ガザニア、ガーデンの勲章!
ガザニアは、クンショウギク(勲章菊)とも呼ばれるキク科の花で、春から秋にかけ、鮮やかな花を咲かせてくれます。花びらの色は暖色系で、模様は多種多様ですが、なかでも、まさしく勲章のように放射状のストライプがはいる品種は、見るものの目をひきつけて止みません。 ガザニアのもう一つの魅力は、薄暗い日や、夜になると花が閉じてほっそりとした控えめな姿になるというところです。開花中の華やかな姿とのギャップを楽しむことができますよ。
上手く咲かない理由は「日照時間」
大きな花と、すらりとしたつぼみという、二つの花姿を楽しめるガザニアですが、せっかくつぼみがついたのに日中に花が咲かない、という悩みをお持ちの方も多いのです。咲かない理由、実は「日照時間」にあるのです! 特徴や育て方、増やし方、美しく管理する方法、更にはおすすめの品種5つもご紹介します!
ガザニア:基本情報
科名
キク科ガザニア属(クンショウギク属)。
学名
Gazania。 園芸上のガザニアの学名はGazania rigens。
花名
英名:gazania、treasure flower 和名:クンショウギク(勲章菊)
名称由来
英名のガザニアとは、ガザのテオドロスという15世紀の人物にちなんでいます。植物学の祖といわれる古代ギリシャの偉人テオプラストスの著作を、教皇の命をうけて、初めてギリシャ語からラテン語に翻訳したことで歴史に名を残しています。 ヨーロッパに紹介されたのは18世紀のこと。日本には大正時代に紹介され、花の姿から勲章菊とよばれるようになりました。
原産地
南アフリカ。
開花時期
4月~10月上旬。
特徴
草丈は15~40cm。葉はヘラ状、または切れ込みのある羽状。茎はほとんど伸びません。葉は地際あたりで茂りグラウンドカバーとしても重宝します。葉の色は灰緑色や銀色、つやのあるものなどがあります。 耐寒性は強くありませんが、冬越しが可能。増やし方は、種、株分け、さし芽があります。
バリエーション豊かな花びら
長く伸ばした花茎の先端に直径5cm~10cmの1輪の花をさかせます。花の色は黄色、ピンク、オレンジ、赤、白など暖色系で、更にストライプが入ったり、二色咲きや、蛇の目模様が入るものもあります。花びらの形も、先端が丸みを帯びたものから、剣のようにとがったものとバリエーション豊かです。一重咲きが多いですが、八重の品種もあります。花は晴れた日中に開き、日の射さない曇りや雨、夜間は閉じます。
ガザニアの育て方
早速ガザニアを育ててみましょう。 南アフリカ原産の花らしく、高温と強い日差しが大好きですよ!きちんとケアすれば冬越しも可能です!
育て方(1/9)時期
花 期:4~10月上旬 種まき:4~5月、9月 植付け:4~5月 植え替え:3月下旬~5月 株分け:3月下旬~5月 さし芽:9~10月
育て方(2/9)植え付け
《植え付け時期》 植え付けは、4~5月に行います。 《環境》 南アフリカ原産の花ですので、原産地に近い環境を用意します。つまり、「日当たりが良い」、「水はけが良い」、「風通しが良い」この3点に気をつけましょう。 横に広がるので、20cmほど間隔をあけて苗を植えつけます。 《土》 水はけの良いものを選びます。市販の培養土で水はけが悪い場合は、培養土の2割程度の川砂やパーライトを混ぜ込んでやると改善します。
育て方(3/9)種まき
種まきは4~5月、9月に行います。 ガザニアの種は嫌光性、つまり日光に当たると発芽しにくい性質なので、土をかぶせてやりましょう。1週間くらいで発芽します。本葉が3枚くらいになったら、苗を庭やプランターに定植します。
霜に当たらないように注意
春に種をまいた場合はそのまま育てていきますが、秋に種をまいた場合は霜よけをしてやります。ガザニアの苗は特に耐寒性が低いのです。霜の当たらない室内に移動させるなどする必要がありますが、春まきよりも株が大きく育って充実し、多くの花を付けてくれます。
育て方(4/9)水やり
ガザニアは、じめじめした土が嫌いなので水の与えすぎに注意しましょう。春~秋の生育期には、土の表面が乾いたら水を与えます。冬には生育が鈍るので、土の表面が乾いてから2日ほどあけてから水を与えましょう。
育て方(5/9)肥料
春~秋の生育期には次々と花が咲くので、10日に一度液肥を与えてやりましょう。秋に花が咲かないようになったら肥料を与えるのを止めます。冬越しの間には肥料を与える必要はありません。
育て方(6/9)日当たり
ガザニアは強い日差しを好みます。日当たりが良く、風通しの良いところに植えてあげましょう。
育て方(7/9)梅雨のお手入れ
ガザニアは日本の梅雨の高温多湿が苦手です。風通しが悪いと葉が枯れたり、病気を引き起こしたりますので、梅雨の到来前に込み合った茎や葉を刈り取り、風通しをよくしてやりましょう。
育て方(8/9)冬越し
南アフリカ原産ですので、寒さにはあまり強くありません。しかし、霜に当たらないようにしてあげれば冬越しが可能です。南関東以西では屋外でも冬越しが可能です。冬越しのためには、株元に腐葉土を強いて防寒してやります。関東以北では、庭植えならば秋に掘り上げて鉢に植え替え、屋内に移動してやりましょう。
育て方(9/10)植え替え・株分け
植木鉢の中が根でいっぱいになり、底から根が伸びて出てくるようになったら植え替えが必要です。植え替えは3月下旬~5月に行います。鉢から抜いた株は、それまでよりも一回り大きな鉢に新しい土で植え替えてやります。株が大きくなりすぎてしまった場合は、株分けをしてやりましょう。
株分けには清潔な土を
庭植えの場合も、植えてから何年も経って株が大きくなってきたら、株分け兼植え替えをして、株を更新してあげます。株分けするときには、あまり細かく分けすぎず、一つの株に3~5個位ずつ芽がつくようにしましょう。植え替え・株分けとも、共通して注意するのは、清潔な土や道具を使うことです。
ガザニアの増やし方
ガザニアの増やし方は、種、株分け、さし芽の三つです。種と株分けについては、既にご紹介しましたね。 しかし、八重のものだけは、増やし方は「さし芽」「株分け」のどちらかに限定されるのです。なぜなら、八重咲きのガザニアは種を取ることができないからです。 さし芽は簡単な増やし方の一つです。正しい方法を知って、ガザニアをたくさん増やしましょう!
増やし方:さし芽(1)時期と方法
さし芽は9~10月頃に行います。 さし芽に利用するのは、芽の先端から7cmほどの所で切り取った茎で、茎を土に突き刺す「茎挿し」を行います。茎の下の方の葉を取り除き、切り口を1~2時間程度水につけ、その後湿らせた赤玉土、またはさし芽(挿し木)専用の用土に挿します。茎が柔らかい場合は割り箸などであらかじめ土に穴を開けておくと、茎を傷つけません。
増やし方:さし芽(2)苗の乾燥に注意
土に挿したら水をたっぷり与え、風通しのよい明るい日陰に置いて管理します。土の表面が乾燥してきたら水を与えて苗が乾燥しないよう注意しましょう。およそ1カ月くらいで発根します。その頃には冬を迎えますので、苗は屋内など、霜の当たらない場所にいれてあげましょう。苗はまだまだ耐寒性が弱いので、冬越し対策が必要です。
かかりやすい病害虫
うどんこ病、葉腐病
葉腐病:株元の葉に暗褐色の斑点が出て、次第に全体に広がっていく。 うどんこ病:葉にうどん粉をまぶしたような白いカビが生える。 どちらも株元が茂りすぎて蒸れてくると発症しやすくなる病気です。こまめに咲き終わった花茎を摘みとり、葉を刈ってすかしてやり、風通しを良くすることで予防できます。また、抗菌剤をもちいての予防もできます。どちらも、病気を発症した箇所は早めに取り除き、蔓延しないようにしましょう。
アブラムシ、スリップス
アブラムシは春に現れ、茎や蕾、葉につき汁を吸います。あっという間に大量に増えてしまい、植物を弱らせてしまうので、見つけ次第殺虫剤を散布して駆除しましょう。 スリップスは花びらを齧り食べ、茶色くしてしまいます。やはりこちらも、見つけ次第殺虫剤で駆除します。
ガザニアの花が咲かない・・・理由は日照時間にあり!
ここまで、ガザニアは太陽が大好き、と繰り返し書いてきました。しかし、日当たりのいいところに鉢を置いて、つぼみもしっかりついているのに咲かない・・・とお悩みの方。 その場所の「日照時間」を調べてみましょう。花が咲かない理由は、日照時間の不足にあるのです!
日照時間は6時間以上必要!
日当たりと一口にいっても色々です。 1:午前中のみ明るい。 2:午後からのみ明るい。 3:一日中明るい。 4:周囲の壁などが白っぽいので、反射光で明るい。
常に一定量の日光を当てる事
更に、日当たりといっても、朝日が昇るときや、夕日が沈むときなどは光が弱くなってしまいます。同じ6時間日が当たるといっても、ずっと強い日差しではないので、「1:午前中のみ明るい」「2:午後からのみ明るい」場所の場合は、日差しが不足している可能性が高いです。
一日中明るい場所をさがして植えよう
ガザニアは、一日に6時間以上は「強い」「直射日光」を浴びるほうがよく育ち、花も良く咲くので、できるだけ「3:一日中明るい」場所を探して植える、または鉢を移動してあげましょう!そうすれば、一ヶ月も待てば元気を取り戻し、きれいな花を咲かせてくれますよ!
ガザニアを寄せ植えで楽しもう
ガザニアは寄せ植えにはあまりむきません。花が大きいことと、更に成長が早く他の植物を駆逐してしまうことがあるためです。それでも寄せ植えをしたい・・・! いくつかの注意点をご紹介します!すてきなアレンジを楽しみましょう!
ガザニア同士で寄せ植え
ガザニア同士での寄せ植えは、とっても簡単です! おなじ性質なのでお世話しやすいのはもちろんのこと、ガザニアの豊富な花色を生かすことができます。元気いっぱいで華やかな寄せ植えになりますよ!
おすすめの植物
別の植物と組み合わせるならば、同じ性質の植物同士で植えることが大切です。また、寄せ植えは混みあって蒸れがちです。すこしでも水はけをよくするために、地植えよりも鉢植えがおすすめです。 また、ガザニアの花は大きく個性的なので、それをひきたてるようなすらりとした草姿や、小花のもの、葉の色で変化をもたせるのがおすすめです。
ガザニアと同じく、多湿を嫌い、日向を好む植物
《草丈が高い》 ・センニチコウ ・イングリッシュラベンダー ・宿根リナリア ・ユーフォルビアダイアモンドフロスト 《草丈が低い、しだれる》 ・アイビー
ガザニアのおすすめ品種5つをご紹介
ガザニアはたくさんの品種が作出され、種でも苗でも流通・販売されていますが、おすすめの品種を5つご紹介します!
カナリアスマイル
カナリアスマイルは、とってもかわいい黄色と白のバイカラーです! 丸みのある花びらが、愛らしさを一層強調していますね。ゆでたまごがならんでいるようでかわいい、との声もある人気の品種です。
カシスクリーム
銀の葉と、おちついたピンクストライプの組み合わせがガーデンに変化をもたらしてくれます。カクテルの、クレーム・ド・カシスをいただきたくなっちゃう名前ですね!大人の雰囲気のガザニアです。
シルバーリーフ
銀色の葉をもつ品種のなかでも、こちらは花びらに蛇の目模様が入っているタイプ。目をひきつけられますね!
カモシレン
チョコレート色のストライプのはいったカモシレンは、シックな雰囲気です。群植する様子を見るのも楽しみですが、寄せ植えにも効果的に使える色です。
巨大輪ガザニア:かがやき
なんと、手のひらに近い大きさの花のつくガザニアも登場しています!はじめてみたら、「これは何の花・・・?!」とびっくりすること間違いなしですね!クリーム色だけでなく、イエロー系もあります。
ガザニアの花言葉
最後に、ガザニアの花言葉をご紹介します。 ・あなたを誇りに思う ・きらびやか ・潔白 ガザニアは、上をむいて咲く花です。胸を張って、自信にあふれたような花姿にふさわしい花言葉ですね。
まとめ
いかがでしたか?ガザニアは、南アフリカからやってきた、太陽がとっても大好きな花でした。公園の花壇や、街路樹の足元など、かんかん照りの過酷とも思える環境でも生き生きと咲いてくれます。 ガザニアの英名Treasure flowerのとおり、ガーデンの宝物となることまちがいなしです。種も苗もよく流通しており、入手しやすいので、今年はぜひ育て始めてみませんか? あなたのガーデンが、一層素敵になりますように!