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クサカゲロウとは?その生態や家庭菜園被害にあった際の駆除方法を解説!

クサカゲロウの大好物は畑や庭に発生するアブラムシ。とてもよく食べ10日ほどでアブラムシがいなくなるほどの益虫です。ただしクサカゲロウのオスはマタタビを食べマタタビにとっては害虫。クサカゲロウの生態やクサカゲロウが部屋に入るのを防ぐ予防対策法をご紹介いたします。
2020年8月27日
Yukari.S
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クサカゲロウってどんな虫?

クサカゲロウ科に属する昆虫を総称して「クサカゲロウ」と呼んでいます。クサカゲロウに属する仲間は、世界で1000種類以上存在するそうで、このうち日本には40種類ほどが分布しています。クサカゲロウの成虫は夜行性で、4~10月頃のあたたかい時期に発生します。クサカゲロウは民家や外灯などの灯りに集まる性質を持っています。

クサカゲロウの寿命は?

カゲロウ(蜻蛉)と聞くと、とても寿命の短い虫という印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか。クサカゲロウは、卵として生まれてから成虫の寿命をまっとうするまで、だいたい3~4カ月の寿命があります。1年のサイクルで考えると、だいたい3世代交代します。意外と寿命が長いと思いませんか。

クサカゲロウの基本データ

分類

アミメカゲロウ目クサカゲロウ科

和名

臭蜻蛉(クサカゲロウ)

英名

Green lacewing、Golden eye

クサカゲロウの名前の由来

クサカゲロウの和名は、クサカゲロウの特徴からつけられたものです。またクサカゲロウの英名である「Green lacewing」「Golden eye」はどちらも、クサカゲロウの成虫の見た目からつけられたもの。3つの名前の由来について詳しく見ていきましょう。

和名「クサカゲロウ(臭蜻蛉)」の由来

クサカゲロウの成虫は、何者かに体を触れられると、胸の前あたりから臭いにおいを発生させる性質があります。このクサカゲロウの特徴から、臭いカゲロウ、臭蜻蛉と名付けられました。ただし、近年では、臭いにおいを発生させるのは、クサカゲロウのなかでも数種類だけ、ということがわかっています。ちなみに、日本に生息するクサカゲロウの仲間で、臭いにおいを発生させるのは、「ヨツボシクサカゲロウ」「シロスジクサカゲロウ」「キントキクサカゲロウ」です。


英名「Green Laceing」の由来

クサカゲロウの成虫の体や翅(はね)は、美しいグリーン色をしています。またクサカゲロウの翅(は)は、繊細なレース編みのようです。こうしたクサカゲロウの外見から、「Green lacewing」という英名がつけられました。

英名「Golden eye」の由来

クサカゲロウの成虫の眼は、グリーンがかった金色をしています。このクサカゲロウの外見から、「Golden eye」という英名がつけられました。

クサカゲロウの生態

クサカゲロウは、幼虫のときの姿や生態と、成虫になってからの姿や生態がかなり違う虫です。クサカゲロウの卵が生み落とされたときから、成虫になるまでの生態について、詳しく見ていきましょう。

クサカゲロウの生態・卵のとき

クサカゲロウの卵は、細長い楕円形をしています。なお、クサカゲロウが卵で生存している時間は3日ほどです。クサカゲロウの卵ひとつの大きさは、だいたい1ミリ程度です。クサカゲロウは、卵を1か所に10~60個産み付け、ひとつひとつの卵は、糸状(てぐす状)につりさげられて、塊のようになっています。

クサカゲロウの卵は「ウドンゲ(優曇華)」と呼ばれることも

クサカゲロウの卵の外見はとても神秘的とも評されるもので、まだ研究が進んでいないころには、なにか植物の一種ではないかとも考えられていたそうです。クサカゲロウの卵のこの姿から、クサカゲロウの卵は「ウドンゲ(優曇華)」と呼ばれることがあります。ウドンゲ(優曇華)とは、仏教界の説法「優曇華の花」に登場する架空の花のことで、伝説ではウドンゲ(優曇華)の花は、三千年に一度花を咲かせるそうです。

クサカゲロウの生態・幼虫のとき

神秘的とも言えるクサカゲロウの卵の美しさ。そこから誕生するクサカゲロウの幼虫の姿は、実は、あまり美しいと言えるものではありません。クサカゲロウの幼虫の姿をたとえるなら、アリジゴクを少しスリムにしたような感じです。なお、クサカゲロウが幼虫でいる期間はおよそ10日ほどです。

クサカゲロウの幼虫は、大食漢

クサカゲロウの幼虫は、アブラムシをはじめとして、カイガラムシやキジラミ、ハダニなどを好んで食べます。なかには、アリさえも食べてしまう幼虫もいるそうです。クサカゲロウの幼虫は大食漢。なんとクサカゲロウは、幼虫時代の10日のあいだに、約600匹ものアブラムシを食べてしまうそうです。クサカゲロウの幼虫が一番好きなのはアブラムシなのですが、周りのアブラムシを食べつくしてアブラムシがいなくなってしまうと、カイガラムシやキジラミ、ハダニといった、ほかの害虫を食べはじめます。なかには、エサが足りなくなって成虫になれずに死んでしまう運命のものもあるそうです。

クサカゲロウの幼虫は益虫として農業に利用される

クサカゲロウの幼虫は、人間にとってありがたい益虫と言えます。無農薬栽培をしている農家では、クサカゲロウの幼虫は益虫として重宝されています。また、ニュージーランドやアメリカでは、クサカゲロウの幼虫を益虫として畑に放ち、大々的に害虫対策に利用する農法もあるそうです。


クサカゲロウの生態・蛹(さなぎ)のとき

クサカゲロウの幼虫が老熟すると、そのお尻から白っぽい糸をだして繭(まゆ)を作ります。クサカゲロウの幼虫は、作った繭(まゆ)のなかで蛹(さなぎ)になります。クサカゲロウが蛹(さなぎ)でいる期間は、だいたい15日くらいです。ちなみに、クサカゲロウは、繭(まゆ)のなかの蛹(さなぎ)の状態から直接成虫になって出てくるのではありません。クサカゲロウは、繭(まゆ)から出てきて少し歩いたあと、脱皮して成虫になります。

クサカゲロウの生態・成虫のとき

クサカゲロウの成虫の大きさは、だいたい1~3センチ。クサカゲロウの成虫は、美しい緑色で、実に繊細な見た目の美しい昆虫です。クサカゲロウの成虫がふわりふわりと飛ぶ姿は、なんともはかなげな印象で、ほかの虫にはない独特のものです。なお、クサカゲロウが成虫でいる期間はだいたい3カ月くらいです。クサカゲロウの成虫は、おもにアブラムシが出す甘い排泄物や植物の花粉を食べます。クサカゲロウの成虫は、大食漢だった幼虫時代と比べると、アブラムシ自体を食べませんし、それほどの量も食べません。

クサカゲロウの種類

クサカゲロウに属する虫は、世界に87属1300種ほど生息しています。このなかで日本に生息しているのはだいたい40種類です。日本に生息している代表的なクサカゲロウについて、もう少し詳しく見ていきましょう。

ヤマトクサカゲロウ

ヤマトクサカゲロウは、ニッポンクサカゲロウとも呼ばれ、一般的によく見るクサカゲロウのひとつです。ヤマトクサカゲロウの成虫が翅(はね)を広げた姿は、だいたい2~3センチくらいの大きさです。ヤマトクサカゲロウは、全体的に美しいグリーン色をしていて、背中に黄色っぽい筋が一本とおっています。ヤマトクサカゲロウは、アブラムシを好んで食べます。

ヨツボシクサカゲロウ

ヨツボシクサカゲロウの体長は、だいたい1~2センチです。ヤマトクサカゲロウと比べると少し小さいです。ヨツボシクサカゲロウの頭部には、4~5つの黒い模様があり、このことからヨツボシクサカゲロウという名前がついています。ヨツボシクサカゲロウもアブラムシを好んで食べます。

カオマダラクサカゲロウ

カオマダラクサカゲロウの成虫の大きさは、だいたい2センチ前後です。カオマダラクサカゲロウは、口ひげの付け根あたりに黒い斑紋があるのが特徴です。ほかのクサカゲロウと同様、アブラムシを好んで食べます。

クサカゲロウは畑では益虫になる

クサカゲロウの幼虫は、畑やガーデンの植物に寄生するアブラムシを好んで食べます。アブラムシは春のあたたかい季節になると発生しやすい害虫で、せっかく植えた植物や野菜を食べて枯らしてしまいます。しかも、クサカゲロウの幼虫は、とてもたくさんのアブラムシを食べるので、農家やガーデナーにとってクサカゲロウは、嬉しい益虫と言えます。

クサカゲロウはマタタビの害虫になる


クサカゲロウのオスは、マタタビの葉っぱや実を好んで食べます。クサカゲロウのオスは、マタタビに含まれるネオマタタビオールという成分の香りに誘引され、集まってきます。とても不思議な現象で、なぜクサカゲロウのオスだけがマタタビに集まるのかなど、はっきり解明されていないこともあるそうです。なお、マタタビの実は、味噌漬けやマタタビ酒などに加工され、珍重されています。畑にとって益虫となるクサカゲロウですが、ことマタタビにとってはクサカゲロウのオスは、やっかいな害虫となります。

クサカゲロウは人家では嫌われることも

クサカゲロウは夜行性で、灯りに群がってくる性質があります。クサカゲロウは人間に対して噛む、刺すといった被害をもたらすものではありません。ですが、とくに虫を苦手とする方にとっては、クサカゲロウが窓辺や屋内に寄ってくるのは、あまり嬉しいものではありません。クサカゲロウを駆除する前に、クサカゲロウが集まってくること自体を予防対策するとよいでしょう。

クサカゲロウ予防対策・部屋への侵入を予防する

クサカゲロウの成虫は、民家の灯りや外灯に集まってきます。そのため、クサカゲロウの成虫が発生しやすい暖かい時期には、しっかり網戸をしめて、窓を開けっぱなしにするのを避けることで、クサカゲロウが部屋にまで侵入するのを防ぐことができます。また、網戸にあらかじめ防虫スプレーを吹いておくのも、クサカゲロウ発生の予防対策になります。さらに、クサカゲロウは白っぽい照明をより好むので、なるべく黄色っぽい光の出る照明に変えてしまうのも予防対策のひとつでしょう。

クサカゲロウ予防対策・発生後の駆除

クサカゲロウは、人間にそれほど害を与えない昆虫なので、なるべくなら駆除は避けたいもの。とは言え、クサカゲロウの発生があまりに多く、部屋への侵入を抑えきれない場合などには、クサカゲロウを駆除することも視野にいれる必要も出てくるでしょう。

害虫駆除器具や殺虫剤の使用も視野に

クサカゲロウが集まりやすい外灯などに、虫を駆除するための電気の殺虫器具を取り付けておくのもひとつの手段です。また、室内にクサカゲロウが侵入してきて不快な場合には、手で追い払って駆除しましょう。さらに、害虫駆除スプレーなどをクサカゲロウに吹き付けると、簡単に駆除できます。

クサカゲロウの翅(はね)はレース編みのごとく美しい

クサカゲロウの成虫は、なんともはかなげな美しい姿をしています。クサカゲロウの翅(はね)はまるでレース編みのような繊細なもので、自然の美しさや生命の神秘を教えてくれる外観です。クサカゲロウは人間に悪さをしない虫なので、なるべく駆除は避けたいものです。そのためには室内への侵入をあらかじめ防ぐ予防対策をすることが一番。夜の部屋の灯りに集まる性質を持つので、網戸をこまめに閉めたり、灯りをなるべく暗くするなど、クサカゲロウとの共存を目指すとよいでしょう。