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ヒートテックはなぜ暖かい?その仕組みと原理を解説!弱点はあるの?

ヒートテックはなぜ他の衣類よりも暖かいのでしょうか。ヒートテックを正しく安全に使うためにはその発熱の原理と仕組みを正しく理解しておく必要があります。仕組みと原理を知ることでヒートテックの弱点と問題点を知り上手にヒートテックを使いましょう!
更新: 2024年1月14日
石倉
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目次

はじめに

ヒートテックをご紹介!

寒い季節にはもはや必需品とまでなってきているヒートテック。なぜこの素材は他の衣類と比べて暖かいのでしょうか。他の衣類と比べて特別分厚い生地を使っているというわけでもなく、むしろ薄いと言えるほどのものなのに暖かい。

ユニクロと東レが生み出したこの驚異の素材について今回は取り上げていきます。

ヒートテックとは

ユニクロと東レの共同開発

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ヒートテックは、実は素材の名前です。この素材はリーズナブルな価格で高品質な衣類を提供していることでお馴染みのユニクロと、世界にその名前を轟かせている繊維会社である東レが共同で開発した画期的な新素材となります。

ヒートテックの圧倒的な発熱性能

この素材、誕生したのがいつなのかご存知でしょうか。この素材が世に出たのは2003年です。

発売時には「こんな薄い生地で本当に暖かいのか?」とその機能を疑問視する方も多かったのですが、またたく間にその圧倒的な機能に魅入られ、今や老若男女問わずに普及するまでとなりました。

ユニクロと東レがパイオニアに

その後に続くように類似の競合製品がユニクロと東レ以外の各メーカーから販売されるようになった、まさに防寒衣類界のパイオニアとも呼べるほどの存在なのです。

ヒートテックの仕組み

発熱の仕組みは他の衣類と同じ

そもそもなぜ、この素材は暖かいのでしょう。その秘密はこの繊維素材の仕組みにあります。もともとの原理を突き詰めると他の衣類と共通しています。例えば、羊毛のセーターがありますが、なぜ羊毛のセーターは木綿のものよりも暖かさを感じるのでしょうか。

「吸湿発熱」

これは「吸湿発熱」という仕組みを利用しているからなのです。

人体はアイドリング状態、何もしていない状態でも毎日、数百mlの水分を放出しています。よく、人が一日に活動するには数リットルの水分が必要だと言われますが、ただ横になっているだけでも人は水分を消費しているわけです。

摩擦で熱を生み出す原理

この水分が細かな繊維にくっつくと、水分の粒が繊維の間でこすれて結果として「熱」を発生させるという仕組みが吸湿発熱という原理なのです。羊毛のセーターなどはとりわけこの現象が起こりやすい衣類なので、数百年前から防寒衣類として人に利用されてきたわけですね。

ヒートテックの原理

吸湿発熱の原理をパワーアップ

この原理に着目してさらにパワーアップさせたのがヒートテックという素材です。

水分をより多く吸える素材というのは一般的にはそれなりに厚みがありかつお手入れが面倒であるなど普段使いには少し難がありました。そこで、より薄くより暖かい素材をとユニクロと東レが鋭意開発努力を重ねた結果、誕生したのがこの素材です。

水分をよりたくさん吸収できる素材


その原理は例えるなら、手編みの羊毛セーターをさらに細かな糸で編みこんだようなものです。よりたくさんの水分を吸収できるようにするにはより多くの繊維が必要となります。

そこで、極細でかつ水分を貯蔵できる量が多い化学繊維を開発し、それを他の化学繊維と組み合わせることでこの素材は作られました。

持続して発熱する仕組み

ただ、それだけでは衣類に水気が残ってしまいます。スポンジで吸える水の量に限界があるように、衣類の繊維にも貯蔵できる水の量には限界があるのです。そこで、ヒートテックは効率的に水分を衣類外に逃がす仕組みも採用されています。

暖かさだけを衣類の内側、すなわち体にとどめておき、水分だけを外に逃がす。この仕組みによってこの素材はいつまでも暖かさを保てます。

ヒートテックの素材

さまざまな化学繊維のもつ原理を利用

このような複数の仕組みを成立させるために、ヒートテックにはいくつかの種類の化学繊維が採用されています。レーヨンやマイクロアクリルと呼ばれる化学繊維です。

ヒートテックの重要素材「レーヨン」

このなかでも特にレーヨンは言うなれば湿気、すなわち水分を吸着するのに特化した化学繊維で、マイクロアクリルはその名前から連想するとおり細かな繊維をもつ化学繊維です。このアクリルは保湿という機能に特化しています。

他に、ポリウレタンやポリエステルがこの素材には利用されています。

暖かい衣料品の正当進化形

化学繊維と聞くと、何やら冷たい印象を抱く方も多いかもしれませんが、ヒートテックの原理は古くから衣類全般が持っていたものを、さらに向上させたに過ぎません。言うなれば、「防寒衣類の正当進化」とも呼べる素材がヒートテックです。

ヒートテックの弱点.1

汗を吸収する仕組みが弱点となる

ただ、どれだけ素晴らしい発明品にも必ず何か弱点があるように、ヒートテックにも弱点があります。

この素材はレーヨンという化学繊維のもつ原理を利用して、体から出る水分を効率的に吸収することで熱エネルギーを生み出しているのですが、このレーヨンのもつ原理が弱点となってしまいます。

大量に汗をかく場面では仕組みに支障が

レーヨンは確かに水分を吸収する原理があるのですが、あまりにも効率的に体から出る水分を吸収してしまうために、激しい運動で大量に発汗した場合にはすぐに「水分貯蔵限界」にまで達してしまうのです。

これが限界に達してしまうと、この素材の熱発生の仕組みに支障がでてしまいます。

水分を吸収するが乾きにくいという原理

そして、さらにもう一つレーヨンという化学繊維には弱点があります。

それは「完全に濡れた状態から乾ききるまでに時間を要する」という点です。すなわち、スポーツなどで大量に発汗したあとでまた十分にヒートテックが機能できるほど乾ききるには長い時間がかかってしまうということです。

仕組みと原理を理解して対処を

そのため、スポーツや屋外作業などで利用する場合にはあらかじめヒートテックを複数枚用意して、休憩時間に体をタオルで拭いたあとで着替えるなどの工夫をした方がよいでしょう。

ヒートテックの弱点.2

汗を吸いすぎ肌が乾燥する

また、弱点は大量発汗後の防寒機能低下だけではありません。

人の肌はある程度は水分を保っておく必要があるのです。これは女性の方ですと分かりやすいかと。特に冬の乾燥した時期ですと、化粧水などでしっかりと保湿をしておかないと肌荒れや湿疹という形で問題が表面化してくることもあります。

レーヨンの原理が乾燥の主な原因


この素材に採用されているレーヨンという化学繊維は、あまりに効率的に人の体から出る水分を吸収してしまうために乾燥肌の原因となり、肌荒れや湿疹などを引き起こす可能性があるのです。

乾くまでに時間がかかってしまうので汗で濡れた状態が持続してしまうのも、人の肌にとってはあまり芳しい状態とは言えませんよね。

メンズとレディースの2種類がある

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ただ、ヒートテックにはメンズ用のものと、レディース用のものとの二種類があるのをご存知でしょうか。この二種類は単にサイズなどの形状の違いというだけではなく、機能にも異なった点があるのです。

仕組みを理解して使い分けよう

メンズのものはより汗をかく作業に向いたように設計がされており、レディースのものはより肌に優しく保湿性能を高めた設計がされています。

そのため、単に性別の違いで区別するのではなく、屋外で使用するか屋内で使用するかなどの用途の違いでも上手に使い分けをしていくことが重要です。

化学繊維アレルギーの人は注意!

また、これはこの素材の弱点というよりは化学繊維全般がもつ弱点なのですが、化学繊維にアレルギー反応を起こす人も一定数います。そういった方は残念ながら、ヒートテックは利用されない方がよいでしょう。

ヒートテックとMRI

MRI検査で濡れた衣類は厳禁!

ヒートテックを使用する上で必ず知っておくべきことがあります。それはMRI検査との関係です。この素材は「水分をより効率的に吸収して熱を生み出す」という仕組みがありますよね。

MRI検査で使用する機器には必ずこのような注意書きがあります。「濡れた衣類を着用した状態での使用は厳禁」と。

ヤケドの原因になる

水分を含んだ衣類でMRI検査をした場合には、電流が発生して最悪、ヤケドの原因となります。そのため、MRI検査は乾いた衣服で、というのが基本であり絶対です。

ヒートテックは水分を吸いやすいので

勘がよい方ならもうお分かりになったかもしれませんが、MRI検査ではヒートテックは絶対に使用してはいけません。この素材は他の木綿などの繊維を使用した素材と比較して圧倒的に水分吸収機能が高いです。

MRI検査でヒートテックはダメ!

そのため、電流が発生しやすく、さらに悪いことにヒートテックは熱を効率的に内側に閉じ込める仕組みがありますので、電流から発生する高熱もさらに肌に近いところで高められていきます。

結果としてさらにヤケドのリスクが高まります。MRI検査時にこの素材の着用はやめましょう!

ヒートテックと静電気

ヒートテックは静電気が発生しやすいか

ヒートテックは静電気が発生しやすいという評判は、この素材が出た当初から言われていました。結論から言うと、それは一部、正しい評価だと言えます。この素材は数種類の化学繊維で構成された素材です。

この素材自体が静電気を発生させるということはないのですが、問題は重ね着をしたときに表面化します。

静電気の仕組みを知ろう

そもそもなぜ静電気が発生するのかの仕組みから簡単に説明させていただきます。静電気はプラスの繊維とマイナスの繊維がこすれあうことで発生します。

例えば、乾燥した季節に羊毛のセーターを脱ぐと、一般的な化学繊維のポリウレタン製の肌着との間でバチバチっと音が鳴るといった経験に覚えがないでしょうか。


プラスの繊維とマイナスの繊維

繊維のなかにはそれぞれ、「プラスの電気をためやすいもの」と「マイナスの電気をためやすいもの」との二種類があるのですが、羊毛は特にプラスの電気をためやすい素材です。

反対にポリウレタンのような化学繊維はマイナスの電気をためやすい素材となります。そのため、この二つを重ね着すると静電気の発生を誘発しやすい環境となります。

ヒートテックはマイナスの繊維

ヒートテックは化学繊維の塊ですのでマイナスの電気をたくさんためてしまいます。そのため、この素材の上に重ね着するものが羊毛や、比較的繊維のなかでは平均的な性質の木綿でも静電気が発生しやすくなるのです。

あくまで組み合わせ

ただ、ヒートテック自体は静電気防止加工が施されているので、単体で静電気が発生しやすいという評価は正しいものではありません。あくまでも組み合わせです。

ヒートテックに限った話ではない

これはこの素材に限った話ではなく、化学繊維と他の羊毛などの天然繊維全般に言えるものなので、そのため、この素材は静電気が発生しやすいという評判は、「一部正しいが一部間違い」となります。

まとめ

ユニクロと東レによってさらなる発展を

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より機能的な暖かい素材を目指して世に誕生したこの素材はユニクロと東レの努力によって今日もユーザーのニーズに合わせて改良が加えられています。

例えば、より肌への質感のよいタイプのものであったり、肌の乾燥を防ぐためにより保湿性能に特化させたものであったりと、弱点を補強し、さらなる飛躍と発展を目指して新商品が生み出されている素材です。

仕組みと原理を理解しよう

どんな道具にも正しい使い方があります。この素材は現状でも正しく使えば薄く暖かい優秀な防寒素材です。寒い時期をより効率的、かつ機能的に過ごすために、賢いヒートテックとの付き合い方を模索していきましょう。

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