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ダマスカス鋼とウーツ鋼の関係とは?錆びない金属の正体を徹底解説!

皆さんは包丁やナイフの中に不思議な波模様の広がるものを見たことはありませんか? その正体はダマスカス鋼(ウーツ鋼)と呼ばれる金属の一種で、とてつもない歴史を持つ金属の一種なのです。今回はダマスカス鋼(ウーツ鋼)の歴史とどんな性質を持つのか徹底解説します!
2021年3月2日
ysakura3928

ダマスカス鋼とウーツ鋼とは?

不思議な模様のダマスカス鋼とウーツ鋼

ダマスカス鋼とウーツ鋼という言葉を聞いたことはあるでしょうか? 

ゲームをする人は武器や金属の名前に使われているのを見たことがあるかもしれません。またはナイフや刀剣にかかわり合いのある人は実物を見たことがあるかもしれませんね。 ダマスカス鋼あるいはウーツ鋼とは現実に存在する金属の一種です。

先ほどから2つの名前が出ていて違う金属なのか?という疑問が出るかもしれません。この二つの金属は同じ金属であり、ウーツ鋼=ダマスカス鋼という認識であっています。

本当のウーツ鋼

実はウーツ鋼と呼ばれる金属は過去に存在していてダマスカス鋼という呼び方は後から呼ばれるようになった呼称です。実際のウーツ鋼は古代インドで作られた古代の金属で深い歴史のあるものなのです!

ウーツ鋼とは?

古代インドのウーツ鋼

古代のインドで開発製造されたウーツ鋼は紀元前という古い時代からの金属です。極めて古く希少な金属であるために詳しい年代の特定もあまりされておらず、少なくとも紀元前6年にはあったとされています。

未だに正確な製造年代は特定されていない神秘的な金属です! ウーツ鋼は美しい模様や切れ味の良いナイフや刀剣の材料として用いられました。また非常に硬さのある金属として工具等にも使われていたようです。

ウーツ鋼の模様

ウーツ鋼は神秘的な歴史以外にも目を惹かれる特徴があります。それは金属の表面に現れる模様です! ウーツ鋼の表面には作り方によって木目状の特徴的な模様が現れます。これはウーツ鋼を作るときに出来る独特なものでダマスク模様などと呼ばれます。

その実態は細かい鉄と炭素が帯状に織り成している為に現れます。黒と灰色の織り成す模様はまさに目を引くような神秘さを出していますね!

ウーツ鋼は錆びない?

錆びないデリーの鉄柱

皆さんはインド・デリー市郊外の世界遺産クトゥブ・ミナール内にある錆びない鉄柱をご存知でしょうか? これは「デリーの鉄柱」と呼ばれる鉄柱で、紀元前415年に建てられたとされています。

この鉄柱はおよそ現在1600年の間も錆びずにいる鉄柱で、その金属はウーツ鋼ではないかと考えられています。1600年なんて考えられないほどの時間ですよね!

錆びないウーツ鋼

ウーツ鋼はその独特製法からサビに強い金属を作ると言われています。特に不純物の混ざらない単一金属は錆びにくく、頑丈という特性があります。例えば金や銀などはほぼ構成している内容が単一です。

金や銀は非鉄金属なので強度こそありませんが、錆びないという点では他の金属よりも遥かに優れていますね。ウーツ鋼は鉄鉱石から作られる鉄の単一金属だとされていますのでなおさらでしょう。

しかし、現代においても錆びない鉄というのは存在せず、99.72%の純鉄でも50年で錆びるとされています。今では古代の時代に作られたウーツ鋼が錆びないかの確実な検証は出来ません。では錆びないウーツ鋼はどのような作り方をされていたのでしょうか? 

ウーツ鋼の製法

るつぼによる製法

ウーツ鋼の作り方はるつぼに鉄鉱石と木炭や木の葉を入れて炉に入れて加熱します。炉から取り出してるつぼを割るとウーツ鋼の塊になります。このウーツ鋼の塊を元にナイフや刀剣を作成します。

一見簡単な作り方に思えますが、紀元前に行われていたという事を考えるとすごい技術ですね! るつぼによって作られた金属は硬さがあり、切れ味のよい刀剣に加工されます。

またダマスク模様が出るためには鉄鉱石の中に不純物としてバナジウムが必要とされています。ナイフや刀剣を鍛造して作る際に直線の彫り込みを入れるとはしご模様が出来て、丸く彫り込むとバラ模様が出来ます。

ウーツ鋼の失われた製法

ウーツ鋼の作り方が!?

このように美しい模様を出す金属だったウーツ鋼ですが、実は現代においてウーツ鋼の作り方は失われてしまっています。 なぜウーツ鋼が作れなくなったかという原因の一つにインド産のバナジウムを含んだ鉄鉱石が取れなくなったことが挙げられています。

地域での特定産出物が無くなったことで作れなくなった伝統物などは数多くありますので、その一つだとウーツ鋼も考えられています。これほどまでに綺麗な金属がもう作れなくないというのは悲しいことですね。

ウーツ鋼の再現

出典: http://www.watanabeblade.com/damascus/kintaro2.jpg

もう一度ウーツ鋼を

あれほどまでに綺麗なウーツ鋼を失くしたままではいられません。古代の金属を蘇らせようとする人たちが居て長らく再現を試みてきました。しかし、現代において材料科学者やナイフメーカーなどがウーツ鋼の再現を試みていますが、まだ達成は出来ていません。

そのために現代では本物のウーツ鋼による刀剣やナイフは製造不可能となっています。 今後により科学技術が発達していけば再現できる可能性はあるかもしれませんが、見通しは経っていません。しかし、研究によって新しい可能性も見つけられてきました!

ダマスカス鋼とは?

出典: http://www.watanabeblade.com/damascus/gun.jpg

現代のダマスカス鋼

話は大きく戻りますが、ウーツ鋼の別名にダマスカス鋼というのがあったのを思い出してください。ダマスカス鋼というのはインド産のウーツ鋼をシリアのダマスカスで刀剣などにしたことから別名がつきました。

しかし、現代においてはダマスカス鋼は過去のウーツ鋼の別名というものと、ウーツ鋼を真似て作られた積層鋼の別名にもなっているのです! 現代ではダマスカス鋼はどちらかというと積層鋼を指して使われる事が多くなっています。

ダマスカス鋼はその見た目がウーツ鋼と非常によく似ているために本物ではありませんが代替品として広く伝わっています。

ダマスカス鋼は錆びない?

現代のダマスカスは錆びない?

過去に作られたウーツ鋼は錆びない金属とされていましたが、現代で作られたダマスカス鋼は錆びないのでしょうか? 錆びない金属といえば現代ではステンレスが印象的ですが、実はサビない金属などなくてステンレスも表面は薄く錆びているのです。

正確にはサビとは鉄と酸素が科学的に混ざり合って酸化した状態をさします。空気中にある酸素と鉄はゆっくりと混ざってゆっくり錆びていくのです。ステンレスは鉄よりも酸化しにくいため、錆びにくいのです。

現代のダマスカスは鉄やステンレスなどの金属を混ぜて作ってあり、素材となった金属によって錆びにくかったり錆びやすかったりします。錆びない素材を使ったダマスカス鋼はほぼ錆びないと言えますが、元の金属が錆びないのであってダマスカス鋼が錆びないという訳ではありませんね。

ダマスカス鋼は今どうなっているのか?

積層鋼のダマスカス鋼

現代におけるダマスカス鋼とは、異なる金属を重ね合わせて作る積層鋼の一種です。硬さや切れ味の良い刀剣やナイフの高級材料として使われるダマスカス鋼はウーツ鋼とよく似た模様や複雑な模様を作り方によって表します。

ウーツ鋼に非常に良く似た模様を再現するダマスカス鋼ですが、その作り方は全く別物となっています。 しかし、綺麗な模様は非常に評価されていて、今ではナイフや刀剣だけでなくアクセサリーやジッポライターなど幅広い分野で使われています。

ダマスカス鋼の製法

ダマスカス鋼の作り方

ダマスカス鋼は異なる金属を重ねて鍛造することによって作られます。作り方としては数種の金属の板を重ねて作るものがオードソックスな作り方です。中にはワイヤー状に束ねた金属を捻って作るものもあり、ダマスカスの中でも特殊なワイヤーダマスカスなどと呼ばれます。

使う材料によって模様や硬さなどが変わりますので、現代のダマスカス鋼は非常に多くの種類が存在します。特に模様については重ねた金属の枚数や鍛造する時の叩き方など作り方によって無数に変化する為に、個人での製法などが存在します。

ダマスカス鋼と日本刀

日本刀との意外な共通点

実はダマスカス鋼は日本刀との意外な共通点が存在します。日本刀は美しい刃紋や刃こぼれしない硬さ、切れ味など惹かれますが、実は刀身にも隠れた模様が存在するのです。その模様はほぼ目には見えませんが、ダマスカス鋼の元となるウーツ鋼と似通った模様を出しているのです!

製法が異なるために外見は大きく違う日本刀ですが、その作り方や使用目的には似通った部分が存在するために模様にも共通点ができたのです。ダマスカス鋼も元は刀剣に使われていた金属ですので尚更ですね。勿論ダマスカス鋼で作られた刀剣やナイフも硬さがあり、切れ味も素晴らしいというのも共通点です。

ダマスカス鋼に似ている日本刀の製法?

鍛造という製法

ダマスカス鋼と日本刀は共に鍛造によって作られている共通点があります。ダマスカス鋼はナイフや刀剣に加工する際に鍛造されて、日本刀は折り返し鍛錬と刀身を形作るために鍛造されます。

折り返し鍛錬とは一つの鋼材を何度も折り曲げて伸ばす日本刀独自の鍛錬法で、鋼の硬さと切れ味を引き出すために行われました。日本刀の硬さと切れ味はこの製法がなくては成り立ちません。

鍛造された日本刀は折り返し鍛錬で刀身となる鋼が何百層という金属の層で出来ていて、その金属層がダマスカス鋼と似通った状態になる為に模様も似ていくのです。

実際の所はダマスカス鋼の模様は鉱石からの精製時に出来るもので、日本刀は折り返し鍛錬と鍛造によって模様ができるもので厳密には別物ですが、刀剣やナイフの製法という中では何とも似通った共通点です。

様々なダマスカス鋼の模様

ダマスカス鋼の模様は現代では数多くの種類が存在します。基本的には積層した数種類の金属を鍛造して作るのですが、近年では積層する金属の増加や加工技術の向上によってそのバリエーションが増えたためです。一部のダマスカス鋼の模様には特定の見え方があって名前が付けられている場合もあります。

ダマスカス鋼は鍛冶屋だけでなくアクセサリー屋なども扱うことが多くなり、意外と業界内ではよく見かける鋼材となっています。しかし、製造に手間がかかるために少量でも高額であり、作りが複雑なダマスカス鋼はそれほどに値段も増加します。

またダマスカス鋼の中には見栄えを良くする為に鉄だけでなく真鍮や銅なども混ぜ込んだ有色ダマスカス鋼なども新しい製法で作られました。白と黒だけでなく黄色と赤色の混ざり込んだ有色ダマスカス鋼は柔らかくなってしまいますのでアクセサリー等によく使われますが、ナイフなどにも使われたりします。

ツイスト模様

出典: http://www.watanabeblade.com/damascus/wavem.jpg

ツイスト模様は細く波打つ線状の模様が特徴です。積層数が多いツイストはシックで大人っぽい雰囲気を出します。模様をよく見せるために比較的に大きな面を持つものに合うことが多いので、ナイフやジッポライターに人気があります。積層数を減らすと線状模様の幅が変わってまた違う印象を出すので非常にバリエーションが豊富です。

ローズ模様(目玉模様)

出典: http://www.watanabeblade.com/damascus/rose.jpg

この模様は大小の小さな球状が特徴的な模様です。鍛造によって重ねた金属板に対して丸型ハンマーで均等にくぼみをつけるとこのような模様になります。独特な球状がなんとも魅惑的な雰囲気を醸し出していることから小さな物でも目立ちます。そのため、アクセサリー類などでよく使われます。

ラダー模様(トーテム模様)

出典: http://www.watanabeblade.com/kintarouame/totem.jpg

小さな球状と大きな球状の重なった模様ではしごやトーテムポールに見えることからラダー模様やトーテム模様と呼ばれます。複雑な模様ですが、強弱があるためにどんなものにも栄えるため、様々なものに使われています。

波目模様

出典: http://www.watanabeblade.com/kintarouame/wavel.jpg

水面が波立っているように見えるので波目模様(ウエーブ模様)と呼ばれます。非常にオードソックスでありながら作り方によって同じ模様が出来ないためオリジナル感の出る人気の模様です。積層する鋼材や叩き方、削り方によって様々な波目模様になるためツイスト模様と1、2を争う人気があります。

ワイヤーダマスカス

ワイヤーダマスカスは他のダマスカス鋼と少し製法が変わっています。ワイヤーダマスカスは数本から数十本の線状の鋼材を加熱しながら捻り上げることで独特な模様を作り上げます。加工が複雑なために貴重なダマスカスで値段が他のダマスカスよりも高いことがあります。

ダマスカス鋼のナイフ

ダマスカス鋼で作られたナイフはブレードの見た目だけでなく頑丈な硬さとよい切れ味を持つために広く愛されています。ナイフ用に作られるダマスカス鋼は硬さを刃物用に調整されたものを使うため、本体は程よい硬さを持ちながら折れにくくちょうど良い硬さの刃金は鋭い切れ味に仕上がります。

作られるダマスカス鋼によっては硬さの変更や切れ味も自在に変更できる為、工業製品ではなくオーダーメイドのナイフや包丁がより多く作られています。切れ味は刃物にとって一番重要ですのでこだわりたいところですね!

まとめ

ダマスカス鋼とウーツ鋼の関係はお分かりいただけたでしょうか? 古代から刀剣やナイフなどで使われたダマスカス鋼とウーツ鋼は硬さや切れ味、美しい模様で人の目を引きつける魅惑の金属でした。

まだまだ謎も多く残っているため錆びなかったという事は実証できませんが、もしかしたらそんな夢のような金属だった可能性も否定できません。 本物のウーツ鋼は手に入りませんが、現代で作られたダマスカス鋼も負けないくらい素晴らしい金属です。きっと間近で目にしたらその模様に惹かれてしまうこと間違い無しでしょう! 

ナイフでは手が出しにくい人も豊富な種類のアクセサリーがダマスカス鋼で作られていますので、魅惑の金属を身近に感じてみてはいかがでしょうか?