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ツェルト泊!ツェルトをテント代わりに【メリット、デメリットは?】

ツェルトをテント代わりに使って登山を楽しむには、軽量でコンパクトなその特性を把み、設営や防水対策、雨やビバーク時の対応など、色々な使い方を身に着けることが大切です。また、ツェルトの長所短所をよく理解し、自分の登山の方向性にマッチした使い方が望ましいです。

2018年03月13日更新

sasaishi
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目次

  1. 1 ツェルト泊へ
  2. 2 ツェルトとは?
  3. 3 テントとの違い
  4. 4 ツェルト泊選択の基本と注意すべき点
  5. 5 ツェルト泊までの準備
  6. 6 どんな製品があるか
  7. 7 ツェルト泊・設営講座(準備編)
  8. 8 ツェルト泊・設営講座(実践編)
  9. 9 ツェルト泊の実践(登山のポイント)
  10. 10 ツェルト泊の実践(沢登りのポイント)
  11. 11 ツェルト泊と雨
  12. 12 ツェルト泊以外の使い方(フィールドにあわせて)
  13. 13 ビバーク
  14. 14 ツェルトをテント代わりに! そのメリット、デメリット
  15. 15 まとめ

1 ツェルト泊へ

  ツェルトをテント代わりに使って登山を楽しむ。
  それには、どのような点に注意を払えばよいのでしょう。
  今回は、ツェルトの特性、製品、設営方法などに加え、テントとの違いやそのメリット、デメリット
 など、その基本と使い方のコツをご紹介します。

2 ツェルトとは?

 ツェルトの語源は、ドイツ語のツェルトザックを略したもので、本来は、英語のテント(天幕)と全く同じ意味ですが、日本では、テントより重量や機能等を簡易にした、コンパクトな装備として一般的に扱われています。

(1)ツェルトの特徴

 ツェルトは、コンパクトになってかさばらずかつ軽量で、その簡易さは持ち運びに便利です。
 また、機能面でも汎用性が極めて高く、特に、緊急時にその効用を発揮する装備で、その機能は、登山の心理的な安心感を高めることにも貢献します。
 

出典: http://www.arai-tent.co.jp

ビバークツェルト

 左:ビバークツェルト1ロング 
 右:ビバークツェルトソロ
 たためばこんなにコンパクト。
 缶ビールとほぼ同じ大きさで、それよりも軽い。

(2)テント代わりになる?

 テントの約半分程度の重量という、その軽量さや簡易さに着目して、登山でテントの代替としての使い方をする例が見受けられます。
 ツェルト泊には、テントの持つ機能の一部を省いている、ツェルトの特徴を十分理解したうえで、周到な準備と適切に使いこなせる経験・技術が必要です。 

3 テントとの違い

(1)テント

 最近の天場は、ドーム型テントがほとんどです。
 その特徴は、
  ① 耐風性や防水性、気密性が高いこと
  ② 漏水や虫の侵入が少なく、居住性能が良いこと
  ③ 雨で濡れた場合でも乾きが早く、軽量であること
 など、旧式の家型テントより機能的に明らかに優れています。
 使い方も判りやすく、素早く組み立てられ、片手で持ちあげられるその軽量さは素晴らしいものがあります。

出典: http://toolgear-superior.info

(2)ツェルト

 ツェルトは、テントに比べ、より軽量で使い方も簡易なことに最大の特徴があります。
 本来、ビバークなどの緊急時対応のツールとしてコンパクトに設計され、テントが有する機能のうち、居住性や防水などの一定の部分がカットされています。
 また、設営では、家型テントの設営方法が参考になりますが、最近はドーム型の製品も販売され、登山の選択肢が増えてきたことはうれしいことです。

4 ツェルト泊選択の基本と注意すべき点

 ツェルト泊を行う場合は、テントとツェルトの使用範囲を仕分けし、実際の山行形態にあわせて使い方を柔軟に変えることが安全な山行につながります。

 

(1)山行形態

ツェルトは、その簡易さから居住性や対荒天対応能力ではテントに及びません。
 こうした特性を織り込みつつ、ツェルト泊では、テントのどの機能を捨てるか、ということを意識しておく必要があります。
 一例をあげれば、
 ① 森林限界を越える天場は、ドームテント優先。
 ② ツェルトは、晴天時…幕営、雨天時…小屋素泊(or避難小屋泊)の形式で使用。
 など、自身でその使い方を決めておくとよいでしょう。
 

(2)ツェルト泊の重量計算

 縦走登山をスピード重視で歩くケースは、軽量化の徹底がスピードに直結しますので、機能の低下を承知で、選択はツェルト泊になるでしょう。
 その際は、できるだけコンパクトに、ペグやガイライン(張綱)等を含めた総重量をテントのそれより抑えて、軽量=スピードの利点を失なわないようにする必要があります。

5 ツェルト泊までの準備

 ツェルトは、登山前にきちんと装備を整え、天場ですぐに設営できるように準備しておく必要があります。

(1)使う前の準備作業

 ツェルトは、本体のみの販売になります。
 ドーム型テントのようにポール、フライシートやペグ、ガイラインなどがセットで附属することはありません。
 テント代わりの使い方をするには、これらを別途購入し、事前にセッティングという準備作業が必須です。

① 張綱・・・リフレクテイブ・スーパーガイラインセット(ツェルト用)

価 格 ¥2,484 重 量 30g サイズ 5mのリフレクティブスーパーガイライン2本と     自在4個付き。  中芯に超高強力、高弾性率繊維ダイニーマを使用。  外皮に反射材を織り込み、ライトの明かりに反射し、視認性が抜群。  ガイラインとしての十分な強度(約100kgf)を持ち、軽量・コンパクト。

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ツェルト ポールセット

 価 格 ¥3,702  素 材 7001超々ジュラルミン[アルマイト酸化皮膜加工]  重 量 250g  サイズ 全長105cm (収納サイズ)8×8×45cm  構 成 ポール2本、張り綱2本

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(2)防水の加工

 雨は、簡易でコンパクトなツェルトには大敵で、防水は非常に重要です。
 ツェルト本体の縫い合せ部分は、シームレス加工(雨が布の縫目の輪(ループ)から内部へしみこむことを防ぐ処理)はなされていない製品がほとんどです。
 購入時に確認が大切ですが、自身で防水の加工を行わなければならない場合もあります。

ライペン(RIPEN/アライテント) シームコート (テント 防水剤) SC
518円

ツェルトの防水処理には、シームテープのほか、  シームコート剤も販売されています

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(3)張り方の練習

 ツェルトの設営は、その簡易さとは逆に手間が多く、事前に練習が必要です。
 設営は、ボーイスカウトなどで使用される家型テントと重なる部分が多く、腕の見せどころ的な一面もあって、ツェルト泊の楽しみの一つにもなります。

6 どんな製品があるか

 現在、販売されている、1~2人用のツェルト及び3(2)で述べたドーム型の製品の主な例は次のとおりです。
 なお、価格は、ツェルトは本体のみ、ドーム型は本体+ポールセットの税込み価格です。

ファイントラック|ツェルト2ロング(2〜3人用)
23,000円

重 量 340g  サイズ 奥行220(天頂部170)×間口100×高さ95   (cm)  [収納時:10×5×19]  素 材 15dnリップストップナイロン100%      ポリウレタン防水透湿コーティング      (耐水圧1,000mm)  カラー モス、オレンジ  機 能 底割れ式、ダイニ-マテープで強度補強あり。      居住性重視。

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モンベル|U.L.ツェルト ツエルト
14,700円

 重 量 230g (スタッフバッグを含む総重量240g)  サイズ 奥行200×間口80×高さ90cm   素 材 10dn・バリスティック® エアライト      ナイロン [超耐久撥水加工]  カラー スプリンググリーン(SPGN)  機 能 底割れ式、フライシート併用可能、      エンドチップ用ループ付き、被れる製品。

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(3)モンベル|U.L.ドームシェルター2型
42,120円

重 量 820g(スタッフバッグを含む総重量840g)  サイズ 奥行210×間口130×高さ95cm  素 材 本体:15dn・バリスティック® エアライト         ナイロン・リップストップ          [耐水圧600mmウレタン・コーティング]      フロア:30dn・ナイロン・リップストップ         [耐水圧1,500mmウレタン・コーティング]      フレーム・本体ポール:7001超々ジュラルミン         [アルマイト酸化皮膜加工](ポール径)φ8.5mm  カラー シトロンイエロー(CYL)  構 成 シェルター本体1、ポール2本  収納サイズ 本体:約φ12×約26cm        ポールバッグ:約φ5×約46cm

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(4)アライテント スーパーライト・ツェルト2ロング
14,904円

重 量 395g  サイズ 奥行210×間口130×高さ110(設営時)  (cm)       収納時:15×10  素 材 28dnリップストップナイロンPUコーティング         (東レ「ファリーロ」中空糸)  カラー イエロー  機 能 居住性重視。  

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ヘリテイジ|エマージェンシー ツェルト 15デニール260g
11,880円

 重 量 260g(乾燥時平均)  サイズ 奥行190×間口80×高さ90cm   素 材 本体:15dnナイロンリップストップ・透湿PU      コーティング(耐水圧1,000mm/平方センチ、      透湿量8,000g/平方メートル/24hr)  カラー レスキューオレンジ  機 能 底割れ式

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ヘリテイジ|クロスオーバードーム エフ
35,640円

重 量 700g(本体、ポール、スタッフバッグ込 乾燥時平均)  サイズ 奥行210×間口100×高さ105cm   素 材 本体:15dnナイロンリップストップ・         透湿ポリウレタンコーティング        (耐水圧1,000mm/平方センチ、         透湿量8,000g/平方メートル/24hr)  ポール アルミ合金中空ポール(7001-T6)7.5mm径                             ショックコード内蔵                         カラー フォレストグリーン

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7 ツェルト泊・設営講座(準備編)

 ツェルト泊を快適に行うには、どのようなものを用意しておく必要があるのでしょう。
 6(1)でご紹介したファイントラック・ツェルト2をモデルに、ご説明します。 

(1)ツェルト泊の準備物

 準備物は、左から順に、トレッキングポール、インナーフレーム、ツェルト本体とガイライン等のセット、ペグ、グラウンドシートの5点があれば、最低限の設営が可能です。
 また、シームレス加工がない場合は、処理を済ませておく必要もあります。

ツェルト一式

 重量 トレッキングポール  270 (2本セット)
 (g) インナーフレーム    90
    ツェルト(本体)  340
    ガイライン     72
    ペグ      130 (10本)
    グラウンドシート   58
     合計     960
 トレッキングポールを除き、690gと軽量かつコンパクトです。
 

(2)単体装備の内容

① トレッキングポール

  ツェルト専用のポールも販売されていますが、登山中
 はストック、設営時はツェルトのポールとして、装備に
 複数の役割を持たせれば、重量を軽減できます。

② インナーフレーム

  居住性向上のため、農業用FRP製ポールとアルミ中空
 管等を活用し、コンパクトになるよう自作。
  ファイントラック製ツェルトは、取付用ポケット2か
 所、固定用紐3か所が作り付けされ、セッテイングが簡
 易にできます。

③ ツェルト本体(ガイライン等セット済)

  設営効率を上げるため、ツェルト本体にガイライン、
 サイドリフターをあらかじめセット。
 
  ガイライン等は、夜間の視認性、強度及び重量を考
 慮すれば、反射材織込みのダイニーマ製ロープ(φ2㍉
 ×5m×2本・自在4個付・強度100kgf)がおすすめ。
  なお、本体とガイラインの干渉調整のため、φ3㍉の
 クッションコードも連結しています。

④ ペグ

  ドームテント用ペグと共用。 今回は、最低限の
 4か所を固定。
  通常は、本体用6本とガイライン用4本の計10
 本が必要ですが、天場周辺の石や立木、構造物など
 を利用することがほとんどです。  

⑤ グラウンドシート

  グラウンドシートは、重量と強度、防水のトレードオ
 フ関係にあって、なかなか適当な品がない現状です。
  現在は、農業用ポリエチレンシート(黒マルチ/L200×
 W95cm/厚さ0.03ミリ)を使用中で、過去の使用歴はテ
 ント用既製品、レスキューシートやタイベックシート
 だが、いずれも重量や防湿性などに難があり、模索中
 です。

8 ツェルト泊・設営講座(実践編)

 さて、準備も整いましたので、いよいよツェルトの設営を行うことにしましょう。
 設営は、下(地面)から上への順で行うと円滑かつ効率的に行うことができます。

(1)地業

  天場でツェルトの設営場所を決めたら、石や枯木類など、設営の障害物を除き、整地作業を行います。
  (この辺りは、ドームテントと変わりません。)
  次に、グラウンドシートを仮置きし、飛散防止で四隅を石等で押さえ、その上からツェルトを展開し
 ます。

 設営場所の整地が終わったら、グラウンドシートを敷く。

 ツェルトを広げて、設営場所に置き、大体の位置を頭に描く。

(2)ツェルト底面の結束

  次に、底面は開放状態ですから、紐を結束(ボタン式はボタン留め。)して、底面を固定します。

  底面を重ね合わせて二重にし、両方の紐を結束する。

  底面の結束が完了した状態。

(3)ツェルトの底辺四隅の固定 

  ツェルトとグラウンドシートを重ね合わせ、底辺の四隅をペグで固定します。
  本来は、サイドリフター(中央部の横に流した赤いコード)の底面も固定しますが、今回は省略。

  底辺の四隅をペグで固定した状態。
  本体にテンションがかかるよう、ペグを打ち込んで
 ゆく。

(4)トレッキングポールによるツェルトの立ち上げ

  いよいよツェルトの立ち上げです。 ガイラインをポールに連結し、片方ずつ立ち上げてゆきます。

 四隅を固定し、立ち上げ用のトレッキングポールを仮置きした状態。赤いコードがガイラインです。

 ガイラインにトレッキングポールを連結し、片方を立ち上げた状態。
 連結は、次の①~③の手順で行います。
 ① エイトノット又はオーバーハンドノットで環を
   作成。
 ② 二重のループの中心にポールを通す。
 ③ ポールとガイラインの位置(高さ)を調整。
 なお、ポールは、雪面ではグリップを上に、硬い地面では逆にしてもOK。
 

(5)立ち上げの完了

  もう一つのトレッキングポールも連結して、ツェルトの立ち上げが完了です。

  立ち上げて、ツェルトらしくなってきました。
  これで作業の約三分の二が終了です。

(6)インナーフレームの設置

  続いて、ツェルトの居住性を向上させる、インナーフレームを設置します。

 インナーフレーム設置前の状態。
 サイドリフターの赤いロープの位置のちょうど内側に設置します。

 インナーフレームを組み立てた状態。
 真ん中の両端に赤いマークのあるFRP製棒がツェルトの天辺部に、両サイドの上の部分が黒いFRP製棒が取付ポケットに収納されます。

 作り付けのインナーフレーム取付ポケットにフレームをはめ込んだ状態。

 ツェルト天辺部のインナーフレームを結束した状態。

(7)サイドリフターの設置と総合調整

  インナーフレームの設置という簡易な処置で、布地にテンションがかかり、居住性も向上します。
  次に、サイドリフターを石等で固定し、最後にトレッキングポールとガイラインの位置を調整して、
 完了です。

 インナーフレームの設置が終わった状態。
 まだ、側面のサイドリフターは固定していない。

 サイドリフターを石で固定した状態。
 天辺部にテンションがかかり、撥水力がアップします。

 最後に、トレッキングポールのガイラインの位置等を調整します。

 これで、ツェルト泊の設営は完了ですが、天場では、幕営の届け出と料金の支払い、そしてゴミの持ち帰りを忘れないようにしましょう。

9 ツェルト泊の実践(登山のポイント)

 ツェルトの使用は、その簡易さとコンパクトで軽量という特性の半面、快適性を一定程度、犠牲の上に成り立つものという点を理解して、登山者の自己責任のもとで活用することが重要です。

(1)標高

 原則として森林限界より低いところで設営することが適当。
 ツェルトは、強風への対応力は低く、北アルプスに多い吹きさらしの稜線上の天場などは、やむを得ない場合以外は避けた方が無難です。
 南アルプスなど、樹林帯の中に多くの天場が存在する山域だと、その活用の範囲は広がります。

出典: http://tandokutozan.blog45.fc2.com

(2)結露

 透湿力に優れるゴアテックス製品でも、その能力以上になると結露するように、ツェルトも内外の気温差や防水コーティングなどが原因で結露します。
 特に、冬季は簡単に結露が生じ、結露は避けられないものという認識を持っておくことが大切です。 

10 ツェルト泊の実践(沢登りのポイント)

 沢登りは、熟達者の同行が前提ですが、設営の自由度が高く、登山と違って森林限界を越えることはまれなため、ツェルト本来の軽量さや簡易さという機能を存分に発揮できる環境と言えます。
 また、タープ状に設営して広い空間を設け、より深く自然を感じることができる楽しみがあります。 

 沢は、降雨で急激な増水が発生することがあり、沢筋より一段高い場所に設営を心がけることと
 夜半の冷たい沢風から保温することも大事です。

11 ツェルト泊と雨

 ツェルトの使い方は、ビバークや緊急時とツェルト泊時の二種類に分類できますが、ツェルト泊時の大きなポイントは、雨にどう対処するか、ということになります。

(1)耐水圧とは?

 ツェルトは、簡易でコンパクトなため、布地の耐水圧は1,000mm程度の製品が多く(ちなみに雨傘の耐水圧は250~500mm程度)、一般的な雨の分類(小雨…500mm、普通の雨…1,000mm、強い雨…1,500mm程度)からいうと、普通の雨には耐えられる想定となっていますが、その耐水圧はテントに及びません。
 

(2)雨天時

 雨天時は、 
 ① ツェルトは、アルプスに多い強い雨になるとフライシート付テントとは大差が出ること
 ② 排水溝を周囲に掘っても、底面が底割れ式で気密性に乏しく、簡単に浸水すること
 など、厳しい状況になります。
 このため、設営時に布地にテンションを与えて撥水力を向上させるなど、少しでも濡れを回避できるよう、心がける必要があります。

 ツェルトは、その簡易さ、コンパクトさのマイナス面も理解の上で、自己責任で使用する必要があり、天気予報等で登山中の悪天が想定される場合、テントも選択肢として考えましょう。

(3)ツェルト泊の重量計算

 ツェルトに、フライシートやタープを付加し、雨に備えるという使い方もありますが、メリットの一つである軽量さが失われ、また、テント並みの防水力も期待できません。
 重量的には、ツェルト一式とフライシート合計でほぼ1kg前後、ドームテントの1.2~2kgと大差はなく、居住性や対荒天対応能力に優れるテントの方が断然有利になります。

12 ツェルト泊以外の使い方(フィールドにあわせて)

 ツェルトは、その特性を理解すれば、工夫次第で使い方がいろいろある、利便性の髙い装備です。
 野営に限らず、日帰り登山でも、急な悪天候に対処するツールとしてザックの片隅に1個入れておくと重宝します。
 重量的にも100~200g程度でかさばらず、大して気になりません。
 

出典: http://www.arai-tent.co.jp

ツェルトの活用方法

(1)スリーシーズンの使い方

 日帰りでも泊山行でも常に持参し、富士山のように単独峰で周囲に樹林帯のほぼない山域や吹きさらしの稜線などで、休憩時に強風や降雨を一時的にしのぐシェルターとして、また、広げてタープとして、ポンチョ代わりやトイレの目隠しなどに使う方法もあります。

(2)冬季の使い方

 冬季では、ビバークや樹林帯での設営が多くなりますが、強風や降雪を避け、最も暖かく過ごせる、雪洞や半雪洞(積雪の固い部分を掘って中に空洞を作り、宿泊すること。)設営時に、屋根や入口のカバーに使用するなど、冬山を十分楽しむためのツールとして活用できます。

出典: http://anntena2005.jugem.jp

雪洞の掘削

13 ビバーク

 ツェルト本来の機能である、ビバークや緊急・非常用として、悪天候に遭遇した際の一時避難のツールとして準備しておくことが大切です。
 悪天候は、通常、吹雪や雨とともに強風も伴いますので、レインスーツの着用、シュラフやジャケット類で保温に努めるなど、防水と体幹の濡れ、体力の消耗を極力防ぐ対応が重要です。

(1)ビバークとは?

 ビバーク(不時露営)は、登山やキャンプなどにおいて、計画とは別の場所で、緊急的に野営することをいいます。
 計画段階からビバークを想定している、「フォーカスト・ビバーク」と違い、予定した行動が行えず止むを得ず想定外の場所で一夜を明かすことになるため、「フォースト・ビバーク」とも言います。
 

出典: http://digital-nature-photo.com

ビバーク

(2)ビバーク時のポイント

 ビバーク時は、まず、安全な場所と空間の確保が最も大切で、次に、水と食料の確保がそれに続きます。
 ツェルトはコンパクトで、ちょっとした場所で素早く張れ、メンバー全員が被って退避できるツールとして、空間確保に非常に有効です。
 その効果は、悪天候と布きれ1枚で隔絶でき、なにより初心者は心理的に落ち着けることや体力の温存が図れるなど多方面に及び、メリットが大きい装備です。

14 ツェルトをテント代わりに! そのメリット、デメリット

 ここまで、ツェルトの意味や特性、製品、設営方法、テントとの違いやツェルト泊の注意点などを説明してきました。 最後に、そのメリット、デメリットについて、整理してみましょう。

出典: http://entotsuyama.hobby-web.net

(1)メリット

 ツェルトをテント代わりに使用するメリットは、
  ① 軽量で、コンパクトになるため、重量と疲労を軽減できること。
  ② 価格的に、テントより安価であること。
  ③ テントより応用範囲が格段に広く、ユーテリテイが高いこと。
  ④ 行動の自由度が高くなり、山を楽しめる(心理的)余裕が生まれること。
  ⑤ 自然とより深くコンタクトできること。
 などがあげられます。

  

(2)デメリット

 ツェルトをテント代わりに使用するデメリットは、
 ① 雨や強風などの対荒天対応能力や防水面がテントに比較して劣ること。
 ② 結露が生じやすく、居住性はテントより低いこと。
 ③ 設営に事前準備と慣れが必要で、使いこなしに経験・技術を要すること。 
 ④ フライシートを備えると重量でテントとほぼ同等になること。
などがあります。

(3)選択と考え方

 ツェルトの軽量・簡易さと快適性のトレードオフ関係を登山者自身がどう考えるかがポイントになります。お山で一番厳しい状況である、風雨や雪等の対荒天対応で自身の許容範囲をどこに置くかということが重要で、その優先順でツェルトとテントの選択が決まり、山行に使用する装備類も自ずから整います。
 登山という行為は自己責任が原則ですので、メリットとデメリットを十分に考慮し、自分にあった山行を行うことが大切です。
 

15 まとめ

 いかがだったでしょうか。ツェルトは、テントとは似て非なるものだとお分かり頂けたでしょうか。
 選択のポイントは、自分のしたい登山の方向性にマッチしているかどうか ということ。御自身の考え方を決めたら、あとは創意と工夫でどのようにも使える自由度の高さをツェルトは持っています。
 準備をしっかり行って、テントとは一味違うツェルト泊にあなたもチャレンジしてみましょう。

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