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スパイクタイヤって何?今は禁止?スタッドレスとの違いや規制内容を解説!

スパイクタイヤって何なんだろう?スタッドレスタイヤとは違う?昔は降雪地帯の乗用車でよく使われていたスパイクタイヤ、現在はほとんど見かけなくなりました。なぜそうなってしまったのか?今は使ってはいけないのか?気になるスパイクタイヤの情報をお伝えします。
更新: 2021年3月1日
ホランド
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スパイクタイヤとは

スパイクタイヤはタイヤ表面に鋲を打ち込んだタイヤ

スパイクタイヤとはタイヤの路面と接する部分に鋲(ピンとも言う)を打ち込んであるタイヤのことをいいます。このスパイクタイヤが使われるのは冬場のに路面に積雪や凍結が起こりやすい地域の乗用車です。

ノーマルタイヤではスリップなどを起こしてしまう積雪路面や凍結路面もこの鋲のおかげで滑りにくくなり、乾いた路面ほどではないにしろ普通に運転するには問題ないグリップ力を得ることができます。ただし後述する様々な問題により、現在タイヤメーカーでは生産しておらず、また限定的でしか使用されていないため見ることがなくなりました。

スパイクタイヤの歴史

スパイクタイヤは1959年にフィンランドで製造・販売され、日本でも1962年から販売され始めました。当時積雪地域で使用されていたスノータイヤと違いしっかしりたグリップ力を持ち、タイヤチェーンなどを使用せずとも済むスパイクタイヤは一気に普及し、かなりの割合で使用されるようになりました。

その後日本では後述する理由で製造されなくなりましたが、北欧では現在も一部の国で製造・販売されており、特にスウェーデンでは現在もかなりの割合をスパイクタイヤが占めています。

スパイクタイヤのメリット・デメリット

スパイクタイヤのメリット

スパイクタイヤのメリットは凍結路面走行でのグリップ力です。 後述するスタッドレスタイヤが凍結路面を滑らないようにする方式と違い、物理的に凍結した路面を鋲で削り制動する方式は最も確実で最も力を発揮する方法だからです。また鋲自体の価格も安く、もし鋲が欠けたとしてもすぐに交換できる点もメリットといえるでしょう。

スパイクタイヤのデメリット

スパイクタイヤのデメリットは粉塵問題があります。凍結路面や雪上走行する分にはデメリットはほとんどありませんが、乾いた路面を走行したときにタイヤ表面の鋲がアスファルトを削ってしまい、削れたアスファルトが粉塵として空中に舞い上がります。

結果人間の肺の中に入ってしまい著しく健康を害する恐れがあります。またアスファルト自体を削るので短時間でアスファルトに凹凸が出来てしまうデメリットも存在します。

スパイクタイヤとスタッドレスタイヤ

スパイクタイヤとスタッドレスタイヤの違い

スパイクタイヤは上で述べたとおり凍結路面や雪上を走る際、タイヤ表面の鋲が物理的に削りながら制動します。スタッドレスタイヤはタイヤの素材のゴムが非常に柔らかいもので出来ており、さらにタイヤ表面部のトレッドパターンの間に細かい溝があります。

凍結路面などで滑る理由は表面に水の幕ができるせいなので、スタッドレスタイヤは走行中この溝に一時的に路面表面の水分を蓄えることによって滑ることを防ぐ仕組みになっています。

スパイクタイヤとスタッドレスタイヤの得手不得手

スパイクタイヤは特に凍結路面での制動に非常に力を発揮しますが、乾いた路面では粉塵を撒き散らしたり、表面の鋲が取れたりします。また鋲があるせいで通常のタイヤよりも乾いたアスファルトではスリップを起こしやすいです。

スタッドレスタイヤは凍結路面はそこそこの制動の力を発揮し、乾いた路面でもある程度はグリップ力をキープします。ですがスパイクタイヤと違い完全に凍結した路面では滑りやすいです。また溝の間に水を蓄えるという性質上、大雨や水溜りなどに進入した際ハイドロプレーニング現象を引き起こしやすく雨天時はスリップしやすくなります。

スパイクタイヤの規制


スパイクタイヤは公道を走ることを禁止されている

スパイクタイヤは原則公道を走行することはできません。健康被害を及ぼすことが分かり法的にも整備され事実上使用禁止です。ただしこれには例外があり、後述する【スパイクタイヤの指定地域】は事故の危険性を少なくするために積雪期間だけ使用を許可されています。

スパイクタイヤで罰金刑

スパイクタイヤを積雪中の路面や凍結路面以外で使用すると罰金刑に処されます。法整備によって作られた法律【スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律】によって違反者は10万円以下の罰金を払うことになります。

道路交通法違反とはならないため原点はされませんが、必ず指定地域を走り、尚且つ路面積雪、凍結した道路を走るよう心がけましょう。

 

スパイクタイヤの販売

スパイクタイヤの販売は禁止されていない

スパイクタイヤの販売自体は禁止されていません。これは製造が禁止されたわけではなく、法によって走行できる地域が限定されたうえ売り上げも期待できないためタイヤ製造メーカーが生産を終了したため出回っていないだけなのです。

したがって製造販売自体は違法ではないので、あまりみませんが既存のタイヤを改造しスパイクタイヤとして今でも作られ販売しています。

スパイクタイヤの販売店がある

スパイクタイヤを製造販売しているお店はあります。ネットで検索すればすぐに出てくるので分かりやすいです。スパイクタイヤを販売している店は、素人では困難な鋲(ピン)をタイヤに打ち込みする道具を使用しているので、規制地域のかたでスパイクタイヤの利用を考えているかたはできれば販売店から購入することをおすすめします。

スパイクタイヤ指定地域

スパイクタイヤの指定地域は降雪地帯のみ

スパイクタイヤの指定地域は主に積雪量が多く凍結路面などでスピンし、事故が多発した地域に限定されています。詳しい地域は環境省のサイト内の【法令・告示・通達】項目に書き出されています。

環境省_法令名五十音順 サ行

同じ県でも指定地域以外は走行禁止


勘違いされるかたも居ますが指定地域のみスパイクタイヤでの走行を許可されており、それは市区町村まで細かく指定されています。したがって同じ県、同じ地域でも使用できない場所は当然あり、もしそこで発見されたら罰則対象になりますので注意してください。

スパイクタイヤの粉塵とは

スパイクタイヤ公道走行禁止のきっかけになった粉塵問題

スパイクタイヤが国内の公道で走行禁止になったきっかけはここまで上げてきた粉塵問題のせいになります。雪国とはいえ都市部などでは除雪車などで雪が降ったとしてもそこまで積もることはなく、なおかつすぐに乾いてしまう地域でスパイクタイヤが使用されるとその粉塵は酷く【砂漠】と評されることもありました。

特に大きな問題になったのは宮城県仙台市です。公害とも言われるようになったスパイクタイヤの粉塵は当初原因は判明していませんでした。雪国で人口の多い都市である仙台ではスパイクタイヤの使用率が高く、しかも夏場でも平気で使われていました。結果【仙台砂漠】と言われるほど常日頃から粉塵が舞い上がりました。

原因判明から法整備へ

その疑問を新聞に投稿された読者の疑問がきっかけになり『スパイクタイヤ論争』が巻き起こりました。それでも最初はスパイクタイヤが原因という疑惑はありましたが、原因とまではしばらく言われませんでした。

こうした中、発足された【仙台市道路粉じん問題研究会】によって『スパイクタイヤによって道路舗装剤(アスファルト)の削損である』と決定付けられ論争が終結。そのご10年ほどで法整備が整えられ、法律【スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律】が発布されました。

法律【スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律】

法律【スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律】とはスパイクタイヤによっておこされた粉塵問題に対して作られた法律です。内容は規制地域以外でのスパイクタイヤの使用禁止とスパイクタイヤを使用できる特別車両の許可です。

許可された特別車両は主に緊急車両や除雪車、身体障害者手帳を持った人の乗用車などです。また舗装面が出ていない路面にのみ使用を許可するという内容の規制も盛り込まれています。

スパイクタイヤのピンとは

スパイクタイヤのピンとは表面の鋲のこと

スパイクタイヤのピンとはスパイクタイヤ表面の鋲自体のことを指します。このピン自体には特に法律で規制されているわけではなく、様々な形のものがあります。またこのピンは走行中に抜けることもあります。特に素人が無理やりねじ込んだピンは非常に抜けやすく、タイヤの寿命も著しく短くします。

スパイクピンは販売されている

ピンはネット通販などでも販売されています。金額的には安価なものから高価なものまで様々で、素材や取り付け方法などで変わってきます。自分でも付けられますがこれらを取り付けるのは一部を除いてコツが必要で慣れていない人がピンを取り付けるのは困難でしょう。

ピンの種類

ピンには何種類かあり、それらを後述するタイヤに打ち込んでいくことになります。使用されるピンにも規制はなく、どれを使用しても問題ありません。

ピンは【チップピン】と呼ばれるピンで、ピン中央に硬度の高い別素材のピンを使用しているものと【マカロニピン】といわれる耐久力の高いピン、【ワインカップピン】という凍結路面の表面を削りやすくなっているスパイクが代表的なものです。

スパイクタイヤの打ち込みとは


タイヤにピンを刺すことを【打ち込み】という

ピンをタイヤの取り付けることを【打ち込み】と言われます。打ち込み方は【スパイクガン】というものでタイヤに直接打ち込んでいく方法と、ネジ式のピンをタイヤにねじ込んでいく打ち込み方法があります。この打ち込み自体は規制がなく、誰が行うことに対しても許可されています。

ピンを打ち込むタイヤ

ピンを打ち込みするタイヤは特に決まってはいませんがスタッドレスタイヤに打ち込むのが常識です。スタッドレスタイヤはノーマルタイヤよりも柔らかく雪道走行のために作られたタイヤですので、ピンはその制動力をさらに増すための補助を担います。

打ち込み以外の方法

タイヤ表面のスタッドの間にピンを打ち込みする以外にもピンを固定する方法があります。タイヤのスタッドの溝を押し広げて、大き目のピンを間に挟んでいく方法です。

この方法のメリットはタイヤ自体を穴を開けるなどの改造をせずに済むようになり、素人でも簡単にピンを取り付けられることです。デメリットはピン自体が打ち込み方式以上に抜けやすい点です。

まとめ

凍結路面でも過信は禁物

出典: https://www.amazon.co.jp/YOKOHAMA-%E3%83%A8%E3%82%B3%E3%83%8F%E3%83%9E%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%A4-%E3%82%B9%E3%83%91%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%A4-%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%89-iceGUARD/dp/B075Z4WL5F

スパイクタイヤは雪道や凍結路面でスタッドレスタイヤ以上の制動力を得られるかわりに公害などの悪影響を及ぼします。したがって使用を許可されている地域は非常に少なく、都市部などで使用することもできないため一般人はほとんど見ることもないでしょう。

またどんなに滑りにくいとはいえ、それを過信して速度を出しすぎれば事故を起こす可能性は高くなるので過信しないようにしましょう。もし許可されている地域の人でスパイクタイヤの使用を考えているのでしたら、自分で打ち込みをおこなうのは困難なので出来れば専門店で購入することをおすすめします。

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