40S&W弾とは?
10ミリオートを元にしてS&Wとウィンチェスターが共同で開発したカートリッジです。40とは40/100インチのことで、センチ表記だと10ミリ口径ということになります。
40S&W弾が登場した背景とは?
「マイアミ銃撃事件」の再現ビデオです。結構面白いです。
1986年に起きたマイアミ銃撃事件で9ミリパラベラムとホローポイントの威力に対して不信感を持ったFBIは、1988年にブレン・テン用に開発された10ミリオートを採用しました。10ミリオートは「コンバットシューティングの神様」と言われたジェフ・クーパーが「45ACPのストッピングパワーと9ミリパラベラムの貫通力を持ち合わせた理想のカートリッジ」としてブレン・テンの開発時からバックアップをしていたカートリッジです。
ウインチェスターのホローポイントについて
1980年代中頃まで、アメリカの公的機関では、リボルバーをオフィーサー達に官給品として装備させていました。何故、アメリカの公的機関がリボルバーに全幅の信頼を寄せていたのかは、「S&W M500」の記事で詳しく述べたので、興味のある方は、そちらを御覧ください。そのころのポリス達は「357マグナムでは強力すぎる、しかし、38スペシャルでは威力が足りない」ということを感じていました。
シルバーチップホローポイントは神話だった
そこで彼らは、「38スペシャル+p+」という38スペシャルの強壮弾とウィンチェスター社の「シルバーチップ・ホローポイント」という弾頭の組み合わせのカートリッジで非常時に備えていました。ウインチェスター社が開発した「シルバーチップ」というブランド名のホローポイント弾は、最高のホローポイントという評価を得ていたのです。そのシルバーチップ・ホローポイントで犯人を即座に制圧できなかったことに、FBIはショックを受けたのでした。
ジェフ・クーパーはコンバットシューティングの神様だった
ジェフ・クーパーは、「ガン・サイト・トレーニングセンター」を主催し、軍人やポリス関係者達に「モダン・コンバットシューティング」をレクチャーしていたため、銃器関係の世界では、多大な影響力を持っていました。
40S&W弾の元となった10ミリオートの威力とは?
9ミリオートのフレームでは撃てなかった
しかし、実際にFBIで10ミリオートを採用してみると45ACPのケース長をそのまま使ったカートリッジであるため、9ミリパラベラム用セミオートピストルからのコンバートは無理で、大柄な45ACP用ハンドガンのフレームを使ったピストルからしか撃てず、グリップが太く握りやすい銃とは言えませんでした。
リコイルのキツさにFBI関係者達はヘタレた
10ミリオートでは200grという45ACPの重さに近い重量の弾頭を、9ミリパラベラム並の初速で撃ち出すために、10ミリオートの威力はリボルバーの357マグナムに匹敵していました。それまで、38スペシャル+P+や9ミリパラベラムのウィンチェスター・シルバーチップ・ホローポイント弾を使っていたFBIのオフィーサー達には、反動が強く連射もし辛いため、けっして使いやすいカートリッジにはなりえませんでした。
40S&W弾と10ミリオートの違いとは?
「FBIロード」の登場
そのため、FBIでは、10ミリオートの装薬量を減らし、減装弾を作ったのです。これが「FBIロード」と呼ばれるカートリッジであります。しかし、その「FBIロード」を見ていたS&Wとウィンチェスターの技術者の2人が、ある疑問を持ちました。「装薬量を減らすのなら、ケースの長さを短くしてもいいんでぇねぇの?」と。そこで、10ミリオートのケース(薬莢)長を3ミリ短縮させて、10ミリオートの弾頭を深くねじ込んだカートリッジを開発したのです。
こうして「40S&W弾」はデビューした
これが、「40S&W弾」と呼ばれるカートリッジのデビューです。40S&W弾は、ケース長は9ミリパラベラムより3ミリ長く45ACPと同じですが、弾頭を深くケース内に潜り込ませているため、カートリッジの全長自体は9ミリパラベラムよりも短くなっています。そのため、9ミリオートのフレームからコンバートが可能でグリップも10ミリオートや45ACPよりは、握りやすくなっています。S&Wでは「9ミリルガーより制圧力が高くて、45ACPよりはリコイルがマイルドなカートリッジ」として自画自賛しています。
40S&W弾がハンドガンに与える影響は?
40S&W弾は主に9ミリパラベラムを使うオートハンドガンをベースに開発されています。40S&W弾の威力は9ミリパラベラムよりは高いので、リコイルスプリングを長くし、強化ハンマースプリングを施して、強い反動に対応してます。フレームに対しても、リコイルスプリングガイド後端にバッファーを入れるなどして、ブローバック時の衝撃からフレームを保護する対策を施しています。
セミオートハンドガンも進化している
最近のモダンオートハンドガンは、MHS(モジュラー・ハンドガン・システム)に沿った開発がなされているので、ポリマーフレーム採用で、バックストラップを交換でき、ユーザーの手の大きさにグリップをカスタマイズできるので、10ミリオートがデビューした頃のハンドガンよりは、40S&W弾を使うハンドガンは撃ちやすくはなっています。
40S&W弾に対する反応は?
40S&W弾がお披露目された時の、周りの反応は冷ややかなものでした。S&W4006を使った実験で、50ヤード先のターゲットを狙った結果、最大で20センチもポイントオブインパクトがズレてしまったからです。これは、40S&W弾自体のせいではなく、S&W4006を簡単な手抜き改良だけで実験に使ったため、リコイルが強くなり狙いが大きく逸れたためです。
初期ロットには手を出すな!
また、各カートリッジメーカーも、40S&Wを製造し始めた頃は、初期トラブルが発生したため、ユーザーからは不評をかいました。「45ACP並のリコイルなのに10ミリよりは弱虫」とか陰口を叩かれましたが、元々ポテンシャルの高いカートリッジなので、時と共に評価が上がりだし、FBIを始めとする公的機関にも採用されるようになっていきます。
40S&W弾の実銃とガスブローバックガン
サバゲー用40S&W仕様のハンドガンとは?
ここからは、40S&W弾を使う実銃と、その銃をモデルにしたガスブローバックガンをご案内します。全てをご案内することはかないませんので、サバゲーを始めたい方や、ビギナーの方が使いやすいガスブローバックガンをメインにご紹介します。
40S&W弾採用の実銃①HK USP
ドイツ最大の銃器メーカーでミリポリ関係者に絶大な信頼をされているH&K社のUSPシリーズには、9ミリパラベラム、45ACPと共に、40S&W弾がラインナップされています。ポリマーフレームとユニバーサルデザインを採用したこのUSPシリーズは、多くの公的機関で制式採用されているハンドガンです。
40S&W弾用ハンドガン①HK USP
東京マルイ ガスブローバック HK USP コンパクト 本体のみ 4952839142641 エアーガン ガスガン ハンドガン 18歳以上 0529gn
東京マルイから販売されている「USP」シリーズはいずれも9ミリパラベラムの実銃をモデルアップしていますが、これからサバゲーを始める方や、ビギナーさんにとって使いやすいガスブローバックガンなので、ご案内します。
40S&W弾採用の実銃②グロックG22
グロックの40S&W弾仕様のモデル名は、わりと分かりやすいナンバーリングがされています。基本となるモデルがG22、コンパクトモデルがG23、ロングスライドがG24となっています。装弾数は22と24が40S&W弾を15発、G23が13発で十分なファイアーパワーを要しています。これ以上の弾数が必要な状況なら、コンバットシューティングというよりも、シビル・ウォーと言ったほうが良いでしょう
40S&W弾用ハンドガン②グロックG22
東京マルイ GAS-BLK : グロックG22 [取寄]
東京マルイのG22は刻印もしっかりと40S&Wと入っています。グロックの特徴は、必要なときにホルスターから抜いて撃つだけという余分な操作が一切いらないシンプルなものなので、これからサバゲーを始める方やビギナーさんにとっては、入門用ハンドガンとして使いやすいのでおすすめします。
40S&W弾採用の実銃③S&W M&P
S&Wにとって「M&P」と言うのは、特別なネーミングです。1899年に開発したリボルバーM10に「ミリタリー&ポリス」の名を与えて以来、他のモデルには決して譲らないネーミングでした。リボルバーのM10を357マグナム化したのが「コンバットマグナムM19」であり、それをステンレス化したモデルが名銃「M66」なのです。そのM&Pの名をオートピストルに与えたのは、公的機関の装備がオートに取って代わった象徴でしょう。
40S&W弾用ハンドガン③S&W M&P
【東京マルイ】S&W M&P9 vカスタム (18歳以上ガスブローバック)
東京マルイのS&W M&Pの操作感は、ほぼグロックと同じなのですが、違う点はマニュアルセフティーレバーが付いているところです。また、実銃ではカートリッジが装填されている時にチャンバーを上から見ると真鍮のケースが見えるのですが、東京マルイのM&Pではこのギミックを再現してくれています。このあたりの遊び心は嬉しいものです。
40S&W弾採用の実銃④スプリングフィールドアーモリーXDM-40
スプリングフィールド・アーモリーはM14のセミオートモデルやM1911の良質なコピー製品で売上を伸ばしていた銃器メーカーです。現在ではクロアチアから製造権を買い取ったHS2000というポリマーオートを自社で生産してXDシリーズとして販売しています。
40S&W弾用ハンドガン④東京マルイXDM-40
☆今ならガンケース付き!! ガスガン 東京マルイ XDM-40 ブローバック【エアガン/エアーガン】
東京マルイのXD-Mシリーズも基本的にはグロックと同じ操作で使えますが、独自の特徴として、グリップセフティーとコッキングインジケーターが上げられます。グリップセフティーはM1911A1ガバメントのようにシッカリとグリップを握り込まないと発射できない仕組みです。スライド後端には、装填時のピン状のインジケーターが飛び出すので、ダブルロードを防いでくれたり、暗いところの装填チェックを指で確かめられるので、便利なきのうです。グリップセフティー付きのハンドガンの操作に慣れていない人には、グリップセフティーに少し戸惑うかもしれません。
40S&W弾の行方は?ーまとめ
2014年のなってFBIは今まで採用していた40S&Wから再び9ミリパラベラムに採用口径を戻すとアナウンスしました。威力に不信をもって、9ミリパラベラム⇒10ミリオート⇒40S&Wとしてきたのに再び9ミリパラベラムに戻すとのことです。多くの人がこれを聞いたときに頭の中は「???」状態でした。それに対してのFBIの見解は、
1,銃撃戦でほとんどの弾は相手に当たっていない。
2,当たらなきゃどんな威力の弾も関係ない
3,銃創を調べてたら、9ミリパラベラムだろうが40S&Wだろうが大差ない。
4,相手を制圧するにはどんな弾が当たったかではなく、相手のどこに当たったかが重要である。
5,弾の効果に差がないのなら、コストの安い9ミリパラベラムでいいでぇないの?」ということらしいです。結局、30年かかって振り出しに戻っちゃいましたね。
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