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仏手柑(ブッシュカン)とは?特徴的な実の食べ方や栽培方法をご紹介!

仏様の手のような形をしている「仏手柑」。おめでたい形からお正月飾りによく使われます。柑橘とは言えほとんど果実はなく、食べ方としては皮をマーマレードにするレシピがおすすめ。仏手柑の育て方や美味しい食べ方のコツをご紹介いたします。
更新: 2021年3月14日
Yukari.S
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仏手柑(ぶっしゅかん)ってどんな果物?

仏手柑(ぶっしゅかん)は、インドを原産とする柑橘類の一種です。

日本には江戸時代にはすでにもたらされていたそうで、当時書かれた書物に何度か登場します。当時の人々によると、仏手柑(ぶっしゅかん)は、香りがよいが果物としての味はよくない、とのこと。

確かに、仏手柑(ぶっしゅかん)を割ってみても、なかは白いワタで埋め尽くされていて果実はほとんどありません。仏手柑(ぶっしゅかん)は、現在、主に観賞用としてお正月飾りにされています。

また、古くより芸術家から絵のモチーフとして好まれ、仏手柑(ぶっしゅかん)を模した彫刻や絵皿がたくさん残っています。

名前の由来

ぶつぶつごつごつしていて、先がまるで指のように分かれていることから「仏手柑(ぶっしゅかん)」という名前がつけられました。ちなみに英名も和名と同様の意味合いを持つ「fingered citron」あるいは「Buddha's hand」という名前がつけられています。

仏手柑(ぶっしゅかん)の日本の産地

冬の寒さに弱いので、温暖な地域で栽培されています。一般的に観賞用にされるため食用の果物とは違い生産量はあまり多くなく、専業農家はかなり減少しているそうです。

そのため仏手柑(ぶっしゅかん)のお値段は高めの設定のことが多く、ひとつ2,000円くらいで販売されているのだとか。ちなみに、日本では、温暖な鹿児島県や和歌山県で栽培が続けられているそうです。

あまりスーパーマーケットなどでは目にしない仏手柑(ぶっしゅかん)。鹿児島県や和歌山県に訪れた際に、道の駅などに行くと手に入るかも知れません。

「ぶしゅかん」とは別物

高知県の四万十川周辺は、ゆずの一種である「ぶしゅかん」の産地です。「仏手柑(ぶっしゅかん)」と大変よく似た名前ですが、ぶしゅかんは別の果物で、丸く緑色の柑橘類です。

花の特徴

花の咲く時期は、5~6月ごろです。白にほんのりピンク色を足したようななんとも可愛らしいお花です。花には甘酸っぱいようなよい香りがあります。

葉の特徴

葉っぱの色は明るいグリーン色です。葉っぱの形は楕円形で先がとがっています。中心の葉脈がはっきりわかり、葉のつやはそれほどありません。

仏手柑(ぶっしゅかん)の基本データ

科名属名

ミカン科ミカン属

学名

Citrus medica var. sarcodactylus

和名

仏手柑(ぶっしゅかん)


別名

手仏手柑(てぶしかん)

英名

fingered citron、Buddha's hand

原産国

インド

仏手柑(ぶっしゅかん)の栄養成分

仏手柑(ぶっしゅかん)には、ジオスミンやヘスペリジンという栄養成分が含まれています。あまり聞きなれないかも知れませんが、実は体の調子を整えてくれるありがたい成分です。

とくに胃腸の働きをサポートしてくれ、吐き気を和らげるのに役立つそうで、漢方薬の材料に使われることもあります。また体を温めて、体内の気の巡りを正常にしてくれるので、冷え性の緩和やリラックス効果も期待できるそうです。

さらに、クエン酸も含まれていて、疲労回復にも効果的です。

仏手柑(ぶっしゅかん)の気になる味と食べ方は?

仏手柑(ぶっしゅかん)は、その個性的な形から観賞用とされています。冬に収穫時期を迎えるためお正月の飾りに用いられることが多いようです。確かに、仏様の手のような形は、おめでたい席にぴったりです。でも、飾り終わったあと捨ててしまうのは忍びないもの。仏手柑(ぶっしゅかん)を美味しく食べることはできるのでしょうか。

仏手柑(ぶっしゅかん)の味は?

仏手柑(ぶっしゅかん)のなかを割ってみると、果実はほとんど見当たらずおおかたが白いワタです。ほんの少しの果実を集めて口にしてみても、かなり酸っぱい味がしてそのままではとても美味しい味とは言えません。

ですが、仏手柑橘(ぶっしゅかん)からはまるでレモンのようなよい香りがただよいます。仏手柑(ぶっしゅかん)を味わうには、この香りを生かした食べ方が一番。皮をマーマレードや砂糖漬けにする食べ方がおすすめです。では、マーマレードや砂糖漬けのレシピをご紹介いたします。

仏手柑(ぶっしゅかん)のおすすめレシピ1

「マーマレード」の作り方

仏手柑(ぶっしゅかん)のよい香りを生かしたレシピ、マーマレードは、美味しいだけでなく、身体によい栄養を摂取できる一石二鳥のレシピです。作り方は簡単なのでぜひチャレンジしてみましょう。出来上がったマーマレードをパンやヨーグルトに添えると絶品です。

作り方1・皮をゆでこぼす

まず、仏手柑(ぶっしゅかん)の白いワタはとても苦いので、できるだけ皮だけをそぎ落とします。そぎ落した皮を千切りに細かく刻んで、3~4回ゆでこぼしましょう。果実がうまく取れるようなら一緒に加えてもよいでしょう。皮にも苦みがあるのですが、何度かゆでこぼすことで苦みが和らぎます。

作り方2・砂糖を加えて煮詰める


ゆでこぼした仏手柑(ぶっしゅかん)に砂糖を加えて煮詰めます。砂糖の量はお好みで構いませんが、だいたい仏手柑(ぶっしゅかん)の半分量を目安にするとよいでしょう。焦げないように弱火でトロトロ煮詰めながら、少し形がなくなってきたら火を止めます。完成したら瓶や保存容器に入れて冷蔵庫で保管すると、数週間もちます。

仏手柑(ぶっしゅかん)のおすすめレシピ2

「砂糖漬け」の作り方

砂糖漬けは、お茶うけにピッタリ。日本茶のほか紅茶などと合わせた食べ方も美味しいです。前述のマーマレードとはまた違い、皮の食感を楽しめる食べ方です。では作り方をご覧ください。

作り方1・皮をゆでこぼす

仏手柑(ぶっしゅかん)から白いワタがつかないように皮をそぎ落とします。マーマレードレシピとは違い果実は使いません。そぎ落とした皮を一口サイズにカットしたら、苦みをとるために何度かゆでこぼします。

作り方2・煮詰めたあと砂糖をまぶす

ゆでこぼして苦みをやわらげた皮に砂糖を加えて弱火で煮詰めます。ただしマーマレードレシピとは違い、形が残っている状態で、火を止めましょう。煮詰めた皮を冷ましたあと、グラニュー糖をまぶして完成です。

仏手柑(ぶっしゅかん)の栽培1・土作り

仏手柑(ぶっしゅかん)は、大きな鉢を準備すれば鉢植えで育てることが可能です。地植えでももちろん栽培可能ですが、冬の寒さが苦手なので、地植えの場合は冬あまり寒くならない地域や、冬の寒さ対策をバッチリしての栽培となります。

苗木を植え付けたい場所の土をスコップなどで掘り起こして、腐葉土や小粒の赤玉土を混ぜ込んでおきましょう。水はけのよいところを好みますので、あまり粘土質の土やじめじめといつも湿っているような土は避けてください。

仏手柑(ぶっしゅかん)の栽培2・肥料

仏手柑(ぶっしゅかん)には、はじめの苗木の植え付けの際の元肥はほどこしません。苗木を植え付けてしっかり根付いてから肥料を施しましょう。苗木が安定しないうちに肥料成分が根っこにあたると株が枯れてしまうことがあります。

肥料は穏効性の固形肥料や油粕などがよいでしょう。苗木が安定したあとは、年に4回追肥をおこないます。3月、6月、9月、11月ごろに根元近くに肥料を与えましょう。

仏手柑(ぶっしゅかん)の栽培3・水やり

どちらかというと水を好む植物で、あまり乾燥すると成長がストップしたり、場合によっては枯れてしまいます。植えている土の表面をチェックしながら、乾燥したらこまめに水やりをしましょう。

仏手柑(ぶっしゅかん)の栽培4・場所

日当たりのよい風通しのよい環境を好みます。とくに日当たりは重要で、あまりに日陰ですと成長がストップしますし、花付きや実付きも悪くなります。また、インドを原産とする熱帯性の樹木なので、冬の寒さが苦手です。

冬は霜のあたらないところで育てましょう。冬も温暖な地域なら屋外の地植えでも冬越しできますが、それ以外の地域では鉢植えにして冬は室内に取り込んだほうが安心です。

仏手柑(ぶっしゅかん)の栽培5・植え付け

苗木の植え付けに適した時期は、4~5月ごろです。冬の時期の寒さがとにかく苦手なので、春しっかり気温が上がってから植え付けをおこないましょう。苗木を鉢や畑などに植え付けて、しっかり苗木が根付くまで乾燥させないように水やりを続けましょう。なお、幹や枝には鋭いトゲがありますので、植え付けの際にけがをしないように気を付けてください。

仏手柑(ぶっしゅかん)の栽培6・剪定


放っておくと樹高が2メートルくらいまで高くなりますので、収穫のことを考えて適度な高さて摘心します。それ以外の枝の剪定は、伸びすぎて邪魔になっている枝や樹形を乱している枝を中心に切り取ります。

摘心、枝の剪定ともに適した時期は、2~3月ごろです。その時期よりあとに剪定すると、花芽まで切り落としてしまうことがありますので気を付けてください。仏手柑(ぶっしゅかん)はあまり枝分かれしない樹木なので、それほど強く剪定する必要はありません。

なお、鋭いトゲで手をケガしないように、剪定の際はしっかりめの手袋を着用しましょう。

仏手柑(ぶっしゅかん)の栽培7・病気

かいよう病

かいよう病は、枝や葉っぱの傷ついたところから菌が入り込み発生する病気です。強い風に吹かれるなどすると傷がつくことがあり、病気になることがあります。かいよう病になると、葉っぱや果実に斑点様のかさぶたのような病斑部があらわれます。病斑部を見つけたらすみやかに取り除きましょう。

仏手柑(ぶっしゅかん)の栽培8・害虫

カイガラムシ

カイガラムシは、野菜やお花などさまざまな植物に発生しやすい害虫です。春から秋の気候のよい時期に発生します。小さな丸い虫でかたい殻に覆われています。カイガラムシは群生して植物の枝や葉っぱに寄生して、栄養成分を吸い取ります。

とくに幼い苗のうちは注意が必要です。カイガラムシを見つけたらすぐに駆除しましょう。なお、カイガラムシの殻はとてもかたく、市販の殺虫スプレーを吹きかけてもあまり駆除効果がありません。ブラシなどで直接こそぎ落として駆除しましょう。

仏手柑(ぶっしゅかん)の栽培9・収穫

仏手柑(ぶっしゅかん)の収穫時期は、12~翌2月ごろです。収穫時期になると、仏手柑(ぶっしゅかん)は黄色く色づきますので、剪定ばさみなどで果実の際の茎を切り取って収穫しましょう。

仏手柑(ぶっしゅかん)はユニークな柑橘

一度見たら忘れられないような、個性的な見た目の仏手柑(ぶっしゅかん)。柑橘類とは言え、ほとんど果実がはいっていないのも面白いところです。

おもにお正月飾りなど観賞用に栽培されている果物なのですが、皮からはレモンのような柑橘ならではの良い香りがします。せっかく手に入れたなら飾るだけではもったいない、美味しく食べたい、と思うのが人情でしょう。

仏手柑(ぶっしゅかん)皮を、しっかりゆでこぼして苦みをしっかり取り除いてからマーマレードや砂糖漬けにすると大変美味しくいただけますよ。

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