別れの花言葉特集
花言葉にはポジティブなものからネガティブなもの、花の色によっても違うものがあります。今回はちょっと悲しくなる別れにまつわる花言葉を持つ花について特集をしてみました。
別れの花言葉1/3.チューリップ白
チューリップ/科名・属名
チューリップはユリ科のチューリップ属の植物。球根から生長し、背丈は10㎝~60㎝と種類によって、かなりの幅があります。他のユリ科と同じように、両性花で、自家受粉植物。
チューリップ/和名・英名
チューリップの和名は「鬱金香」(うっきんこう・うこんこう)。球根がウコンのようなほこり臭い香りを持つことからこう名付けられました。英名はTulip。日本で園芸用に流通しているチューリップは植物学者コンラート・ゲスナーという人の名前にちなんで、Tulipa gesneriana(ツーリッパ・ゲスネリアーナ)という種類のものです。中近東のあたりでは、トルコ語やペルシャ語で、「ラーレ」と呼ばれています。
チューリップ/原産地
チューリップが有名な国にオランダがあります。原産地もついオランダだと想像しがちですが、実は原産地は中央アジアや北アフリカです。アナトリア・イラン高山地帯では、パミール高原・ヒンドゥークシュ山脈・カザフスタンのステップ地帯というところを含む中東と西アジア圏一帯が原産地です。
チューリップ/花名由来
2つの伝説が由来になっているのではないかとされています。
美女の名前伝説
チューリップは16世紀の初め頃、中東や西アジア方面から伝わりました。そのオランダでチューリップの名前の由来になったという伝説が残されています。ある村に、美しい娘「チューリップ」が住んでいました。 彼女の美しさのあまり同時に3人の勇敢な騎士が自分たちの贈り物をもって、この品を捧げるから自分と結婚してほしいと迫ります。第一の騎士は黄金のカンムリを、第2の騎士は剣を、第3の騎士は財宝をもって美女チューリップの元へ現れました。 しかしチューリップはどの騎士とも結婚を約束することができず、困り果てた末、花の妖精に花に変えてもらうように頼むのでした。その時に送られた3つの贈答品は冠は花に、剣は葉っぱに、財宝は球根に変化し、その花の名前を美女の名前「チューリップ」と命名したと言われています。
翻訳ミス?伝説
もう一つの名前の由来といわれているエピソードは、オスマン帝国で非常に珍重されていたチューリップの花が、オーストリア大使によってヨーロッパに伝えられた際、通訳がターバンのような花と訳したため、ターバン=チュルバンこれがチューリップに変化したと言われています。
チューリップ/花言葉由来
チューリップの全体の花言葉は「思いやり」や「博愛」ですが、白のチューリップには別れの意味がこもった花言葉がつけられています。
白の花は基本的に真っ白にする=白紙に戻すといった意味で花言葉として意味を持つものがあります。このチューリップの「許しを請う」はまさに、白紙に戻してほしいという意図からです。 「失われた愛」となるのはチューリップの総合的花言葉が「博愛」に対して、そのカラーを失った白には博愛するものが失われたといった隠喩的な意味がもめられています。またほかに「長く待ちました」というような花言葉もあり、これは春を待ち焦がれて長く待ちすぎました。というような状態から由来する花言葉です。
チューリップ/誕生花
チューリップを誕生花に持つのは、(白)1月1日、1月7日、3月8日、4月8日。(赤)1月31日、3月6日。(黄色)3月13日、3月20日、5月17日。(その他)3月14日、3月22、4月16日。
チューリップ/開花時期
4月~5月に最盛期を迎えるまさに春の花の代表選手。日本では富山と新潟が名産地で両県で生産される年間の球根は国内シェアの98%を占めています。 日本にチューリップが最初に入ってきたのは江戸時代ですが、あまり人気がなく、一般に広がるようになったのは、大正時代に入って、新潟の小合村で球根の栽培が始まってからの事でした。 富山でも大正7年からチューリップの栽培を開始していて、新潟にはチューリップの記念碑「チューリップ発祥の地」としていますが、共に同時期に本格的な栽培を始めたことで日本全体にも知られるようになります。
チューリップ/その他
チュ―リップはもともと観賞用としては流通していませんでした。球根に糖度がたくさん含まれていてでんぷん質なことから、オランダではお菓子の素材としても良く使用されていました。花はサラダで生食をしたり、お菓子のデコレーションとして現在でも食花として用いられることがあります。 日本に入ってきた江戸時代でもチューリップに人気がなかったのは、花に香りがないことと、球根がウコンのようなホコリくさい臭いを持つことから、現在のように観賞用になるのに時間がかかったようです。
別れの花言葉2/3.キンセンカ
キンセンカ/科名・属名
キンセンカはキク科のキンセンカ属の植物。ほとんどが春に咲く一年草ですが、宿根タイプもあり、冬を越すということから「冬知らず」という別名がついて販売されています。
キンセンカ/和名・英名
キンセンカの和名は金盞花(キンセンカ)。英名ではPot Marigold(ポットマリーゴールド)・Common Marigold (コモンマリーゴールド)Calendula(カレンデュラ)と呼ばれています。
キンセンカ/原産地
地中海の沿岸地域が原産。北アメリカ・中央アメリカ・南ヨーロッパでも盛んに栽培がおこなわれているポピュラーな植物。 ヨーロッパでは観賞用としてよりも、原種をハーブと考える志向が強いため、食用花として用いられたり、薬用ハーブとして、やけどやニキビの治療用に、軟膏にして治療薬として用いることも非常に一般的です。 食用としては高価なサフランの代わりに香りづけや食紅の代わりに花弁を使用します。そこから「エジプトサフラン」などとも呼ばれます。
キンセンカ/花名由来
金盞花の花名由来は、花を黄金に輝く盃(サカズキ)=盞(うき・さかずき)にみたてて、金色のサカズキ。キンセンカと名前がついたと言われています。
キンセンカ/花言葉由来
キンセンカの花言葉は由来となった悲しい恋の結末の物語に象徴されています。ギリシャ神話に登場する水の精クリティは太陽神アポロから寵愛をうけ、クリティはアポロに一身に尽くしていました。しかしある日、宮廷を訪れたアポロンは絶世の美姫と言われたペルシアの王女レウトコエの虜になってしまい告白するのでした。 クリティは太陽の神アポロの気持ちが冷めていていることに気付きましたが、アポロへの気持ちはますます募るばかりでした。そんな時、自分への気持ちが冷めたのが王女レウトコエへの寵愛だと知り、激怒したクリティは宮廷に向かい、ペルシア王に娘のふしだらな太陽神との恋中を愚弄するのでした。
クリティはこれで太陽神アポロンが自分の元に帰ってくると信じていましたが、結果は真逆。アポロはクリティの前から姿を消してしまいます。悲しみに打ちひしがれたクリティは泣き崩れて、キンセンカの花に姿を変えてしまいました
キンセンカ/誕生花
キンセンカを誕生花に持つのは、(黄色)1月12日。(オレンジ)1月20日、2月8日、2月9日、3月29日。
キンセンカ/開花時期
キンセンカは12月~5月が開花時期。出回り時期は10月~5月で最盛期は3月~4月です。種まき時期は春と秋の2回可能ですが、通常秋にするのが一般的です。アルカリ土壌を好み、18度~25度の温暖な気候で5日ほどで発芽します。日当たりを非常に好み、枝分かれも盛んなので、きり戻して成長を促します。
キンセンカ/その他
キンセンカはとくにヨーロッパで食用に用いられていますが、メキシコ原産のアフリカン・マリーゴールドやフレンチ。マリーゴ―ルドの品種は食用には適さないので要注意。
別れの花言葉3/3.ミヤコワスレ
ミヤコワスレ/科名・属名
キク科シオン属の植物ミヤコワスレ。春に花を咲かせる野草の野菊が原種。束になって群生する特徴のある多年生の植物です。
ミヤコワスレ/和名・英名
和名はミヤコワスレ。英名はGymnaster(ジムナスタ―)。学名をGymnaster savatieri。原産が日本の野山に自生していた野菊なので、別名もすべて、野春菊(ノシュンギク)・東菊(アズマギク)・深山嫁菜(ミヤマヨメナ)と日本語の物ばかりです。
ミヤコワスレ/原産地
原産地は日本。本州・四国・九州の野山に自生する野生の菊が原種。薄い青色の小さい菊のような花を咲かせる野生種ミヤマヨメナが現在園芸用に出回っている種類の原種にあたります。他の園芸品種として、「みのる紫」原種よりも一回り大きいはなを咲かせる改良品種。ピンク色の花を咲かせるのは「浜乙女」という品種。
ミヤコワスレ/花名由来
ミヤコワスレの花の名前の由来は、鎌倉時代までさかのぼります。1221年後鳥羽上皇が鎌倉幕府に敗れた兵乱「承久の乱」の際、佐渡に流された順徳天皇がこの野草をみて、詠んだ詩にちなんでいます。 「いかにして契りおきけむ白菊を都忘れと名づくるも憂し」佐渡で見つけた野菊を、宮廷にいたころ皇帝のシンボルとして育てていた菊の花に見立てて、「この野菊を見ると都を思い出してしまうけれどこの地にて生きていかねばならない。都の事は忘れました。 可憐なあなた(野菊)がそばにいてくれるから、都のことは忘れよう」という決心にも似た気持ちの現れた詩が「都忘れ」の花の名前の由来となりました。
ミヤコワスレ/花言葉由来
ミヤコワスレの花言葉はまさに順徳天皇の気持ちそのままを表現したものです。都との別れを惜しむ気持ちと、身近にある野菊でせめてもの慰めに心を落ち着かせようというなんとも切ない気持ちが込められています。
ミヤコワスレ/誕生花
ミヤコワスレを誕生花に持つのは、6月23日。
ミヤコワスレ/開花時期
春に最盛期を迎える花で、開花時期は4月~5月。草丈が10㎝~70㎝程になる常緑多年草です。ミヤコワスレは江戸時代から品種改良が施されてきた日本原産の古典園芸植物と言われるものです。 園芸用として流通しているミヤコワスレはほとんどが3㎝くらいの花を咲かせる品種で、耐寒性と耐陰性に非常に優れています。庭の日陰になるような場所でも花が咲きますので、寄せ植えや物寂しく感じる花壇の隅を明るく華やかに演出してくれます。
ミヤコワスレ/その他
栽培にほとんど手入れの要らないミヤコワスレですが、同じ場所に長い間植えていると、株元に白い菌糸のような病気が発生することがあります。出来るだけ風通しと、水はけのよい環境を保つことが重要。 キク科の植物にはアブラムシが良くつきます。このミヤコワスレも例外ではありません。4月~11月の新芽には特にオルトラン錠剤を株元にまいて、対処しましょう。
まとめ
別れに関する花言葉は、それ単体では非常に悲観的になりそうな響きですが、花言葉の由来を知ることで、花言葉が生まれた背景が伝わってきて、伝承による歴史の深さを感じさせてくれます。別れは新しい出会いの始まりでもあるとよく言われます。別れの花言葉の裏側には実はこれからの新しい未来を応援する素敵なメッセージが隠されているのかもしれません。