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ムササビスーツ(ウィングスーツ)を体験するために必要なこと。価格はいくら?

ただ自由落下するだけでなく、鳥のように羽を広げ空を翔けたい。そんな夢を叶えてくれるのがウィングスーツ・通称ムササビスーツです。本記事ではそんなムササビスーツの仕組み、価格、体験方法を紹介しますので興味のある方はぜひご覧ください。
更新: 2023年9月29日
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ムササビスーツとは?

フライングスーツ(通称・ムササビスーツ)とは、手と足の間に特殊な布を張り、高所からジャンプして空を滑走する体験ができる特殊スーツです。1990年代フランスのスカイダイバーパトリック・デ・ガヤルドンによって原型が考案され、1999年にはフィンランドのBIRDMANによって市販で販売されました。

難易度の高いスポーツ

従来のパラシュートによるスカイダイビング体験とは違い、方向や飛び方を自在に変えられるスーツです。その分事故率が高く、毎年死亡者が出ています。滑空や着地など操作するには難易度が高く、一定の条件を満たした人間しか体験することが出来ません。スーツ自体も安い値段ではありません。

ムササビスーツでの飛行の呼び名

ムササビスーツでの飛行は「ウイングスーツ・フライング」や 「スカイフライング」 と呼び、ムササビスーツで飛ぶ人間の事を「ウイングスーツ・パイロット」、「ウイングスーター」、「スカイフライヤー」 と呼びます。

ムササビスーツの種類

ムササビスーツは空気を通さないナイロン素材で作られるのが一般的で値段が安めです。その他に、値段は高めですが、カーボンファイバーで作られたまさに飛行機のような翼「ウィングパック」を装着するものも販売されています。

ウィングパックにはジェットエンジンも装着することができ、値段は跳ね上がりますが速度と移動距離をさらに増大させることが出来ます。 これは軍用としても研究が進んでおり、レーダーに映りにくい特性を生かしてステルス状態で敵の基地に潜入することを目的とされています。

将来的にはジェットエンジンを装着したスーツで敵を攻撃するSF映画のワンシーンのような光景が見られるかもしれません。

ムササビスーツの構造

一般的販売されているナイロン素材のムササビスーツの構造を紹介します。ナイロン素材のムササビスーツは、人間の手足の間に動物のムササビのような羽を取り付ける構造となっています。

素材は空気を通さないナイロン素材が一般的で、薄手のリップストップナイロンと厚手の2種類が存在します。 この生地は単なる翼の役割だけでなく、ラムエアー構造という空気が入るとパンパンに膨らみ硬くなるようになっています。この構造により揚力を得ることが出来、空の滑空を経験できるのです。

ウイングスーツは高価

ムササビスーツは事故率の軽減のため、風洞装置によって何度もテストされ、最適な滑空を実現するためになんどもテストされ販売されています。高所からジャンプして壮大なる飛行を体験するには緻密な設計が不可欠で、その為ウィングスーツは購入するのにそれなりの値段がかかります。

最大250キロ!高速飛行体験ができる!

空を自由に飛べるムササビスーツ

ムササビスーツの魅力は何といっても「鳥のように飛べる体験」です。パラシュートによるスカイダイビングは地面に向けて落ちていくだけで方向転換などもうまくできませんが、ムササビスーツなら鳥のように自由な方向転換と滑空が体験できます。

その分事故率も段違いなのですが、一般生活では味わえないスリルな体験を求める人たちの間で人気です。パラシュートによるスカイダイビングに習熟した人が、次なるステップとしてムササビスーツを体験する例もあります。

さまざまな動画も

パフォーマンスの題材としても魅力的で、ジャンプ後山々の間縫うように飛んで2メートルの隙間をくぐったり、高層ビルの間を有用に飛んだりと事故率を恐れない様々な動画がアップされています。


ムササビスーツは、空を滑空する過程で日常生活では体験できない程の高速になります。上空のヘリコプターや高い崖からジャンプした後、地上に落下する速度は時速100キロ、水平に移動する速度は250キロまで加速します。

最も危険なエクストリームスポーツ

この高速飛行体験の中で、パイロットは体の姿勢を保ち意識を保ちながら進んでいく必要があります。そのため、ムササビスーツによる飛行を事故率の高さから「最も危険なエクストリームスポーツ」と呼ぶ人間も少なくありません。 そんなムササビスーツが2011年に打ちたてた最高速度はなんと時速363キロ!新幹線を超える速さです。

ムササビスーツの飛び方

ムササビスーツの飛行はまず上空の飛行機の中や高所にある崖や山などからジャンプする事から始まります。ムササビスーツの速度を存分に体験するには非常に高い高度が必要で、時には高度数キロ~10キロの地点からダイブすることもあります。

この高度では気温が氷点下数十度に生物の存在しない空間で、酸素マスクが必須となります。もし酸素マスクが外れると、数秒で意識を失いそのまま事故死する事となります。

ムササビスーツを操るには大変な努力が必要

ジャンプして飛び降りたら、手足を広げてフラットな状態を保ち滑空していきます。姿勢を保てないとそのまま下に落下するだけで通常のスカイダイビング体験と変わりません。姿勢を保つのは大変筋力がいり、最初からまっすぐ飛行するのは困難です。

地上に降りた後も、人によっては脱水症状に陥り、手足にもしびれが残ります。ムササビスーツを操るには大変な努力が必要で事故率の高さもうなずけます。

ムササビスーツの着地方法

ムササビスーツは着地の時も事故率が高く危険です。着地は通常のスカイダイビング体験と同じく低空でパラシュートを開き着地しますが、命知らずなウィングスーツパイロットはそれだけではなく、ジャンプ後様々な着地に体験、挑戦します。

様々な着地の方法が存在

地面にそのまま着地、水の中に着水、飛行中の飛行機に着地する形で乗り込むなど事故率の高い破天荒な着地方法は枚挙にいとまがありません。

しかし、これは非常に危険です。一歩間違えれば着地どころか地面や建物に激突し、即死します。このような死の危険や事故率の高さと隣り合わせなのがムササビスーツでのフライングの特徴です。

ムササビスーツの価格

そんな魅力たっぷりのムササビスーツですが、その分販売価格も高いのではと心配の方もいらっしゃるでしょう。現在ムササビスーツはパイオニアであるBIRDMAN社を始め数社が様々な価格のものを製作、販売しております。

その中で最もお値打ち値段なのが、最近日本国内でBIRDMAN社が販売を開始したオールラウンドウィングスーツ、その名も『忍者』。販売値段は約約20万円で思ったより価格もリーズナブルです。

様々なサイズが販売

入手しても経験がないといざ大空へ!というわけにはいきませんが、どうしてもという方は市販で販売されているのを買って着てみるのもよいでしょう。5種類のサイズと4種類のカラーがあり、どれでも値段は一緒で男女問わずおすすめです。

その他にも様々なサイズ、特徴の値段のムササビスーツがありますので興味ある方は調べてみましょう。

ムササビスーツを使用するのに必要な経験


先ほど少し述べましたが、ムササビスーツを実際に体験するにはスカイダイビングに関する豊富な経験が必要です。必要な条件を満たしていないと、ムササビスーツを入手しても体験する許可が下りないので注意しましょう。

具体的には①ライセンスを保有する現役のスカイダイバーかつ500回以上の通常スカイダイビング経験のある方②200回以上の通常スカイダイビング経験者で専門のインストラクターの指導を受けた方となっており、①か②どちらかを満たす必要があります。

一般人には危険なスポーツ

ということで、先ほどのスーツ販売代金と合わせると、ムササビスーツで実際にジャンプして空を翔けるようになるまで結構な価格のお金と時間が必要となります。危険や高い事故率と隣り合わせという事もあり、安全面でも価格の面でも一般人には危険です。

事故率はどれくらい?

空を翔ける魅力的な体験引き換えに、事故が絶えないのがムササビスーツの特徴です。時速数百キロまで加速するウィングスーツフライングにおいて、着地をミスしたり周囲の物に当たったりすることは即座に死につながることになるからです。

毎年多くの死者が出る事も

特に、地上にある高い建造物や断崖絶壁、高い山の頂上からジャンプする「ベースジャンプ・フライング」は死亡率が高く、毎年数十人の死者が出ております。事前に滑空コースを選定しても、気象条件の変化やわずかな目算の誤りから障害物に激突するからです。

危険性のわかる動画を紹介

2017年には、計2250回のベースジャンプ・フライングを行ったベテランウィングスーツ・パイロットが中国の森林公園で行方不明となる痛ましい事故が起きています。下の動画はマッターホルン級の山からムササビスーツで飛行する動画ですが、これを見てもベースジャンプ・フライングの危険性が分かると思います。

ムササビスーツを体験できる場所

ここまで読んでムササビスーツでウィングスーツ・フライングを体験してみたい!という方もいるかもしれません。しかし、経験を抜きにしてもそれは日本国内では難しい注文です。

実は、日本国内でムササビスーツを着て滑空、着地を練習ができる場所はありません。以前は大阪に室内でスカイダイビングを練習出来る場所があったのですが今は無くなり、グアムなど海外に行くしか練習する方法がないのです。

疑似的にムササビスーツを体験する方法

じゃあムササビスーツで空を飛ぶ体験はできないのか…と落胆する方もいらっしゃると思いますが絶望するのはまだ早いです。疑似的にムササビスーツを体験する方法が一つだけあります。 それはゲームです。

近年ゲーム技術の発展と共に映像表現の幅も増え、ゲーム内でムササビスーツによるウィングスーツ・フライングを体験できるものがいくつか出始めています。なんとしても体験したい方は、まず販売されているゲームを体験してみるのも一つの手段なのかもしれません。

まず紹介するのがPS4から販売中の『スティープ』。アルプス山脈を舞台に様々なウィンタースポーツが楽しめますが、その中の一つにムササビスーツによるウィングスーツ・フライングを楽しめるモードがあります。PS4の洗練された映像表現で体験する飛行体験はなかなかの迫力。ゲーム機とソフトで販売価格は高いですが買えば値段以上の体験が出来ます。

PS4の価格が気になる方には格安価格で楽しめる『Superflight』もおすすめです。四角いブロックで構成されるゲーム的世界を飛行していくゲームで、『スティープ』のようなリアル感には乏しいですがその浮遊感と速度は本物。

少しでも障害物に当たればゲームオーバーというハラハラ感を楽しみながら高スコアを目指します。PCゲームなのでゲーム機は必要ではなく、ソフトの値段も数百円とお買い得な価格です。

著名な日本人インストラクター

主に海外の方が活躍されているウィングスーツ・パイロットですが、その中で第一線で活躍している日本人パイロットもいます。その中で最も著名なのが伊藤慎一さんです。

大学卒業後陸上自衛隊やアメリカのミリタリースクールなど危機管理のスペシャリストだった伊藤さんがまず出会ったのがスカイダイビング。空の魅力に気づき合計降下回数20000回を数え2006年から新たにウィングスーツ・フライングに挑戦を始めました。

50歳を超えても現役パイロット

最初はうまく飛べなかったと回想していますが、その後メキメキと経験を積んで頭角を現し、最高速度・時速記録や飛行距離記録など様々な記録で世界記録を達成しました。

50歳を超えた今でもムササビスーツで毎年空を飛んでおり、現在の目標はオリンピック開会式に出演する事だそうです。 プレイヤーとしては遅咲きだったものの世界的選手として大成し、いまなお活躍を続ける伊藤さん。今後の活躍にも大いに期待です。


伊藤さんのムササビスーツによる飛行の一部始終を撮影した動画です。50代の人間とは思えないほど空を自由に飛んでいるのが分かります。

神技!ムササビスーツによるパフォーマンス

最後にウィングスーツによる壮大なパフォーマンス動画を紹介します。すべて難易度が非常に高く、経験を積んだ世界レベルのプレイヤーでないとできない神技ばかりです。事故率の高さや命の危険も顧みず大空にチャレンジし続けるまさに鳥人だからこそできる妙技をご覧ください。

圧巻!68人による同時飛行

こちらは2009年にアメリカカリフォルニア州で行われた68人の経験豊かなウィングスーツ・パイロットによる同時飛行を撮影した写真となります。世界各国から選りすぐりのパイロットが参加し、伊藤慎一さんも日本人で唯一参加しています。

世界記録の映像

綺麗にフォーメーションを組んでいるのが分かると思いますが、これはとんでもなく難易度の高い技です。時速数百キロで進んでいるわけですから高度、角度、間隔を調整しないとバラバラになりますし、一歩間違えれば衝突して第三次は免れません。

この飛行は当然ながら高い評価を受け、ウィングスーツパイロットの同時飛行記録として世界記録となっています。各々の技量もさることながら、世界中からこれだけのパイロットが一堂に会して飛行を行うという感動的な場面です。

4人のパイロットの神技スタントシーン

2016年に公開された映画『X-ミッション』では世界最高峰の経験を積んだトッププレイヤー4人による命がけのスタントシーンが撮影されています。4人は山の頂上から飛び降り、断崖スレスレを潜り抜けながら目的地を目指していくのですが、そのあまりの迫力に度肝を抜かれます。

60回も飛行を重ねた命がけの映像

彼等はこのシーンの撮影のため2週間で60回も飛行を重ねており、その回数だけ命を張ったことになります。飛ぶだけならまだしも、その姿をカメラマンが撮影することも必要なので緻密な打ち合わせと練習が何度も行われたでしょう。

まさにプロの仕事です。 4人のトッププレイヤーのひとりジョナサン・フロレスさんは監督のエリクソン・コアさんをもうならせる圧巻の飛行を見せました。しかし、残念ながら本作撮影後の3か月後にウィングスーツ・フライング中の事故で帰らぬ人となってしまうのです。彼の雄姿は永遠に映像の中に残り続けるでしょう。

まとめ

いかがでしたか?ムササビスーツによる飛行は危険度がとても高く、無謀だという人もいるかもしれません。お金もばかにならない値段となります。 しかし、そこには体験した人間だけにしかわからない世界と魅力があるのです。

私たちも経験、というのは難しいかもしれませんが、応援することは可能です。自らの危険も顧みず空に挑む勇者に心からエールを送りましょう。