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トマトトーンの使い方と効果とは?成分や散布のタイミングまで解説!

トマトトーンという名前を聞いたことがありますか?トマトの花に散布することで、トマトの着果や実の発育を促す農薬です。農薬と聞くとあまりいい響きではありませんが、安全性に問題はないとされています。トマトトーンの成分や効果についてご紹介します。
2020年8月27日
『カメレオン』
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トマトトーンとは?

トマトトーンとは?

トマトトーンとは、トマトやナスの花に散布し、着果や実の成長を促進させる薬剤です。果実の肥大化を促進し、収量を増やしたり、低温期や日照不足の際も安定的に着果させることができます。家庭菜園で薬剤を使用するのは、安全性に不安がある方もいるかと思いますが、トマトトーンは農林水産省の安全基準を満たした薬剤ですので、安全性に問題はありません。

トマト以外にも使える?

トマトトーンの主成分であるパラクロロフェノキシ酢酸は、植物が持つホルモンと同様の働きをするので、トマトだけでなくミニトマト、ナス、しろうり、ズッキーニ、メロンに使用しても効果があります。製品に記載されている適用植物以外には効果がないので、個人の判断で他の野菜等に使用するのは避けましょう。使い方は、各植物ごとに違ってきますので、適用植物に使用する場合も、使い方を誤らないように注意が必要です。使い方を誤ると、安全性に問題はなくても効果がなかったり、株自体に薬害を生じる場合があります。

家庭で実践できるトマト栽培のコツ

トマトの実がなるメカニズム

トマトに限らず、多くの植物は、めしべに対しておしべからの花粉が受精して実ができます。このとき植物内でホルモンの数値が変化しますが、トマトトーンはこのホルモンを外部から与えることで、受精しなくても着果させることができる薬品となります。

1段目が重要

トマトは成長に伴い、株の下の方から花を咲かせます。株の一番下に一番最初に付いた花房を、第一花房や1段目といいますが、トマトを栽培するにあたって、この1段目の花房はとても重要です。植物にとって種子を作るということは、とても多くのエネルギーを消費する行為です。トマトは1段目に実が付かないと、実を太らせるために使われなかったエネルギーが、そのまま株の成長に使われ、茎や葉が生い茂ります。そうすると樹勢ばかりが強くなり、そのあとの花が付きにくくなります。これを「樹があばれる」といいますが、トマトの収穫には何のメリットもありません。つまり、いかにして1段目に着果させるかが、その後の着果を左右するということです。

トマトトーンの使い方

トマトトーンの使い方とは


トマトトーンは、原液を薄めて散布するものと、スプレー状になっていてそのまま使用できるものがあります。どちらのものも、花に直接吹き付けることで、花房のホルモン勾配に変化を与え、果実の肥大化を促進します。使用する際は、なるべく花房のみにかかるようにしてください。頂芽や新芽にかかると、成長が阻害されて葉が委縮する場合があります。使い方を誤ると、効果が期待できないどころか、かえって害を与えることになりますので、正しい使い方で、最大限効果を発揮できるようにしましょう。

トマトトーンの散布方法

トマトトーンは花に対して散布するものですが、トマトの場合は花房といって、房状に花が付きます。トマトに散布する場合は、開花前3日~開花後3日が適期で、つぼみの状態でもかまいません。ひとつの花房で花が3~5つ咲いたくらいでかまいません。

トマトトーンの効果的な濃度

原液を使用する場合

トマトトーンは、ただ散布すればよいというものではありません。使用する植物に適した濃度があるので、説明書通りの濃度と使用回数を守りましょう。トマトの場合は、低温時(20度以下)では50倍、高温時(20度以上)では100倍に希釈します。低温時の方が高濃度になります。 希釈濃度を誤って、高濃度のまま使用すると、薬害を生じやすくなりますので注意が必要です。

スプレータイプの場合

スプレータイプの場合、使用条件が20度以上と決められており、すでにその条件下で効果を発揮する濃度になっているため、希釈する必要はありません。1花房に対して1回、開花前後3日の間に散布します。 スプレータイプのものは、そのまま使用できる濃度なので、希釈の手間もなく、不慣れな方でも使いやすい反面、低温期では効果が薄く、また、適用植物がトマトのみですので、他の野菜には効果を発揮しにくいです。

トマトトーンの薬害

トマトトーンに薬害はある?

薬害と聞くと怖いイメージですが、トマトトーンは、適した濃度と回数で使用しないと、薬害を生じる場合があります。高濃度で使用したり、必要以上の回数を散布しないようにしてください。適用植物ごとに、適した希釈濃度が決まっているので、使用上の注意をよく読みましょう。 また、新芽や頂芽にトマトトーンがかかると、そこに薬害を生じる場合があるので、散布する際はなるべく花房にかかるようにしてください。花房周辺の茎や葉にかかっても問題はありません。

薬害の症状


出典: https://blogs.yahoo.co.jp/tnkn1938/64667402.html

誤って花房に複数回の散布を行ったトマトの実

ひとつの花房に対してトマトトーンを高濃度で散布したり、複数回散布するなど、使い方を誤ると実が大きくならなかったり、虫食いのように穴があいたりと、正常な状態の実にならなくなるなどの薬害を生じることがあります。 また、頂芽や新芽にトマトトーンがかかった場合、葉が委縮するなど、葉の成長が阻害されることがあります。このような状態になってしまった場合は、その部分を切り取ってしまい、脇芽の形成を促してやれば改善されます。

トマトトーンの成分

トマトトーンの成分が与える影響とは

トマトトーンの有効成分は、パラクロロフェノキシ酢酸(4-CPA)という化学物質です。パラクロロフェノキシ酢酸は、植物が持つオーキシンというホルモンに似た働きをします。その働きを利用して、トマトの果実に影響を与えます。植物が本来持っているホルモンと同様の働きをする成分が最大限効果を発揮するためには、正確な希釈濃度と適したタイミングでの使用が重要です。

オーキシンとは?

オーキシンは主に植物の茎の先端(頂芽)の部分で作られ、そこから根に向かって流れていく性質があります。植物の花粉には、このオーキシンが含まれていて、受粉すると子房(種になる部分)の成長を促します。 トマトトーンの主成分であるパラクロロフェノキシ酢酸は、オーキシンと似た働きを持つため、植物が受粉しなくても果実の形成、肥大化に影響を与えます。オーキシンは頂芽の成長にも影響を与えるため、トマトトーンを散布するなど、外部から濃度を変えるようなことをすると、逆に成長が阻害されることになります。トマトトーンを頂芽や新芽に散布すると、葉が委縮するのはこのためです。

トマトトーンのタイミング

散布のタイミング

トマトトーンは、適したタイミングで使用することで最大限の効果を発揮します。トマトに散布する場合と他の植物に散布する場合とで、適したタイミングが違います。トマトの場合は、開花当日を挟む前後3日くらいが適期です。トマトは房状に花を付けるため、房の先端と茎に近い側とでは、開花のタイミングが違うため、ひとつの花房で3~5個程度開花したくらいで散布するとよいでしょう。

1段目のみの使用でも効果あり

トマトは1段目に確実に実をつけることができれば、樹勢をコントロールして収量を増やすことができます。自然に任せるよりトマトトーンを使った方が、より確実に1段目を実らせることができるようになるので、結果として全体の収量が上がります。特に1段目がまだ気温の低い時期に咲いたり、ハウスで栽培していたりする場合、虫による花粉の媒介が困難で、着果しにくくなります。それを避けるためにも、トマトトーンは有効に活用されます。 トマトトーン使用のタイミングは、株ごとではなく花房ごとに決まるので、安全性や薬害を懸念される方は、1段目だけトマトトーンを使用するのもひとつの手です。

トマトトーンの安全性

安全性について


トマトトーンは、植物がもともと持っているホルモンと同様の働きをする物質なので、トマトに使用しても安全です。希釈濃度を間違えたり、ひとつの花房に対して複数回散布したりすると、育成に影響が出て味が落ちたり、正常に実らない場合もありますが、株自体に問題はないので、同じ株に実った正常な実については問題ありません。遺伝子レベルでの調査でも、自然に受粉した実と同様に、安全性には全く問題ないとされています。

使用上の注意

トマトトーンは、農林水産省の安全基準を満たした登録商品であり、トマトやその他の適用野菜に使用しても、安全上問題ありません。魚毒性等も確認されていません。ただし、散布の際には注意が必要で、目に対して刺激があるのでくれぐれも散布の際は風向き等に注意しましょう。ゴーグルなどを使用すると安心です。目に入った場合は、すぐに洗い流して医師の診断を受けてください。

トマトトーンは農薬?

農薬とは?

農薬とは、農業の効率化や農作物の保存の際に使用される薬剤全般を指します。殺菌剤、殺虫剤、除草剤、殺鼠剤など、劇物指定されているものから、植物成長調整剤、いわゆるホルモン剤なども含まれます。種なしブドウを作る際に使用するジベレリンや、トマトトーンは、この直物成長調整剤に含まれますので、トマトトーンは農薬に分類されます。

有機栽培と無農薬

よく有機栽培と無農薬栽培を混同されている方がいますが、有機栽培=無農薬栽培ではありません。有機栽培とは、「科学的に合成された肥料や農薬を使わない」農業で、天然由来の肥料や農薬の使用は認められています。実際に「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)」でも、使用後も有機栽培と表示できる農薬が多数あります。これは、金属などの無機物でも、天然鉱石などから生成されたものであれば使用できるので、肥料や農薬を使用していても有機栽培と表示されている場合があります。 トマトトーンは科学的に合成された植物成長調整剤なので、トマトトーンを使用した場合は無農薬にも有機栽培にも該当しません。

まとめ

トマトを効率よく着果、肥大化させるには、トマトトーンの使用が便利です。1段目を確実に着果させることで、2段目以降の着果がよくなり、収量も上がります。 家庭菜園で薬品を使ってまで、とお考えの方もいらっしゃると思いますが、トマトトーンの成分は植物が本来持っているホルモンと同様の働きをするだけなので、その安全性も農林水産省が認可しています。 適切なタイミングと希釈濃度で正しく使用すれば、薬害を生じることなく最大限の効果が期待できます。毎年トマトの栽培でいい結果が出ないと感じている方は、トマトトーンの使用を検討してみてはいかがでしょうか?