ライフリングとは?旋盤を使った加工方法と種類による原理の違いを解説!のイメージ

ライフリングとは?旋盤を使った加工方法と種類による原理の違いを解説!

ライフリングとは、銃腔に刻まれている螺旋状の溝のことです。弾丸を回転させて、命中精度を上げるために発明された機構であります。溝の形状や加工方法にはいくつか種類があり、それぞれ特徴も違います。ライフリングの興味深い世界について、ご紹介します。

2019年10月16日更新

huro
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目次

  1. ライフリングとは?
  2. ライフリングによる性能の変化
  3. ライフリングの加工方法
  4. 切削加工によるライフリングの切り方
  5. 塑性加工によるライフリングの切り方
  6. 加工方法・作り方による銃の差
  7. ライフリングの断面形状による種類分け
  8. ライフリングが施されていない銃について
  9. マスケット銃とは
  10. まとめ

ライフリングとは?

ライフリングとは、バレルの内径壁面(銃腔)に螺旋状の溝を掘ることを言います。弾丸がバレルを通る時、溝をガイドにして動くことになります。そして弾丸が発射された時、進行方向に対してコマのように回転するのです。ではなぜ、わざわざライフリングを施してまで、弾丸を回転させる必要があるのでしょうか?

ライフリングの目的

コマのように回転させる

ライフリングで弾丸を回転させる目的のは「命中制度を向上させるため」なのです。それは、コマと同じようなイメージです。コマは横から小突かれても、まっすぐ立ったまま回転しますよね。それと同じで、進行方向に対して弾丸を回転させることで、上下左右からの衝撃(風や気圧、空気密度による影響)に負けることなく、進んでいくことができるのです。

回転によるジャイロ効果

コマが倒れないこと、また弾丸がブレずに発射されること。これらは「ジャイロ効果」と呼ばれています。弾丸が空気を切り裂いて、まっすぐに標的まで飛んでいくことができる銃になるのです。

ライフリングによる性能の変化

ライフリングが開発される以前

ライフリングが開発されるまで、銃の命中精度は低かったのです。例えば日本だと、ライフリングを使わない銃としては、火縄銃が有名です。火縄銃で目標物にヒットさせようと思うと、50~100メートル程度まで近づかなければなりませんでした。そのため、弓の射程外からヒットさせるようなことは難しく、火縄銃は「数打てば当たる」精神で運用されていました。

ライフリングが開発されて以降

ライフリングが一般の銃に普及してからは、飛距離が300メートルほどまで向上。これだけ遠くから狙い撃てるとなると、歩兵は極力体を隠しながら戦うことができます。銃の運用方法・戦略が変わり、戦場での近接戦闘(兵や騎兵など)の機会が少なくなっていきました。現代では、最大で2~3キロメートル、実用レベルでも1キロメートルの狙撃が可能ということです。技術の進歩には驚かされますね。

ライフリングの加工方法

銃のスペックを進化させる上で欠かすことができないライフリング。それを語る上で、性能面だけ考えていてはいけません。当たり前ですが「どのようにそれを作るのか?」という作り方がなければ、机上の空論で終わってしまいます。現代版、ライフリングの切り方について、ご紹介します。

切削加工、削って溝を掘る作り方

最初に考えるのは「銃腔を削って溝を掘る」という加工方法ですね。このように、不要な金属を削り取ることで狙った形状を作る加工方法を、切削加工と言います。溝の部分だけ削り取っているため、削った分だけ材料が減るということ。つまり、加工することで材料の重さが減少します。

塑性加工、狙った形状に変形させる作り方

次に考えるのは、「銃腔に凹みをつける」という加工方法です。これは削るのではなく、銃腔を変形させることで、狙った形状を作る加工方法です。それを、塑性加工と言います。溝を削り取らずに変形させるため、溝を作っても材料が減ることはありません。つまり、加工することで重さが変わらず、かわりに密度が増えるということです。

切削加工によるライフリングの切り方

切削加工の場合、ライフリングの切り方には2つ種類があります。「ライフルカッター」「ライフルブローチ」という方法です。どちらも旋盤という工作機械を使って加工を行います。どちらの加工方法を使っても、溝の形状や精度、素材の特性が変わるわけではありません。適応可能な材料のサイズや材料の硬度などによって、より効率のよい加工方法を選択するのです。両者の違いや特徴、加工のやり方について、主に生産する人の視点からご紹介します。

ライフルカッター

フック形状の刃物を銃腔に押し当てるような切り方で、ライフリングを施します。ライフリングの溝を1本ずつ、合計2~30回に分けて刻むので、手間と時間がかかります。大型の火器など、バレルの内径が大きいものは、この切り方が採用されることが多いです。

ライフルブローチ

ブローチ盤という、特殊な工具を使用します。星型や歯車型、大小さまざまな工具を使ってすべての溝を一気に削るような切り方です。ライフルカッターよりも少ない工数で削ることができます。軍用銃のバレルやリボルバーなど、バレルの内径が小さいものは、ライフルブローチが採用されることが多いです。

旋盤とは?

旋盤とは、材料を回転させて工具のは先に押し付けることで、材料を削る加工方法です。旋盤での加工の場合、回転軸に対して対象な加工ができます。ライフリングは、螺旋形状の溝を銃腔に掘ることが必要です。それは旋盤の得意分野になります。

塑性加工によるライフリングの切り方

機関銃
Photo byDZackCulver

塑性加工の場合も、ライフリングの切り方には2つ種類があります。こちらは旋盤で加工することができません。ライフリングの型を形どった工具を銃腔に押し込みます。それによって、銃腔にライフリングの形を転写させる、という作り方です。

ライフルボタン

ライフルボタンは、銃腔よりも直径が大きい工具に、より径の小さい銃腔を無理やり通す作り方です。それによって、銃腔に溝の形を写し取ることができます。小さな穴に大きな工具を通す、ということですので、バレルに強い力が加わります。

コールドハンマー

コールドハンマーは、ライフルボタンとは異なり、銃腔よりも直径が小さい工具を使用します。直径が小さいので、銃腔の中に工具がスムーズに出入りできます。工具を銃腔にセットしてからバレルを締め付けることで、溝の形を写し取るような作り方です。バレル自体に強い力が加えるため、バレル自体や溝部分の組織が微細化・強靭化されます。

加工方法・作り方による銃の差

性能面

切削加工の方が、溝の深さや精度がよいです。切削加工は、工具次第で好きなように溝を彫ることができるためです。反対に塑性加工は、押し付けられた工具の形状を100%転写させることはできないので、その点切削加工に劣ります。また、銃腔の強靭化は高温になると失われます。そのため、切削加工のほうが、より精度の高い射撃が必要な銃に向いています。

製造面

ライフリングの切削加工と塑性加工を比べると、切削加工の方が製造行程が多いです。切削加工は、工具のサイズを少しずつ大きくしながら、何度も削らなければなりません。反対に塑性加工は、一度の締付けによって溝を作ることができます。そのため、塑性加工のほうが大量生産に向いています。

コスト面

塑性加工のほうが大量生産に向いているので、コストを抑えられます。より高い精度を取るか、コストを取るか、ということです。また切削加工のふたつ、ライフルカッターとブローチは、火器のサイズによってコストが変わります。

火器のサイズと加工方法

基本的には、ライフルカッターで1本1本溝を掘るよりは、ブローチで一気に溝を掘ったほうが簡単です。しかし大型の火器の場合、バレルの内径に合うような大きなブローチ盤を作らなければなりません。これには非常に大きなコストがかかります。そのため、大型の火器の加工にブローチを使うことは少ないです。ブローチは、小型の火器限定ということです。

ライフリングの断面形状による種類分け

ライフリングは、断面の形状によって2つ種類を分けることができます。ひとつは、通常のライフリング。凹形状の溝を切る方法です。もうひとつは、ポリゴナルライフリングです。溝ではなく、バレル側面がねじれています。どちらも目的は同じ、弾丸を回転させることですが、銃腔の形状が異なります。

溝を切るライフリング

通常のライフリングです。銃弾を溝に沿って発射することで、銃弾を回転させます。加工方法も、旋盤を使った切削加工と、転写による塑性加工があります。

ポリゴナルライフリング

もうひとつ、「ポリゴナル」という種類があります。銃腔を、ねじりを加えた多角形にすることで、弾丸を回転させるのです。ポリゴナル式にすると、弾丸が面で接することになります。隙間が減るので燃焼ガスが漏れにくい。すると初速が向上します。また断面が単純な形になるので、摩耗に強くなります。すると破損しにくく、寿命が長くなります。メンテナンスがやりやすいというメリットもありますね。

ポリゴナルライフリングの弱点

ポリゴナル式のライフリングにも欠点があります。ポリゴナル式は、弾丸の回転に限度があるのです。「面で接する」ということは、弾丸と銃腔の接触面が増えるということ。つまり、銃腔から受ける摩擦抵抗が増えてしまうのです。たくさん回転させようとすると、摩擦抵抗で弾が詰まってしまいます。初速やメンテナンス性と、回転数のバランスによって、成り立っているということですね。

ポリゴナル式銃の採用

ポリゴナル式の銃は、ドイツの銃器メーカーH&K社によって実用化されています。世界でもトップクラスの銃器メーカーで、様々な国の軍用銃に採用されています。この記事の末尾には、H&K社に関する徹底解説を載せています。そちらもチェックしてみてくださいね。

ライフリングが施されていない銃について

世の中には、ライフリングが施されていない銃もあります。そのような銃は、用途やメリットに違いがあります。また銃が開発された当初は、ライフリングがありませんでした。そこには、銃の運用や加工といった、技術的な問題点がありました。ライフリングのない銃がどのように運用されるのか?なぜライフリングが施されないのか?命中精度を補うために、どのような工夫がされるのか?といった視点で見ていきましょう。

マスケット銃とは

ライフリングが施されていない銃を、マスケット銃と言います。銃が開発された当時は、筒の中に弾を込め、火薬の爆発で撃ち出すというシンプルな構造でした。当時の遠距離武器は、弓や投石によるもの。それらと比べると、破壊力・飛距離・飛距離のバランスが優れていました。その段階では、ライフリングがなくても十分だったんですね。しかし現代でも、用途によってはライフリングが必要ない銃もあります。近距離で扱う銃、取り回しやすさに特化した銃は、ライフリングがなくても良いんです。また、別の機構によって、命中精度を補う工夫も見られます。そんなマスケット銃の例を3つご紹介します。

火縄銃

火縄銃は、マスケット銃としては1番分かりやすいでしょう。火縄銃は、銃弾を装填する時、銃口の穴から弾を込める構造でした。そのため、銃腔よりも少し大きな弾丸を、ライフリングの溝に沿って回しながら装填しなければなりません。技術的にも、取り回しの点でも難しかったんですね。先に書いた通り、火縄銃の有効射程は50メートルほど。それよりも遠くから火縄銃で狙う場合は、攻撃用というよりは威嚇用でした。

火縄銃の歴史

火縄銃が日本に伝わったのが、1543年の種子島。日本人は、そこから1年で火縄銃の量産まで行っています。しかも、海外のものに比べて高性能に改造する器用さでした。戦での効果も絶大でした。弓を上回る破壊力で、戦のやり方を変えてしまうようなインパクトがありました。連射性能の低さを補うために三段撃ちを採用した、というのも有名な話ですね。

散弾銃

火縄銃のライフリングは、技術的な難しさがありました。しかし散弾銃は、逆にライフリングが不要な銃として有名です。散弾は1発で複数の弾をまき散らす銃です。そのため、弾丸を回転させると飛散パターンが乱れてしまい、散弾の長所である面の制圧力が失われてしまいます。もともと飛距離が出ない銃ですから、ライフリングのメリットも散弾には無意味になってしまうのです。

迫撃砲

安価・取り扱いの容易さ・高い破壊力・連射性能。これらが迫撃砲のメリットです。そのため、ライフリングのような複雑な機構とは相容れないのです。ライフリングを使わずに最低限の命中精度を確保するために、弾丸に安定翼を付けることで対応しています。

まとめ

ライフリングの特徴、作り方、ライフリングが使われないマスケット銃について、見ていただきましたがいかがでしたか?加工からその用途まで、すべて意図があって現在の形になっていることが、おわかりいただけたのではないでしょうか。ライフリングに関する疑問が解消したのであれば嬉しいです。

H&K社の銃が気になる方はこちらをチェック!

H&K社や、ポリゴナルライフリングに関しては、より詳しい記事がございます。ぜひご覧ください。

Thumbドイツの銃器メーカー「H&K」特集!エポック的な銃火器を徹底解説! | 暮らし~の[クラシーノ]
H&Kという銃器メーカーをご存知でか。WW2後に創業された銃器メーカーですが、旧モーゼル社の...

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