H&K「VP70」のスペックや革新的な設計が生み出す性能とは?歴史含めて解説!のイメージ

H&K「VP70」のスペックや革新的な設計が生み出す性能とは?歴史含めて解説!

ドイツの銃器メーカーH&Kの自動拳銃VP70、ホルスター兼ストックを装着することでバースト射撃が可能なホルスターなどH&Kらしい革新的な設計を持っています。ここではVP70の設計や実際の性能、歴史までを解説したいと思います。

2018年10月18日更新

ヤキマ
ヤキマ
サバイバルゲーム、ミリタリーを中心に装備や戦術、軍事関連の記事を作成しています。 サバイバルゲームをもっと楽しめるような記事を作成していきたいです。
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目次

  1. H&K VP70とは
  2. H&K VP70の歴史
  3. H&K VP70の設計はどこが革新的?
  4. H&K VP70の利点は?
  5. H&K VP70の欠点は?
  6. H&K VP70が影響を与えた銃
  7. H&K VP70のような自動拳銃はあるの?
  8. ゲームや映画に登場したVP70
  9. VP70のモデルガン
  10. まとめ

H&K VP70とは

andy_lt_chanさんの投稿
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VP70は、ドイツの銃器メーカーH&Kが1970年代に開発したダブルアクションの自動拳銃です。
このH&K VP70は、銃本体だけでは9mm弾を使用する自動拳銃ですが、ホルスターとして使うこともできるストックを取り付けることで、バースト射撃が可能であるという特徴を持っています。H&K社はなぜこのような特殊機構をもつ拳銃を開発したのでしょうか?
その歴史や特殊な構造、性能を解説していきます。

H&K VP70の歴史

その誕生はナチスドイツ時代の簡易拳銃

出典: https://www.sadefensejournal.com

マウザー製 国民拳銃(Volkspistole)のプロトタイプ

VP70誕生の歴史は第二次世界大戦時のナチスドイツが国民向けの簡易自動拳銃として国民拳銃(volks pistole)というコンセプトを作ったところから始まります。
戦時中に可能な限り大量生産するために、不必要な部分を省略し、簡素化された設計とすることで、低コスト化と生産性をあげる設計でした。この国民拳銃はナチスドイツの敗戦によって実際に配備されることはなく、歴史の表舞台から消滅してしまいます。

H&KがVP70として復活させる

alabama_arsenalさんの投稿
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歴史から忘れられたかに見えた国民拳銃ですが、1960年代にドイツのH&K社が安価な自動拳銃という国民拳銃のコンセプトを近代化することで、発展途上国などの軍事予算が少ない国向けの武器として再開発します。
H&K社は、低コスト化を進めるためにフレームにポリマーを採用、ストライカー式でダブルアクションオンリーのトリガー、ブローバックを単純化するなど革新的な技術を用いた拳銃として設計を行いました。

VP70の現在

moviearmamentsgroupさんの投稿
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VP70は、アフリカや南アメリカの一部で採用されたに止まり、残念ながら商業的に成功したとは言えません。現在では、その歴史と特徴からコレクターズアイテムとして注目されています。

H&K VP70の設計はどこが革新的?

低価格化のために簡易化された構造

eyemkeyさんの投稿
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VP70は低価格化のために様々な工夫が凝らされています。部品点数を少なくするためにスライドを後退させるブローバック構造をショートリコイル方式から、ストレートブローバックとしています。
強力な9mmパラベラム弾で安全にブローバックさせるために、スライドを重くしたり、ライフリングを深く掘ることで発射ガスを前方へ逃し、ガス圧を下げたりするなどの工夫が行われています。トリガーはダブルアクションオンリーのストライカー方式で、トリガーの構造もスライド式トリガーを採用しています。

フレームにポリマーを採用

corbin.762さんの投稿
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VP70は低価格化のためにフレームにポリマーを採用しています。ポリマーフレームの自動拳銃としてはオーストリアのグロックが有名で世界初のポリマーフレームオートと呼ばれることも多いですが、VP70はそれに先駆けてフレームにポリマーを採用しました。部品の一部ではなく、フレームに樹脂を使用した自動拳銃としては世界初の拳銃です。

ホルスター兼ストックを装着しバースト射撃が可能

VP70の特殊な機構として、ホルスター兼ストックを銃の後部に装着することで3点バースト射撃ができる、というものがあります。
Glock18やベレッタ93Rなどフルオート・バースト射撃も可能な自動拳銃の多くは、本体のみでフルオート・バースト射撃が可能です。しかし、VP70の場合、ホルスター兼ストック内にバースト射撃用のメカニズムを備えているため、このホルスター兼ストックを装着しなければバースト射撃はできません。

モデルの共通化によるコスト削減

この設計となった理由は、バースト射撃のない一般向けモデルと軍用モデルの違いをストック兼ホルスターのみとし、それ以外を共通化することができるため、コストを下げることがでるからです。また、ストックをつけることにより安定した姿勢で狙うことができます。

H&K VP70の利点は?

1. 装弾数が多い

mahmoudabdulraheemさんの投稿
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ダブルカラム弾倉により、9mm弾頭を18発、薬室に1発争点することができ、装弾数が多いことが挙げられます。
現在の9mm拳銃の代表であるグロックで17発、SIG P226で16発と現代の拳銃と比べても遜色のない装弾数です。

2. 高威力が狙える

xjoelallenxさんの投稿
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高い発射速度で射撃することで射手の姿勢が変わる前に同じところに複数の弾丸が着弾し高威力が狙える、というものです。
のちのGlock18やベレッタ93Rなども同様の高威力を狙ったものです。

H&K VP70の欠点は?

1. トリガーに問題あり

VP70のトリガーはダブルアクションオンリーとなっており、設計が洗練されていなかった当時のストライカー式トリガーはトリガーストロークが長く、トリガープルが重いという欠点を持っています。
このことは、射手の疲労感を増やすだけでなく、命中率の低下、という問題も起きてしまいます。
 

2. 威力・命中率に問題あり

低コスト化のためにブローバック方式をストレートブローバックにしたものの、強力な9mm弾を使用するためにライフリングを深く掘り、発射ガスが前方から抜ける設計にしました。しかし、この設計のために初速が下がり、9mm拳銃弾本来の威力を発揮できない、という欠点があります。
また、発射速度が早く、3発分の反動が一気にかかるため、反動が大きいという問題もあります。

3. 商業的には失敗した

出典: https://www.irasutoya.com

このVP70ですが、商業的には失敗してしまい、モロッコなど一部の治安部隊に採用されたのみで終わってしまいました。アメリカ軍のトライアルにも参加しましたが、米軍の使用する拳銃弾との不適合もあり、採用はされませんでした。
バースト射撃を無くした民間モデルも販売されましたが、セールス的に優れていたとは言えず、低価格化を目指したにも関わらず比較的高価であったことも売れなかった原因の一つでしょう。現在では、その歴史と特徴からコレクターズアイテムとして有名になっています。
 

H&K VP70が影響を与えた銃

ナチスドイツの国民拳銃として開発され、H&K社によって再開発されたVP70は商業的には成功と言えないものでした。では、ポリマーフレームなどの新技術を投入されたVP70はその後の銃にどのような影響を与えたのでしょうか? ここではVP70以降の拳銃を見てみましょう。

Glockに影響を与えた?

mobius2386さんの投稿
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VP70は、ポリマーフレーム、ストライカー方式の撃発機構、ダブルアクションオンリーのトリガーなど、ポリマーフレームの自動拳銃として大成功を納めたグロック社の拳銃と共通する特徴を持っており、グロックをはじめとしたポリマーフレームの自動拳銃に影響を与えた、と言われています。現代では、安いこと、大量に生産できることが拳銃に必要な要素の一つとなっています。そのため、結果としてグロックとVP70は似たような特徴を持つようになったのかもしれません。

H&K VP70のような自動拳銃はあるの?

拳銃サイズで持ち運びが容易、いざとなればバーストやフルオートでサブマシンガン並みの火力を発揮できる、そんな夢のような性能をもつVP70ですが、VP70以外にそういった特徴を持つ銃はあるのでしょうか。
ここではそんなマシンピストルを紹介したいと思います。

Glock G18

ポリマーフレームの自動拳銃で有名なグロック社のグロック18です。オーストリア軍の特殊部隊の要請によって開発され、フルオートでの発砲が可能ですが、フレームがポリマーであり軽量であることなどから、フルオート発砲時は反動が大きく集弾性は低下してしまうそうです。
東京マルイなどからガスブローバックガン、電動ハンドガンとして発売されています。

ベレッタ モデル93R

blackjarlさんの投稿
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米軍のM9ピストルでも有名なイタリアの銃器メーカーベレッタ社のマシンピストルがモデル93Rです。火力とコントロールを両立するためにフルオートではなく、3点バーストとし、バレルを延長、跳ね上がりを防ぐために銃口近くにポートを設け、トリガーガード前には折りたたみ式のグリップがついています。
東京マルイやKSCから、電動ハンドガンやガスブローバックガンとして販売されています。

マウザー C96(M712)

mauser_c96さんの投稿
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ドイツの拳銃メーカーマウザー製の自動拳銃で、モーゼル・ミリタリーとしても有名です。このC96のコピー品アストラM901に影響される形で、マウザーC96にもフルオート機能がついたものがあります。コントロールを容易にするためにホルスターを兼ねるストックをつけられるなど、VP70に共通する特徴があります。

ゲームや映画に登場したVP70

自動拳銃でありながら、ストックをつけることでバースト射撃も可能、という特色をもつVP70ですが、ゲームや映画でその特徴を生かした活躍はあったのでしょうか。
ここではVP70が登場するゲームと漫画を2種類紹介します。
マイナーですが特徴的な銃ですので探してみると面白いかもしれません。

バイオハザードシリーズ

mo5atimさんの投稿
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カプコン製のサバイバルホラーゲーム「バイオハザード」シリーズに登場する警察官、レオン・S・ケネディがVP70を使用しています。
ゲーム内では「マチルダ」として登場し、特徴的なストックや3点バーストも再現されています。

ガンスリンガーガール

漫画「ガンスリンガー・ガール」では、登場人物の一人、クラエスがVP70を持って射撃している場面があります。こちらもストックをつけて射撃していますね。

VP70のモデルガン

ホルスターも兼ねるストックをつけることでバースト射撃ができるという特徴をもつVP70ですが、VP70をモデルとしたモデルガン、エアガンはあるのでしょうか?
ここでは、VP70をモデルアップし、その特徴を再現した2種類のエアガンを紹介します。
 

MGC製 VP70モデルガン

1960年代に、日本で初めてモデルガンを製造し、「モデルガン」という言葉を作った歴史ある会社、株式会社MGCからVP70のモデルガンが発売されています。
トイガンデザイナーとして有名な小林太三氏の設計で、ホルスター兼ストックをつけることで実銃と同様にバースト射撃を楽しめる、という特徴があります。ただし、作動は不安定で少数が発売されたに留まったようです。現在ではMGCという会社はなくなり、VP70はオークションなどで入手するしかなさそうです。

タニオ・コバ製 VP70

MGCのトイガンデザイナーであった小林太三氏が独立し、エアガン・モデルガンメーカーであるタニオ・コバを設立し、ガスブローバックガンとしてVP70をモデルアップしました。こちらもホルスター兼ストックを取り付けることでバースト射撃が可能、という特徴を持っています。タニオ・コバは現在でも存在しますが、VP70はなかなか流通しておらず、こちらもオークションでの入手しかなさそうです。

まとめ

rick_makes_stuffさんの投稿
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VP70は、当時としては革新的な技術で設計されながらも性能や価格面、セールス的には成功と言えない銃であったようです。
VP70が達成しようとした低価格化と大量生産は現代の軍用拳銃には必要な要素の一つでしょう。しかし、ナチスドイツ時代の国民拳銃のコンセプトだけでは戦後の世界では魅力に欠けていたのでしょう。
しかし、VP70の技術的なチャレンジははG36やG11、MP5など数々の傑作銃を生み出したH&Kらしいものではないのでしょうか。
 

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