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尿素とは?成分や原料、使い道、畑の土や野菜に与える効果などを解説!

ガーデニングに使われる肥料の1種の尿素肥料とは?について解説します。まず、肥料の3要素とは?次いで肥料の分類で尿素肥料はどこに属しているのか説明します。次に尿素肥料の成分や原料について解説、最後に最も重要な尿素肥料の特徴、効果、使い道などについてご紹介します。
更新: 2021年12月17日
aakm.yamada
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ガーデニング肥料の3要素とは

ガーデニングに限らず植物が生育するためには土から栄養分を吸収する必要があります。植物の生育に伴って土からは窒素やリンなどの成分が失われていきます。したがって、植物が正常に生育を続けるためには失われた成分を土に補給してあげる必要があります。そのために用いられるのが尿素などの肥料です。特に植物が多く必要とする、チッ素、リン酸、カリウムを肥料の3要素といいます。

肥料の3要素の働き

チッ素(N)とは

尿素や硫安に含まれるチッ素には植物の葉を成長させる作用があります。そのため「葉肥(はごえ)」とも言われます。与えすぎると植物が徒長して病害虫に侵されやすくなることが注意点です。

リン酸(P)とは

リン酸は主に植物の花や実を成長させる働きがあり、「花肥(はなごえ)」、「実肥(みごえ)」などとも呼ばれます。リン酸は「P」で表示されますが、「P」は学校では元素の「リン」と教えられます。農業やガーデニングではリン酸塩類を指す場合が多いため「P」は「リン酸」を意味するのです。

カリウム(K)とは

カリウムはカリ(加里)と略すことも多いのですが、主に根の発育をうながしますので「根肥(ねごえ)」とも言います。水溶性のため雨などで流出してしまいますので、注意点は少しづつ追肥することです。

肥料の分類

有機肥料と無機肥料

肥料の分類法にはいくつかの方法がありますが、最も一般的な分類法では、まず有機肥料と無機肥料に分けます。一般的な解釈では、有機質は天然物、無機質は合成物となりますが、肥料の場合は動植物由来の牛糞、鶏糞、魚粕、油粕、草木灰などを有機肥料と呼び、リン鉱石、石油、硫酸などを原料に工場で化学的に生産された硫安、尿素、過リン酸石灰、塩化カリなどが無機肥料となります。無機肥料は無機質肥料、化学肥料とも呼ばれます。

有機肥料と無機肥料の特徴

有機肥料は時間とともに分解され、そのあとで植物に吸収されるのです。従って即効性は低くて土に長期間滞留しますので元肥に適しています。一方尿素などの無機肥料は水にとけやすく即効性がありますが同時に雨などで流れやすいため定期的に追加する必要があります。そのため、元肥にも使われますが追肥に向いています。

無機肥料(化学肥料)には単肥と化成肥料がある

単肥とは

単肥とはチッ素、リン酸、カリの肥料の三要素のうちの1つの成分だけを含んだ無機肥料(化学肥料)のことを言います。単肥の例としてはチッ素を多く含んだ尿素や硫安などがあります。成分の表示は尿素では46-0-0、となっていますが、これはチッ素が46%入っていて、リン酸とカリは入っていない、という意味です。

化成肥料とは

化成肥料とは尿素などの数種類の単肥(化学肥料)を使ってこれに化学的操作を加えて成型加工した肥料です。チッ素、リン酸、カリのうちの2種類以上を含み、この3要素の合計量が15%以上であるものを化成肥料と呼びます。粒状のものが多いですが、液体や粉状のものなどもあります。尿素のような単肥と違って、目的に応じていろんな種類のNPKの組み合わせのものがあります。

主な単肥の種類と特徴

種類


単肥の主なもの4種類を紹介します。
硫安: 硫安の成分はチッ素が21%でリン酸、カリはゼロです。
尿素: 尿素の成分はチッ素が46%でリン酸、カリはゼロです。
過リン酸石灰​: 過リン酸石灰の成分はリン酸が17~20%でチッ素、カリはゼロです。
硫酸カリ​​​​​​: 硫酸カリの成分はカリが50%でチッ素、リン酸はゼロです。

硫安とは

水溶性で即効性のチッ素肥料です。チッ素の含有量はそれほど多くありませんが、価格は安くて使いやすい肥料です。

尿素とは

尿素も水溶性で即効性のチッ素肥料です。即効性ですので追肥に適していますが元肥にも使用されます。尿素は水に溶かして液肥としても使われます。硫安との違いの一つは尿素の方がチッ素の含有量が多いことです。

過リン酸石灰とは

速効性のリン酸肥料です。追肥としてではなく元肥として使用します。
 

硫酸カリとは

水溶性で速効性のカリ肥料です。土にも保持されますので、追肥だけでなく元肥にも利用可能です。土壌を酸性にする性質がありますので畑のpH管理が重要な注意点となります。

尿素肥料について

これまで尿素肥料を取りまくもろもろの説明をしました。これからは、この記事のメインテーマである尿素肥料について詳しく解説していきます。ガーデニングをしている人であれば、尿素肥料を使ったことがなくても、「尿素肥料」という言葉は何回も見聞きして知っていると思います。ただし「尿素」という言葉が人間や動物の尿を連想させるため、あまり良いイメージは持っていないかもしれません。そんな人たちにために、尿素を使った化粧品の話を紹介します。

尿素肥料を使った手作り美肌化粧水が人気

尿素は人間の尿にも含まれている成分ですが、現在市販されているハンドクリームや化粧水にも含まれています。また、尿素肥料自体も無色無臭の結晶なのです。以前、テレビ番組で「化粧用に肥料の尿素が使用できる」という放送を見た覚えがありますが、最近も「尿素肥料を使った手作り美肌水」が人気のようです。この作り方をご紹介しておきましょう。

尿素肥料を使った、保湿効果のある美肌水の作り方

尿素肥料を使った美肌水を作るために必要なものは、園芸用肥料として1kg入り200~300円程度で買える尿素肥料と、アカギレなどの薬として50g300~400円程度で薬局で買えるグリセリンです。作り方は、
1)120~150ccが入る容器に尿素2g(スプーン一杯程度)を入れる。2)容器に水道水100mlを入れ、尿素が溶けるまで振る(塩素分が有効ですので浄水器は通さないでください)。3)グリセリン約1ccを加える。4)さらに容器を振ってよく混ぜる。ーー-以上で尿素肥料を使った美肌水の完成です。 

尿素肥料の成分、原料と製造法

尿素肥料の成分

いよいよ尿素肥料の本体部分の解説に入ります。まず、尿素肥料の成分から始めます。尿素肥料は無機肥料(化学肥料)で単肥に属する肥料であることはすでにご説明しました。尿素肥料の成分はチッ素が46%で、残りの成分は炭素(C)、水素(H)、酸素(O)などです。

尿素肥料の原料と製造法

尿素は、以前はハーバー・ボッシュ法と呼ばれる方法で空中に80%含まれる窒素を原料としてアンモニアをつくり、合成されていました。尿素の次には尿素を含むいろんな種類の肥料が作られました。尿素は今では天然ガスを原料としてアンモニア合成プラントと尿素合成プラントが併設された効率の良い大型の工場で製造されています。この大型工場ではアンモニア合成プラントで合成されたアンモニアと、このプラントで発生した副産物の炭酸ガスとを原料にして、尿素合成プラントで尿素を作るのです。今では尿素肥料のほとんどはこのような大規模な工場で製造されています。

ハーバー・ボッシュ法について

ハーバー・ボッシュ法とは鉄を主体にした触媒を使って空気中のチッ素と水などに含まれる水素を高温高圧下で反応させてアンモニアを製造する方法です。19世紀のヨーロッパでは人口が増加し、食糧生産に必要な肥料が不足していて、肥料の原料となるアンモニアの合成成功は大きな出来事でした。この触媒を作ったのがドイツ人のハーバーで、この技術をもとにアンモニア製造の工業化に成功したのが、ほぼ同時代を生きたドイツ人のボッシュでした。二人はその功績でノーベル化学賞をそれぞれ受賞しています。


尿素肥料の特徴

尿素肥料の「尿素態窒素」について

尿素肥料は「葉肥」とも呼ばれるチッ素を46%含む肥料です。チッ素(N)は大気中にチッ素ガスの形で約 78 %を占めています。ガス以外にもいろんな形で存在しますが、植物の根から吸収される形としては、「アンモニア態窒素」と「硝酸態窒素」というものがあります。一方尿素肥料には「尿素態窒素」という形でチッ素成分が含まれていますが、この「尿素態窒素」はこのままでは根から吸収されないのです。尿素肥料が土に撒かれてから、根がチッ素を吸収できる形に変わるまでの過程を説明しましょう。

尿素肥料が根に吸収されるまで

尿素((H2N)2C=O)に含まれている窒素成分である尿素態窒素は、そのままでは植物の根が直接吸収することができません。尿素態窒素は土の中で ウレアーゼ酵素を有する微生物によって二酸化炭素とアンモニアに分解されて「炭酸アンモニウム」あるいは「炭酸 水素アンモニウム」という「アンモニア態窒素」に変化します。さらにアンモニア態窒素は土壌中の硝化細菌によって酸化されて「硝酸態窒素」となるのです。

アンモニア態窒素

アンモニア態窒素は、アンモニアイオン(NH3 +)の形で存在していて、植物の根が吸収できます。尿素態窒素がアンモニア態窒素になるまで夏場で2日程度、冬場では1週間程度かかります。硫安に含まれるチッソ素成分はアンモニア態窒素ですので尿素肥料よりも即効性が高いです。

硝酸態窒素

硝酸態窒素は、硝酸イオン(NO3 -)のように酸化窒素の形で存在する窒素です。植物にとっては硝酸態窒素が一番 吸収されやすい窒素です。但し、土壌がマイナスに帯電しているため、硝酸態窒素もマ イナスイオンで、土壌粒子に吸着しにくく流失しやすい欠点があります。アンモニア態窒素は、プラスイオンで存在しますので土壌に滞留しやすいのです。

尿素態窒素

尿素態窒素は、尿素((H2N)2C=O)に含まれている窒素成分で植物の根からは吸収されませんが、一部の植物では葉面で尿素を吸収することが出来るため、葉面散布という使い方ができます。この場合は即効果が出ます。

尿素肥料の効果と使い道

尿素肥料の効果

畑にまいた野菜の種から芽が出て、小さかった苗がぐんぐんと成長し、大きく葉を広げていく。この過程で効果を発揮するのが、尿素肥料に含まれたチッ素成分です。半面、畑の土の中にチッ素成分が不足すると、野菜の葉の大きさが小さくなったり、葉の色が薄くなったり、茎の成長が悪くなったりします。チッ素は畑の野菜の茎葉の成長を促すのです。尿素肥料は、肥料の中で最も多くのチッ素成分を含んでいる上に安価ですので、「茎」や「葉」の栽培をを中心にした野菜作りには愛用されています。

尿素肥料の使い道ー尿素肥料を土に混ぜる使い道

尿素肥料を土に混ぜ込んだ使い道では、即効性があるとはいえ、根が吸収するまでには土壌細菌による尿素態窒素の分解が必要ですので、硫安などに比べると効き始めるのは遅くなります。なお、効果の持続性はあまり長くはありませんので元肥として使う場合は要注意です。また、チッ素の含有量が多いので尿素肥料は与えすぎに注意してください。1回の尿素使用量は1㎡に20gまでです。

尿素肥料の使い道ー尿素の液肥としての使い道

尿素肥料は水に溶けやすく、液肥としての使い方ができます。この場合でも、注意点の第一は施しすぎです。説明書通り正確に希釈してください。尿素肥料は通常は100〜200倍に水で薄めてまきます。土に尿素肥料を混ぜ込む場合と同様に、1㎡あたり20gが1回の尿素使用の限度です。尿素液肥は施してから数時間後には植物に吸収され、効果を発揮します。

尿素肥料の使い道ー尿素肥料の葉面散布の使い道

尿素肥料には、液肥にしてスプレーで葉面散布するという使い道があります。葉色が悪く、株の生育が悪いなと思うときに水で薄めた尿素液肥をスプレ尿素肥料の葉面散布では200〜300倍に希釈します。液肥としてまくよりも効果がはやいです。

尿素肥料使用上の注意点

尿素肥料の使用上の注意点はまず、これまでも繰り返し出てきましたが、尿素肥料のチッ素含有量が多いのでチッ素過多にならないように留意することです。尿素肥料の使用基準を正しく守って与えてください。即効性が高いので尿素を液肥として使用する場合はできるだけ薄めにして与えるのがポイントです。次には、尿素肥料を保管する時の注意点です。尿素は水に溶けやすい反面、湿気を吸って固まってしまうという欠点もあります。使いかけの尿素肥料は密閉して空気に触れないようにして保管してください。

尿素肥料の購入について/値段や購入先


尿素肥料は1kg,2kg程度のパッケージのものは1kgあたり500円~800円程度しますが、10kg,20kgのパッケージになると1kgあたり200円程度で購入できます。尿素肥料は自分の使用量に見合ったパッケージで購入すべきでしょう。開封後の保管管理が難しいので、家庭菜園用で使用量が少ない場合は高くても少量パッケージのものがおすすめです。尿素肥料の購入先はホームセンターかインターネット利用の人が多いようですが、少ない尿素肥料のパッケージであればドラッグストアーや大型スーパーなどでも売っています。

朝日工業 尿素 700g

出典:Amazon
出典:Amazon
出典:Amazon

尿素肥料とよく似た肥料、硫安との比較

硫安については最初の方の「主な単肥の種類と特徴」の所で、チッ素を21%含む単肥として紹介しました。硫安はチッ素を46%含む尿素肥料とよく似ていますので、両者を比較して違いを見ていきます。

硫安と尿素の特性などの比較

硫安

*硫安のチッ素含有量は21%
*硫安は硫酸根(SO4)を持つ
*硫安は化学的に中性ですが、生理的には酸性
*価格面では、1kg,2kgのパッケージではkgあたり200~300円で尿素肥料より安い。

尿素

*尿素のチッソ素素含有量は46%
*尿素は硫酸根(SO4)を持たない
*尿素は化学的に中性で生理的にも中性
*尿素肥料は、1kg,2kgのパッケージではkgあた500円程度

尿素と硫安の主な相違点

硫安は硫酸根(SO4)を持っていますが、硫安の状態では中性です。硫安が畑にまかれるとアンモニアがチッ素分として野菜類に吸収され、残った硫酸根は土を酸性にします。これが、化学的に中性、生理的に酸性という意味です。したがって、硫安を使用した場合は、石灰を撒くなどして中和する必要があります。一方尿素の場合は化学的にも生理的にも中性ですのでその必要はありません。

尿素と硫安、どちらが使いやすい?

尿素はチッソ素の含有量が多いため、与えすぎに注意が必要とされていますが、硫安はチッソ素含有量が約半分ですので与えすぎになりにくく初心者向けという人がいます。一方で硫安は投入後に畑の土が酸性化しますので㏗管理の面で使いにくいと言う人もいます。価格は硫安のほうが安いですが、含有チッ素量あたりにすると尿素と似たようなものになります。どちらが使いやすいかは、一長一短で決めにくいです。個人の好みで決めたらよいと思います。

おわりに

尿素肥料に関する記事、ここまでお読みいただきありがとうございます。いかがでしたか?
初めて畑で野菜作りを始めた人は、すぐに尿素肥料を使う人は少ないと思います。通常は牛糞などの有機肥料を元肥にして、粒状や液体の化成肥料を追肥に使用する人がほとんどだと思います。この記事で尿素肥料の効果や注意点が理解できたと思いますので、夏野菜が終わり尿素肥料が効果を発揮する葉物野菜が中心になる時期から尿素肥料に挑戦してみてはいかがでしょうか?

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