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アジの生態や基本情報まとめ【魚図鑑】

アジは旅館の朝ごはんやお弁当のフライなどでお馴染みの親しみのある食材の魚です。また釣りでは身近な魚でファミリーで釣りに行った方も多いのではないでしょうか。アジは幼魚の時、群れで接岸し、子供たちの良い釣りの相手になります。馴染みの深いアジを詳細にご紹介します。
更新: 2021年3月10日
adanokinawa83
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アジの分類

スズキ目、スズキ亜目、アジ科、マアジ属、マアジ

本章で中心に紹介するのは「マアジ」で、以降「アジ」と記載しご紹介します。 アジはアジ科、マアジ属、マアジです。アジ科は大変沢山の種類がおり、近縁種のムロアジや赤アジはムロアジ属にこのグループにいます。

そしてマアジ属にはニシマアジが他にいるが、ノルウェー以南のヨーロッパに分布するが類似種です。 釣りでとても有名なロウニンアジやカスミアジはギンガメアジ属です。

アジの外国名

Japanese Jack mackerels

アジの英名は「Japanese Jack mackerels」で日本のマアジです。 近縁種で食用のムロアジは「brownstriped mackerel」で茶色スジの入ったアジです。 釣りで有名で憧れの魚のロウニンアジは「Giant trevally」で巨大なギンガメアジ属です。

アジの学名

Caranginae

アジの学名は    「Caranginae」です。 ムロアジの学名は  「Decapterus muroadsi 」 ロウニンアジの学名は「 Caranx ignobilis 」 となっています。

アジの名前の由来

アジ漢字名(鯵)

アジの名前の由来は「味の良い魚」という説が有力で頷ける由来です。また、漢字の「鯵」群れて回遊する様を見て、集まって参るという事で「鯵」となったという説も有力です。

近縁種で食用のムロアジは伊豆諸島で使われるくさやの液体の事を魚室(ムロ)と呼んだためと有力です。ロウニンアジは海中で単独で活動し、堂々とした様を武士浪人に例え付けられた名前で、沖縄に多く生息し現地ではガーラと呼ばれます。

アジの地方名

大きさなどを含め紹介

基本的にアジはアジで全国共通です。成長に伴う大きさでの地方名はあるのでご紹介します。10㎝以下、豆アジ(関東)ジンタ(千葉)アジゴ(徳島)ゼンゴ(愛媛県宇和島)1kg以上の大きなアジをオニアジ(兵庫県南あわじ市)などと呼ばれます。

またロウニンアジやヒラアジの子供の事を全国共通でメッキと呼びます。さらに関アジや黄金アジと言われるアジが流通してますが、これは地方で釣りによって漁獲された美味しい、ブランドのマアジです。

アジの分布

マアジの分布

アジの分布は上述のとおり温帯域で北海道の南部から南九州まで。沖縄にもいるという説もありますが見かけたことは無く、水揚げも販売も聞かない為、極僅かと思われます。また東シナ海は大陸側から日本海沿岸には多く分布し漁獲も多いです。

北限は北海道南部までで、温水域に多く生息分布する魚です。 なお、産卵は東シナ海、大陸沿岸域や、九州沿岸付近で行われます。

ムロアジ、ロウニンアジの分布

ムロアジはマアジに比べ南限が広く更に温水を好む魚です。こちらは沖縄でも生息し、大物の釣りの餌として数多く利用されている。南シナ海まで分布が確認されている。ロウニンアジは熱帯域から、亜熱帯域までの広い分布の魚です。

ロウニンアジは稚魚が黒潮にのって日本沿岸に流されてきます。冬の寒さに耐えきれない事から、死滅回遊と呼ばれます。

アジの生息域

生息場所

アジは季節により回遊しながら活動するタイプと、狭い地域に居着くタイプがいます。幼魚は水深1m位の浅場にエサを求めて出現します。居着きのタイプは比較的浅場の岩礁帯で生息し、昼間は岩場や藻場の中に身を潜め、日が沈むころに活動します。

これはアジの目の構造上の問題で、アジは眼球が大きく、瞳孔が常に全開なので薄い光の場所で目が利く構造になっています。 ですので、回遊系のアジは大きな群れで、昼間は水深10m~100m位の深場で回遊し、居着き系のアジは暗い場所に潜みます。

目の構造によって基本的に成魚は深く暗い場所で活動する、夜行性の魚です。

アジの産卵、回遊

アジは東シナ海の沖縄付近の大陸側の海域で産卵を行います。産卵は冬に行われますが、全てが東シナ海で行われる訳では無く、九州沿岸や日本各地で行われ、時期も様々です。

東シナ海で孵化した稚魚は黒潮に乗り春から夏にかけて日本列島を東西に北上しながら成長していきます。

成長した個体は秋から冬にかけ深場に潜り、回遊しながら生まれた産卵場所を目指し今度は南下し、産卵します。産卵は夜間に行われ、大きさによりばらつきがありますが、1匹で10万~40万粒の卵を放卵します。


アジの形態・食性

アジの形態

アジは体長50㎝で1kgを超える物もいます。普通に流通している食品のアジは20㎝前後で50㎝というと驚きますが、本来は中型魚で日本を回遊する筋肉質の魚です。

体形は小判の様な形で扁平な魚で、カツオやブリに比べ、胸ビレや背ビレが若干大きく目立ちます。目も大きく、発達していて、暗闇に対応出来ます。(上記写真参照)

ムロアジの形態

ムロアジはアジに酷似した魚ですが、若干体高が低い紡錘形で区別が付きます。大きさもアジ同様です。(上記写真参照)

ロウニンアジの形態

ロウニンアジは驚くほど巨大で体長180㎝で80kgの釣果の記録がある程です。アジに比べて丸々とした形で、側編平の魚です。口が非常に大きく、大型のボラでも丸呑みしてしまう程で、とにかく大きな魚で、アジの仲間で最大種です。(上記写真参照)

アジの生育環境

アジの生育環境

上述の通り、回遊性のアジは東シナ海で生まれ、春から夏にかけて日本の沿岸にて捕食しながら回遊します。幼魚は岩礁帯の周辺を好み捕食回遊します。5月から初夏にかけて、全国の漁港で5㎝~10㎝の豆アジと呼ばれるアジが釣られます。

秋口にかけて成長したアジは沖合を回遊し、捕食の為に夕方から朝方にかけて浅場に接岸します。

ムロアジ、ロウニンアジの生育環境

ムロアジもアジと同様、幼魚は岩礁帯の浅場で生育し、成長すると深場を好み回遊する生育環境ですが、アジよりやや沖合を好む傾向があります。 ロウニンアジは幼魚の時はマングローブや河川などの静かな海域で生息します。

沖縄などで孵化した稚魚は黒潮に乗り前述のように死滅回遊しますが、初年度の秋口では30㎝程度まで成長し、河川などでルアーフィッシングの好ターゲットとなっており、この事からも、幼魚は河川を好んで生息します。

アジの食性

アジは意外なことと感じますが、魚を食べるフィッシュイーターです。食卓に並ぶアジが幼魚であったり、釣りの餌でも使用される事からイメージと外れます。

幼魚はプランクトン、アミエビを多く摂取し成魚になると甲殻類、多毛類、イカ、小魚を追い回遊しながら捕食します。 ムロアジもアジと同様の食性です。

ロウニンアジは桁違いの大きさなので、同じフィッシュイーターでもターゲットがアジ以上の魚になります。ボラやタカサゴの成魚を捕食します。アジ科の仲間のムロアジも残念ながら捕食してしまいます。

アジの釣り情報

魚種図鑑の為、ここでは釣り情報の概要をご紹介します。専門的な詳細はリンクを貼付け用意しますので、動画と共に下記より参照下さい。

アジ釣りのシーズン

アジ、ムロアジは、沖釣りなどは周年行われていますが、防波堤などでは初夏から晩秋までとなっています。ロウニンアジは沖縄や小笠原などの亜熱帯では周年狙えます。回遊のメッキを狙うのでしたら8月から11月です。 ※ロウニンアジは日本本土に成魚が居ないので、幼魚の釣りの概要を記載します。

アジが釣れる場所

陸から狙う場合は1年魚の幼魚がメインターゲットとなりますが、時折30㎝近くの大物も防波堤に小魚を追って廻ってきます。陸からのポイントは、潮通しの良い防波堤がメインとなります。急深のサーフでもキス釣りなどで釣れますので、ポイントとなります。

ボートではマダイが釣れるような沖の根に回遊してきますので、ポイントとなります。 ロウニンアジは磯場や防波堤や河川の回遊場所で回遊待ちで狙います。昼間の明るい時間は、河川の倒木やマングローブなどの障害物をさぐり釣ります。

アジを釣るタックル

防波堤でのサビキ釣りでは、釣り場にもよりますが4m前後の磯竿に3000番クラスのスピニングリールに3号のナイロンラインで仕掛けを付け臨みます。

ボートで狙う際は船竿の2m前後のものに、小型の両軸リールをセットし、道糸はナイロンの4号を使用し仕掛けを降します。 ロウニンアジはトラウトロッドかエギングロッドの8ftと2500番位のスピニングリールにPEラインの0.8号をセットし、ルアーで釣ります。

アジング


アジングとは、アジをルアーで釣る事をいいます。タックルは専門のロッドの7ft前後を使用し、リールは2000番前後の小型のスピニングリールを使用します。

ラインはフロロカーボンの2号を使用し、小型のワームと1~8g前後のジグヘッドを使用し、軽快なアクションでアジを釣ります。

ライトタックルで、軽快に小気味よいアクションで釣れる良型のアジの釣りに、人気が高まって専用のルアーやロッドが開発されています。また、釣りたての良型のアジの美味しさを追いかけて、釣りをしている人が多いのも事実です。

アジを釣る仕掛け

防波堤で幼魚を釣る場合はコマセとサビキで釣ります。仕掛けは道糸に短いハリスが7~8本付いていて、ハリの先には毛ばりの様な疑似餌が付いています。 この仕掛けの上にアミエビを入れる網袋をセットし、網袋にアミエビを詰めて魚を集魚します。

ボート釣り、防波堤での良型サイズの仕掛けも同様に道糸の一番上に網袋やカゴを仕掛け、深場を狙う場合が多いので、負荷の高いオモリを一番下にセットします。

餌釣りの仕掛けは片テンビン式にして、片方に錘付きのカゴをセットし、逆側にハリスとハリを仕掛け、餌はオキアミを使います。同様にアミエビで集魚し、餌で釣り上げます。

アジ釣りの動画

防波堤のサビキ釣りの動画

堤防のアジなどを狙ったサビキ釣りの入門動画で、タックルから仕掛け、コマセの詰め方、投入後の実際の釣り方まで事細かく、6回に分けて説明しています。 入門者には超おすすめの動画です。

ボートでのカゴ釣り

神奈川の湘南葉山でのボート釣りの動画です。片テンビンのカゴ釣りで尺アジを釣っている動画です。美味しそうな魚です。

アジング

長崎県域で防波堤でのアジングの動画です。明るい時間は小型のタマンやマダイを釣っていて楽しい動画です。秋口で居着きの大きなアジをルアーで釣っています。このアジの釣り方、サイズを見たら「アジング」をやりたくなります。

ロウニンアジ(メッキ)のアジング

宮崎県の漁港でのアジングの動画です。良型のメッキ(ロウニンアジの子供)が釣れています。30㎝サイズですが、このサイズは晩秋の河川や漁港で釣れていて、立派なルアーゲームのターゲットとなっています。

アジの味・選び方

アジの味

アジの美味しさはここで語る必要が無いほど、皆様ご存知の一般的な魚です。脂のったアジの開きは皮面に脂が滴り、ご飯ともビールともよく合い本当に美味しい魚と感じます。また新鮮なアジはお刺身でも上品な甘みがあり、身の舌触りも滑らかで弾力があり、本当に美味しいと感じ、数少ない魚です。

関アジというブランドアジがあり、ある地域のマアジですが、超高級魚として6000円/kg以上の価格で販売されています。

アジの選び方(一匹物)

先ず形が丸く肉付が良い物から選び、表皮が輝いて針があるものを選びましょう。また20㎝前後の中型の物が味が良く、大きすぎる物は身がパサ付いていたり、脂が偏っているので中型を選びます。細かい点は目の色が黒く澄んでいる物、ウロコがはがれて無く、ヒレに傷が無い物を選びましょう。

アジの選び方(切り身)

切り身は透明感があって、血合いの発色が鮮やかな赤色の物を選びます。表面に艶があるのが最低条件で、表面が水分が抜けて艶が無い物、血合いが黒ずんでいる物、パックの底に血水が落ちている物は避けましょう。

アジの栄養

アジの栄養素

アジは栄養面でもとても優れています。良質な身と脂質の中には不飽和脂肪酸のEPA、DHAを豊富に含み、カルシウム、カリウム、タウリンも含み栄養素の豊富な美味しい食材です。

アジの栄養素の効能

アジの栄養素の効能をご紹介します。不飽和脂肪酸のDHA、EPAは血をサラサラにする働きがあり、心筋梗塞、脳梗塞などの予防につながります。 またDHAは脳細胞の働きを活性させる効果があり、記憶力の強化、痴呆症の予防に効果があります。

カルシウムが多い事で骨の強化、骨粗鬆症の予防効果があり、カリウムは高血圧の予防になり、タウリンは肝臓の働きを助け、快活な生活の助けとなり、栄養効果抜群の食材です。


アジの寄生虫

ウオノエ、アニサキス

どんな魚にも寄生中は存在します。アジの体内に寄生するもので有名なものは「ウオノエ」という、アジの口に寄生して食べかすで成長する、フナムシの様な気持ちの悪い寄生虫がいます。

これは、頭を落とせば大丈夫で、人にも無害ですがこれを食卓に出されたら、悲鳴があがるのは必至です。(上記の写真の物です) 気を付けなくてはいけないのが「アニサキス」です。

この寄生虫はミミズのような形で、魚の胃や腸に付いていますが、魚が弱ると胃腸から出てきて筋肉組織に取り付きます。これを見逃し刺身で人間が食べると、人間の胃や腸で稀に生き残り、胃壁や腸を傷つけ大変な苦しみを味わいます。

生食を避けるか、薄造りにして丹念に目視確認し、被害を防ぎましょう。

アジの料理

アジのお刺身

アジの鱗を丹念に落とし、ヒレと頭を落とします。次にお腹を開いて内臓を取り除き、丁寧に身を洗い流します。次に身の尾の方から包丁を入れて、背骨に沿って包丁を滑らせて、身を離していきます。これで、身と中落に分かれ3枚卸しの完成です。

取り出した左右の身のお腹の部分は腹骨と言って骨が多く刺身が取れないので除去します。

次にまな板の上で身の後ろの方から包丁を入れて皮を剥がします。 皮を剥がしたら、身を血合いの所で上下に切り分け、その後、お好みの厚さで切り分け、お刺身の完成です。新鮮なアジは高級魚にもひけを取らない美味しさです。

アジの開きの塩焼き

アジの鱗を丹念に取って、内臓、エラを取り除きお腹から下顎の部分まで包丁を入れて魚を2枚に開きます。この時3枚卸しにするのではなく、片側だけ、背骨に包丁を入れて離し、片側はそのままにして開きます。

開いた身に塩を擦り付けて、1昼夜干します。干した魚は皮面から焼いていき、焦げ目がつかない位で裏返し更に焼いて完成です。 塩と、アジの身と皮と脂の旨みが調和し美味しいです。

アジのフライ

アジの開き同様に魚を捌き、こちらは骨を取り除きます。骨を取り除いたアジに薄力粉を付けて、溶き卵にくぐらせ、パン粉に付けます。 170℃に熱した油にアジを入れます。揚げてキツネ色に衣が変わったら裏返し、変色したら取り出して、完成です。

タルタルソースでも、ソースでも、シンプルに塩でも揚げたては最高に美味しいです。

アジのその他、雑学など

歴史的雑学

神様のお供え将軍、庶民の酒の肴 奈良時代から平安時代にかけては神聖な場面でお供えとして扱われ、江戸時代には獲れすぎて下魚扱いをされ、安価で出回り庶民の酒の魚で親しまれ、それでも美味し事から、将軍の食膳にも度々あがり、好まれたという稀有な魚です。

現在でも取れる場所では(関アジ)超高級魚となっていて、ひきかえ豆アジなどはとても安く、更に釣りのエサなんかにもなっていておかしな魚です。

その味=アジの美 江戸時代中期に新井白石という人物の言葉が残っていてユニークです。「或人の説く鰺とは味也、其の味の美をいふなりといへり」江戸時代中期にアジは味が美味しいから、アジと呼ぶんだよ。といっております。

実はこの逸話以前は、アジは蟻のように群れるからアジなどの由来の説が色々とあったそうです。

ロウニンアジの釣り情報

釣り人の憧れ 

上述でも度々登場した、アジ科最大最強のロウニンアジです。国内では沖縄、小笠原に生息し、釣りの聖地としては熱帯のミクロネシアやパラオなどでアングラーの最高の獲物として、大変な人気があります。

大きなもので180㎝体重80kgでその容姿は恐ろしくも美しいです。釣りの世界では昔から超の付くほどの人気で、沖縄の有名な釣りのガイドの店では、七夕の短冊に「来年こそは・・・」とか「神様、お願いです一度だけでも・・」などの中年のおじさんと思しき肉筆の、悲痛な願いがあった事を思い出します。

しかしそれ程人気のターゲットという実話です。

アジのまとめ

アジはサバと並んで食卓に出てくる大衆魚の代表です。アジフライや開き、刺身等シンプルな料理が多いのは、アジそのものが美味しい魚だから、という事を物語っています。最近ではアジングが流行している様で増々身近な魚になりつつあるようです。

初夏のサビキ釣りでの、楽しい釣果や美味しいアジフライ、晩秋ではボートで釣った良型のアジの引き味、開きの美味しさを思い出し、幸せな環境にいる事を思い出しました。