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釣りで人気な外来種「オオクチバス」の生態とは?日本に与えた被害や影響も解説!

日本ではブラックバスという名で親しまれているオオクチバス。もう今では釣り、特にルアーフィッシングの対象魚としておなじみですよね。今回はそんなオオクチバスの詳しい生態について、日本に与えた被害や影響なども一緒にご紹介していきます。
2020年8月27日
小千木陽太朗
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オオクチバス(ブラックバス)とは

アメリカ生まれの「外来種」

オオクチバスは北米の五大湖を主な生息地とする外来種です。スズキ目スズキ亜目サンフィッシュ科に属する淡水魚で、大正時代に食用とレジャー目的のために、神奈川県の芦ノ湖で放流されたのがはじまりです。また、オオクチバスは標準和名で、一般的に「ブラックバス」もしくは「バス」と呼ばれています。

日本のオオクチバスは主に2種類

日本では主にノーザンラージマウスバスとフロリダラージマウスバスの二種類が生息しています。 ノーザンラージマウスバスは最も生息地域が広く、日本に居るブラックバスの殆どがこの種類です。フロリダラージマウスバスはサイズが大きくなりやすいのが特徴で、琵琶湖や奈良県の池原ダムなどが生息地として有名です。

オオクチバスの特徴

体型・大きさ

オオクチバスの成魚は30~50センチほどで、場合によっては60センチ以上に成長する個体も存在します。全体的に紡錘形で体側が横に広く、海に居るスズキに近い体型をしています。「ブラックバス」と呼ばれる通り、背中や体側に黒い模様が入ることがあります。

名前の由来の「大きな口」

その名の通り、オオクチバスの一番の特徴はその大きな口にあります。この大きな口で、自分の体長の半分ほどの大きさの餌までなら、難なく丸呑みしてしまいます。 また、唇は固く、その内側にはざらざらした細かい歯が無数に生えています。

オオクチバスの分布・生息地

生息地は日本全国

オオクチバスは現在、公的・私的問わず放流が繰り返された結果、全ての都道府県で分布が確認されています。北海道や沖縄にまで生息しています。 有名な生息地として琵琶湖や河口湖、霞ヶ浦などが挙げられます。

実は冷水域にも強い

オオクチバスは本来暖かい水域を生息地としており、適水温は一般的に18℃から25℃と言われています。しかし、実はかなりの低水温でも生息できることが判明しています。北海道や、お隣の韓国にまで生息地が広がっていることから、オオクチバスはかなり寒い地域でも適応できるといえるでしょう。

繁殖力も強い

オオクチバスは繁殖力が大変強い魚です。一度に産卵する数は数千~数万個とも言われ、大型の個体となると抱卵数は十万個を超えることもあるそうです。これに加え、上記のような幅広い水温への適応や水質汚染への強い耐性が拍車をかけ、オオクチバスは瞬く間に日本中に生息域を広げました。 オオクチバスの駆除が難しいといわれる理由が、この強い繁殖力にあるといってもよいでしょう。

オオクチバスの季節ごとの生態(春)

オオクチバスは日本の気候に適応して、季節ごとにさまざまな生態を見せてくれます。

春は産卵の季節


春はオオクチバスにとって最も重要な産卵の季節です。水温が10度を超える頃になると、オオクチバスは越冬していた深場から、産卵に適した暖かい浅場へと上がってきます。この時期のオオクチバスは産卵に備えて大食いになり、釣り人にとっては春はオオクチバスを釣りやすい時期といえるでしょう。

闘争心が強い時期

また、この時期のオスは外敵に対する闘争心が強い時期と言われます。産卵後、オオクチバスのメスは体力を回復させるために産卵床から離れますが、オスはその場に残り続けて卵と稚魚を守り続けます。この時のオスはとても攻撃的になり、身体の大きな外敵にも積極的に襲い掛かることが知られています。

オオクチバスの季節ごとの生態(夏)

産卵で減った体力を回復

産卵がひと段落した5月後半から6月前半、オオクチバスは体力を回復させるために、深場や障害物の周りで、静かに静養します。この時期のオオクチバスはまだフラフラで、餌を追いかけまわす元気はありません。 しばらくして梅雨の時期になってくると、オオクチバスは完全に体力を回復し、暑い夏に向けて活発に餌を食べるようになります。

本格的な夏は、日陰へ

水温が上がり、本格的に日差しが強くなってくると、オオクチバスは日の当たりにくい場所や、水通しの良い場所に居着くようになります。樹木が覆いかぶさった下や、桟橋の下、橋脚の周りなどに日中は潜み、朝夕の涼しい時間帯や、日光の少ない曇りや雨の日に活発に泳ぎ回ります。人間と同じく、オオクチバスも暑い時には涼しい場所を求めているのです。

オオクチバスの季節ごとの生態(秋)

広範囲を泳ぎ回る

日差しが段々と弱まってくる頃になると、オオクチバスはそれまで居着いていた物陰から出て、広範囲に散らばるようになります。まるでお風呂のお湯のようだった水温も適水温にまで下がってくるので、活性も高く、生息する水域を縦横無尽に泳ぎ回ります。

秋バスは食欲旺盛

この時期のオオクチバス荒食いすることで知られます。 餌が取りにくい冬場を乗り越えるために、適水温の秋のうちに盛んに餌を追いかけまわします。早い動きの小魚も、積極的に襲い掛かって捕食します。 オオクチバスにとっても秋は食欲の季節と言えるでしょう。

オオクチバスの季節ごとの生態(冬)

冬は快適な場所へ

水温がオオクチバスの適水温以下にまで下がると、オオクチバスはより暖かく快適な場所へと徐々に移動を始めます。具体的には、沖の深場や湧水が湧いているエリアなど、水温が安定、もしくは水温が温まりやすい場所に居着くようになります。春が来て水温が上がり始める時期になるまで、多くのオオクチバスたちはひたすらジッと耐えています。

しかし、一部の猛者は

このように、冬季は人目につかない場所でジッとしている場合の多いオオクチバスですが、一部の大型で体力のある個体は、冬でも浅場で活発に餌を追うことがあります。また、真冬でも暖かい日には深場から浮いてきて、餌を捕食することもあるようです。

オオクチバスの食性

主なエサは小魚や甲殻類

オオクチバスは肉食魚です。主なエサはフナなどの小魚や、カエルなどの両生類、ザリガニなどの甲殻類が挙げられます。夏場は水面に落ちた昆虫類も好んで捕食します。場合によっては、小鳥や蛇などにも襲い掛かります。

仲間の稚魚を食べてしまうことも

極めて獰猛な性格のオオクチバスですが、同種の仲間同士で共食いすることが知られています。特に餌が少ない小規模な野池などでは、オオクチバスは積極的に同種の稚魚を捕食してしまいます。この性質のためか、釣具店などではオオクチバスの稚魚に似せたルアーも売られています。

オオクチバスの釣り方


メジャーなのはルアーフィッシング

オオクチバスは釣り人の間では「ブラックバス」「バス」と呼ばれ、ルアー釣りの対象魚として大変人気です。今やどこの釣具店に入っても、ブラックバス用のルアーが売られており、今やバス釣りはルアーフィッシングの代名詞のような存在と言えるでしょう。

ミミズでも、釣れます

ルアーにこだわらずとも、実はオオクチバスはウキと糸と重りと針の簡単な仕掛けで釣ることが出来ます。餌はミミズなどの生き餌を使えば、ルアー以上の釣果を出すことも可能です。

オオクチバスによる日本での被害

最も心配される、在来種への影響

今から90年ほど前に日本に輸入され、身近な外来種として定着しつつあるオオクチバスですが、今も昔も盛んに議論されているのが、生態系への影響です。オオクチバスはその獰猛で悪食な性格ゆえ、日本に元からいた生物、「在来種」を根こそぎ食べてしまうのではないか、と心配されています。

さまざまな研究・調査が行われています

では実際に、オオクチバスは日本の生態系にどれほどの被害を与えているのでしょうか。これは専門家の間でもさまざまな意見が飛び交っています。 ある調査によると、オオクチバスが増える前と後で比較すると、モロコやフナなどの在来種の漁獲量が激減した、というデータが出ています。 一方で、在来種の激減は他の要因によるもので、オオクチバスによる被害はそこまで大きなものではない、とする声もあります。

おそらく、影響はある

はっきりとしたことは言えませんが、現状では「日本の生態系に間違いなく何らかの影響は与えているだろう」ということだけは分かっています。 これからさまざまな調査が引き続き行われていく中で、オオクチバスは日本の生態系にどれほどの被害を与えていたのか、目に見えて明らかになる日が来るかもしれません。

オオクチバスの駆除

盛んに行われている駆除

オオクチバスは2005年に特定外来生物に指定され、今でも全国的に駆除が行われています。投網や定置網での漁や、ため池の干し上げ、電気ショックによる捕獲など、さまざまな方法で駆除が行われており、外来種による被害を少しでも抑えようと活動が続けられています。

駆除用の回収ボックスを設置している場所も

自治体によっては、水辺に外来種駆除用の回収ボックスを設置して、釣った外来種を再放流しないように釣り人に呼びかけている場所もあります。琵琶湖ではこの回収ボックスを湖畔に大量に設置し、その回収・駆除量は年間15トンとも言われています。

近年では減少傾向に

その努力の甲斐あってか、最近で外来種の生息量は減少傾向にある、とする調査結果が全国所々に見受けられます。しかしこの外来種の減少は一時的なものであるという意見や、餌となる在来種が減ったため、同様に外来種も減ったのだろうとする意見もあり、まだまだ油断を許さない状況のようです。

オオクチバスの食料利用

実は、とてもおいしい魚

本来は食用目的で輸入されただけあって、オオクチバスは大変美味しい魚です。上品ではクセがなく、程よく脂が乗った身はどんな料理にも合います。揚げ物、ムニエル、煮つけなどにすれば、元がオオクチバスとは思えない味に仕上がります。


調理する上での、注意点

淡水魚であるオオクチバスを美味しく調理するには、少しだけ工夫が必要です。 一つ目は、泥臭さの処理です。主に泥臭さの原因となる浮き袋と腹骨の周りの余分な脂を除去し、しっかりと身から皮を引けば、美味しい白身だけが残ります。それでも気になる、という方は、牛乳で洗うと良いでしょう。

しっかりと、火を通しましょう

もう一つは、寄生虫対策です。オオクチバスに限らず、平野部の淡水魚は海の魚に比べて寄生虫のリスクが高く、生食はおすすめできません。オオクチバスを調理する際は必ず、しっかりと火を通してから食べるようにしましょう。

オオクチバスに関する注意点

生きたまま、持ち出してはいけません

オオクチバス特定外来生物に指定されており、生きた状態で持ち運ぶことは出来ません。また、飼育することも同様に禁止されており、違反した場合には法律で罰せられる可能性があるます。

再放流(リリース)禁止の場所も

オオクチバスを無許可で運搬・放流することは犯罪です。しかし、場所によっては釣った魚を再び元の場所へと再放流(リリース)するのも、条例で禁止されている場所も存在します。オオクチバスを釣る際には、リリースの可否も含めて、よくその場所を調査してから釣りに行くようにしましょう。

オオクチバスのまとめ

マナーを守って、上手に付き合いましょう

いかがでしたでしょうか。色んな生態を持ち、日本の魚にない魅力を持ったオオクチバス(ブラックバス)を、ちょっと困った側面も含めて、ご紹介しました。 外来種の被害は水産業の方々にとっては深刻で、そのことで釣り人とのトラブルは絶えません。 しかし、必要以上に委縮する必要はありません。人それぞれの意見を理解して、オオクチバスが特定外来生物だとしっかり理解したうえで、釣りを楽しむ姿勢が、大切です!

オオクチバス(ブラックバス)が気になる方は、こちらもチェック!

当サイト「暮らし~の」では、オオクチバス(ブラックバス)の具体的な釣り方・テクニック・道具選びなども紹介しています。気になった方は是非、下記リンク先もチェックしてみて下さい。