検索アイコン
エックス
Facebook
LINE

スポーツクライミングとは?五輪競技で適用される複合種目でのルールを解説!

スポーツクライミングとは何かご存じですか?よく耳にする、ロッククライミングやボルダリングとは何が違うのでしょうか?オリンピック競技で適用されるスポーツクライミング複合種目でのルールや、スポーツクライミングとロッククライミングの違いについても解説します。
2020年8月27日
neonana0511
※商品PRを含む記事です。当メディアはAmazonアソシエイト、楽天アフィリエイトを始めとした各種アフィリエイトプログラムに参加しています。当サービスの記事で紹介している商品を購入すると、売上の一部が弊社に還元されます。

はじめに

Photo by ColdSleeper

スポーツクライミングとは何かご存じですか?2020東京オリンピックの正式種目として採用されたので、テレビでもたまに耳にしますよね。しかし、スポーツクライミングのルールとは?ボルダリングやロッククライミングとは何が違うの?複合種目って何?などと疑問にお思いの方も多いのではないでしょうか。ここではオリンピック競技で適用されるスポーツクライミング複合種目でのルールや、スポーツクライミングとロッククライミングの違いについてもご紹介します。

スポーツクライミングとは

Photo by tagawa

スポーツクライミングは、ロッククライミングのスポーツ性・競技性を高めたものです。垂直や前傾・後傾した壁に設置されたカラフルなホールドを使い、指定されたコースを登る競技です。身体能力やテクニック、持久力はもちろんのこと、観察力や判断力が勝敗を分けるスポーツです。指定された課題ごとに、正しい動き方を瞬時に見抜く力が求められます。

「スポーツ」クライミングの名称の謎

「スポーツクライミング」という名称に、なにか違和感を感じる人もいるのではないでしょうか?オリンピックはスポーツの祭典であるにも関わらず、わざわざ競技名で「スポーツ」と名乗るのは不思議ですよね。また、「スポーツ」と名乗るからには、スポーツではないものもあるのでしょうか?ロッククライミングやフリークライミングとの違いも気になりますよね。スポーツクライミングの名称には、ロッククライミングやその歴史が深く関わっています。

ルーツはロッククライミング

スポーツクライミングは、ロッククライミングの発展によって誕生した競技です。ロッククライミングとは自然の岩壁を登るものです。ロッククライミングの愛好者の間で、よりスポーツ性の高いクライミングを求める流れが起き、結果としてスポーツクライミングが生まれました。ロッククライミングは自然のままの天然岩を攻略するという冒険的・挑戦的な要素が強いのに対し、スポーツクライミングは競技性やエンターテイメント性があるものになっています。

スポーツクライミングのルール

基本ルール

Photo byEfraimstochter

オリンピック競技として採用された「スポーツクライミング複合」とは、同一のコースが設置された高さ15メートルの壁を登りその速さを競う「スピード」、複数のコースが設置された高さ4メートルの壁を制限時間内の完登数を競う「ボルダリング」、高さ15メートルの壁に設置されたコースを、制限時間内に登れた高さを競う「リード」の3種目からなりたっています。スピード、ボルダリング、リードの順に行い、各種目の順位の掛け算で順位を決定します。

ルールの変遷

スポーツクライミングの競技としての歴史は浅く、1989年に最初のワールドカップが開かれました。それ以降、ヨーロッパの愛好家を中心に広まっていきました。3種目の中ではリード種目が最も競技としての歴史が古いですが、徐々にボルダリングとスピードの大会も合わせて行われるようになりました。また、スポーツクライミングは新しい競技のため、ルールの改定もたびたび行われています。最近でも、2017年にボルダリングのルールが改定されました。まだまだ発展途上のスポーツとも言えるかもしれませんね。

スポーツクライミング3種目のルール

3種目はもともと別個の競技

Photo byHans

2020東京オリンピック種目は、「スポーツクライミング複合」です。この複合とは、スピード・ボルダリング・リードの複合種目ということです。これらの3種目はもともと別個の競技として行われてきたため、複合という名前になっています。複合はオリンピックに向けて提案された新しい種目で、2020年に向けて各大会で採用され始めています。3種目の総合ポイントで順位が決定されますが、歴史の浅い競技方式のため、順位が読みにくい種目になっています。


3種目のルールはそれぞれ異なる

同じ スポーツクライミングではありますが、スピード・ボルダリング・リードの3種目は全くルールが異なります。また、ルールだけでなく、勝つために必要な能力や見どころにも大きな違いがあります。それらの要素も含めて解説していきます。

スポーツクライミング:スピードのルール

基本ルール

世界共通のスピード用のコースが設置された、高さ15メートル、95度に前傾した壁を登ります。壁は2つ並んで設置されており、隣の人とタイムを競います。選手は安全確保のために、壁の頂上から降ろした一本のロープを装着して登ります。競技で使用されるスピード用のコースは公開されているので、各自で事前にしっかりと練習をすることができます。

順位決定方式

決勝トーナメントの1回戦では、予選の順位が高い選手と低い選手の組み合わせで2人ずつ登っていきます。より早い選手が勝ち上がり、順位を決めていきます。 タイムが同じ場合は1つ前のラウンド(準決勝や予選)のタイムが速い方が勝者となります。1つ前のラウンドでもタイムが同じ時は、もう一度競技を行って勝敗を決めます。

スポーツクライミング:スピードの見どころ

スピードは他の種目と違い共通のコースです。選手はこの日のために、コンマ1秒でもタイムを縮めようとトレーニングを積み重ねてきています。否が応でも白熱してきますよね。15メートルもある壁を、男子だと5~8秒、女子で7~10秒ほどで登り切ってしまいます。そのあまりの速さに驚くこと間違いないですよ!スピードは他の2種目と比べて、スピードが突出して得意な「専門家」が多い種目でもあるので、観戦していても見ごたえがあります。

スポーツクライミング:ボルダリングのルール

基本ルール

高さ4メートル程度の壁に設置された複数のコースを、制限時間内にいくつ登りきれるかを競う種目です。コースは難易度がとても高く設定されており、その難しさは一流の選手でも1コースも完登できない場合もあるほどです。各コースによってスタートする位置が決められており、ゴールのホールドを両手で持つと完登となります。片手のみだと完登と見なされません。途中で落下しても、時間内であれば再挑戦できます。

順位決定方式

ボルダリングの順位は完登数・アテンプト数・ボーナス獲得数を競います。完登数とは、ゴールまで登った課題の数です。アテンプト数とは、完登するまでの試行回数のことです。いかに多くの課題を登れるか、いかにアテンプト数を少なくできるかを競います。また、各コースにはボーナスホールドが定められています。完登数とアテンプト数が同点の時は、ボーナス獲得数とそのアテンプト数によって順位を決めます。

スポーツクライミング:ボルダリングの見どころ

ボルダリングは、とうてい人が登れなさそうなコースが設定されていることもしばしばあります。コースを見てみると、その困難さにきっと驚かされるでしょう。各選手は限られた制限時間の中で、どのようにして攻略するか見抜かなければなりません。観察力や判断力が試されますね。体格や得意なムーブによって課題への最適解も変わってくるので、選手によって課題へのアプローチの仕方がそれぞれ異なるのが面白いポイントですね。試行錯誤しながら完登に近づいていく選手を見ると、思わず応援したくなりますよ。

スポーツクライミング:リードのルール


基本ルール

スポーツクライミング複合の中で、最も歴史が古いのがリード種目です。高さ15メートル以上の壁に60手くらいの長いコースが設置されており、時間内に登れた高さによって順位を決めます。コースに登れるのは1回のみなので、一度の失敗が命取りとなる種目でもあります。一番上の支点にロープを掛けると完登となります。

順位決定方式

リードの順位は、登れた高さ(高度)を競います。ホールドには下から順番に番号がふられており、何番目のホールドまで到達できたかという数字が高度です。ホールドを保持した後、次のホールドを取りにいき落下した場合は、高度にプラス(+)が付き、プラスなよりも上位になります。壁から落下、または反則や時間切れとなった場合は、その時点での高度が記録となります。高度が同じ場合には、1つ前のラウンドでの順位を参照し、それでも同順位の場合はタイムが速い選手が上位となります。

スポーツクライミング:リードの見どころ

リードは最も長い距離を登る種目なので、持久力や計画性が勝敗をわけます。上位の選手になると、難しいポイント(核心)が乗り越えられるかどうかという一手の差が順位を大きく左右します。一手でも上に到達するという、気合のこもったクライミングが見どころですね。また、リードのコースはスタートからゴールまで全力を出し続けられるような距離ではありません。ルートの中のどこで休むか、いかに無駄な動きを省くか等の計画性が問われる種目でもあります。

スポーツクライミング:観戦時のルール1

複合順位は3種目の掛け算

Photo by nylon300

オリンピックでの正式種目であるスポーツクライミング複合では、スピード、ボルダリング、リードの3種目の順位の掛け算で複合種目の順位が決まります。オールラウンダーであることももちろん大切ですが、この種目は勝てるといった絶対的な得意種目がある選手に有利なルールです。例えば、スピード7位、ボルダリング1位、リード5位だとすると合計35ポイントとなります。スピード4位、ボルダリング3位、リード4位だと48ポイントになるため、前者の方が順位が高くなります。掛け算の性質上、3種目のどれか一つでも1位を取れると優勝に大きく近づきます。ぜひ総合順位も気にしつつ観戦してみましょう。

スポーツクライミング:観戦時のルール2

応援時のルール

Photo by Dick Thomas Johnson

ボルダリングジムに行ったことのある人は、ガンバ!という掛け声を聞いたことがあるのではないでしょうか?クライミングでのメジャーな掛け声です。観戦時はぜひガンバ!と声を出して選手を応援してみましょう。また、2019年に八王子で行われたクライミング世界選手権などでは、選手の出身国での掛け声などもおすすめされていました。八王子の世界選手権ではスティックバルーンでの応援も行われました。オリンピックではどういった形の応援になるのかまだわかりませんが、一体感があって楽しめますよね。

スポーツクライミング:観戦時のルール3

競技方式はオンサイト方式

スポーツクライミングの3種目のうち、あらかじめどのような課題を登るのかがわからないボルダリングとリードは、先に登る他の選手の登り方を見ることは大きなアドバンテージとなってしまいます。そういった不公平なことが起こらないよう、オリンピックでは他の選手の登り方を見ることができない「オンサイト方式」を採用しています。競技前の選手はアイソレーションエリアに隔離されており、一人ずつ順番に登ります。競技の前にはオブザベーションの時間が与えられ、選手全員でルートを確認できます。観戦中は、他の選手はこう登っていたなどのむやみな野次は避けるようにしましょう。

スポーツクライミング:2020オリンピック


日本の得意な種目は?

スポーツクライミングは、2020東京オリンピックにて正式種目として初めて採用されました。はたして日本の実力はどれほどなのでしょうか。日本勢が強いのは、ボルダリングです。反対に課題としているのはスピードです。いかにスピードの順位を落とさず、またボルダリングでしっかり上位をとれるかが重要になってきます。スピードは3種目のうち最初に行う種目でもあるので、スピードで大きなミスをしないことが精神面においても重要です。

日本の出場選手は?

2020東京オリンピックの出場選手として内定しているのは、男子は楢﨑智亜、女子は野口啓代の二人です。2019年8月に行われた八王子世界選手権でオリンピック出場枠を獲得しています。それ以外の出場枠を争い、2019年11月下旬に五輪予選大会が開かれます。五輪予選大会には、8月の世界選手権で五輪出場枠を獲得した選手をのぞく、ワールドカップ複合の上位20名が出場できます。現時点では日本からは、藤井快、楢崎明智、杉本怜、土肥圭太、森秋彩、伊藤ふたばの計6名が出場できる予定ですが、今後出場基準に変更がある可能性があります。

オリンピック競技会場

2020東京オリンピックでのスポーツクライミングの会場となるのは、青海アーバンスポーツパークです。青海エリアの敷地に整備される仮設の会場で、スポーツクライミングの収容人数は8,400名を予定しています。青海アーバンスポーツパークでは、バスケットボールの3x3バスケットボールなども合わせて実施されます。

まとめ

スポーツクライミングのルールを知って楽しもう!

オリンピック競技で適用されるスポーツクライミング複合種目でのルールや、スポーツクライミングとロッククライミングの違いについてもご紹介しました。いかがでしたか?オリンピック競技としてのスポーツクライミング複合種目でのルールやスポーツクライミングのなりたちを知ることで、もっとスポーツクライミングが楽しめそうですよね!2020東京オリンピックでスポーツクライミングをチェックしてみましょう!

スポーツクライミングが気になる方はこちらもチェック!

暮らし~のではこの記事のほかにも、スポーツクライミングやボルダリングに関する記事を掲載しております。他の記事もぜひチェックしてみてください。