを起こす場合もあります。
カビを防ぐには
カビは糸状に広がり根を張りながら増殖します。カビによる見た目の変化が部分的でも、見えないところまで汚染されていると考えられます。一度カビがはえたら使えなくなるので、特に開封後は湿気をシャットアウトして、密封状態を保つのが大切です。
小麦粉の保存に最適な入れ物は?
では、小麦粉保存の際に最適なのはどのような入れ物でしょうか。それぞれの特徴や保存のポイントをチェックしてみます。
袋のまま保存
まずは小麦粉を買ってきた袋にいれたままにしておく方法です。開封後に輪ゴムやクリップで口をとめるだけで手間がかかりません。しかし、これだけでは密閉状態とはほど遠いです。開封前でも保存期間が長くなりそうならば注意が必要ですね。
チャック付き食品保存袋で保存
続いて、チャック(ジッパー)付きの食品保存袋を使用する方法です。開封後袋に入れるだけで手軽に密閉状態を保つて、収納場所もとりません。ただ、チャック部分に粉が付着したままだと、しっかり密閉できないうえに、チャック部分にダニ・カビがついて、袋の中に入る道となってしまいます。
密閉保存容器に入れて保存
ふた付きの密閉容器に移しかえての保存方法です。袋に比べると収納場所が必要にはなりますが、きちんと密閉した状態になり、ニオイ移りの心配がなく安心です。ガラス、プラスチックなど素材はさまざまですが、密閉性の高いものが理想です。中身を入れ替える際には、衛生面に気をつけましょう。
そのほかに注意すべきことは?
小麦粉を取り出す際、計量スプーンなどを使用しますよね。そのスプーンが濡れていたり汚れていたりすると台無しです。また、スプーンが入れっぱなしになっているのもあまりよくありません。小麦粉を容器に移し替える際は、保存期間を忘れないように賞味期限、開封日をラべリングしておくと便利です。
小麦粉の保存に最適な場所は?
今度は、小麦粉を入れた入れ物を収納する場所について考えてみましょう。
常温で
開封後に密閉して、早めに残りを使い切れそうならば、常温保存が可能です。キッチンのシンク下、コンロ下の戸棚を食品の収納場所に利用する方も多いのですが、湿度、温度共に高くなりやすい場所です。常温とはいっても小麦粉の保存場所には不適です。
冷蔵庫で
家庭用の一般的な冷蔵庫は温度4℃以下、湿度20~30%程度なので、ダニ・カビの繁殖は防げる環境です。しかし、使用の際に冷蔵庫の外で放置すると、常温と冷蔵庫の温度差から結露ができ、カビの原因になります。使用の際は必要な分だけを手早く取り出すなどの工夫が必要です。
冷凍庫で
冷凍庫は小麦粉を保存する場所のイメージがあまりないですが冷凍によって品質の劣化もある程度防げます。一般的な冷凍庫は温度が-18℃以下で、ダニ・カビの繁殖が防げます。小麦粉は水分が少なく、冷凍庫に入れておいても固まらず、サラサラの状態を保てます。
冷蔵庫での保存と同様に、冷凍庫から取り出す際に、結露が発生しやすいので注意が必要です。
その小麦粉大丈夫?使う前にチェックを!
小麦粉の保存状態に自信がない場合は、使う前にチェックしてみましょう。ニオイや手触り、色味をみて、異変を感じた場合は使用しないようにしましょう。密閉できていない状態で保存期間が長かった場合、すでに小麦粉の中にダニやカビが侵入しているかもしれません。
冷蔵庫や冷凍庫に入れたからといって安心せず、保存期間が長くなりすぎないようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか。小麦粉の間違った保存で特に怖いのはダニ・カビの発生です。侵入される前に、きちんと密閉し、保存状態を整えることが大事ですね。使用量、頻度、使い勝手などを考えて保存方法を選びましょう。自分や家族が安心して食べられるよう正しい保存方法を今日から実践してみてくださいね。
食品の保存方法が気になる方はこちらもチェック!
小麦粉以外で、保存方法が気になるものの一つがお米です。お米の保存方法などが気になる方は、こちらもチェックしてみてくださいね。
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