検索アイコン
エックス
Facebook
LINE

ウチョウランの育て方は?上手な管理と手入れで長く栽培するコツを解説!

ウチョウランは本来、日本の山のなかに自生する多年草。山野草ブームで個体数が減り、今では園芸品種が生み出されています。ウチョウランはランのなかでも比較的育てやすく美しいお花が魅力的です。ウチョウランの冬越しのコツなどの育て方や増やし方をご紹介いたします。
2020年8月27日
Yukari.S
※商品PRを含む記事です。当メディアはAmazonアソシエイト、楽天アフィリエイトを始めとした各種アフィリエイトプログラムに参加しています。当サービスの記事で紹介している商品を購入すると、売上の一部が弊社に還元されます。

ウチョウランってどんな植物?

ウチョウランは、日本中の山に自生している多年草です。球根植物で、とくに岩場や斜面に生えていることから、「岩蘭(いわらん)」という別名で呼ばれることもあります。なお「羽蝶蘭(うちょうらん)」という名前は、花の形がちょうちょが羽根を広げたような形をしているところからつけられました。とてもかわいい名前ですね。山野草ブームのときに、乱採取によりかなり自生している数が減ってしまったウチョウラン。今ではたくさんの改良品種が生み出され、自生するものより育てやすく花付きのよい品種が出回っています。

ウチョウランの花の特徴

ウチョウランの花の咲く時期は、6~7月ごろです。ウチョウランの花はピンクや白、赤などがあります。花茎をすっと伸ばしたさきに、10輪程度の花が咲きます。

ウチョウランの葉の特徴

ウチョウランの葉っぱの色は明るいグリーン色で、細長い形をしています。1本の葉茎に対してだいたい2~5枚くらいの葉っぱをつけます。

ウチョウランの基本データ

科名属名

ラン科ウチョウラン属

学名

Ponerorchis graminifolia 

和名

羽蝶蘭(うちょうらん)

別名

岩蘭(いわらん)

英名

grass-like leaved orchis

原産国


日本、朝鮮半島

ウチョウランの育て方1・土作り

ウチョウランは、かなり水はけのよい土壌を好みます。水苔7に対して土(鹿沼土・川砂・軽石)3の割合くらいにするとよいでしょう。また土を使わず水苔単体で栽培することも可能です。

ウチョウランの育て方2・肥料

ウチョウランには、春と秋に肥料を施します。具体的に言うと4~6月ごろと9~10月ごろ、穏効性の固形肥料もしくは液体肥料を与えましょう。固形肥料の場合はだいたい1カ月に1度の割合、液体肥料の場合は2週間に1度の割合となります。

冬越しのあいだは肥料はストップ

冬はウチョウランの休眠時期にあたりますので、肥料は与えません。休眠中というのは、根っこも休んでいてほとんど肥料を吸収しません。鉢のなかに肥料成分が残っていると逆に根っこに悪いので気を付けてください。

ウチョウランの育て方3・水やり

ウチョウランには、成長時期にあたら春から秋にかけては、しっかりと水やりをおこないます。植えている土や水苔の表面が乾くたびにこまめに水やりしましょう。

冬越しのあいだは水やりの頻度を下げる

ウチョウランの休眠時期にあたる冬のあいだは、水やりの頻度をぐんと下げます。土や水苔が乾いたなと思ってから数日たった後にすこし水やりをおこなう程度でよいでしょう。冬越ししているあいだは、根っこも休んでいますので、水を与えてもあまり吸収せず鉢に残ったままになります。鉢のなかが多湿の環境になり根腐れを起こすことにもなりかねません。冬越しのあいだに枯れてしまったという例は、冬越しのあいだの水の与えすぎが原因のことが多いです。

ウチョウランの育て方4・場所

ウチョウランは間接的に光の届くような、やや日陰の場所を好みます。直射日光のあたるところは避けてください。できればカーテン越しにほんのりと太陽の光が届くようなところや、ほかの植物の影になるところでの栽培がベストです。

冬越しのあいだはあたたかい場所に

ウチョウランは、冬のあいだ地上部がなくなり枯れたようになりますが、土のなかで球根や根っこが生きています。とはいえ、霜のあたるような寒いところはあまり得意ではありません。ウチョウランは鉢植えにして、冬のあいだ暖かい室内に取り込んで冬越しさせるのがベストです。

ウチョウランの育て方5・植え付け

ウチョウランの植え付けに適した時期は、2~3月ごろ。休眠時期から目を覚ますころにおこないます。ウチョウランは球根植物です。土や水苔を準備した鉢などに球根を植え付けます。植え付けのさいに球根から芽や根っこが出ていたら、それらを絶対に傷つけないようにしてください。一度折れた芽や根っこは再生しないので、植え付けたあとの成長に響きます。球根を植え付けたら軽く土や水苔をかぶせ、水やりをおこないます。直射日光の当たらない風通しのよいところで管理しながら、植え付けた球根から芽吹いて安定するまで、水やりを続けましょう。

ウチョウランの育て方6・植え替え


ウチョウランの植え替え時期は、植え付けと同じく2~3月ごろです。ウチョウランは鉢植え栽培することが多いかと思います。鉢植え栽培では、成長した根っこがめいっぱいになり根づまりを起こすことを防ぐため、定期的な植え替えが必要になります。これまでよりひとまわり大きな鉢を準備して、なかに土や水苔を入れておきます。植え替えたいウチョウランの球根を傷つけないように土や水苔から取り出して、新しい鉢に植え替えましょう。植え替えた球根が安定するまで、直射日光の当たらないところで管理しながら、水やりをこまめにおこないましょう。なお、植え替えの際に球根がたくさん分球していたら、別の鉢に植え替えて増やしてあげるとよいでしょう。

ウチョウランの育て方7・病気

軟腐病

ウチョウランは、軟腐病にかかることがあります。軟腐病は細菌感染により発症する病気で、ウチョウランの茎や葉っぱが腐って、やがて枯れてしまいます。残念ながら一度発症すると治療することはほぼ不可能なので、病気にかかっていることがわかったら、すみやかにその株を処分するよりほかありません。軟腐病はほかの植物にも移りますので、二次被害を避けるためにできるだけ早く処分してください。なお、軟腐病は、じめじめとした多湿の環境で発生しやすいので、梅雨時期などはよりこまめに栽培している株をチェックするように心がけましょう。

ウィルス病

ウチョウランはウィルス病にかかることがあります。ウィルス病にかかると、茎がねじれる、葉がよじれる、小さな黒い斑点があらわれる、といった症状が出ます。ウィルス病は一度かかると治療できない病気です。発生を見つけたら、その株はただちに処分してください。せっかく大切に栽培しているのに、と残念な気持ちはやまやまですが、放置しておくとほかの植物に病気がうつります。

立枯病

立枯病は、茎や葉っぱがしおれる、腐るなどしてやがて株ごと枯れてしまう病気です。この病気もまた、一度発生すると治療することができず、早期駆除するよりほかありません。立枯病は過湿の環境で発生しやすいので、できるだけ水はけよく風通しよく栽培するようにしましょう。

ウチョウランの育て方8・害虫

ハモグリバエ


ハモグリバエのウジ虫状の幼虫は、ウチョウランの茎や葉っぱに発生します。ちいさな幼虫ですが、よく食べますし、とくにつぼみなどやわらかいところが大好きです。また成長点や花茎などを食べられるとせっかくの花が咲かないことに。室内で育てる場合は、蚊取り線香も予防対策として有効です。もし見つけたら、すみやかに駆除してください。

ヨトウムシ

ヨトウムシは、夜になると活発に活動する害虫でとても大食漢です。室内で育てている場合はほとんど大丈夫ですが、屋外に置いていると一晩で食べつくされてしまうこともあります。とくにヨトウムシは花のつぼみや新芽など植物のやわらかいところが大好物です。夜は室内に取り込むなどしてヨトウムシからウチョウランを守りましょう。

ハマキムシ

ハマキムシの成虫は、植物の葉っぱを丸めて糸でつづり中で生育しながら成長します。成長しながら葉っぱや花を食べやがて新しい卵を産みます。葉っぱが巻かれるので見つけやすく、見つけた場合は、巻かれた葉っぱごとすぐに処分してください。あまり放置しておくと株のあらゆるところを食べられてしまいます。

アザミウマ


アザミウマは、体長1ミリ程度の細い害虫です。ウチョウランの花や葉っぱなどに発生し、栄養成分を吸い取ります。吸い取られたところは白っぽく変色し、放置しておくとやがて株全体に被害が広がり、弱ってしまいます。アザミウマは春から秋にかけて発生しやすい害虫。小さくて見つけづらいのですが、こまめにチェックして被害を未然に防ぎましょう。もしアザミウマを見つけたらすみやかに駆除しましょう。

ウチョウランの増やし方1・種まき


ウチョウランの増やし方として、まずひとつめに挙げられるのが種まきです。ウチョウランの種まきによる増やし方に適した時期は、2~3月ごろです。ただしウチョウランの種はあまり出回っておらず、育てている株から採取する方法がおすすめです。

受粉

自然のままでも全く種がつかないということはありませんが、受粉を助けてあげるとより確実に種を採取することができます。初夏にウチョウランが開花したら、綿棒などにおしべの花粉をこすりつけたあと、めしべにこすりつけて人工授粉しましょう。

種の採取

花が咲いたあとそのまま置いておくと、やがて9~10月になると、果実のさやがふくらみます。さやは黄色くなったあと、最後にはじけてしまいます。はじけてしまうと種が周辺に落ちてしまいますので、その前にうまく採取してください。さやごと採取して冷蔵庫などの冷暗所で、春の種まきの時期まで保存しておきましょう。なお、種がはじける前に、小さな紙袋をさやにかぶせておくと、もしさやがはじけてしまっても種をキャッチできます。

種まき

種まきに適した時期は、2~3月。土を準備した育苗ポットなどに種をばらまきして、軽く土をかぶせます。直射日光の当たらない風通しのよいところで管理しながら、乾燥に注意してこまめに水やりを続けましょう。種まきから2~3年すると、充実した苗になってきます。種間きはかなり気長に取り組むべき増やし方と言えるでしょう。

ウチョウランの増やし方2・分球

ウチョウランの増やし方のふたつめは、分球です。分球による増やし方に適した時期は、2~3月ごろです。育てているウチョウランがしっかり充実してきたら、分球による増やし方にチャレンジしてみましょう。球根を傷つけないよう気を付けながら彫り上げてください。球根が分球していたら、それらを手で分けましょう。分けた球根を、それぞれ新しい鉢に植え付けます。植え付けたあとは、直射日光の当たらない光の届く場所に置いて、乾燥しないよう水やりをこまめにおこないます。

ウチョウランでラン栽培にトライしよう

ウチョウランを漢字で書くと「羽蝶蘭」。名前のとおり蝶が羽根を広げて飛んでいるかのような、実に素敵な花姿です。鮮やかでかつ上品な紫色やピンク色のお花が咲くと、うっとりとその魅力に取りつかれてしまいそう。ランとは言え、比較的育てやすく蘭ビギナーさんにもおすすめです。ウチョウランを育てて、蘭栽培の扉を開いてみませんか。

ウチョウランが気になる方はこちらもチェック