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アオギス特集!絶滅危惧種の生態と基本情報まとめ【魚図鑑】

「シロギス」と思ったら少し違う?そう思ったときはシロギスではなく「アオギス」かもしれません。アオギスは絶滅危惧種阿智解される稀少な魚の仲間で、知っていれば魚博士扱いされること間違いなし!アオギスとはどんな魚で、どんな特徴があるのか?事細かに解説していきます!
2020年8月27日
咲良09
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アオギス/分類

スズキ目スズキ亜目キス科キス属

アオギスはスズキ目スズキ亜目キス科キス属で、名前からわかる通りキスの仲間です。他にもアオギスは「硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区刺鰭上目スズキ系」にも分類され、簡単に言ってしまえば「硬い骨を持ち、淡水及び海に生息するスズキの仲間」と読むことが出来ます。この辺りはもっと簡単に、キスの仲間と覚えておけば十分でしょう。

アオギス/外国名

Sillago,Kisu

アオギスの外国名は「Sillago,Kisu」と書き、キス部分はそのまま「Kisu」と書きます。気を付けるべきなのが、アオギスの外国名は同じくキスの仲間である「モトギス」と同じこと。モトギスは主にインド太平洋に分布する魚で、外国で「Sillago,Kisu」と言ったら、アオギスではなくモトギスを指します。ほかに「Bay whiting」と言う外国名も持つため、アオギス限定と言う場合は「Bay whiting」と呼ぶようにしましょう。

アオギス/学名

Sillago parvisquamis Gill

アオギスの学名は「Sillago parvisquamis Gill」と書きます、ここでも外国名にもあった「Sillago」が出てきますが、このSillago自体が「キス」を表している為、外国名は直訳すると「キスキス」となります。サハラ砂漠の「砂漠砂漠」のような感じですね。

アオギス/由来(漢字)

青鱚

アオギスは響きからわかる通り漢字では「青鱚」と書き、名の由来も「青いキス」と言うシンプルな物。と言っても、体色はよく見ないと違いが判らないレベルですが、何度も見比べれば自然と他のキスと見分けがつくようになってくるでしょう。

アオギス/歴史


アオギスの歴史は古く、今こそ絶滅危惧種扱いされていますが、江戸時代から昭和40年前後までは東京湾で「脚立釣り」と言う、脚立に乗り釣りを行うという特殊な釣り方で親しまれていました。しかし現在そのアオギスは東京湾から姿を消し、脚立釣りも昭和30年代後半に姿を消していき、40年代には完全に消えてしまったと言われています。

アオギス/特徴・形態

出典: https://item.rakuten.co.jp/keitatsuya/tb026/

アオギスの大きさは50センチ前後で、魚としては中程度と言うような細長い姿をしており。その姿は釣り歴数年以上のベテランでも、思わずシロギスと間違えてしまうほどにシロギスとよく似ています。シロギスと思って釣り上げたら、実はアオギスだった!なんてことも少なくないそうです。

アオギスとシロギスの見分け方

シロギスとアオギスの見分け方は何といっても体色を見ること、アオギスと名にある通り、アオギスはほんのわずかとはいえ青っぽく、他にも第二背ビレ部分に黒いゴマ状の斑が散らばっているという特徴があります。と言っても本当によく見ないとわからないレベルなので、釣り上げたらまず色と背ビレをしっかり確認しましょう。

アオギス/生息地域・分布

アオギスは「絶滅危惧種」扱いされる稀少な魚で、その分布域は狭く、北西太平洋にしかその姿を現さないと言われています。かつては歴史の項でもあげた通り、東京湾でも以北の全国で見られる魚でしたが、水質汚染の影響で徐々に姿を消し、更に浅瀬が埋め立てたられたことで生息地を失い、更に数を減らしていきました。

現在、国内でアオギスを目にすることが出来るのは大分、鹿児島、山口の一部地域のみとされ、韓国やインドでもアオギスが発見されたという報告もありますが「生息しているか」は確定していません。アオギスは高度経済成長の中でひっそりと姿を消した、見ようによっては発展の代償とも言える魚でしょう。

アオギス/生態・生育環境

アオギスは内湾性で、浅い海を好み、干潟付近の汽水域に好んで姿を現します。水深30メートル以下の、特に川の三角江でよく見られ、寒気になると深い場所に移動し、暖かくなると浅い海域に移動します。幼生や稚魚はさらに浅い海域に現れ、干潟を歩いていたらアオギスの稚魚を見かけた、なんてこともあるかもしれません。


基本的な生態は他のキスの仲間と変わらず、底生捕食者で、甲殻類や貝類、多毛類を捕食し、繁殖期は5-7月とされています。飼育下でも6-7月が繁殖のピークとされ、夏に産卵を行うとされています。また、アオギスの産卵は捕食を避ける為か夜間に行われるとされており、いまだに生態の研究が進められています。

アオギス/釣り情報

アオギスは稀少性の高さと生息域の少なさから、釣りの対象として狙われることはまずなく、釣り上げられた場合も「シロギス」と間違われてしまうことが殆ど。しかし、今のような希少生物となる前は「脚立釣り」と言う形で、多くの人に水産物として親しまれていました。

何故脚立に乗って釣りを行うのかと言うと、アオギスは他のキスより警戒心が強く音に敏感な為、人間が水面の近くに居ると、どうしても立ってしまう音に驚き逃げ出してしまうから。脚立釣りはかつての東京湾のシンボルとも言われていましたが、完全に姿を消した今、釣りの対象としてアオギスを狙うのは絶望的です。

アオギス/味・選び方

アオギスはその稀少性から味が殆ど知られておらず、他のキスと比べどんな味がするかもわかっていませんが、キスの仲間という事は変わらないため、味は美味とされています。かつての江戸ではアオギスはシロギスより劣るとされており、シロギスの方が美味しいと言われています。しかし現在は、アオギスとシロギスで食べ比べる事は不可能と言ってよいでしょう。

選び方のコツは色と目

アオギスを運よく手に入れられた場合、やはり最初に見るべきは新鮮かどうか確かめること。他の魚の選び方と同様に、目が澄んでいて、色が鮮やかなものを選ぶようにしましょう。基本的に魚はどの種も「体色が綺麗で、目が濁っていない」魚が美味しいとされるので、アオギスにもそれが当てはまる筈です。

アオギス/栄養・寄生虫

シロギスに比べ味が劣ると言われるアオギスですが、栄養面で見れば他のキスと変わりません。アオギスには体に嬉しい栄養がたっぷり詰まっており、高血圧症や肥満の予防に効果があるとされ、最近ちょっとメタボになってきたという方におすすめです。他にも、イワシなどに比べ脂質が控えめなのでダイエット効果も期待でき、お酒やコーヒーなどで失いがちな、カリウムの補給も期待できます。

アオギスと寄生虫、アニサキスだけではない


アオギスには青魚にはお馴染みの寄生虫アニサキスが寄生している場合があるため、いきなりの生食は禁物。お刺身で頂く場合は、その前にマイナス20℃の冷蔵庫で1日冷やし、加熱調理を行う場合は65℃以上のお湯で一分間加熱するようにしましょう。

アニサキスの他にもアオギスほか、キスの仲間には他の寄生虫が入り込んでいる場合もあります。その名はフィロメトラ。アニサキスと同様に主に青魚に寄生する寄生虫の仲間で、おもに卵巣内に寄生し、万が一ヒトの体内に入り込んでも無害とされています。しかしその見た目はアニサキスと同様、或いはそれ以上に気持ち悪いため、確認次第取り除きましょう。

アオギス/料理・調理方法

アオギスの調理法は基本的にキスと同じと思ってよく、キスの食べ方で美味しいものならアオギスも美味しく頂くことが出来ます。お刺身にすればアオギス本来の、ほのかな甘みを感じる味と、透明感のある美しい切り身を楽しめ、お吸い物にすれば上品味を楽しめます。もともとキス自体がやや淡白なので、どんな食べ方をしても美味しい魚です。

おすすめは天ぷら!江戸前定番の味

アオギスのみでなく、キス全般の食べ方として定番なのが衣をつけカラッと揚げ「天ぷら」にして頂くこと。江戸前天ぷらではこのキスの天ぷらが欠かせず、かつてはアオギスの天ぷらも並んでいたとされています。味はシロギスよりややクセがあるとされ、好き嫌いがわかれるが、好きな人はとことん好きと言う味がするそうです。

アオギス/まとめ

アオギスはかつては日本全国で見かけられる、庶民的な魚と言われていましたが、現在は釣りで狙う事は不可能に近く、狙って食べることは出来ないとされるほど稀少な魚。手に入らない以上は味もわかららないため、どんな「クセ」があるかもわからない、と言った所です。

かつてアオギスは特に江戸で親しまれた魚でした、本物のアオギスを食べる手段はまずないと言っていいですが、見た目や味がそっくりとされるシロギスを天ぷらにし、かつての江戸前天ぷらの姿に思いをはせると言うのも、中々オツなものでしょう。