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戸隠山の蟻の塔渡りとは!登山ルートや難易度を徹底解説!

戸隠山は魅力的で危険な山です。上級クラスの登山道、世に言う蟻の塔渡りが頂上直前に居座っています。ここを通らなければ頂には到達できない。戸隠山は険しい山なのに好奇心の強い山人が全国から押し掛けています。そんな戸隠山の登山ルートを詳しく解説してみましょう。
2020年8月27日
mmkk9944
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戸隠山に挑戦、どんな山?

戸隠山登山の魅力は、山頂直前にある「蟻の塔渡り」「剣の刃渡り」という難易度の高い尾根があること。そして山腹の歴史を感じる戸隠神社にお参りできることです。

戸隠神社奥社から戸隠山頂上を目指すためには蟻の塔渡りと剣の刃渡りを通らないと行けません。蟻の塔渡りと剣の刃渡りの詳細は後述しますが、ここは極めて危険で魔の尾根です難易度が高いです。さほど長い距離ではありませんが、尾根の先端の幅は僅か20~50㎝ほど、ザックを背負ったまま立って歩くのは難しいです。尾根の両側は断崖絶壁、滑落したら間違いなく死に至る、修験者が厳しい修行に使った厳しい尾根です。地図で確認できます。天気が悪ければ渡るのは難しいでしょう。 ここを踏破した時の達成感は想像に余りあります。

そして戸隠神社、これも後述しますが、信仰の山、多くの修験者たちが修行したところ、そして戸隠流忍者の里でもあります。 戸隠神社に無事蟻の塔渡り、劔の刃渡りが踏破でき、戸隠山の頂に立てますようお参りして、戸隠山に挑戦しましょう。

北信五岳(戸隠山を含む)

戸隠山(標高1904m)は北信五岳(ほくしんごがく)の1つです。北信五岳は長野県と新潟県の県境にある単独峰の総称で班尾山(1381.8m)、妙高山(2459.9m)、黒姫山(2053.8m)、戸隠山、飯井綱山(1917.4m)の五岳を言います。

北信五岳は、志賀高原、草津温泉方面から正面に見える山をこのように言います。(地図で確認してください)場所によって見える山が異なりますが、北信五岳はこのように見える場所を限定しています。従って、班尾山は低い山ですが、一番手前にあって2000m級の大きな山に見える。妙高山は秀麗な山容を持っていますが実際は新潟県の山です。しかし地図を見ない限り県境など分からりません。

近くに焼山(2461.8m)や火打山(2461.8m)という有名な山ありますが、他の山容の影になって志賀高原側から見えない。戸隠山の近くに険しい山で有名な西岳がありますが、これも戸隠山の陰になって見えない。地図で確認できます。これが北信五岳と言われる理由です。

戸隠山登山八方睨みルート(戸隠神社奥社ルート)とは

戸隠神社は、戸隠山の麓に、奥社、中社、宝光社、九頭竜社、火之御子社の五社からなる創建以来2000年の歴史ある神社です。戸隠山登山は、この五社の中の奥社が登山道入り口となります。 戸隠山登山のメインの登山道八方睨みルートを紹介します。登山地図で確認しながら行きましょう。

ルート概略

起点、奥社参道入り口ー随神門ー杉並木ー奥社登山口ー岩屋、鎖場ー胸付き岩ー蟻の塔渡りー剣の刃渡りー八方睨ー戸隠山山頂 距離:奥社登山口から1.5km(片道) 標高差:606m コースタイム:奥社登山口から約1時間30分(下山約1時間)但し天気がいい時です。

戸隠山八方睨みルート紹介

登山道入り口は奥社の脇にあり、奥社参道入り口から徒歩で行くことになります。 〇奥社参道入り口、大鳥居ー随神門 参道入り口から先ずは随神門を目指して参道を歩きます。随神門は苔むした茅葺の屋根で建物の朱色が鮮やかです。ここから緩やかな登り坂で15分ほどかかります。 〇随神門ー奥社登山口 隋神門からの参道は天然記念物に指定されている鬱蒼とした杉並木の中を歩きます。やがて自然石混じりの石段を登るような感じで奥社に到着します。ここまで随神門から20~2分くらいです。参道入り口から奥社まで続く参道は約2kmあります。

〇奥社登山口ー尾根 奥社登山口は奥社から少し下った脇道にあり、登山口の標識が出ています。案内板もあり、登山の注意事項と登山ルート地図が記載されています。そしてここにある登山届ポストに登山届を投函します。天気が悪ければ中止にしましょう。 登山道に入るといきなり急登となります。尾根まで約30分、厳しい登山道です。


〇尾根ー胸付き岩 五十間長屋、百間長屋、を通り笹道を登り、右に西窟を見て、5mほどの鎖場を登ると天狗の露地に出ます。ここから小屋根の鎖場を登ると胸付き岩に到着します。ここまで30分ほどでしょう。(地図要チェック)

〇胸付き岩ー蟻の塔渡りー剣の刃渡りー八方睨 奥社登山ルートの核心部に入ります。(詳細後述) 奥社登山口から八方睨まで約2時間ほどの行程です。 〇八方睨ー戸隠山山頂 八方睨からさらに急登が続きます。登り切ったところが戸隠山山頂です。

戸隠山登山八方睨みルート:1 

蟻の塔渡り、核心部詳細

本ルートの核心部である「蟻の塔渡り」及び「剣の刃渡り」の歩き方の全貌を説明いたします。 この部分のルートは蟻の塔渡り前部、蟻の塔渡り後部、そして剣の刃渡りの3つの尾根からなっています。但し天気次第です。登山地図でもチェックしてください。

戸隠山登山八方睨みルート:2

胸付き岩ー蟻の塔渡り前部

天狗の露地から岩場、鎖場を経て蟻の塔渡りの入り口である胸付き岩に到着します。胸付き岩の斜度は約70度、高さ15mほど鎖を頼りに直登したら、右に回り込んで行くと蟻の塔渡りがすぐ前に見えます。 胸付き岩から一旦少し下った鞍部が蟻の塔渡り前部の入り口です。 蟻の塔渡り西側不動沢側は約150mの絶壁です。右側戸隠山側も西側ほどではないですが、切り立った断崖です。天気が悪くなり雨が降ったら中止してください。難易度がさらに高まります。危険です。

蟻の塔渡りの尾根の長さは全長20mほど。尾根の先端は幅が20㎝くらいしかありません。蟻の塔渡り前部は約12m、後部が8mくらいです。全部と後部との間に僅かですが鞍部があります。この鞍部までが蟻の塔渡り前部です。 これが一番安全という進み方はありませんが、20㎝しかない尾根を跨いで馬乗り姿勢であかちゃん歩きで前進する人が一番多いようです。それでも途中まで這って行って恐怖で体が動けなくなった人や、尾根に入る前に引き返す人も多いようです。

戸隠山登山八方睨みルート:3

蟻の塔渡り前部ー後部ー終点

前部と後部の間にある鞍部から終点まで約8mあります。後部の尾根も幅20㎝しかないナイフエッジです。よくこのエッジの先端に立って歩いて写真を撮っている人がいます。こんな真似は絶対止めてください。ここは風の通り道ですから少し風が吹いて、バランスを崩したら、完全にアウトです。また天気が崩れて雨が降ったら尾根が濡れて走破不能となります。

戸隠山登山八方睨みルート:4

剣の刃渡り

蟻の塔渡りを通り過ぎたら次はすぐに剣の刃渡りです。この尾根の長さは5mくらいと短いですが、難度は蟻の塔渡りよりさらに難しいです。ナイフエッジの尾根の幅はここも20㎝くらい、とても立って歩ける幅はありません。 この尾根も馬乗りになって這って進むか、あるいは不動沢側に足を落として、尾根の先端を両手で掴みながら、迂回するような姿勢で進みます。

剣の刃渡りは鎖がついていません。う回路(エスケープルート)もありません。何が何でも這ってでも渡り切らなくてはならない尾根です。 蟻の塔渡りを何とか渡ったと思ったら次がこの強烈な難所。ここで戦意を喪失して引き返す人もいます。

戸隠山登山 蟻の塔渡りのう回路


まき道 エスケープルート

蟻の塔渡りには、尾根のエッジを渡るには自信がない、といった人のためにう回路、まき道が設けられています。地図に表示がないものもあります。天気が悪くなって雨で側壁が濡れると滑りやすくなります。要注意です。天気悪化による判断は毅然としてください。う回路のルートは、蟻の塔渡り入り口手前から蟻の塔渡り右側、戸隠山側の側壁を通り、蟻の塔渡り後部終点まで設置されています。全工程鎖が付いていて、鎖が案内の役割をしています。 蟻の塔渡り前部と後部の間の鞍部から鎖でう回路に合流することもできます。

前部は何とか渡ったが後部に突入する自信のない人は後部手前の鞍部から鎖を使ってう回路まで降りて合流し、う回路を通って後部終点にたどり着くことができます。 しかし、このう回路ですが、ここも易しくありません。難易度は高く、高所で足がすくんで動けなくなる人も多いです。この次は、剣の刃渡りですが、ここは鎖はありません。う回路もありません。

戸隠山登山ルート 戸隠牧場ルート

戸隠山登山の最も一般的なルートです。奥社登山口から戸隠山をピストンする人もいますが、登りも下りも蟻の塔渡りを通ることはできるだけ避けたいでしょう。そのためルートは奥社登山口を起点として、上記のように蟻の塔渡りを渡り、八方睨を経て戸隠山頂上に至り、九頭竜山、一不動避難小屋、大涸沢を経て戸隠牧場に下りるルートが一般的です。

ルート概略

行程:日帰り コースタイム:約7時間 ルート距離:9km 標高差:登り下りともに870m

戸隠山登山 戸隠牧場ルートの詳細

奥社登山口から蟻の塔渡り、ここまでは前項で詳しく述べました。ご参照ください。 剣の刃渡りを渡ったら、次は八方睨みを目指します。チムニー状の岩を通って急登を行きます。ガレ場があり要注意です。台形の八方睨み頂上(標高1900m)です。西岳方面と一不動方面の分岐点です。頂上には羅針盤がありますので、ここを戸隠山頂上と勘違いする人も多いです。 戸隠山は一不動方面です。八方睨みから一不動に向かって下り、また登り返すと戸隠山です。天気が良ければ山頂からの大絶景を存分に楽しんでください。

戸隠山から一旦下り樹林帯に入ったり出たりしながら九頭竜山(標高1883m)に向かいます。うっかりすると通り過ぎる時があります。地図チェック要です。 九頭竜山から一気に標高を下げていきます。屏風岩を経て一不動避難小屋(標高1747m)ここまで九頭竜山より50分くらい。小屋は15人くらいなら泊まれます。さらに一不動から帯岩(スラブ上の岩場、滑りやすい)、大涸沢沿いを歩いて右岸側に渡り森林帯を抜けると戸隠牧場です。一不動から戸隠牧場まで2時間の行程です。

牧場を10分ほどで抜けるとキャンプ場バス停があり、ここから長野バスセンターに帰ることもできますが、徒歩で1時間半ほどかかりますが奥社参道入り口に戻ることも可能です。

戸隠山登山ルート 西岳ルート

西岳ルート 難易度が非常に高いルートです。細心の注意を払いながら登りましょう。 奥社登山口ー蟻の塔渡りー八方睨みー戸隠山ー最低鞍部ー本院岳(標高2030m)-西岳(標高2053m)-P1ー天狗平ー西岳登山道標 コースタイム:9時間10分

西岳ルートの詳細

奥社登山口から八方睨みまでは先にご案内しました。八方睨みから戸隠山に登り、栂ノ廊下の廊下のピークを越え、下って最低鞍部まで急降下する。笹薮、ダケカンバの中を登り、本院岳前のピークを越えると本院岳本峰(標高2030m)に到着。ここまで八方睨みから1時間10分くらいです。ここからが縦走路を行き岩屋の鎖場を通り過ぎると西岳頂上(標高2053m)です。西岳から第一峰(P1)頂上(標高989m)、さらに岩場、鎖場が連続します。ここにも蟻の塔渡りがあります。八方睨みの蟻の塔渡りよりは幅が広いです。 地図には破線ルートとなっており、注意を要するルートです。

さらに無念の峰のはしご、岩場、鎖場と繰り返し高度を下げながら見晴台に到着、樹林帯を下り、天狗平の牧草地に出る、そして楠川を渡り西岳登山道道標に到着します。ここが終点です。 西岳登山の難易度も戸隠牧場ルートと同様、非常に高く、上級者向けのルートです。初心者のソロ登山は避けてください。 地図には破線ルートとなっており、注意を要するルートです。天気次第で行動できない場合もあります。

戸隠山登山 西岳とは


戸隠山登山のルート案内では、奥社ルートと並んでよく紹介されるルートですが、実際はあまり人気のある山ではありません。西岳(標高2053m)と西岳に連なる連峰はとても厳しい山容をしています。尾根の両側は深い切りたった断崖絶壁、正に屏風のように行く手を拒んでいます。不揃いの鋸状の峰峰、いかにも修験者が好む山らしい。事実戸隠山と同じく修験者によって開山された山です。戸隠神社側から登山道がP1に伸びていますが、この登山道にも蟻の塔渡りがあります。こちらの塔渡りは尾根の幅広く、這って進むようなことはありませんが、絶壁の深さはこちらの方がはるかに恐ろしいです。

斜度も急で、急登がいたるところにあり、さらに鎖場、岩場、ガレ場、はしご場などの数もおびただしい。難易度が高い要素がいくつもあります。 西岳を征服するなら、強い覚悟と精神力が必要です。当然、技術と経験も必要です。そして天気の良い日を選ぶべきです。半端ではない難易度ですから上級者限定の山といってもよいでしょう。

戸隠神社とは

戸隠山は神代の時代から戸隠神社と深い関係にあります。戸隠山の成り立ちに功のあった神様が戸隠神社に祀られているからです。戸隠山に登るにはまずは戸隠神社に安全祈願をしてから登山道に入ることになります。 戸隠神社は、戸隠山登山の入り口である奥社をはじめ、宝光社、火之御子社、中社、九頭竜社の五社からなっています。

明治に寺から神社に

戸隠と言えば、この五社巡りが特に有名で、全国から多くの信者を集めています。 平安時代には戸隠山顕光寺というお寺でしたがその後明治時代の神仏分離令で神社となりました。当時の宿坊が現在も残り、何軒も軒を並べています。宿坊体験が人気のようです。

戸隠神社へのアクセス

〇JR長野駅より路線バス(アルピコ交通)戸隠高原行奥社下車(1時間) 〇上信越自動車道長野IC又は信濃IC 国道18号線、黒姫山山麓を通って奥社入り口  駐車場は奥社入り口付近に100台ほど(有料)

まとめ

全国には戸隠山の蟻の塔渡りのような難易度の高い山が何か所もあると思われます。難所の定義がはっきりしませんが、よく山の情報誌で語られるのは、例えば、谷川岳縦走ルートや裏妙義縦走コース丁須の頭、穂高岳ジャンダルム、北穂高岳の大キレット、剱岳のカニのタテバイ等々、が有名です。常に難易度ランキング上位です。いずれも規模が大きく、北穂高の大キレットは踏破するのに3時間から4時間くらいかかります。

規模は小さいが難易度の高いルート

この戸隠山の蟻の塔渡りは、規模は小さいですが、同様に難易度の高いルートであることは間違いありません。特に天気が悪化して雨が降ったり強風が吹く時は、勇気をもって撤退すべきです。

みんなができるのだから自分も勇気をもってトライしようと、蟻の塔渡りを渡り出し、途中で怖くなって全く動けなくなった人も何人もいます。結局なめてかかっている人が多いということです。奥社の登山道入り口に、安易に登らないでください、といさめる注意書きがあります。 挑戦意欲に登山技術が伴うよう精進してからトライしましょう。