弾丸の種類とは?
弾頭の違いと火薬の量
拳銃などに使われる弾丸には数々の種類があります。その違いを分けているのは大まかに分けると弾頭の種類と火薬の量によって分類されます。弾頭の種類によって着弾時の効果が変わって、火薬の量によって純粋な威力が変わります! ミリタリーマニアならどれだけの銃弾を知っているかという熱い話し合いが行われていますね。
口径が大きくなれば火薬の量は増えている?
弾丸の種類としてまず出てくるのが「口径」ですね。口径というのは弾丸の直径のことで、口径が大きければそれだけ弾丸の質量や接触面積が増えるので威力が上がります。
また、口径が増えると弾頭をより強く押し出す力が必要になるので火薬の量も増えますが、弾の種類によってはわざと火薬の量を減らしたり増やしたりすることで効果を変えている銃弾も存在します。
弾頭の形で全く違う効果に!
弾頭というと円錐形のとんがったライフル弾がふと思いつきますが、弾頭の形というのはとても重要で少しだけでも形が違うだけで弾が当たった時の効果が変わります。
そのために弾頭の種類というのは非常に多くて目的に合わせて数々の弾丸を使い分ける必要が出てきています。また弾頭に使われる素材や被覆によっても大きな効果の違いが生まれます。
フルメタルジャケット弾とは?
銅合金で覆われた弾頭
フルメタルジャケット弾とは弾頭のコアが合金によって全て覆われた弾丸です。日本語では被覆鋼弾、完全被甲弾などと呼ばれることもあります。完全被甲弾に似たような名前で徹甲弾がありますが、全くの別ものですので気をつけてください。
一般的なフルメタルジャケット弾の仕組みは鉛のコアを銅合金で覆われたもので、拳銃弾からライフル弾までほぼ全ての口径において存在する種類の弾頭です。
もっともポピュラーな弾丸
フルメタルジャケット弾がポピュラーな理由としてはいくつかの理由があります。まずは生産性が高く普及しやすいからですね。
ただの円錐形に銅合金を被覆させればいいだけですのでコストなどにおいて非常に利点があり、軍隊などの弾薬を大量に必要とする団体に好まれます。また弾丸の効果としてもシンプルな効果を発揮するシンプルな構造なことから安定した需要が存在します。
あんまり呼ばれない「完全被甲弾」
日本においてフルメタルジャケット弾の名前は「完全被甲弾」と言いますが、実際には完全被甲弾などと呼ばれていることはほぼありません。完全被甲弾と呼ぶよりもフルメタルジャケット弾というほうがゴロや印象が強いからでしょうか、表記する際にも「FMJ弾」と頭文字3字で表現できますから完全被甲弾などと書かれることもほぼありません。
フルメタルジャケット弾の構造
シンプルな構造と仕組み
フルメタルジャケット弾は非常にシンプルな構造で作られています。構造的には弾芯(コア)である鉛と被甲(ジャケット)である銅合金の2種類だけで、仕組みとしても単にコア全体を被覆しているだけです。しかし、このシンプルな構造と仕組みだからこその効果や安定性が強みとなっています。
コアの鉛
フルメタルジャケット弾の弾芯には比重が高く目標に命中した時に変形しやすい鉛が使われています。過去には鉄なども使われていましたが、比重や値段などから現在フルメタルジャケット弾に使われているのは鉛となっています。
ジャケットの銅合金
フルメタルジャケット弾の被覆には銅や銅合金などの固めの金属が使われます。この被服は弾頭のほぼ全面を覆っていて、唯一弾頭の底部のみコアの鉛が露出しています。弾頭が目標物に当たった際の変形を防ぐためですから、底部は覆う必要がないんですね。
フルメタルジャケット弾の「ジャケット」とは?
銅合金である真鍮がジャケット!
フルメタルジャケットに使われている合金はギルディングメタルと呼ばれます。銅や銅合金が多く使われていて銅95%、亜鉛5%の真鍮(黄銅)が主に使われます。
真鍮は銅と亜鉛、錫などの配合を変えることによって硬度などを変えられる合金で、日本では500円硬貨や5円硬貨など多くの硬貨が真鍮製です。メッキなどとは違ってしっかりと厚みをもって覆われているのでかなりの硬度があります。
スチールジャケット弾というのもあるが?
弾丸の種類にはスチールジャケット弾というものもあります。これは軟鉄のコアに銅合金をメッキしたもので、外見こそ非常にフルメタルジャケット弾に似ていますが、実際には性質がまったく異なります。
スチールジャケット弾はコアを軟鉄にすることで対象に命中した際のコアの変形を防ぐ効果を重視しています。銅合金もフルメタルジャケットダンのようにしっかりとしたジャケットではなくメッキで塗装された薄い皮膜で、変形を防ぐ効果はありません。
フルメタルジャケット弾の性能
優れた貫通能力
フルメタルジャケット弾は銃弾の先端から銅合金でジャケットされているので非常に硬く貫通力にすぐれます。用途としてはどのような状況でも使えますが、その貫通力の高さから街中で使うことは二次被害を産む可能性があるといして危惧されています。
貫通力のテストではコンクリートの板を軽々貫いて長さ30cmの人体ゼリーすらも貫通するなど凄まじい威力を出しています。
人体への効果は薄い
貫通力の高いフルメタルジャケット弾ですが、人体などに大しての効果は高いとは言えません。人体に当たった時に弾丸の運動エネルギーが効率的に伝わればダメージが大きいですが、フルメタルジャケット弾の場合は運動エネルギーが伝わらずに貫通してしまうのでダメージは低いです。
勿論当たり所によっては重症や致命傷になりますが、安定したダメージを与えるのならば他の弾丸を使うのが良いですね。
フルメタルジャケット弾はなぜ必要なのか?
銃へのダメージを少なくするため
フルメタルジャケット弾が全面をジャケットする理由には発砲の際の銃口へのダメージを防ぐためです。鉛がむき出しの弾丸を発砲するとライフリングや銃口に鉛のカスが付着します。
カスが付着すると弾道の安定や暴発の原因などにつながるので掃除する手間が多くなりますが、フルメタルジャケット弾だと汚れの付着が少なくなるので銃へのダメージが少なくなる利点があります。
防弾チョッキを貫くため
防弾チョッキは弾丸の進入を防いで致命傷になるのを防ぐ効果を持っています。近年の防弾チョッキは高性能になっているので貫通力が高い弾丸でないと貫通することができません。そのために効果的なのはフルメタルジャケット弾で通常のフルメタルジャケット弾から弾芯に鉄系素材を用いたフルメタルジャケット弾が特に有効だとされています。
敵兵に必要以上の苦痛を味わせないため
弾丸にはソフトポイント弾と言って鉛の露出した弾丸があります。ソフトポイント弾は標的に命中すると変形したり砕けたりして重要なダメージと苦痛を与えます。
しかし、戦争においては不必要な痛みを与えることは人道に反するとしてソフトポイント弾の一種などであるダムダム弾などは使用が禁止されています。フルメタルジャケット弾は変形等が少ないため不必要な苦痛を与えずにダメージだけを伝えることが出来きます。
フルメタルジャケット弾とダムダム弾の関係とは?
ダムダム弾の効果
ダムダム弾とはイギリスで使われていた「.303ブリディッシュ弾」というソフトポイント弾が元で、ダムダム弾が人体に命中すると激しい変形と破片化がおきてダメージを増加します。
激しい変形で傷口が広がることと、砕けた鉛の破片が体内に残ることで鉛中毒を起こしてしまうなど、その場で死亡しなくても後々に悪影響が出るなどのえげつない効果があります。
禁止されたダムダム弾
ダムダム弾はその効果から非人道的として1899年にダムダム弾禁止宣言にて戦争で使うことを禁止されました。
この宣言の中で「各国は、弾丸全体を強固な外皮で覆わず、人体命中時に容易に変形をする弾丸を用いないこと」とされたので、各国は戦争に使う弾丸としては安定した効果と生産性、どんな口径でも使えるフルメタルジャケット弾を使うようになりました。
フルメタルジャケット弾の特殊な効果
鉛が露出しないので汚染が少ない
戦場などで使われた弾丸はそのまま残り続けますが、過去に使われていた鉛が丸出しの弾丸は大地によっては有害で鉛汚染を引き起こしていました。猟銃用の鉛弾丸を野鳥が飲み込んで死んでいた件が有名でしょうか。フルメタルジャケット弾は銅合金によって覆われているので、比較的に大地などへの汚染が少ないことが挙げられます。
人体でも鉛中毒になりにくい
鉛の弾丸が体内に残った場合は鉛中毒を起こして将来的に重度の障害が発生します。フルメタルジャケット弾は弾頭が銅合金で覆われているので、体内に弾丸が残ってしまったとしても鉛中毒になりにくいという点と変形や破片化しにくいので摘出しやすいことが挙げられます。
フルメタルジャケット弾は日本の警察で使われている?
日本の警察が使う銃と弾
日本の警察が使う拳銃はいくつありますが、よく目にするのは「SAKURA M360J」というS&WM360を改造したものです。使用する弾丸の口径は.38スペシャルでフルメタルジャケット弾を使用しています。.38スペシャルはほぼ直径9mmの弾丸で仕組みとしてもシンプルな弾丸です。
貫通力の高さが問題に?
度々ニュースで警察官が発泡したことが問題になりますが、中でも弾丸が容疑者の体を抜けてしまった時にはフルメタルジャケット弾の名前があがります。
貫通力の高いフルメタルジャケット弾が体を抜けてしまうことで周りの人に当たることが危惧されてるのです。このことからマンストッピングに優れるホローポイント弾などに変えるべきだという声が上がっています。
適切な銃弾とは?
日本の警察が使うのに適している弾丸はホローポイント弾だという声が上がっていますが、ホローポイント弾は人体に対する威力が高すぎて容疑者を死なせてしまうのではないかという懸念も上がっています。このため、昔から今に至るまで警察が使用する弾丸は何が良いかという議論が続いています。
フルメタルジャケット弾のまとめ
数ある弾丸の一種ですが
フルメタルジャケット弾は数多くある弾丸の一つですが、その中でももっともポピュラーな弾丸の一つでしょう。軍隊において使用する弾丸がフルメタルジャケットだけに決められているのも大きいですが、シンプルな仕組みが民間にも気に入られています。
これからも弾丸の種類は増えていくと思いますが、フルメタルジャケット弾は基本的な弾丸としていつまでも使われることでしょう!
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