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辛夷(コブシ)とは?タムシバとの違いや特徴、開花時期などを解説!

辛夷(コブシ)は、早春を代表する植物。どの植物より早く可憐な花を咲かせます。辛夷(コブシ)は古くより生薬としても利用され人々に愛されてきた植物です。辛夷(コブシ)の特徴や、似た花「タムシバ」「モクレン」との違いなどをご紹介いたします。
2020年8月27日
Yukari.S
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辛夷(コブシ)ってどんな植物?

辛夷(コブシ)は、早春に可愛らしいお花を咲かせる樹木です。樹高はだいたい18メートル、幹の太さは直径60センチくらいまで成長します。辛夷(コブシ)の幹は太い割に折れやすい特徴があります。子供の頃、辛夷(コブシ)に木登りすると木が折れて怪我をするから木登りしてはいけない、と注意された経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。辛夷(コブシ)は愛らしい花模様とともに生薬としても利用され、人々に愛されている樹木です。

辛夷(コブシ)の花の特徴

辛夷(コブシ)の花の咲く時期は、だいたい3~5月ごろです。辛夷(コブシ)の花の色は真っ白で、真ん中がほのかにピンク色を帯びています。辛夷(コブシ)の花びらは6枚で、中心部分に黄色っぽいおしべとめしべが配されています。おしべは60本以上、めしべは30本以上あり、らせん状になっています。ちなみに、こうしたらせん状の配置は、起源の古い植物の特徴なのだそうです。辛夷(コブシ)の花からは甘くよい香りがもたらされ、香水の原料となることもあります。
 

辛夷(コブシ)の実の特徴

辛夷(コブシ)の花が咲くと、そのあとには実がつきます。辛夷(コブシ)の果実は、少し長い楕円形の形をしていて、秋に破裂してなかから赤い種子が垂れ下がるように出てきます。地方によっては、この赤い種子だけを採取して焼酎漬けにした果実酒が珍重されています。

辛夷(コブシ)の葉の特徴

辛夷(コブシ)の葉っぱの色は、表が美しいグリーン色で、裏は白味を帯びています。辛夷(コブシ)の葉っぱの形は長い卵型で、先がとがっています。

辛夷(コブシ)の幹の特徴

辛夷(コブシ)の幹は、ややグレーに近いものです。辛夷(コブシ)の幹は、樹皮を付けた状態で切られ、茶室の柱として利用されることがあります。また樹皮をはがして煎じたものを、お茶として飲まれることがあります。樹皮を煎じたお茶は風邪薬の効果があるそうです。

辛夷(コブシ)の地域での呼び名

辛夷(コブシ)には、地域ごとに特色のある呼び名が存在しています。厳しい冬の終わり、春のはじまりに一番はじめに咲く辛夷(コブシ)。古来より人々に愛されていたのでしょう。

辛夷(コブシ)の北海道での呼び名

辛夷(コブシ)の花の咲くようすを遠くから見ると、少し桜に似ています。桜に似てはいるけれど、桜よりも早い時期に花が咲くことから、北海道では辛夷(コブシ)のことを「ひきざくら」「やちざくら」と呼ぶことがあります。

辛夷(コブシ)のアイヌ地方での呼び名

アイヌでは、辛夷(コブシ)のことを「オマウクシニ」、「オプケニ」と呼びます。「オマウクシニ」はアイヌ語で「良い香りが出る樹木」という意味で、「オプケニ」は「放屁する樹木」という意味です。辛夷(コブシ)の幹を手折ると、なんとも言えないよい香りがすることからこのような呼び名になっています。

辛夷(コブシ)の基本データ

科名属名

モクレン科モクレン属

学名

Magnolia kobus

和名

辛夷(コブシ)

別名

田打ち桜(たうちざくら)、種蒔き桜(たねまきざくら)


英名

Kobushi magnolia

原産国

日本

辛夷(コブシ)の花名の由来

和名「辛夷(コブシ)」の由来

辛夷(コブシ)の果実はいくつもが集まって形をなす集合果です。また、ひとつひとつの果実はデコボコしています。果実の形がまるでにぎりこぶしのようであることから、「辛夷(コブシ)」という和名がつけられました。

別名「田打ち桜」「種蒔き桜」の由来

昔から、辛夷(コブシ)の花が咲くころに田んぼや畑の準備をはじめるとよい、という言い伝えがあります。その年により気温などの変動があっても、辛夷(コブシ)の花の咲く時期を目安にすれば間違いない、という人々の知恵によるもので、このならわしから「田打ち桜」「種蒔き桜」という別名がつけられました。

辛夷(コブシ)の花言葉

辛夷(コブシ)には、3つの花言葉があります。いずれの花言葉も、辛夷(コブシ)の花からイメージされたものです。

花言葉1・友情

辛夷(コブシ)は、春になるととてもたくさんの花を咲かせます。花びらは6枚。花びらが集まった様子や花がたくさん咲く様子から、「友情」という素敵な花言葉が生まれました。

花言葉2・愛らしさ

辛夷(コブシ)は、とても可愛らしい花を咲かせます。冬の寒さが和らいだ早春に咲く辛夷(コブシ)の花を見ると、心の底からほっとして春の喜びがもたらされます。そんな辛夷(コブシ)の花姿そのものである「愛らしさ」という花言葉です。

花言葉3・友愛

友愛を辞書で引くと「友人に対する親愛の情」とあります。辛夷(コブシ)の純白で上品な花姿からイメージされたものでしょう。

辛夷(コブシ)の種類

辛夷(コブシ)というと白い花のものを想い浮かべる方が多いかも知れませんが、実は可愛らしいピンク色の品種もあります。

コブシ

スタンダードな辛夷(コブシ)です。辛夷(コブシ)は、白くて可愛らしい花模様とともに、果実や樹皮が生薬としても使われるので、古来より庭木として重宝されてきました。昔からある風景のなかには、スタンダードな辛夷(コブシ)がよく登場します。

ヒメコブシ(白花)

ヒメコブシは、東海地方・伊勢湾周辺の山間部に自生する品種です。その地域でのみ自生する希少なものです。通常のコブシと比べてやや小ぶりで、成長が遅いので管理しやすく、庭木やシンボルツリーとして人気があります。

ヒメコブシ(ピンク花)


通常のコブシよりコンパクトで人気の高いヒメコブシ。なかでもピンク色の花の咲くこちらの品種は、シンボルツリーとして高い人気を誇っています。まだ寒さの残る早春に、こんな美しい色のお花が咲いたら、心が明るくなりますね。

桃花シデコブシ

通常のコブシより樹形がコンパクトで、お花も小さめの品種です。淡いピンク色のお花からはとてもよい香りがします。狭いところにも植えやすいのが魅力的です。
 

辛夷(コブシ)と似た花との違い

辛夷(コブシ)と同じ春に咲く植物のなかで、辛夷(コブシ)によく似た花があります。ひとつめのよく似た花は「タムシバ」です。もうひとつの似た花は「モクレン」。2種類の辛夷(コブシ)と似た花について、辛夷(コブシ)との違いを交えて紹介いたします。

辛夷(コブシ)と似た花「タムシバ」との違い

辛夷(コブシ)とタムシバには大きく3つの違いがあります。

違い1・花びらの様子

辛夷(コブシ)の花とタムシバの花はよく観察すると違いがあります。辛夷(コブシ)の花びらはやや丸みを帯びているのですが、一方タムシバの花びらは細長いです。

違い2・ガクのサイズ

辛夷(コブシ)のガクは花びらの長さに対してだいたい5分の1くらいのサイズで、タムシバのガクは、花びらの2分の1~3分の1くらいのサイズです。

違い3・花の開花時の葉っぱ

辛夷(コブシ)の花の開花時には、花の付け根のところに小さな葉っぱが一枚あります。一方、タムシバの花の開花時は葉っぱはありません。

辛夷(コブシ)と似た花「モクレン」との違い

辛夷(コブシ)とモクレンには大きく5つの違いがあります。

違い1・咲く時期

辛夷(コブシ)の花が咲きはじめてから、2週間くらいたってからモクレンの花が咲きはじめます。

違い2・花のサイズ

辛夷(コブシ)の花の大きさは、種類にもよるのですがだいたい4~5センチくらいです。一方、モクレンの花の大きさは、だいたい8~10センチくらい。辛夷(コブシ)の花の方が、モクレンよりかなり小ぶりです。

違い3・花びらの様子

辛夷(コブシ)の花びらはやや細くあまり厚みはありません。モクレンの花びらは、辛夷(コブシ)と比べると、幅が広く厚みもあります。

違い4・花の咲き方

辛夷(コブシ)の花は、花びらがパーの手のように開いて咲きます。モクレンの花は、花がぎゅっと閉じたように咲きます。また、辛夷(コブシ)の花は色々な方向に咲きますが、モクレンの花は、上向きに一定方向に規則的な雰囲気で咲きます。

違い5・花の開花時の葉っぱ

辛夷(コブシ)の花が咲いているとき、花の下に一枚の葉っぱがあります。モクレンには葉っぱはありません。

辛夷(コブシ)は生薬としても人気


辛夷(コブシ)の花のつぼみを乾燥させたものは、古来より「辛夷(しんい)」という生薬として重宝されてきました。辛夷(コブシ)はつぼみのほか、樹皮を煎じてお茶にしたものを民間療法として用いられてきた歴史もあります。

生薬「辛夷(しんい)」の効能

生薬「辛夷」には、アルカノイド(コクラウリン)が豊富に含まれています。そのため、鎮静や鎮痛、抗炎症作用の効果が期待でき、風邪や頭痛、鼻炎の薬として利用されます。

辛夷(コブシ)の育て方のコツ

辛夷(コブシ)は、一度植え付けて根付くと強く、お庭のシンボルツリーとしておすすめです。辛夷(コブシ)は水はけのよい土壌を好みますので、植え付ける場所の土を少し堀り、小粒の赤玉土や腐葉土を混ぜ込みましょう。また日当たりのよい風通しのよい環境を好む植物です。なお、辛夷(コブシ)は、根が粗いので、移植に適しません。はじめに植え付ける際に、今後の成長も考えてずっと植えておける場所を選びましょう。

 

植え付け

辛夷(コブシ)の植え付けに適した時期は、1~3月ごろです。根っこについた土を軽く手でほぐします。ただし、根っこを傷つけないように気を付けましょう。辛夷(コブシ)を植え付ける際は、あまり深植えにならないようにすることがポイントです。植え付けた苗木がしっかり根付いて安定するまで、水やりを続けましょう。

水やり

辛夷(コブシ)の苗木を植え付けたときは、根が根付くまで水やりを続けますが、一度根付いたらそれ以後はとくに水やりの必要はありません。

肥料

苗木を植え付けてから数年の幼い木のあいだ、定期的に肥料をほどこします。5月、9月、1月ごろを目安として、穏効性の固形肥料を施すとよいでしょう。

剪定

辛夷(コブシ)は、放任していてもある程度自然に樹形が整う植物なので、それほど頻繁な剪定は必要ありません。辛夷(コブシ)が成長して、気になる枝が出てきたら剪定しましょう。辛夷(コブシ)の剪定に適した時期は、花が咲き終わり新葉が出る前です。辛夷(コブシ)を観察して、伸びすぎている枝や混みあっているところを、剪定はさみで切り取りましょう。

病害虫

辛夷(コブシ)には、カイガラムシが発生することがあります。カイガラムシはとても小さな害虫なので、発見が遅れがちになることがあります。とくに植え付けて間もない幼木は標的になることが多いので、こまめにチェックしましょう。カイガラムシは、辛夷(コブシ)の枝や葉っぱに寄生して、栄養分を吸い取ってしまいます。カイガラムシを見つけたらすぐに駆除しましょう。なお、カイガラムシはとても硬い殻で覆われていて、殺虫スプレーなどを吹きかけてもあまり効果はありません。カイガラムシは、直接ブラシでこそぎ落すのが一番効果的です。

辛夷(コブシ)は春を知らせる植物

ほかのどの植物よりも早く花を咲かせ、春を知らせてくれる辛夷(コブシ)。春を待ちわびる人々にとって希望の光とも言えるよいイメージのお花です。辛夷(コブシ)は、その可愛らしい花姿とともに、風邪や頭痛などによい生薬としても重宝されています。辛夷(コブシ)は育てやすい植物で、またスタンダードな辛夷(コブシ)より小ぶりのヒメコブシなどもあり、お庭のシンボルツリーにおすすめです。

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