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ユニバーサル基板の基礎知識!特徴と使い方をわかりやすく解説!

ユニバーサル基板は回路設計や電子工作の必須アイテムです。ユニバーサル基板は、その上に部品を配置し、配線接続できる、万能基板です。ここでは、ユニバーサル基板の種類、特徴、選び方、使い方を使用目的別にわかりやすく解説します。ランド、ピッチなどの用語の説明もします。
更新: 2022年6月24日
T.H
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ユニバーサル基板とは

電子機器の中には、きれいなプリント基板が入っています。こうした電子機器も最初は、設計、試作という段階があり、そこで使われるのがユニバーサル基板です。特定用途向けの配線パターンを待たない、「ユニバーサル」な、つまり「万能」な基板が、ユニバーサル基板です。

ユニバーサル基板には、大きく分けて、半田付けが不要な、ブレッドボードと、半田付けが必要なユニバーサル基板があります。趣味にも使われています。これから詳しく解説します。

半田付け不要で繰り返し使えるブレッドボード

電子回路の設計は、回路図作成、シミュレーション確認、実回路検証といったフローで行います。多くの場合、このフローは何度も繰り返されます。そのたびに、部品の入れ替え、回路定数の変更が行われます。

回路設計は、シミュレーション段階までは、回路図エディタやシミュレータの操作などパソコン上での作業になり、回路図の変更は比較的簡単にできます。

実回路検証では、実際に部品と部品を接続する作業を行いますが、半田付けは大変な手間になります。

そんな回路設計の実回路検証で重宝されるのが、ブレッドボードです。ブレッドボードは、ソルダレスブレッドボードとも呼ばれ、半田付けをせずに電子回路を作成できます。使い方は簡単で、部品や配線をサクサクとブレッドボードの穴に差し込んでいくだけでよいのです。

ブレッドボードの特徴

ブレッドボードがどのようにして、半田付けなしで、差し込むだけで配線接続を可能にしているかそのすばらしい特徴について紹介します。

ブレッドボードは、上下2層構造になっています。上の層には部品のリード線や配線を差込む穴が開いていて、下の層には、差し込まれた配線を挟み込む金属製のレールが配置されています。

上の層から差し込まれた配線が下の層の同じレールに挟みこまれると接続状態になります。金属レールは、部品用エリアでは縦に配置され、電源用エリアでは、横に配置され、回路図通りに配線し易く設計されています。

ブレッドボードの種類

例⑴は、スタンダードな種類で、最も小さなサイズのものです。穴数が400となっています。少ない部品数で回路の基礎実験をするのに最適です。

例⑵はスタンダードな種類で、最も大きなサイズのものです。穴数が1160となっています。ICなどを搭載し、まとまった機能回路を構築できます。

例⑶は、外部からの電源供給が容易なように、電源端子が付けられるようになったものです。使い方としては、まず基板上部の穴(Va、Vb、GND)に、同梱されているターミナルを取り付け、そこに実験室にあるユニット電源などと配線をねじ止めして接続します。

ここで紹介した基板は、穴数1100となっています。同じ種類でサイズのバリエーションもあります。

ブレッドボードの配線ツール

ブレッドボード上では、半田付けせずに、線材を穴に差し込むことにより、部品間の接続をします。その線材はジャンパー線と呼ばれ、使い方によりいくつかの種類があります。

繰り返し使用重視のジャンパー線

設計段階では、回路の組み立てと分解を何度も繰り返して、回路構成や定数を変更します。そのため、何回でも抜き差しできる丈夫さが要求されます。そんな激しい使い方にも耐えるように、線材の先端に、ピンやソケットを備えたジャンパー線が販売されています。

FULARR ブレッドボード

両端にピンを備えたオス-オスタイプのものは、ブレッドボードの穴同志を直接接続するための最も基本的なジャンパー線です。


uxcell ジャンプワイヤ 30cm

片方がソケット状になっているオス-メスタイプのジャンパー線は、別の基板との間で信号を受け渡しをしたり、ジャンパー線を延長したりするのに便利です。

これ以外に、メス-メスタイプのジャンパー線もあります。ご紹介したジャンパー線の他に、いろいろな基板のサイズや回路規模に対応できるように、さまざまな長さのジャンパー線が用意されています。

ピン付きジャンパー線の使用例

主にピン付きジャンパー線を使用したブレッドボードの使用例をご紹介します。部品と配線が複雑に入り組み、作った方のご苦労がしのばれます。

省スペース重視のジャンパー線

ピン付きジャンパー線の使用例のように、回路規模が大きくなると配線が山盛りになり、見通しが悪くなるという問題があります。そんな場合、線材を直接ブレッドボードに差し込んで使用することにより配線の省スペース化を実現できます。回路設計が進んだ段階での、大きなシステムの構築に便利ですね。

線材を直接使用するため、種類としては、オスーオスタイプになります。自分で線材を切り被覆をむき使用することも可能ですが、曲がったり、長さが合わなかったりと、意外に苦労します。

そんな場合のために、いろいろな長さのジャンパー線をセットにしたものも販売されています。ピンやソケットがないので、余分な盛り上がりのないすっきりした使い方ができます。規模の大きな回路作成で威力を発揮します。

線材を直接ジャンパー線に使用した例

線材を直接使用したブレッドボードの使用例をご紹介します。個々の部品が見え、必要によっては各部品の端子の信号をオシロスコープで観測することも可能です。

半田付けで実用回路になるユニバーサル基板

ブレッドボードは、半田付けなしで、容易に回路を構築できるので、小規模の回路設計には大変便利ですが、配線が差し込んであるだけなので、何かにに引っかかったり、振動で抜けたりする可能性も有ります。

組み立てた後、長期間使用するには、不安が残ります。そんな場合に登場するのが半田付けです。その際に使用されるのが、いわゆる、ユニバーサル基板です。

ユニバーサル基板の特徴

ユニバーサル基板の表面には、同じピッチ毎に穴が開いています。この穴は、キリ穴、または、スルーホールと呼ばれます。個々の穴は金属箔のリングで囲まれています。この金属箔のリングはランドと呼ばれ、半田付けに使われます。

ピッチはいろいろなものがありますが、一般的に、縦横共2.54mmピッチのものが使用されます。特別な事情がない限りは、この、縦横共2.42mmピッチのものを選ぶのが無難です。

ユニバーサル基板のキリ穴、またはスルーホールを横から見ると、2種類のタイプがあります。一つは片面タイプ基板で、もう一つは両面タイプ基板です。片面タイプ基板では、ランドは片面のみにあり、穴はキリ穴と呼びます。

ランドのある面を半田面と呼び、ランドがない面を部品面と呼びます。部品面に部品を配置し、部品のリード線をキリ穴に通して半田面で半田付けをします。

両面タイプ基板では、ランドは両面にあり、両面のランドは穴の内部の金属メッキで接続されています。この両面のランドが接続された穴をスルーホールと呼びます。両面タイプの基板では、部品面、半田面の構造上の区別はありません。

片面タイプ基板で、半田付けの際に注意すべきことがあります。両面タイプ基板では、スルーホール内にも半田が入り、配線とランドおよびスルーホールの間に十分な接触面積が得られます。

しかし、片面基板では、半田面のランドでしか接触を得られません。このため、片面基板では、半田面に出たリード線を長めに切り、半田が円錐上になるようにして、配線とランドとの接触面積がなるべく広くなるようにする必要があります。

ユニバーサル基板の種類


オンラインショップなどでは、種類もサイズもさまざまなユニバーサル基板が販売されています。一般に良く使用される代表的なユニバーサル基板をご紹介します。

KAUMO ユニバーサル基板

例⑴は、一般に最も広く使用されている、ランドが等間隔に並んでいるタイプのユニバーサル基板です。バリエーションとしては、ランドが銅箔のもの、銅箔+半田めっきしたもの、片面基板/両面基板、などがあります。基板サイズ/形状も多種多様です。

片面ガラス ユニバーサル基板

例⑵は、ブレッドボードの下層の金属レールと同じパターンでランドが結合しています。ブレッドボードで作成したレイアウトがそのまま使用できる優れものです。
 

ユニバーサル基板の補助グッズ

ユニバーサル基板上で効率良く回路を構成するための補助グッズがいろいろ販売されていますので、以下ご紹介します。

ユニバーサル基板を拡張するピンヘッダおよびピンソケット

ユニバーサル基板から信号と取り出したり、逆に外部から入力したりするために、わかり易くポートを設置することがあります。そんなときに便利なのが、ピンヘッダや、ピンソケットです。以下でほんの一例を紹介します。サイズのバリエーションはこれ以外にもたくさんあります。

KKHMF ピンヘッダ

ピンヘッダは、両端にピンが出ていて、2.54mmピンチのユニバーサル基板や、ブレッドボードに挿すことができます。サイズのバリエーションは沢山ありますが、3ピンなど中途半端ピン数が必要な場合には、ピン数の多いものをペンチで切って使うこともあります。

分割可丸ピンソケット

ピンソケットは、片側はピン、もう片側がソケットになっています。ピンヘッダと組み合わせて、ユニバーサル基板を重ねて使用ときなどに利用されます。

ユニバーサル基板の自由度を高める各種変換基板

特別な事情がない限り、縦横共2.54mmピッチのユニバーサル基板を選ぶ方がよいことは先に述べた通りです。特別な事情としては、ピンピッチの狭いICの使用が考えられます。

実はそのような場合でも、ほとんどのICのピンピッチから2.54mmピッチに変換するための、各種変換基板が販売されています。そんな変換基板の例を以下、ご紹介します。

サンハヤト SOP IC変換基板 SSP-51

サンハヤト SOP IC変換基板 SSP-51

出典:Amazon

ICパッケージ用変換基板としてはこれ以外にも、SOP、MSOP、SSOP、QFP、など一般に使用される大部分のICパッケージに対応した変換基板が販売されています。

使用方法としては、まずICパッケージを変換基板に半田付けし、2.54mmピッチのスルーホールにピンヘッダを半田付けし、ICソケットやユニバーサル基板に挿すのが一般的です。

ユニバーサル基板側に、ピンソケットを付けておいて、そこに差し込むという使い方もできます。土台となる基板がブレッドボードであれば、ダイレクトに差し込むことが可能です。

サンハヤト SOP IC変換基板 SSP-102


サンハヤト SOP IC変換基板 SSP-102

出典:Amazon

薄型の変換基板です。ユニバーサル基板の狭いスペースにICを配置したいときに便利です。

薄型変換基板を使うと、省スペースにもなりますが、コンデンサなどとの接続に要する配線も最短になり、センシティブなアナログ回路作成で威力を発揮します。

ユニバーサル基板でのシステム構築に便利な機能モジュール基板

規模の大きな回路を作る場合、あらかじめ組み立てられた機能モジュールを購入し、ユニバーサル基板上に配置して使用できます。そんな機能モジュールの一部を以下ご紹介します。

WayinTop マイクロUSB DIP化 コネクタ

出典:Amazon

ユニバーサル基板やブレッドボードに、USBコネクタから5V電源を供給するのに便利です。

温度センサ回路が小さな基板上にコンパクトに収まっています。まとまったシステムを構築するのに、全て、IC、トランジスタのレベルから組み立てるのも電子工作マニアにとっては楽しみですが、早い完成を目指すならば、機能別のモジュール基板を使うのもおすすめです。

温度センサ以外にも、モータドライバー、ADC/DACなどいろいろなモジュールがありますので、積み木のように組み合わせて使うことができます。

ユニバーサル基板や電子工作グッズの購入先

ユニバーサル基板に限らず、電子工作に必要な部品の多くは、一般のオンラインショップ、アマゾン、楽天、などでも購入することは可能ですが、電子工作のための部品や道具専門のオンラインショップがあります。

今回御紹介した部品の情報の入手先である「秋月電気通商」というオンラインショップを御紹介します。ほとんどの商品のデータシートや使い方などの情報がダウンロードでき、購入前の検討が十分できます。

あと、商品構成が低価格で、電子工作マニアにはお財布にやさしくなっています。電子工作専門のオンラインショップはその他にもいろいろありますので、別の機会にご紹介しましょう。

まとめ

ブレッドボード、ユニバーサル基板についてご紹介してきましたが、いかがでしたか。これから電子工作を始めようとする人に少しでもご参考にしていただければ幸いです。

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