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可愛らしい黄色の花を咲かすオミナエシとは?特徴から育て方まで徹底解説!

秋の七草に数えられる「おみなえし(オミナエシ)」は「女郎花」とも呼ばれます。自然の山野に風に揺らいで咲く姿は楚々(そそ)とした風情がある花です。古来から親しまれ万葉集にも謳われる「おみなえし(オミナエシ)」の特徴から育て方や増やし方などをご紹介しましょう。
2020年8月27日
Meigen Oka
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おみなえし(オミナエシ)とはどんな植物?

「おみなえし(オミナエシ)」は、オミナエシ科オミナエシ属、東アジア、日本が原産の多年草です。別名表記として「女飯(おみなめし)」や「粟花(あわばな)」「チメグサ」、和名が「女郎花(おみなえし)」と呼ばれます。秋の七草のひとつとして万葉の時代から愛されてきた季節感のある花なのです。日本の季節での開花期は6月下旬頃から10月中旬頃ですが、最も美しい花の見頃の時期は8月から9月にかけてでしょう。

おみなえし(オミナエシ)の特徴

「おみなえし(オミナエシ)」は、日本の山野に広く分布している種類で、前述の通り8月から9月頃が花の見頃の季節です。春から初夏にかけては深い切れ目のある大根葉に似た葉をロゼット状(地面に貼り付く様になる様)に広げて過ごし、後に茎を1m~1.5mほどに生長させ、開花時期には数本の分枝した先に無数の黄色い花を開花させます。花後は茎も褐色に変色して枯れますが、地下茎が残り次の年に芽を出します。増やし方は種まきでも株分けでも可能です。全草を乾燥させたものが「肺醤(はいしょう)」という名で解熱や解毒作用の生薬としても利用されています。

おみなえし(オミナエシ)の種類

「おみなえし」の種類としては数種あり、開花季節はほぼ同じ時期ですが、早咲き品種や葉に切れ込みのないもの、園芸品種で斑入りのものがあり、それぞれに特徴的で趣きのある風情が楽しめます。

オトコエシ

「おみなえし(オミナエシ)」と同属ですが、特徴として乳白色の花色で全体に粗めの毛が多く、花序も力強いことからオトコエシと呼ばれる種類です。

ハマオミナエシ

日本では固有の種類です。海岸縁での植生のため「ハマオミナエシ」と呼ばれる種類です。「おみなえし(オミナエシ)」との違いは草丈が短く(30~40cm)茎が太いのが特徴です。

キンレイカ

漢字で「金鈴花」と表記されていますが、特徴として、その花の形が鈴に似ているからといわれます。高山や亜高山に植生する植物の種類です。花は「おみなえし(オミナエシ)」に似ていますが草丈は20~30cmほどしかありません。

ハクサンオミナエシ(コキンレイカ)

山岳地帯や亜高山帯の岩が多い場所の斜面や草原が植生の種類です。「おみなえし」を小さくした様な花姿から「コキンレイカ」とも呼ばれます。特徴は葉がモミジの葉に似た形で、草丈は20~30cmほどで開花時期には可愛い花を咲かせます。


タカネオミナエシ(チシマキンレイカ)

シベリア地方やサハリン、千島列島、日本では北海道などの寒冷地で分布する種類です。高山の岩場などの草原地帯が植生で、特徴的なのは草丈は極短くて5~15cm程度です。やはり、「おみなえし(オミナエシ)」に似た花姿で「千島金鈴花(チシマキンレイカ)」と別名があります。「高嶺女郎花」と漢字では表記されます。

おみなえし(オミナエシ)の名前の由来と花言葉

「女郎花(おみなえし)」は、昔から盆花(ぼんばな)と呼ばれ、旧暦のお盆のお墓参りの迎え花として飾られました。別名に「女飯(おみなめし)」、「粟花(あわばな)」と呼ばれますが、”女郎(おみな)”は若い女の意味で、”へし”は「べし(ねばならない)」と「粟飯や米粒のような」の意味であり、その三語を併せて、愛くるしい乙女(おとめ)であるべし、といった様な意味のある言葉である花を指したものです。また平安の時代には、美人部師、娘部志、姫部志、乎美那閉志の字も当てられていました。ちなみに、花屋さんでは略して”メシ”と呼んでいます。

おみなえし(オミナエシ)の花言葉

「おみなえし(オミナエシ)」の花言葉は、「親切」「美人」という言葉が当てはめられています。名前の由来にある様に、細い茎を伸ばした先に、季節になると米粒の様な黄色の可愛らしい花々をいっぱいに咲かせている、楚々とした乙女の風情を連想させることからの花言葉として表されていると思われます。万葉集にも「女郎花(おみなえし)」の歌は十四首見られ、紫式部の「源氏物語」にもその風情を著した箇所があります。

おみなえし(オミナエシ)の育て方①

「おみなえし(オミナエシ)」は、手入れもあまり必要ないほど丈夫な植物で、耐暑性や耐寒性もあります。発芽率が良いので種まきでも容易な増やし方もでき、地下茎が残っていて越冬し翌年の春に芽を出します。

管理と手入れ:植栽環境

地植えでの育て方は日当たりの良い場所が適します。湿気の多い場所では生育は難しく、せっかく植えた苗が枯れてしまう恐れがありますので植え替え時には注意が必要です。また、半日影で日照時間が少ない条件の場所でも生育が悪くなり開花が期待できません。山野草の種類のキンレイカやハクサンオミナエシなどを植える際には、亜高山地帯に生育している植物ですので、水捌けが良く石などを配した条件がベストです。鉢植えで生育させている場合は、夏季は気温が高く、用土が渇きやすくなりますから、半日影の場所に移動させておきましょう。

おみなえし(オミナエシ)の育て方②

管理と手入れ:植え付け、 植え替え

「おみなえし(オミナエシ)」の種は10月下旬頃に採取することができ市販もされています。発芽率が良いので種まきでの増やし方ができます。一般的なのは苗を植え付ける方が早く花を見ることができます。以下は植え付けと植え替えの手順です。

種まき


「おみなえし(オミナエシ)」は黄色い色を保持しながら長い期間鑑賞できます。花後に茶色に変色すると種子が熟していますので、花先の分枝している根元から茎ごと切り取り乾燥させます。十分に渇いたら手で良く揉みほぐして種を採取し、紙袋に入れて冷蔵庫などに入れて保管しておきます。3月下旬から4月中旬頃が種まきの時期です。園芸用培養土を入れた育苗箱にスジ蒔きして軽く覆土しておきます。

植え付け

種まきから発芽後本葉が2~3枚でビニールポットに移し、5~6枚に生育したら庭地に定植するか鉢に植え替えます。種まきしてから開花するまで2~3年掛かりますので、早く開花させたいのであれば苗植えが良いでしょう。園芸店やホームセンターなどで苗が購入できます。水捌けの良い用土であれば良いのですが、市販の園芸用培養土で十分です。鉢植えでは、オミナエシの草丈は1.5mほどの高さに生長しますので、風なので倒れてしまわない様に、一株は8号の懸崖鉢に植えると良いでしょう。

植え替え

「おみなえし(オミナエシ)」を地植えにしている場合では、3年間ほど同じ場所で植えっぱなしにしておくと株が弱ってしまいます。3年に一度は根切りをして他の場所に植え替えます。適期は3月中旬頃です。同時に株分けも行います。鉢植えでは、根の生長が早いので根詰まりを起してしまいますから、年に一度休眠中の2月下旬から3月中旬頃に植え替えを行います。一回り大き目の鉢を用意し、抜き取った株根の土を丁寧に落とした後に細かい根を半分程に切り詰めて新しい用土に植え替えます。

おみなえし(オミナエシ)の育て方③

管理と手入れ:水やり

「おみなえし(オミナエシ)」は多湿を嫌いますので、水捌けの良い用土に植栽します。地植えの場合は水やりはそれほど神経質にならなくても良いのですが、雨が少なかったり、真夏の時期に表土が渇きやすかったりする場合には十分に灌水して下さい。鉢植えは用土の表面が渇いていたらたっぷりと与えて下さい。真夏の時期は半日影の場所に移し、朝夕の涼しい時間に水やりをします。

おみなえし(オミナエシ)の育て方④

管理と手入れ:肥料

「おみなえし(オミナエシ)」の施肥は、植え付けの際に元肥として有機質の緩効性肥料を用土に混ぜて10日ほど寝かせておきます。オミナエシの場合あまり多く肥料を与えると葉ばかり生長して花が付かなくなる恐れがありますので注意が必要です。地植えにした場合の追肥は必要ありません。鉢植えの場合は生長期の春先と、花後のお礼肥えとして少量の有機質の緩効性配合肥料を施肥しておく位の手入れ法で十分です。

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おみなえし(オミナエシ)の育て方⑤

管理と手入れ:増やし方

「おみなえし(オミナエシ)」の増やし方は、前述した種を採取して、地温の高まる3月頃に種まきをする増やし方と、ある程度株が大きくなり子株が出来た時に株分けをする増やし方があります。株分けの方法は、植え替えの時期に子株をつけた親株の根茎を剪定ハサミを使用して切り分け、用土に植え付けます。あまり細かく分けずに2株か3株程度にしましょう。

おみなえし(オミナエシ)の育て方⑥

管理と手入れ:病害虫


「おみなえし(オミナエシ)」には害虫の被害はほとんど無いといって良いでしょう。但し、独特の臭気がありますので、コバエなどが花の周りに纏わりつくことがあります。病害としては、うどんこ病と立ち枯れ病の発生があります。

うどんこ病

うどんこ病は、5~7月と秋9~11月の季節に発生しやすい糸状菌という落ち葉や土中にあるカビが風に飛ばされて付着し発生する「うどんこ病」があります。葉の部分にうどん粉をまぶした様に白っぽいシミが出来、光合成が行われずに放置すると葉が枯れ落ち、他の植物などへ伝染します。早めに発見できた場合は殺菌剤散布で防除できますが、症状が進んだ場合は病害の葉を切り取り処分します。発生の季節には注意しましょう。

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立ち枯れ病

立ち枯れ病は、多湿の時期の梅雨時などに、やはりカビが原因の土壌感染で発生し、葉の基部や裏側に赤褐色の小さな斑点が生じて症状が進むと葉が枯れ落ち、基部の部分から折れてしまい、その部分から上部が枯れてしまいます。発症してしまったら、被害株は除去して処分し殺菌剤を散布します。予防としては土壌感染ですから、用土は湿り気のあるものは避け、水捌けの良いものにして株元は盛り土にすると良いでしょう。

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まとめ

「おみなえし(オミナエシ)」は秋の七草のひとつで、山野に普通に植生していて、初夏から初秋の季節にかけて黄色い艶やかな花を咲かせます。丈夫な植物ですので、庭に植えたり、鉢植えで楽しんだり、水揚げも良く花持ちも良いことから、古来より活け花の花材としても用いられてきた、日本では馴染みのある植物です。

おみなえし(オミナエシ)についてはこちらもどうぞ!

日本の文学にも度々登場する「おみなえし(オミナエシ)」は私たちに馴染み深い花です。そんなオミナエシは秋の七草のひとつですが、春の七草など日本の季節の花についても知りたいという方は「暮らし~の」のWEBマガジンでも紹介する記事がありますので、チェックしてみてはいかがでしょうか。