検索アイコン
エックス
Facebook
LINE

真空ポンプの原理や種類ごとの用途まで、基礎知識をご紹介!

真空ポンプの原理や種類を紹介します。真空ポンプは真空ポンプでも、種類のよってはその用途も異なります。そもそも真空空間となんなのかなども説明します。真空ポンプに関する基本的な内容をここでは紹介し、基礎知識の習得に役立ててください。
更新: 2021年9月27日
tryyua
※商品PRを含む記事です。当メディアはAmazonアソシエイト、楽天アフィリエイトを始めとした各種アフィリエイトプログラムに参加しています。当サービスの記事で紹介している商品を購入すると、売上の一部が弊社に還元されます。

目次

この記事で紹介しているアイテム

ULVAC ドライ真空ポンプ 100V DA20D

はじめに

真空ポンプという工業機器があります。今回はこの真空ポンプの紹介です。どのような機器なのか、その仕組みや原理を説明します。また、真空ポンプといっても様々な種類があります、ここでは数種類の代表的なものを取り上げ、それらを紹介します。

そして、どのような原理・仕組みで真空ポンプが機能しているのかも説明します。真空ポンプの仕組みや構造を知りたい方には必見です。真空ポンプは一体どのように機能しているのでしょうか。実際に販売されている製品のスペックも取り上げてチェックも行います。

真空ポンプとは

真空状態を作るポンプのこと

真空ポンプは真空状態を作り出せるポンプのことです。真空状態を生み出すメリットは、真空状態の環境で作業することで製造できるものが数多くあるということです。

私たちの日常生活に普及している製品の多くが真空状態によって加工され、作られ、私たちの手元に届きます。日常生活を新たな視点で見られるので、真空ポンプの仕組みを知るメリットがあるのです。

真空状態とは

そもそも、真空状態とはどのような状態を指すのでしょうか。JISにおいて真空状態は、ある空間における気圧の大きさが大気圧より低くなっている状態、このように定められています。大気圧というのは、空気中にある物体全てに必ずかかる圧力のことです。

私たち人間が立っているときでも、空気中から圧力、つまり大気圧がかかる資源の原理が発生しています。

基準として1つ例を挙げると、例えば、海水面上で発生する大気圧は約1013hPa(ヘクトパスカル)です。この約1013hPaは1気圧(1atm)とも呼ばれます。約1013hPa=1気圧(1atm)ということです。

メガネやテレビなど、日常的に使用している製品の製造工程でもこの真空空間を作り出すという作業工程が含まれています。なぜならそれによってこれらの製品に必要な加工がなされるからです。また、真空空間では物体の酸化を防止できます。このように、私たちの日常生活と真空は切っても切れない関係なのです。


真空ポンプの種類

油回転真空ポンプ

油回転真空ポンプは経済性や操作性に優れている機械的ポンプです。油回転真空ポンプが誕生したのは20世紀、1900年代初頭です。

開発されてから1世紀近くを経ている歴史ある真空ポンプになります。ポンプ機構内部にある回転部に専用の油を使用し、回転効率を高めています。

油回転真空ポンプのメリットは、小型で価格もそれほど高くない、新たに据え付けるのも容易、それにもかかわらず10pa以下の真空状態を生み出せることです。デメリットは真空ポンプオイルの取り扱いが複雑で、注意して管理しなければならないことです。

ドライポンプ

ドライポンプは、ルーツ型ドライ真空ポンプを代表とする油や液体を使用しない機械式真空ポンプです。製造業、例えば電子産業や半導体産業、FPD産業などでの歩留りを向上させ、さらに整備性を高める必要があります(どこの業界でもですが)

ドライポンプはそのような用途のために選ばれる真空ポンプです。また、真空蒸留や殺菌、消毒などにドライポンプの技術が生かされています。後述するメカニカルブースターポンプと合わせた使い方で、大気圧でも到達気圧でも圧縮や排気ができます。

メカニカルブースターポンプ

メカニカルブースターポンプは真空ポンプの排気速度を高めるために真空ポンプに組み合わせて使われるものです。ある一定の圧力領域では粗引きポンプ(すでに紹介した油回転真空ポンプやドライポンプなどのこと)の排気速度が低下してしまいます。

そこでこのメカニカルブースターポンプをこれらの真空ポンプに組み合わせて排気速度を高める使い方をするのです。10KPa~0.1Paの範囲での排気速度が向上しますが、逆流が発生する場合があるので注意が必要になります。

ダイアフラム真空ポンプ

ダイアフラム真空ポンプは低真空環境で使用できる機械式真空ポンプです。ダイヤフラム機構を駆使して排出が行われるのでこのように呼ばれています。機械式真空ポンプですので油も液体も何も必要ありません。

真空ポンプを使った時に高い衛生面を保ちたい、そのような場合には油の蒸気などが発生しないダイヤフラム真空ポンプが活躍します。

真空ポンプの仕組み:油回転真空ポンプを例に


仕組み1:回転翼形油回転真空ポンプ

油回転真空ポンプの形式種類1つめは回転翼形油回転真空ポンプです。シリンダーの吸気口から空気を取り込みます。ローターに組み付けられているベーンと呼ばれる部品があり、その2つのベーンによってシリンダー内部に取り込んだ空気を圧縮して変化を起こしながら、最終的に排気口から吐き出す、このような仕組みになっています。

仕組み2:カム形油回転真空ポンプ

油回転真空ポンプの形式種類2つめはカム形油回転真空ポンプです。ステータ内部にあるローターがステータの内壁の一部分に接しながら回転する仕組みになっていて、その回転に合わせて吸気口と排気口の間にスプリングと接するベーンが開閉します。

ベーンはこの時、吸気側・排気側両方のシールとしても機能する仕組みとなっています。ローターとベーンの上下運動で吸気口から入った空気を排気口から出す真空排気が行われる仕組みです。

仕組み3:揺動ピストン形油回転真空ポンプ

油回転真空ポンプの形式種類3つ目は揺動ピストン形油回転真空ポンプです。吸気口からベーンガイドを経由して入った空気がローターの上下首振運動によって容積に変化を引き起こされます。それによって排気弁から空気が排出されるのです。

いずれの真空ポンプの形式も、共通しているのは吸気口から取り込んだ空気をローターの回転運動を活用して排気側から排出されるという原理です。

真空ポンプの選び方

選び方1:排気速度で選ぶ

選び方の1つは排気速度で真空ポンプを選ぶ方法です。10種類以上ある真空ポンプですが、それぞれの排気速度は異なります。そのため、実際の作業で最低限必要な排気速度を持っている真空ポンプを選ぶ必要があります。


選び方2:使い方・用途で選ぶ

使用用途や使い方によって選ぶ真空ポンプも違ってきます。長時間使用するのか、または携帯してどこかへ持ち運んで使用するのか(それなら小型のものは持ち運びやすい)など、目的に合わせて真空ポンプを選ぶ必要があります。

小型でスペックが高く、重量が少ないものなどは出先で活躍するでしょう。使用用途をはっきりさせたうえで購入しましょう。

選び方3:真空到達度

真空ポンプの真空到達度で選ぶ方法もあります。真空到達度が低い数値であればあるほど真空具合が高いです(なお単位はミクロン)。より真空具合を高くしたいなら、真空到達度の低いものを選ぶ必要があります。用途に十分な真空ポンプを選びましょう。

真空ポンプ製品の紹介

ULVAC ドライ真空ポンプ 100V DA20D

出典:Amazon

アルバック機構のダイアフラム型ドライ真空ポンプの49,900円モデルのスペックです。消費電力の増加や到達圧力が下のグレードと比べて高いですが、排気速度は比較して遅くなっています。到達圧力は26.6×103Paとなっています。グレードが上がるにつれて重量が増え、到達圧力が小さくなる傾向がみられます。

まとめ

真空ポンプを使えば真空空間を作り出せます。そして真空ポンプやその技術のおかげで様々な製品が製造され、私たちの生活が成り立っているのです。その真空ポンプにも様々な種類があり、小型サイズや大型サイズのものなど、一概に真空ポンプと説明するのは難しいところがあります。

価格も決して安くはありませんので、購入する際には使用用途や必要スペックをチェックしましょう。真空ポンプが私たちの生活を支えているといっても過言ではありません。

ぜひ機会がありましたら、真空ポンプ製品についてさらに調べたり、真空を活かした製品づくりなどにも興味・関心を広げていただければ幸いです。