検索アイコン
エックス
Facebook
LINE

やつでの花言葉や種類は?縁起がいいって本当?その由来や意味を解説!

大きな、手の平のような形の葉が特徴的な「やつで」は、古くから日本で親しまれ、和の文化の中にも根づいており、現在でもガーデニングで庭木に利用される常緑低木です。今回はやつでの育て方と、やつでに関するいろいろなトリビアを紹介していきます。
2020年8月27日
蛙屋
※商品PRを含む記事です。当メディアはAmazonアソシエイト、楽天アフィリエイトを始めとした各種アフィリエイトプログラムに参加しています。当サービスの記事で紹介している商品を購入すると、売上の一部が弊社に還元されます。

目次

やつで:概要

よく見るようで、意外と知らないことも多いやつで。いったいどんな植物なのでしょうか?

手の平状の葉で有名

やつではカエデのように手の平状に分かれた葉がお馴染です。漢字では「八つ手」で、学名は「Fatsia japonica」。このFatsiaも「はち」が訛った言葉で、正真正銘の日本原産です。八本指の手という意味でしょう。しかし、やつでの葉はほとんど7つか9つの奇数に分かれた、左右対称の形をしています。8つに分かれた葉は逆に珍しいです。

冬でも楽しめる植物

日本全国でよく知られているやつでですが、見られるのは茨城県の辺りから西になります。北日本で自生することはありません。葉が有名ですけれど、もちろん花も咲きます。やつでの花は散形花序が集まった円錐花序で、開花は11月~12月。花の少ない季節に咲くことで、人にも蜜を吸う昆虫にもありがたい植物なのですね。

黒く丸い実も生ります

花が終わると、やつでは実をつけます。最初は緑色の実が放射線状に広がったもので、それが徐々に黒っぽい紫色になるのです。種からの育て方では、この実から種を取り出して、新しく植えることになります。地植えでは鳥の餌にもなりますが、種が要らないのであれば、この実はつけ根から切ってしまっても構いません。

手入れはほとんどなし

ガーデニングの観点から言えば、やつでは育て方の簡単な植物です。湿気の多い、ジメジメした場所であれば、水も肥料も要らずに勝手に育ってくれます。寒さには強く、冬も問題ありません。寒風があまり当たらなければ心配はないです。逆に乾燥は大の苦手ですから、夏場に晴天が続くようなときは、水だけたっぷり与えればいいでしょう。

やつで:種類

日本のやつでも、今では種類も増え、育て方も楽なので、海外でも人気のあるグローバルな観葉植物になっています。

やつでは日本から世界へ

一般的なやつで以外に、葉の切れ込みが大きなタイワンヤツデという種類があります。また、小笠原諸島に生えるムニンヤツデという種類は、今ではハワイでも野生化しています。やつではヨーロッパなどにも輸出され、セイヨウキヅタと交配させたツタヤツデという種類が、今では店頭に並ぶことが多くなっています。

葉にいろいろなデザインがある

濃緑の厚みのある葉がやつでの特徴ですが、葉に斑点のある種類もあります。黄色い斑点の種類がキンモンヤツデ、黄色の網目模様のものがキアミガタヤツデと呼ばれます。白い網目模様が入った種類は、その模様がクモの巣みたいということで、「スパイダーウェブ」と呼ばれ、人気が高いですよ。

やつで:文化

縁起がいいといわれるやつでは、私たちの生活にもなくてはならないものなのです。


魔除けになる

やつでは八つ手で、8は日本では末広がり、無限の意がある縁起のいい数字。昔からやつでは「魔を払う縁起のいい植物」とされてきました。玄関先にやつでを植えると厄除けになると信じられ、今も入口近くに植えられます。やつでの葉はいつも青々としていて、活発な印象があるので、入口にあると家全体が元気に見える効果もあるんです。

お客を呼び、虫を寄せつけない

縁起がいいのはもちろんですが、玄関のやつでには別な意味もあります。手の平のような大きな葉が風に揺られると、「おいでおいで」をしているようで、「千客万来」「ウェルカム」になるというものです。これも商売をする家には縁起がよく、やつでには殺虫効果もあるので、虫の侵入を防ぐことにも一役買っているという一石二鳥。

天狗の葉っぱはやつで?

やつでの葉でイメージしやすいのは、天狗が持っている画ではないでしょうか。やつでは「天狗の葉っぱ」として知られていますよね。やつでの別名も「天狗の羽団扇(葉団扇とも書く)」。これはやつでの縁起、魔除けとも関係があると考えられていますが、実際に天狗が持っているのはやつでに似た団扇で、やつでの葉ではないとのことです。

やつで:花言葉

縁起がいいやつで。その花言葉も覚えておきましょう。

受粉が由来の花言葉

やつでの花言葉のひとつは「分別」。分別ごみの「ぶんべつ」ではなく、道理をよく知り、物事を正しく判断する「ふんべつ」です。やつでは雄しべが枯れてから雌しべが出て、同じ花での受粉ができない生態です。「分別」という花言葉は、そこからきているといわれています。この花言葉は日本でできたもので、西洋の花言葉も「Sensible(分別)」です。

元気で親しみやすい印象

やつでには「健康・Healthy」「親しみ・Friendly」という花言葉もあります。「健康」はやつでの「虫がつきにくく、薬にもなる縁起のいい植物」というところから決められた花言葉でしょう。もうひとつの花言葉「親しみ」は、前項で書いたウェルカムの意味だとされています。やつでの花言葉はなかなか的を射ていると思いませんか?

やつで:毒性

やつでには毒があります。ちょっと怖いですが、日本人はこの毒性を利用してきました。

やつでの葉は薬になる

やつでの葉にはヤツデサポニンが含まれています。これは食べると、下痢、嘔吐、さらには赤血球が壊されるという毒で、虫除け効果もこの成分があるからです。でも、これらの症状は摂取しすぎた場合で、やつでの葉を乾燥させると痰を出やすくする薬にもなるし、お風呂に入れるとリウマチや神経痛に効くのです。

殺虫剤の成分にも

やつでは昔、トイレの近くに植えられることが多かったのですが、それはヤツデサポニンがウジを殺虫するといわれていたからです。これは事実で、ヤツデサポニンは現代の殺虫剤にも使われています。悪い環境でも育つやつでは、どこにでも植えられて、育て方も楽なことから、魔除けや虫除けに利用されてきたわけですね。


やつで:育て方

ここからはやつでの育て方を解説します。地植えでも鉢植えでも基本の育て方は変わりません。

やつでを植える土は?

やつでは粘土質でもない限りは、どんな土でも成長させられます。ですが、湿った土が好きなので鉢植えはもちろん、地植えでも理想的な土作りをしてあげるといいでしょう。小粒の赤玉土と腐葉土を6:4に混ぜた土がよく使われます。腐葉土を混ぜることで保湿力も高まり、やつでに適した土となります。

植えつけの季節と場所

植える季節は春。4~5月くらいでしょう。いい育て方は場所が大事です。地植えも鉢植えも半日陰の場所が、やつでの育ちやすい環境です。1日に2時間くらい陽当たりのある位置を選ぶといいですね。地植えでは水も肥料も要りませんが、鉢植えの場合は表面の土が乾燥しない程度に水を与えます。乾燥の季節は特に注意してください。

植え替えの方法

やつでは2年に1度植え替えます。4~6月の季節に、根に張った土を半分から3分の1くらい落とし、新しい土に植え付けます。このときに、大きすぎる葉は水分を蒸発させるので切り落としてしまいましょう。邪魔な葉を剪定するのは日頃の手入れでも同じことで、鉢植えでは形を整えるための大事な作業でもあります。

やつで:種蒔き

やつでの増やし方は種を取って育てるのと、挿し木の2つの方法があります。ここでは種蒔きについて学びましょう。

やつでの種の収穫と保存

やつでの花は冬の季節に咲き、その後緑色の実がついて、5月頃に黒く熟した実になります。この実の果肉の中に種があります。実から収穫した種をそのまま植えればいいのです。種蒔きは3月4月がいいでしょう。種を秋や冬に収穫した場合は、湿らせた川砂と一緒にビニール袋に入れ、植え付けの季節まで冷蔵庫で保管しておきます。

種を蒔く土と手入れ

種を蒔くための土は、赤玉土とピートモスを半分ずつ混ぜ合わせたものを使います。容器はセルトレイやポッドで構いません。種を蒔いたら、場所は半日陰に置き、土が乾燥しないようにします。やつでがある程度に成長して、根づきがよくなったら容器から取り出し、屋外や鉢植えポッドに植え替えましょう。

やつで:挿し木

やつでは種蒔き以外でも、挿し木で増やすことができます。挿し木を行う季節や方法を解説します。

挿し木の時期と方法

挿し木はどの季節でも可能ですが、成長させやすい夏の季節(7~8月)にするのがおすすめです。親やつでから新葉の生えた若い枝を10cmほど切り、上の葉だけを数枚残して、要らない下の葉は落とし、それを鉢植えのポッドなどに入れた土に挿し木します。できれば、残った葉も半分切っておくと、根が成長しやすくなりますよ。


乾燥させないのが大事

挿し木したやつでは、乾燥させないように注意します。しばらくすると根も張り、新葉も出てきます。夏の季節なら早い成長が期待できるでしょう。根がしっかりしてきたら、育て方の項で紹介したように鉢植え、地植えします。この際にも肥料は特に要りませんが、葉の色が黄色いようなら化成肥料を少し与えてみましょう。

やつで:剪定

やつでは葉が大きく、よい育て方をするために適度な剪定が必要です。

どのように剪定するか?

やつでは放っておくと伸び放題で、形もみすぼらしくなります。特に葉が上部にだけ密集し、下部の葉が少ないのは見ていてバランスが悪いですから、上部をすっぱり切り落とすような大胆な剪定も時にはしないといけません。剪定は特にこうしろというのはないですが、3本から5本くらいの株立ちが見栄えがいいでしょう。

新芽・脇芽の成長を助けよう

剪定の季節は冬が適時です。しかし、剪定は伸びすぎたらすることが肝心で、大きくなった葉を切り落とし、新芽を出させるようにします。上部の新芽に近い部分の葉を2~3枚残す感じで切り落とすのです。後、夏には葉も密集してきますから、適当に枝葉を剪定し、好みの場所から脇芽が出やすいように整えるといいですね。

剪定しすぎるのはダメ

ただし、剪定はやりすぎても成長の勢いを止めてしまうことがあります。やつでのように元気な植物は、成長の勢いを抑えることも必要ですが、やりすぎて枯らしてしまっては元も子もありません。葉切りは1年おきか3年に1度でじゅうぶんです。普段は邪魔な葉や、要らないヤゴを少し落とすくらいにしたほうがいいです。

やつで:まとめ

育て方も手軽な万能植物

やつでは縁起もよく、殺虫効果もあり、育て方も難しいことはありません。だから、野外でもよく繁殖し、庭木としても重宝され、鉢植えで観賞するにもお手軽な植物です。花言葉もいいものばかりで、人に贈っても喜ばれるでしょう。決して派手さはない植物ですが、日本原産らしい和の雰囲気があります。インテリアとしてひとつあってもいいですね。やつでについては、下記の記事も参考にどうぞ。