巾木(幅木)とは
巾木(幅木)の読み方
巾木または幅木と書いて「はばき」と読みます。 正確には幅木であり、巾木というのは略して設計図に書いたことから一般的な建築用語になったという建築関係者もいます。 ここまで浸透してしまうとその真意のほどは確かではありませんが、たしかに巾という漢字には幅という意味はありません。 雑巾、巾着など「きん」という読み方が一般的です。 しかし、布の幅を表す時はこの巾という漢字を使う場合もあります。布製ではない木製や金属製などの建築用材にこの巾を使うのはひとつの謎です。
巾木(幅木)の意味
巾木という漢字の意味をネットで調べてみると以下のような文章がでてきます。 巾木は壁の一番下についている板のことだというのがわかります。
床と壁の継ぎ目で、壁の最下部に取り付ける細長い横板の事。床と壁の境目となり、汚れたり、壊れやすい壁の下部を保護するのが目的。
巾木(幅木)の効果・役割
効果
巾木(幅木)には、1.無いと困るから、2.見た目がよくなる、3.同じものを長く使える目的という3つの効果が期待できます。 DIYを考え巾木を新しく選ぶ時には、この3つの効果も考えながら、自分が求める巾木はどれなのか探してみるといいでしょう。
役割
まず、無いと困る巾木(幅木)の役割は「隙間風を防ぐ」ことがあげられます。 どうしても建築は接合部分に多少の隙間が開いてしまいます。逆にこの隙間があることで、揺らぎや木材の縮みなどから家の強度があがることもあります。 しかし、やはり隙間が見えすぎるというのはよいものではありません。 そのために床と壁の接合部分に巾木を使って目隠しと保護の役割を与えています。
おしゃれ
もちろん、巾木(幅木)には実益だけでなく見た目も大きく関わってきます。 巾木があることで部屋が締まってみえたり、逆に広く見えたりすることもあります。 巾木をリフォームするだけで、部屋がおしゃれな雰囲気に変わるということもよくある話です。 選ぶときにはデザイン性も考えてたくさんの種類の中から選びましょう。 単純におしゃれという目的だけでなく、隙間が開いていると見た目が悪いという意味もあります。
巾木(幅木)の悩み3選
巾木(幅木)に対する悩みは大きく分けると3つに分類できます。 ここでは、多くの人が抱える巾木に対するお悩みを見ていきましょう。
1.デザイン
巾木(幅木)に対して多くの人がまず感じる悩みが新築時やリフォーム時の部屋のデザイン性です。 家の設計会社やリフォーム店から「巾木を変えるとお部屋のイメージがガラリと変わりますよ」などとアドバイスされることもあるでしょう。
巾木(幅木)を気にしていない
しかし、実際に住んでいて巾木(幅木)の存在にそれほど気を使っている人は多くはありません。むしろ「巾木ってなに」と疑問に思う人も多いくらいです。 そんな状態で巾木と部屋のデザイン性について語られても「いったいどんな巾木にしたらおしゃれな部屋になるのかという想像がつかない」という問題点があります。
2.傷の補修
実際に家に住んでいてふと気づくと「いつも同じ角でズボンや靴下が引っかかる」「よくみると巾木(幅木)が傷ついていてそれに引っかかっていた」ということがあります。 家具を搬入するときにぶつけてしまった 掃除をする時に掃除機がぶつかる このような理由で巾木に傷がつき、割れたり材質によっては剥がれてきたりということも起こります。
修理費用が心配
「巾木(幅木)の修理を業者に頼むとどのくらいの費用がかかるのだろう」「壁の下の方で目立たないから放置している」という人も意外と多いのではないでしょうか。 できれば自分でDIY補修が出来たらいいという悩みがあります。
3.掃除
家庭の主婦が主に抱える巾木(幅木)の悩み・問題点に掃除があります。巾木はほとんどのデザインが壁から数ミリから数センチ出っ張った状態で付いています。 そのため、そこにほこりがたまったり、掃除機をかけるにも微妙な出っ張りで巾木だけを集中して掃除をしてあげる必要がでてきます。 普段は放置していても、気づいたら黒ずみが目立ってきて慌てるということも少なくありません。 巾木の掃除は家を綺麗にしておきたい主婦の悩みのひとつです。
巾木(幅木)の種類とデザイン性
巾木(幅木)の種類も色々あります。 巾木によってどのように部屋の印象が変わるのか知りたい人のために、まずは巾木のデザイン性についてから見ていきましょう。 巾木のサイズやカラー・種類によって部屋全体の雰囲気も違ってきます。
サイズ
巾木(幅木)を種類分けしたとき、高さのサイズで分ける方法があります。 写真は巾木のサイズが小さく、目立たないようなデザインです。 影がなければフローリングと壁の区切りもわかりにくく、メリハリがない代わりに奥行きが広く感じられるのが特徴です。
高さのある巾木(幅木)
逆に巾木(幅木)のサイズが大きいデザインならば、壁とフローリングの区切りがハッキリとして部屋のアクセントとしての役割を果たすことになるでしょう。 巾木の高さによっておしゃれ感がアップする効果もあります。
カラー
巾木(幅木)の種類分けにはカラーで分ける方法もあります。 巾木がダークな感じのカラーなら、部屋は狭く感じられますが、その代わりに部屋全体のメリハリがついて引き締まった印象を受けます。 写真ではダークな色合いの腰壁(腰板ともいう)があるためによけいにその部分が強調されています。 腰壁も巾木と同じように床と壁の間に置くことで汚れや傷を防ぐ役割がある壁材です。
グレーの巾木(幅木)
巾木(幅木)といえば白やナチュラルな木目を見かけることが多いですが、最近増え始めているのがグレーを使った巾木です。 フローリングと白い壁の間を区切る控えめで目立ちすぎないアクセントとなってくれます。 フローリングも壁も白っぽいカラーを使っているときに有効で、そこに床と壁の接合部分があるということを暮らす人に意識させるはたらきがあります。
壁やフローリングの色との関係
ありきたりな白の巾木(幅木)ですが、壁材がベージュ、フローリングも濃い色合いのために暗くなりがちな部屋の印象を明るく引き立ててくれています。 壁や床の汚れが目立たないよう白っぽい色は避けたいが部屋全体の印象を暗くしたくはないというときには、巾木を白にすることでおしゃれで、かつ清潔感のある部屋にしてくれます。
モダンな印象の巾木(幅木)
白い壁のときと、このような黒い壁のときで、同じグレーの巾木(幅木)でもまったく違った印象を受けることにお気づきでしょう。 モノトーンでまとめることでモダンな印象の部屋に仕上げてくれています。
木目を活かした巾木(幅木)
金属に見えるデザインや、単色に塗装された巾木(幅木)も多いですが、このようなナチュラルな木目の巾木もあります。 フローリングの色に合わせたり、または全く違う色にすることでナチュラルな中にもこだわりを感じる部屋のアクセントとしての役目を果たしてくれます。
ダークな色合いの巾木(幅木)
巾木(幅木)は明るい色ばかりではありません。 ダークな色にすることでピリッと締まった印象を与えてくれます。 それだけでなく、ホコリが付いたり汚れやすい低い位置にある巾木の汚れを目立たなくしてくれる効果もあります。
巾木(幅木)の交換メリット・デメリット
どんな種類の巾木(幅木)であっても、巾木をつける位置、交換の仕方はそれほど違いはありません。 ここでは、巾木をDIYで実際に交換する前に知っておきたい、自分で行う巾木交換のメリット・デメリットについて見ていきましょう。
巾木(幅木)の交換のメリット
自分で行う巾木交換のメリットは何といっても業者に支払う「作業代金が浮く」ということがあげられます。 部屋は綺麗にしたいけれど、どうせお金を使うなら材料費にもっとお金をかけたいと思う人にピッタリです。 また、押しの強い業者のいう通りに気の乗らないデザインの巾木に交換されてしまいそうな人も自分の思う通りのものを付けるという意味でDIYで交換するメリットがあるでしょう。
巾木(幅木)の交換デメリット
巾木(幅木)を自分で交換するデメリットで気になるのは、やはり上手にできない場合もあるということでしょう。 いくら気に入った良い素材を使っても失敗してしまっては元も子もありません。 DIYがあまり得意ではないという人は、いきなり広い範囲の巾木を交換せずに、トイレや納戸など狭い範囲から練習して、リビングなど目立つ部分に挑戦するのがよいでしょう。
DIYで行う巾木(幅木)交換:個性的なデザイン
DIYで行う巾木交換は、業者に依頼するとまず提案されないような個性的な種類のデザインを、自分の好みで使うことができるというメリットもあります。 市販の個性的な巾木を2種類ご紹介します。
アルミ調巾木(幅木)
見た目はどう見てもアルミのような金属の感じがする巾木(幅木)です。 しかし、実際はそのような塗装がされている木製や樹脂製の巾木です。 本物の金属の巾木は施工も手間がかかり初心者では難しいですが、扱いやすい木製や樹脂製なので巾木交換が不慣れな人でも少しコツをつかめば自分で交換することも可能です。 金属っぽさを取り入れたモダンでおしゃれな部屋づくりができるでしょう。
大理石調巾木(幅木)
実際に大理石の巾木(幅木)を使おうとしたら費用がとてもかかってしまうでしょう。 アルミ調巾木と同じく、そのような塗装やコーティングがされた大理石調の巾木というものも市販されています。 このような個性的な巾木を選ぶことができるのもDIYならではの味でしょう。
巾木(幅木)を目立たせないDIY
イメージする部屋に近づけるために、巾木(幅木)の存在をできるだけ目立たなくしたいという人も中にはいます。 巾木の中にはパッと見では目立たないような種類もあります。 そんな巾木を選ぶようにするとよいでしょう。
アルミアングル
最近では、アルミアングルを利用した巾木(幅木)を施工する家も少なくありません。 アルミアングルとはアルミをL字型に加工した建材です。 これを巾木として使用する場合は、壁から内側に入り込むような形になります。 アルミアングルを巾木として使用するのは、巾木が目立たなくなるというだけではありません。 フローリングにワックスをよくかけるお宅なら、そのワックスが巾木や壁に干渉しないというメリットもあります。
入り巾木
もうひとつ、こちらはDIYで交換するには敷居が高いですが、入り巾木という巾木(幅木)もあります。 例えば、壁材があり、その上に石膏ボードがあり更に上に壁紙が貼られることになります。 通常はその壁紙の上に巾木が乗ります。 入り巾木は石膏ボードが巾木の高さ分存在せず、家の壁材に入り込んだ形で巾木が付けられます。
巾木(幅木)の種類の選び方
選ぶポイント①高さ
具体的に巾木(幅木)を選ぶポイントとして、まずは高さを決めましょう。 単純に考えれば高さが低ければ巾木は目立たなくなり、高ければ目立ちやすくなります。 巾木が部屋に与える印象を決定づける大切な要素として巾木の高さがあります。
選ぶポイント②色
高さの次に選びたいのが巾木(幅木)の色です。 一般的には白い巾木が使われることが多いですが、写真のようなカラフルな巾木も存在します。 個性的な巾木ということでアルミ調や大理石調の巾木もご紹介しましたが、色で個性を出すことも可能です。
選ぶポイント③素材
高さ、色と決まったら、素材にもこだわってみましょう。 巾木(幅木)で主に使われるのは樹脂と木材です。 樹脂は扱いやすく加工しやすくコストも低いものが多いです。 木材は樹脂製と比べて加工に手間がかかる反面、やはり木材ならではの温かみがあります。 近くでよく見るとわかりますが、樹脂製はやはり高級感という点で木製のものには多少劣る傾向にあります。
DIYしやすいソフト巾木
樹脂製のソフト巾木と呼ばれるものは、取り扱いが楽でDIYをする上では扱いやすい素材です。 はじめて巾木を交換するなら、まずは価格も安く失敗してもよいようなソフト巾木から巾木の交換方法のノウハウを学んでみてはいかがでしょうか。
おしゃれな木巾木
ソフトな樹脂製の巾木(幅木)とくらべて、木製の巾木はおしゃれなものが多いです。 フローリングの色と合わせれば悪目立ちすることもなく初心者でも比較的「上手に巾木交換ができた」と満足することができるでしょう。
選ぶポイント④全体のバランス
高さや白い巾木が良い、樹脂製か木製かなど選ぶポイントは色々ありましたが、最終的には部屋全体のバランスがとれていることが一番大切になってきます。 フローリングの色と壁の色、部屋の広さ、明るさなど色々な見方をしてしっくりくるような巾木(幅木)選びをしましょう。
巾木(幅木)と部屋の雰囲気の関係
巾木(幅木)はフローリングと壁の間にはいるものです。 そのどちらかに合わせるかで部屋の雰囲気が大きく変わってきます。
壁と合わせる
巾木(幅木)を壁の色と合わせることで部屋が広くなったような印象を受けます。 特に白い壁で巾木も白ならその効果はさらに大きく感じるでしょう。
床と合わせる
フローリングの色が濃い色調で壁が白い場合、巾木(幅木)まで白くしてしまうとフローリングと壁の堺が単調すぎて少し間が抜けた印象を受けてしまうことがあります。 おしゃれな部屋にするなら、そんな時は巾木をフローリングの色と合わせたダークな色合いにするとそんな悩みが解消されます。
巾木(幅木)のDIY:基本情報
巾木(幅木)のDIY①購入
巾木(幅木)はDIYセンターやネット通販で購入することができます。
価格
価格はソフト巾木の方が安くて6畳間を目安に計算すると 5,000円前後 木巾木の場合は 12,000円程度です。
その他必要な道具類
巾木(幅木)交換には次のような道具も一緒に用意しましょう。 地べら、養生テープ、はさみ、カッター、鉛筆、ローラー、メジャー 巾木には接着剤がついているものもありますが、接着剤がついていないタイプならば巾木用接着剤も用意します。
巾木(幅木)のDIY:取り付け
ここでは、初心者でも扱いやすく貼りやすい種類のソフト巾木の貼り方について動画で見てみましょう。
巾木(幅木)のDIY②取り付け方
巾木(幅木)のDIY③取り付け方ポイント
動画で注意点として伝えていることをもう一度ポイントとして抜き出すと 1.Rが入っている方を下にして貼る 2.入隅は片方の角を切り取らないと上に隙間ができる 3.出隅は角を巻き込みような形で切らずに貼っていく(隙間ができたら瞬間接着剤で貼る) 以上の3点となります。
巾木(幅木)のDIY:修理・補修
巾木(幅木)のDIY④補修
巾木を交換するほどではないけれど、補修が必要だという場合があります。 傷がついている場合や掃除をしても取れない汚れがついてしまった場合です。 深い傷が入った場合と、簡単な補修の方法をご紹介します。
パテによる補修
巾木の素材、色に合わせたパテを使い、傷が深い部分に塗り込んでいきます。 パテはホームセンターやネットのDIYショップなどで購入可能です。 木製品でも使えるウッドパテなども売られています。
簡単な補修
パテなどを使わなくても、100均などで売られているマスキングテープや白いペンキなどを貼ることで簡単な補修なら行うことが出来ます。 汚れた部分だけに使うよりも、全体にテープなどを貼ってしまった方が見栄えが良い場合もあります。 どのくらいの傷や汚れなのかによって判断してください。
巾木(幅木)のDIY:交換
巾木(幅木)のDIY⑤交換
巾木の交換方法も取り付け方と同じで、最初に元々ついていた巾木を剥がす作業が加わるだけです。 ソフト巾木の場合は、壁紙に巾木の高さにカッターを入れ、その間にヘラを差し込んで巾木を剥がしていきます。 接着剤が残っている場合は綺麗に取り除くようにしましょう。 前の接着剤の後が残っていると交換する巾木がうまく貼れなかったり、貼った後が不格好になってしまいます。
巾木(幅木)の掃除
掃除用具
巾木は非常に細い部分にほこりなどがたまりますので、掃除機ではうまく掃除できないことも多いです。 そんな時に役に立つのが「歯ブラシ」「ペンキ用のはけ」です。 小さな隙間にフィットするような、ある程度硬さのあるブラシ状のものが掃除用品としておすすめです。
使えるグッズ
落ちにくい巾木の汚れには重曹ペーストを使って汚れ落としを試してみてください。 重曹3に対して水が1の割合で混ぜるだけです。 これを巾木の汚れの部分に歯ブラシなどを使ってこすっていきます。 その後に水拭きをして念のためにもう一度乾いたタオルなどで拭いておけばお掃除は完了です。
巾木(幅木)で節約は可能か?
一般住宅で浮くコストは15万程度
巾木の役割や意味をはじめにご紹介したので、巾木が必要なものであるということはおわかりいただけていると思います。 それでも巾木を使わないことで家の建築費用を少しでも浮かせることができるのではないかと考える人もいるでしょう。 確かに巾木を付け慣れればその分材料費や作業代は浮きますが家1軒あたりせいぜい15万円程度です。 後々壁が汚れたり傷ついた場合の補修費を考えると最初から巾木を入れておいた方がお得と考えられます。
まとめ
巾木の役割、選ぶ方法、交換・補修方法などもご紹介してきました。いかがでしたでしょうか。 巾木を選ぶときに気をつけることなどは参考にしていただけるのではないでしょうか。 巾木を変えるだけで部屋の印象がガラリと変わることもよくあります。 自分で補修や交換をできるものは積極的に綺麗にして、住み心地のよいおしゃれなお部屋づくりをしていきましょう。