ケマンソウってどんな植物?
学名
Dicentra spectabilis,Lemprocapnos spectabilis
科名属名
ケマンソウ科コマクサ属(ケシ科で分類されることもあります)
ケマンソウの由来
ケマンソウは中国東北部から朝鮮半島に自生する植物です。ケマンソウは華鬘草とも書き、仏具の華鬘という吊り下げて仏堂を飾る荘厳具に似ていることからこの名前になりました。草丈は30~60cmで、花はピンク色や白色です。ハート型の花をつりさげたような咲き方をします。
ケマンソウの別名
この花の様子が鯛をぶら下げたようにもみえることからタイツリソウとも呼ばれます。また葉が牡丹の葉に似ていることからフジボタンやケマンボタンともいいます。
ケマンソウには毒がある
かわいい見た目ですが、ケマンソウには全体に毒性があり誤って口にしないように注意が必要です。ペットを放し飼いにしていたり小さなお子様がいらっしゃるご家庭では少し気をつけたいところです。
ケマンソウの種類
ディケントラ・マクランサ
花の色が淡い黄色やクリーム色をしています。中国南西部が原産の種類で、花が大きく5m~7cmにもなります。日本ではあまりみかけることがない種類です。
アルバ
ピンク色の花を見かけることが多い中、白色の花をつける種類がアルバです。イギリスで実生で栽培したものからこのアルバという種類ができました。実生とは、種をまき発芽させた植物のことをいいます。
ディケントラ・スカンデンス
濃い黄色の花が咲く種類です。つる性でつるが長く2m~5mにもなります。花は約2cmです。中国西部やネパールが原産です。
ゴールド・ハート
葉がとても黄色い種類です。
ケマンソウの花言葉
従順、あなたに従う
ケマンソウの花がきれいに並んでいる様子からきている花言葉です。連なっているところを言葉にしようとすると従うという言葉があてはまるのもうなずけます。
恋心、冷めはじめた恋、失恋
ケマンソウの花の形がハート型なので、恋に関する花言葉もいろいろとあります。花が咲き終わりに近づくとだんだんと色があせていく様子も、花言葉にこめられています。
魅惑する勇ましさ
最後の花言葉は魅惑と勇ましさという一見すると相反する言葉が並んでいます。ケマンソウの花の美しさとつるがぐんぐん伸びていく様子や毒性をもっているところを知ると、たしかに二面性があるといえますね。
ケマンソウの育て方1・種まき
種から育てたいときは採りまきで
ケマンソウはいろいろな種類がありますが、どれも花や芽が出た状態の苗や根だけで販売されていることが多いです。種を買おうとしてもあまりみかけません。種まきをして、種から育ててみたいときは採りまきをすることになります。
採りまきとは
とった種を保管しておいて時期が来たらまくというスタイルが種まきでは一般的ですが、とった種を保管することなくそのまままくというのが採りまきです。山野草ではこの採りまきという方法で種まきをすることが多いです。自然界でも自然に落ちた種が土にまかれて発芽するので同じやり方だと考えることができます。
種まきの時期
種まきの時期の見分け方ですが、花が咲くのが4月~5月頃でその後豆のようなさやができます。さやが緑色から黄色になった頃が種まきの時期です。5月~6月頃になります。
種まきの時期を選びたいとき
採りまきではなく、別の機会に種まきしたいときは種を保存しておくやり方もあります。その場合は種を乾燥させずに湿らせた状態で冷蔵保存します。保管していおくと種まきを春や秋にすることもできます。
ケマンソウの育て方2・増やし方
作業時期
植え替えと同時におこなうようにします。時期としては3月~4月の春、または10月~11月の秋となります。
株分け
ケマンソウは株分けや挿し芽、それと根伏せという増やし方をします。株分けのときは根の中でも芽が3個以上ついているところから分けます。自然に根茎が分かれているところを選ぶようにすることが大事です。1株を2~3株に分けていきます。株分けでの増やし方では注意することがいくつかあります。
株分けで注意すること①
株分けするときは小さく分けすぎると芽が出てこないことがあります。小さく分けすぎないようにします。
株分けで注意すること②
手ではなくナイフなどの刃物を使って株分けをすることができます。その際に切り口の処理に気をつけます。切り口は怪我をし手いるような状態となっていますので、殺菌剤や癒合剤を塗って株に病原菌などがつかないようにします。
挿し芽
挿し芽という増やし方もあります。新芽が育つ頃の作業がおすすめで、3月~4月頃におこないます。太めの芽を3cmくらいに切ってから肥料の入っていない挿し木用用土に挿します。
根伏せ
根伏せという増やし方もあります。この増やし方で株を増やしたいときは植え替えと同時にすることをおすすめします。最初に太い根を3cmくらいに切ってから、上下があるので間違えないように気をつけて作業します。根伏せでは肥料の入っていない挿し木用の用土に挿します。用土は新しいものを使って病原菌の感染を防ぐようにしましょう。また、挿しやすいように目が小さくて保水性のある土を選ぶようにします。
根伏せは挿し木の方法の一つ
短く切った根を土に植えるという増やし方です。挿し木のやり方の一方法となります。
なぜ肥料の入っていない用土に挿すのか
肥料の入った用土のほうが栄養があってよく育つような気がしてしまうかもしれません。しかし逆に根が出てくるのが遅くなってしまったり、せっかく根が出てきてもすぐ枯れてしまう原因となります。そこで根伏せの際には肥料が入っていない用土を使用します。
ケマンソウの育て方3・植え付け
植え付けの時期
ケマンソウの植え付けは3月~4月頃か10月~11月頃にします。
植え付けは地植えがおすすめ
直射日光の当たらない明るい場所が適しています。根が太く伸びていくので植え付けするときに鉢植えよりも地植えがおすすめです。鉢植えにしたいときは根が伸びていくことを考えて深さのある鉢を選んで植え付けをしましょう。
地植えの場所
ケマンソウは寒さには強く暑さにはやや弱いです。ケマンソウを植え付けする場所は直射日光を避けて日陰や半日陰を選びましょう。排水性がよく保水性もある土を好む植物ですので水はけもよくする必要があります。
日向に植え付けした場合
日向に植え付けできないわけではありません。しかし直射日光が当たる場所に植えつけると、夏に早く茎部分が枯れて休眠状態に入ってしまいます。午前中は日に当てて午後から日よけをするなど工夫が必要になります。
ケマンソウの育て方4・植え替え
植え替えの時期
ケマンソウは根がよく伸びます。鉢植えだったら毎年または2年に1回の植え替えが必要になります。地植えも2~3年に1回くらいで植え替えをしましょう。時期は3月~4月か10月~11月がおすすめです。また、真冬や真夏には植え替えをしないほうがよいです。
植え替えの必要性
植え替えは根がよく生長するので根詰まりを防ぐためにおこないます。根が伸びすぎて根詰まりをおこすと根が腐ってしまったり、十分な栄養がいかなくなり弱ってしまう原因となります。また植え替えをする際には株を増やす作業も一緒にします。
ケマンソウの育て方5・水やり
春から秋の水やり
芽がでてくる頃(だいたい2月~3月頃)から休眠に入るために茎などが枯れて葉だけの状態になる10月頃までは、土が乾かないように表面が乾き始めたらたっぷりと水やりをします。鉢植えも地植えも同じようにします。ケマンソウは少し湿っているような場所を好みますので水やりは忘れないようにしましょう。
冬の水やり
茎が枯れて休眠状態になっているとき、地上部分はありませんが根が生きているので水やりは引き続き忘れないようにします。春から秋のようにたっぷりと水をやるのではなく、少し控えめにしましょう。特に地植えは雨が何日も降らず地面が乾いてきたら水やりをするくらいにとどめます。土がからからに乾いてしまうのだけは避けるように気をつけて冬を越します。
ケマンソウの育て方6・肥料
植え付けの前
植え付けをおこなう前に肥料を土に混ぜ込みます。肥料は緩効性の化成肥料や牛糞堆肥などがおすすめです。
植え替えのとき
植え替えのときにも肥料をやります。リン酸やカリウムが多いものを選びましょう。
生長時期
3月~4月のよく生長する時期にも肥料をやります。固形の緩効性化成肥料をぱらぱらとまいておきます。
花が咲いたあと
花が咲いたあとの7月~8月頃にも固形の緩効性化成肥料をやります。
ケマンソウの育て方7・病気と害虫
ケマンソウの病気
ケマンソウは丈夫な植物です。病気にかかることはほとんどありません。
ケマンソウに発生する害虫
ヨトウムシやアブラムシがつくことがあります。
ヨトウムシ
年に2回発生することがあります。4月~5月と9月~11月です。都市部など温暖な地域では1年を通して発生することもある害虫です。ヨトウムシは夜盗虫とも書き、夜に活動するヨトウガの幼虫です。葉や茎を食いつくしてしまい葉がぼろぼろになることもあります。夜にがさがさと音がしている場合は注意が必要です。見つけた場合は孵化する前に早めに対策をしましょう。雌は一匹で1000個もの卵を産みます。
アブラムシ
アブラムシは春にいろいろな植物でみかけることがある害虫です。3月~5月頃が発生が多い時期となりますが、春から秋にかけて発生する可能性がありますので注意が必要です。アブラムシが出す甘露は植物がべとべとになってしまいやっかいです。また吸汁してケマンソウが弱ってしまいます。薬剤を散布することが有効ですが、あらかじめ寒冷紗や防虫網でアブラムシの発生を防ぐように対策をすることもできます。
ケマンソウの育て方8・花茎切り
花が咲き終わったらそのままにしておくとさやができ種まきができます。しかし、種まきをする予定が特になければ花をそのままにはしておかないで摘み取ってしまいましょう。花をそのままにしておくと病気や害虫の発生の原因となることがありますし、花に栄養がとられてしまい株が弱ってしまいます。また花がすべて咲き終わったら茎の根元から思い切って切り取ってしまいます。
ケマンソウは丈夫で栽培しやすい宿根草です
ケマンソウは見た目も可愛らしくガーデニングがはじめての人にも育てやすい植物です。増やし方も3種類もあってたくさん増やして楽しむこともできます。宿根草なので花の時期が終わると茎などがすべて落ちて休眠し、また翌年になると芽がでてくるところも楽しみのひとつになります。ケマンソウ栽培をはじめてみませんか。
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