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タニシの卵はピンク?!その実態とタニシの種類や見分け方まで解説!

ジャンボタニシの卵として有名なショッキングピンクの鮮やかな卵は西日本では田んぼの周囲で特によく見かけます。今回はそんなジャンボタニシや他のタニシなど日本に生息するタニシに関することと、ショッキングピンクの卵にについて紹介します。
2020年8月27日
揚げ餅
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タニシとは

田んぼで見かける巻き貝の一種

出典: https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/61DDua4PLdL._SL1000_.jpg

タニシとは日本に昔からいる在来種の大きくても6cm前後の巻き貝です。田んぼにも多いですが、世界的に見ると淡水の川にも多く生息地は広いです。日本でもどこにでもいる貝ですが、田んぼの減少や水質の変化で準絶滅危惧種に分類されている希少な種類のタニシもいます。ひときわ巨大なタニシも田んぼや周辺の用水路でみかけることがありますが、実はタニシではなく「別の種類の」貝になります。

巨大なタニシについて

Photo by nubobo

日本のタニシは大きい種類で大きいもので6cmぐらいのものが多く、田んぼや周辺に見かける直径8cm前後の巨大なタニシのことをジャンボタニシと呼ぶことが多いでしょう。前述したようにジャンボタニシはタニシという名前がついていますが、別種の淡水に棲む貝で正式名称はスクミリンゴガイです。タニシとスクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)との違いや田んぼや周辺の用水路で見かけるピンク色の大きな卵について紹介していきます。

ピンクの卵の正体とは

ピンク色の卵はスクミリンゴガイの卵

田んぼ周辺の用水路などで見つかるピンクの卵はほぼスクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)の卵で、珍しいケースでは汽水域でも産卵されているときがあります。筋子のような卵塊でショッキングピンクのため非常に目立ちますが、日本の鳥などの捕食者は襲うことはありません。米や蓮根、クワイなどを栽培している農家ではこのピンクの卵塊が見つかった時点で農作物に何らかの食害あると考えていいでしょう。

スクミリンゴガイ以外のピンクの卵

田んぼなどに産卵されるピンクの卵はラプラタリンゴガイの卵の可能性もあります。どちらもリンゴガイという種類のため。ラプラタリンゴガイも巨大な貝です。同種のためラプラタリンゴガイの卵も鮮やかなピンク色をし、食性、殻の特徴もよく似ていることからあまり区別されていません。米や蓮根、クワイなどの水の中で育つ農作物に被害を与えるのも同じです。

卵を生む場所

卵を産む場所は蓮根などの農作物に直接産卵します。乾いてもいいしっかりとした殻に覆われている事から必ず水中ではなく水上に産卵し、生息地域によっては側溝の壁面にびっしりと卵塊で埋め尽くされることもあります。

卵が目立つ理由

スクミリンゴガイ、ラプラタリンゴガイの卵が外敵に狙われない理由はショッキングピンクという色が警戒色となっていることと、実際に卵に毒があるから。4日に1回のペースで産卵するので非常に繁殖力が高いという厄介な特徴があります。卵の状態で駆除する方法は卵塊を水の中に落とすだけですが、繁殖力が強くすぐにまたすぐに産卵されてしまいます。

警戒色とは

警告色ともいわれ、自然界にはなかなか存在しないあえて派手な色になることで、毒があると捕食者に警告する色です。身近なところでいえば蜂の黄色と黒の縞模様やナナホシテントウムシの赤地に黒の点などが挙げられます。

スクミリンゴガイについて

タニシとは無関係の害虫

オオタニシより大きいことからジャンボタニシといわれていますが、前述したようにスクミリンゴガイと呼ばれるオオタニシなどのタニシの仲間ではない別の貝です。オオタニシやヒメタニシと同様に田んぼや用水路など水がある場所に生息することからタニシと思われていることも多いです。タニシは水をきれいにしてくれますが、スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)は稲を食べ荒らす害虫のため見つけたらできるだけ駆除しないといけません。

外来種の貝

古くから日本にいる在来種の場合生態系の保護から害虫であってもむやみに駆除するのは好ましくない場合もありますが、ジャンボタニシはタニシという名前で呼ばれていますが、外来種の貝で全国的に駆除しないといけない厄介な害虫となっています。

スクミリンゴガイの特徴1

農作物が好物の巨大な貝

食性自体は雑食性に分類されますがタニシのようにいろいろなものを食べるというわけではありません。田んぼに入り込むと稲を食べることから非常に問題視されていて自治体からも見分け方や危険性、駆除方法の情報が発信されているほどです。タニシの種類については後述しますが、大きさから間違いやすいのはオオタニシ、マルタニシになります。

食べられる貝

巨大な体なのでしっかり泥抜きをして加熱すると食べられる貝です。もともと日本に入ってきた背景には食用として輸入され繁殖された経緯があります。その後は繁殖されなくなり捨てられたスクミリンゴガイが各地の田んぼなどで野生化して現在に至ります。

乾燥に強い

もともとの生息地は南アメリカという温かな環境に生息するため寒さには弱いですが乾燥にも耐えられるようになっていて肺呼吸も可能と言われています。そのため田んぼの水がなくなっても土の中で生きていることが多く水を入れるといつの間にか発生します。ここまではタニシなどとよく似た特徴なので単なる巨大なタニシと思われても仕方ないかもしれませんね。寒さに弱いことから西日本ほど数が多くなっています。


スクミリンゴガイの特徴2

殻の特徴

一番の特徴は在来種のオオタニシを超える巨大な殻ということですが、形状でいえば、手をぐっと握ったときの形に似ていて丸みのある姿をしています。螺旋の形状もスクミリンゴガイ特有の巻き方をしていて1段目が大きく2段以降は幅(高さ)が狭くなっていく傾向があります。またタニシと比べると巨大な外殻似合わず殻の強度はあまりなく割れやすいとも言われています。

移動速度が早い

巨大な外殻を持ちながら巻き貝としては移動速度が早めといわれていて歩く速度の違いからでもスクミリンゴガイか区別できます。ただし極端に水深が浅い場合は動きが鈍くなることが知られています。

スクミリンゴガイの寄生虫について

タニシ、スクミリンゴガイともに素手では触らないほうがいいとされていて、広東住血線虫症と呼ばれる寄生虫が移る可能性が懸念されています。沖縄では広東住血線虫症による死者も出ているほど大変危険です。人間への感染は直接触れることや粘液からも感染する厄介な寄生虫で、北海道のような寒い地域でも感染する可能性があります。

タニシについて

世界各国に生息する

タニシはユーラシア大陸、オーストラリア、アメリカなど世界各国の幅広い地域にで生息する淡水の巻き貝の総称です。日本に生息するタニシだけでいえば大きさは最大でも6cm程度で海に生息する貝類と比べると小型のものが多く、身近な貝として知られています。生息地域は広く地域によっては生息する種類、個体数が大きく変わり、県別のレッドデータブックに載っている種類もあります。

タニシという名の別種

タニシの種類については後述しますが、タニシの種類は少なく全部で4種類になります。○○タニシという名前でも関係ないものが多いです。

タニシの特徴1

幅広い食性

タニシは用水路の壁や水中の石などに生える苔を食べたり、沈殿した微生物の死骸など物をたべたり、水中に漂う養分など摂取するという幅広い食性が知られています。そのためメダカなどの魚を飼うアクアリウムやテラアクアリウムでは水槽の苔や汚れ防止、水質維持のために小型のタニシを飼育することが多いです。水槽に水草に混じってタニシが入ってくるときもありますが、卵を産んで増えたらタニシではないので注意しましょう。

食べられる貝

タニシも貝ということで現在ではあまり人気ではないですが、古くから食べられてきた食材の1つです。食べ方も一般的な貝と良くて似ていて、きれいな水に入れて泥や砂をしっかり出した後は火を通して食べます。海の貝は生で食べられるものもいますが、タニシは淡水の貝のため寄生虫がいる可能性あるので生で食べないようにしましょう。栄養価はカルシウムが特に多く含まれています。

環境変化に強い

前述したように餌の食べ方が3種類あり、表面のコケなどを削りとり食べる方法、沈殿した物を泥ごと食べる方法、水中の養分を濾し取り食べる方法がありどんな環境でも餌に困ることがありません。田んぼや用水路が近くにある方は乾いているタニシを見つけたことはないでしょうか?口の部分を下にして殻が完全に乾いている感じになっていることも多々あるのですが、タニシは乾きにも強い貝です。

タニシの特徴2

殻の特徴

タニシは大きい種類でも6cm前後とジャンボタニシと比べると2cmほど小さいのが特徴で、小さいタニシは3cm程度しかありません。殻の撒き方はどの種類も右巻となっています。タニシなどの巻き貝の左巻き、右巻きの見分け方は貝を立たせて見た時に入り口が左か右かで決まり、右側にあるものを右巻きといい、左側に入り口があるものが左巻きです。貝類は右巻きが多いのですが、タニシとよく似た貝には左巻きの種類がいます。

筋は入っていない

海に棲むマツバガイのようにくっきりとした筋が入っているタニシはいません。また個体差はありますが、基本的に模様ができず、水玉模様のようになっている巻き貝がいる場合はタニシ以外の種類の可能性が高いです。他の貝との見分け方は後述しますが、殻の特徴も参考になります。また蓋と入り口のサイズが同じサイズで中身が見えないという特徴もあり、中身が少しでも見えている場合はタニシ以外の貝です。

螺旋で高さがある(立体的)

日本に棲むタニシは大きさは違えどどの種類も螺旋階段のように巻きながら高くなっていく傾向があります。尖っている覚えるといいでしょう。逆にあまり高さがなく、丸みのある貝殻だと別の種類の巻き貝となるので見分け方としても使えます。

タニシの卵とは

タニシは卵を産まない


タニシの特徴を紹介した時に、アクアリウムで水草を入れた時に一緒に入ったタニシが「卵を産んで増えたらタニシではない」と紹介したようにタニシは卵を産んで増えない少し珍しい生態をしています。哺乳類以外の動物は卵を使って子孫を増やしていきますが、タニシの場合目に見える範囲では卵を産みません。これがタニシと他の種類の巻き貝との一番簡単な見分け方です。

卵胎生について

タニシのように卵を産まずに増える生態を卵胎生といいます。直接どこかに卵を産み付けるのではなく、雌のタニシの胎内で卵を孵化させる生態で、哺乳類のように子ども(稚貝)を直接産んでいるようにみえます。

タニシのオスとメスの見分け方

タニシには性別がありカタツムリのように雌雄同体というわけではありません。タニシのオスとメスの見分け方は触覚が両方共まっすぐにのびている方がメスで右側だけ曲がっている方がオスになります。メスも常に真っ直ぐというわけではないので、画像で判断するのは難しいかもしれませんが、画像のタニシはメスということです。

タニシの種類

日本のタニシは3種類で全て卵を産まない

アジア地域にはタニシが多く日本各地には3種類のタニシが見られます。滋賀県にある琵琶湖のみに生息するタニシを含むと全4種類になり全て種類がやはり卵を生むことはなく直接稚貝を生むように見えることからタニシの卵の画像はありません。それぞれのタニシの特徴を紹介しますね。

ナガタニシ

日本最大の湖の琵琶湖にしか生息しない種類なので琵琶湖周辺以外では見かけることがないタニシです。もし他の地域で本種が確認されると国内外来種として懸念される可能性があります。生息地域以外では殻に大きな特徴があり細長いのが特徴です。国内外来種とは日本国内の本来は生息しない地域の動植物のことで、北海道ではカブトムシが国内外来種になります。画像の左の細長いタニシがナガタニシです。

ヒメタニシ

幅広い水質に対応できる小型のタニシで田んぼや沼、用水路などいたるところで発見できます。3~4cmぐらいしかないのが特徴で稚貝は形は成貝と似ていますが3mm程度と非常に小さいです。画像のミナミヌマエビは3cm未満の小さなエビです。

オオタニシ

形状だけでヒメタニシとそっくりですが、大型のタニシのため「オオ」タニシとなっています。6cmを超えるものが多いです。大きいことから身がたくさんあり、味噌汁などでよく食べられるタニシは本種になります。

マルタニシ

オオタニシと非常に似ていて画像だけで見分けるのは困難ともいわれているタニシです。若干丸みのある殻をしていてオオタニシよりやや小さいぐらいしか特徴はありません。絶滅危惧種に指定されているのは本種です。

タニシの見分け方

ヒメタニシと他のタニシの見分け方

どのタニシもヒメタニシの倍ほどの大きさになるので画像だけでもわかりやすいです。直接みるとその違いは一目瞭然ですよ。画像はメダカとヒメタニシです。

ナガタニシと他のタニシの見分け方

生息地域が琵琶湖のみという特徴があるので琵琶湖以外で見つけると他の貝の可能性が極めて高いです。琵琶湖で見つけた場合他のタニシと比べ殻が細長いのでそこで区別できます。タニシかどうか調べるときはきっちり蓋が閉まるか確認しましょう。

オオタニシと他のタニシの見分け方

日本に生息するタニシの中では一番大きな種類なのでヒメタニシ、ナガタニシとはひと目で見分けが付きます。前述したようにマルタニシと見分けるには至難の業です。すべて若干ということばになりますが、オオタニシのほうが若干大きく、若干殻が角ばっているようなイメージで水が常にある場所に生息することが多いです。画像はヒメタニシとの比較になります。

マルタニシと他のタニシの見分け方

まず大きさでけでヒメタニシとナガタニシとの区別はつきます。次に若干殻に丸みがあるのがマルタニシになります。直接見てみないと画像だけで判断はなかなかできません。

タニシとスクミリンゴガイの違い

見分け方は大きさ


一番簡単な見分け方はやはり大きさになります。稚貝は分かりくいですが大きくなると見分けやすくなります。巨大な殻で螺旋の1段目が大きく2段め以降が狭かったり、全体的に丸みのある形状だったり、蓋の部分がなかったり、閉じれなかったりするとタニシではなく本種の可能性が高いです。

産卵の有無

広い田んぼや用水路では個別に大きさを調べるのが困難ですが、卵の有無を調べると簡単に見分けることができます。この際スクミリンゴガイ、ラプラタリンゴガイの卵は落としておきましょう。

タニシとよくに貝のとの見分け方1

カワニナとの違い

淡水の巻き貝で細長く筋が入っているのがカワニナです。カワニナは川に棲む巻き貝の一種で蛍の幼虫の餌として有名です。持ち上げて入り口部分をみるときっちり蓋が閉まるのがタニシになります。住んでいる場所も蛍が見えるようなきれいな川が多くタニシがいる田んぼの周囲ではありません。オオタニシのように巨大になることはなく画像でも見分けやすいです。タニシと同じで卵を産みません。

イシマキガイ

タニシとよく似て水槽の苔取りに利用されることもある「汽水域」の貝です。住んでいる環境が違うこと以外では全体的に丸みがある形をしている違いがあります。イシマキガイ、タニシはアクアリウムでも利用される貝なのでどちらを水槽にいれようか迷うことが多いですが、イシマキガイはひっくり返ってしまうと自力で起きあがれないためそのまま死んでしまうことがあるので注意が必要です。海水で孵る卵を産みます。

タニシとよくに貝のとの見分け方2

サカマキガイ

水槽にいつの間にか発生するタニシとよく似た小さな貝ですが、よく見るとタニシとは逆さまに巻いている左巻きの貝です。名前の由来には諸説あるのですが左巻き(通常は右巻きが多い)のためサカマキガイとなった説がります。成貝でも非常に小さく1cm程度で、模様がある殻や透けているような殻で画像がなくてもタニシと区別できるのですが、何もしらないひとからするとタニシと思うかもしれません。雌雄同体で一匹でも卵を産んで増えます。

モノアラガイ

サカマキガイとよく似ていて雌雄同体で一匹でも増えていきます。モノアラガイもサカマキガイも水面を逆さまになりながら歩く(泳ぐ)ことができるためタニシと見分けやすく、大きさはタニシより少し小さく2cmぐらいの貝です。画像はサカマキガイが逆さまになり歩いているところになります。

タニシとピンクの卵のまとめ

タニシは卵を産まず、ピンクの卵とは無関係

田んぼで見かけるピンクの卵はジャンボタニシのものですが、ジャンボタニシの正式名称はスクミリンゴガイという別の種類の貝です。タニシは卵胎生で卵を産まず直接稚貝を生むので無関係となります。そしてタニシは日本に昔からいる在来種で現在数を減らしていて、ジャンボタニシと言われているスクミリンゴガイやラプラタリンゴは被害が広がっている害虫で外来種になり駆除しないいけない種類です。

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