10ミリオートとはどんな弾丸?理想を追求した開発性能と使用できる銃をご紹介!のイメージ

10ミリオートとはどんな弾丸?理想を追求した開発性能と使用できる銃をご紹介!

10ミリオート弾という弾薬をご存知でしょうか。9ミリパラベラムと45ACPの良いところを併せ持つ理想のカートリッジとしてブレン・テンという銃と共に開発されました。その10ミリオート弾とそれをモデル化したガスブローバックガンについて、詳しくご案内します。

2018年06月03日更新

ijirare1960
ijirare1960
ijrare1960と申します。 トイガン歴とサバゲー歴、それぞれ数十年、トイガンはモデルガン全盛時から、サバゲーは日本で始まった頃から見てきました。 実銃の歴史やメカニズムの雑談系とエアガン、サバゲー関連の解説記事を、初心者の方にも分かりやすいように、お伝えします。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

目次

  1. 10ミリオート弾とは
  2. 10ミリオート弾開発のキッカケは?
  3. 10ミリオート弾の威力は?
  4. 10ミリオートをFBIが採用したキッカケは?
  5. 10ミリオート弾を採用した結果は?
  6. 10ミリオート弾が普及しなかった理由は?
  7. 10ミリオート弾を使用する銃
  8. 10ミリオート弾①ブレン・テン
  9. 10ミリオート弾②コルトデルタエリート
  10. 10ミリオート弾③STIエッジ
  11. 10ミリオート弾④グロックG20、G29、G40
  12. 10ミリオート弾⑤SIG P220
  13. 10ミリオート弾とハンティングーまとめ

10ミリオート弾とは

理想を追い求めたカートリッジだった

10ミリオート弾とは、元々は1980年代に開発されたブレン・テンというハンドガンのために作られたカートリッジです。開発の目的は、「9ミリパラベラムより威力が高く、45ACPより貫通力が高く、リコイルが45ACPよりマイルドでファイアーパワーに優れたカートリッジ」という理想を追い求めたものでした。じつは、このような無いものねだりを追い求めた実例がリボルバーのカートリッジにも過去にあったのです。

人は無いものをねだる者

1935年に開発された357マグナムでは威力が足りず、1955年に登場した44マグナムでは、威力が大きすぎるとの声に対して、1957年に41マグナムというカートリッジが出現しました。41マグナムは、登場したての頃は、357マグナムよりは威力があり、44マグナムほどのきついリコイルがない「理想のマグナムカートリッジ」として、もてはやされましたが、時が経つにつれて、どっちつかずのカートリッジとして、人々の記憶から消え去っていきました。

歴史は繰り返す

この10ミリオート弾も登場時には、9ミリパラベラムと45ACPの良いところを合わせたカートリッジとして、期待されましたが、時間の経過とともに「45ACPのきついリコイルと、9ミリパラベラムのマンストッピングパワーの弱さを合わせた使えない子」扱いをされつつあります。やはり「歴史は繰り返す」のでしょうか。現在はハンティング用のバックアップとして一部のハンター達から人気が再燃しています。

10ミリオート弾開発のキッカケは?

cyclonezawaさんの投稿
25025876 553756868335392 6137727373740605440 n

武装した犯罪者相手にリボルバーでは力不足になった

1980年代のアメリカの都市部では武装した犯罪者による事件が増えていました。しかし、それに対応する警察関係者の装備するリボルバーでは、威力、装弾数共に、信頼性が揺らぎ始めていたのです。このころ、9ミリパラベラムを使用した多弾数マガジンのオートも出始めてはいましたが、9ミリパラベラムの威力に対する不信感や偏見が根強く残っており、一般的には45ACPほどの信頼はされていませんでした。

人々はミラクルブレットを求めた

かといって威力面では信頼できる45ACPでも、フィアーパワーの面では装弾数が7発と、リボルバーより一発多いだけなので、装弾数の面で不安が残っていたのです。そのため、9ミリパラベラムの以上の威力で、45ACPより貫通力に優れ、多弾数化できるカートリッジが求められていたのです。

10ミリオート弾の威力は?

omi_12さんの投稿
32178300 234681683750629 6914854530031026176 n

リボルバーの357マグナムに匹敵します

10ミリオート弾の威力は、45ACP(240gr)より少し軽い10ミリ弾頭(200gr)を9ミリパラベラム並の初速で撃ち出すために、セミオートハンドガンとしては、大変な高威力な弾になりリボルバーの357マグナムに匹敵するほどのハイパワー弾になりました。そのため、クラスの低いボディーアーマーならⅡAレベルのボディーアーマーを貫通できる性能をもっていると言われています。そのためデルタなどの特殊部隊からも注目されていました。

10ミリオートをFBIが採用したキッカケは?

マイアミ銃撃事件とは

マイアミ銃撃事件とは、1986年にマイアミで発生したFBIオフィーサーと犯罪者二名による壮絶な撃ち合いが行われた事件です。事件の犠牲者は、犯罪者二名は銃殺、FBIオフィーサーも無傷だった者は一人、後は、二名が殉職、五名が重傷を負ったアメリカならではの事件です。

ウインチェスター シルバーチップホローポイントとは?

問題になったのは事件後の遺体解剖の結果、犯人の一人に9ミリパラベラムのシルバーチップホローポイントが命中したにもかかわらず、犯人の行動を即座に停止できなかったことです。シルバーチップホローポイントは、1980年代にウィンチェスターが開発したホローポイント弾で、115grの軽量高速弾を撃ち込む事によって、体内に撃ち込まれた弾がエクスパウンドして撃たれた相手を即座に行動不能に陥らせると言われているブレット(弾頭)でした。

FBIは9ミリパラベラムに不信を持ち10ミリオート弾を採用する

しかし、実際には、体内に侵入する前に衣服などで弾頭先端の窪みに繊維が入り込むと、十分なホローポイント効果が発揮できないことが、後に判明します。この事件がキッカケになり、FBIは9ミリパラベラムのホローポイント弾が持つマンストッピングパワーに疑問を抱くようになります。その結果、後に10ミリオート弾の採用へと繋がっていくのでした。FBIの動きを見て、コルトはデルタエリートを開発しています。

10ミリオート弾を採用した結果は?

FBIは威力が強すぎて減装弾を採用した

10ミリオート弾は1988年にFBIから採用されるも、威力が高すぎて扱いにくいとの現場の声に対応して、10ミリオート弾の減装弾を採用します。これがいわゆる「FBIロード」と呼ばれるものです。10ミリオート弾はカタログどおりのスペックを目指すために、装薬量の関係でケースの長さを延長しています。

結果として「40S&W弾」が生まれてしまった

そこにS&Wとウィンチェスターは疑問を持ち、「装薬量を減らすのなら、ケースの長さを短くしてもいいんじゃねぇ?」と思い、10ミリオート弾のケース長を3ミリ短くしたカートリッジを開発しました。そのカートリッジが現在「40S&W弾」と呼ばれている弾薬です。本来なら、10ミリオート弾が目指すべきだった場所に、今は40S&W弾が居座っています。
 

10ミリオート弾が普及しなかった理由は?

銃本体が不甲斐なかった

10ミリオート弾が普及しなかったのは、カートリッジのスペックが高すぎたのが原因ではなく、このカートリッジを使用するデルタエリートなどの銃本体のできの悪さが大いに影響しています。このカートリッジを使用するために開発された最初の銃の「ブレン・テン」は、マガジンの不良問題も含めて、ファブリケーションが上手く行かずに、わずか二年で倒産してしまい、1500丁を生産しただけでした。

tomas_mysliさんの投稿
33428974 210538016407253 8878609699130310656 n

コルトにはやはり倒産を繰り返す理由がある

次にこの開発されたを使う銃として登場した「コルト・デルタエリート」も、コルトの品質管理の甘さが原因で故障や破損が続出して、10ミリオート弾の脚を引っ張ります。1911をベースにして、ちょっとした手直しだけでこのカートリッジに対応できると考えたコルトの品質管理の甘さには、本当に呆れてしまいます。

sidearmsocietyさんの投稿
32686050 2096549390627536 1444445265976098816 n

ハンティング用として息を吹き返しつつある

このような状況なら、本来はとっくに消えていても不思議ではないカートリッジなのですが、幸か不幸か、最近ではハンティング用として、再び人気が盛り返しています。また、グロックがこの口径のモデルを作っているのも、命を永らえている理由の一つでしょう。
 

10ミリオート弾を使用する銃

by_silah_centerさんの投稿
32947028 316801025520841 5516490376195604480 n

ここまで、10ミリオート弾のカートリッジについて説明をして参りましたが、ここからは、10ミリオート弾を使用する、代表的なハンドガンについて、ご案内をします。

10ミリオート弾①ブレン・テン

理想の弾を使うCZ75を造りたい!それがブレンテンの始まりだった

ブレン・テンの始まりは、理想のカートリッジを使う最高のコンバットオートを造りたい!という崇高な理念のもとでスタートします。カートリッジのスペックはすでに決まっていました。開発者の2人は当時、コンバットシューティングの神様と言われていたジェフ・クーパーがチェコスロバキア製の9ミリオートである「cz75」に対して最高のコンバットオートだと評価するのを聞き及び、アメリカ国内でcz75を生産することを決意します。

開発からデリバリーまで5年の歳月を要した

当時、共産圏内であったチェコスロバキア製にハンドガンであるcz75は、極少数がアメリカに輸入されただけで、一般のシューター達には入手困難な状況だったのも、開発を決意した一因でした。ブレン・テンの開発にはジェフ・クーパーも参加して1,980年から始まり、実際にブレン・テンが市販されるまで5年の歳月を要しました。

マガジンの無いハンドガンだった

cz75のコピーとして市販がスタートしたブレン・テンは、ジェフ・クーパーの後押しも合って、発売当初はかなりの注目を集めました。しかし、イタリアのメーカーに発注していたマガジンの納入が遅れ、最初のデリバリーはマガジン無しで、ブレン・テン本体だけをオーダーした人に渡し、マガジンは納入され次第、後で送るというとんでもない状況になりました。

トラブル続きでわずか二年で生産終了

その後も、マガジンや、ブレン・テン本体の不具合でトラブルが続き、生産開始からわずか二年で、生産は終了します。そのため、カートリッジを共同開発したスウェーデンのノルマ社以外のカートリッジメーカーは、10ミリオート弾を生産することもなく、手に入りにくい10ミリオート弾は割高なカートリッジになりました。このカートリッジの高価格も、10ミリオート弾の普及を妨げた原因の一つです。
 

歴史にもしもはないけれど

もし、このブレン・テンの販売がトラブル無く順調に進んでいれば、10ミリオート弾の状況は、もっと違うものになっていたかもしれません。このプロダクトの失敗がつくづく残念です。

10ミリオート弾②コルトデルタエリート

1987年にコルト社によって開発された、10ミリオート弾用のハンドガンです。外装上の変更点はいくつかあるものの、基本的にM1911をそのまま流用しており、スプリング等も10ミリオート弾の衝撃を受けるのには、弱すぎるので、ジャムが破損が多発して、評価は高くありません。

ウェスタンアームズ:コルト・デルタ・エリート

WA コルト デルタエリート レールガン
楽天で詳細を見る

コルト・デルタエリートのガスブローバックガンはウェスタンアームズから販売されています。ガツン!ガツン!と衝撃的なりコイルが体感できますが、価格的には敷居が高いモデルです。

10ミリオート弾③STIエッジ

STIインターナショナル社はM1911のモジュラー化に成功したカスタムメーカーで、スライド、フレーム、バレル等を組み替えることによって、各種類の口径に対応しています。その中に10ミリオート弾対応のユニットも含まれています。

KSC:STIエッジ

KSC ガスブローバック STIエントリーA1 [エアガン/エアーガン/ガスガン]
楽天で詳細を見る

KSCはSTIインターナショナルとライセンス契約を結んでいて、リアルなガスブローバックガンを再現してくれています。10年ほど前にKSCのSTIイーグルを所持していましたが、小気味良いブローバックで、撃っていて楽しいガスブローバックガンでした。

10ミリオート弾④グロックG20、G29、G40

グロックには10ミリオート弾を使用するモデルがあります。ベースとなるモデルはグロックG20でそのロングスライド版がグロックG40,サブコンパクト版がG29となります。おそらく、グロックが10ミリオート弾をモデルに加えているために、10ミリオート弾は息を永らえているのではないかと思われます。グロックがハンティング用モデルを開発してくれると、生き残る可能性は高くなってきます。

10ミリオート弾⑤SIG P220

SIGP220は自衛隊が採用している9ミリパラベラムや45ACPが知られていますが、10ミリオート弾を採用したモデルもバリエーション中に加えています。高品質で定評のあるSIG製品なので、コルトのような辛い結果にはなっていないようです。SIGではこのモデルをハンティング用に開発したもようです

タナカワークス:SIGP220

SIGP220のガスブローバックガンはタナカワークスから販売されています。タナカワークスのモデルは自衛隊採用の9ミリパラベラムモデルですが、いまのところ、P220のガスブローバックガンはタナカワークスの製品しかないので、これは10ミリオート弾のP220だと仮定して、楽しみましょう。

10ミリオート弾とハンティングーまとめ

度重なるプロダクトのトラブルに見舞われ、40S&Wに居場所を奪われた10ミリオートですが、本来ならデルタなどの特殊部隊に採用されてもおかしくないポテンシャルを秘めていました。357マグナムに匹敵するパワーは、ボディーアーマーも貫通する能力もあり、運用次第で生き残る可能性はあります。幸いにもハンティングのバックアップとして再び需要が掘り起こされつつある10ミリオートですので、価格次第ではハンティング用として残るかもしれません。

弾薬に興味のある方はこちらもどうぞ!

Thumb338ラプアマグナムは長距離狙撃向き?弾の威力などを徹底解明! | 暮らし~の[クラシーノ]
長距離狙撃はプロの業みたいで憧れますよね。 今回は、その長距離狙撃を成功させるために必要な弾...
Thumbスラッグ弾とは一体?その威力や散弾の種類やそれぞれの特徴まで解説! | 暮らし~の[クラシーノ]
ショットガンの中でも、ひときわ大きな威力を持つ弾としてよくメディアなどにも登場するのがスラッ...

関連するまとめ

アクセスランキング

人気のあるまとめランキング

新着一覧

最近公開されたまとめ