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絶滅危惧種「オキナグサ」とは?その種類や特徴、育て方をご紹介!

オキナグサは本州以西に自生する多年草ですが、現在は激減しており絶滅危惧種とされています。ですが群生地は存在し、栃木県塩谷町大久保が有名です。名前の由来は種子の特徴からきていて、その種子で増やせます。オキナグサの種類や花言葉、育て方を解説していきます。
2020年8月27日
gauyorim
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オキナグサは絶滅危惧種

オキナグサは、本州から四国と九州の山や草原に自生している多年草です。以前は自生のオキナグサをよく見かけましたが、近年は数が激しく減っていて絶滅危惧種になっています。環境省が作成する「レッドデータブック」に掲載されているほどです。なので群生地以外では目にすることが少ない植物になります。

オキナグサが減った理由

オキナグサが絶滅危惧種とされた理由は、最近あまり見かけなくなった他の野草と同様です。農作業における土地の手入れによって機能していた草地は、土地の管理が廃(すた)れたことや開発によって減りました。そのため自生地がなくなるとともにオキナグサも消えていったのです。乱獲(らんかく)も理由の一つになり、これらの原因が重なったせいで、生きる場所を失ったオキナグサは絶滅危惧種になりました。

オキナグサの基本情報

翁草(オキナグサ)はキンポウゲ科の多年草です。園芸分類は山野草になります。学名はPulsatilla cernua(プルサティラ・ケルヌア)です。草丈は20cm〜40cmほどの大きさに成長します。育て方は難しくありませんが、涼しい環境が適している高山性の種類に関しては、初心者が平地で育てるには難易度が高いです。説明した通り絶滅危惧種であるものの、群生地ではたくさんの株が見られます。

オキナグサの群生地

オキナグサの群生地で有名なのは、栃木県塩谷町大久保の鬼怒川河川敷です。自生のオキナグサはあまり見かけることはできませんが、この群生地では1,000を超える株があります。この規模の群生地は珍しいため、地元の人々によって大切に保護されています。オキナグサの群生を見たいという人は、開花期である4月〜5月頃にこの群生地へ足を運んでみましょう。

オキナグサの名前の由来

オキナグサは漢字で「翁草」と書きます。翁とは男性の老人のことです。オキナグサの種子は長くて白い毛が生えています。この毛が密集すると白髪のように見え、まるで老人の姿と思わせることから「翁草(オキナグサ)」という名前が付けられました。学名にある「Pulsatilla(プルサティラ)」は、花の形が鐘(かね)に見えることが由来です。ラテン語の「pulso(打つという意味)」が元になっています。

オキナグサの特徴


オキナグサは4月〜5月の春に開花します。チョコレートのような黒みがかった赤紫色の花が特徴です。その花は下向きにうつむいていて情緒を感じさせます。実は花びらがなく、そう見えるのは萼片(がくへん)というものです。花が咲き終わると、名前の由来になった白い毛を生やした種子ができます。葉っぱが伸びているのは、地面と接した部分です。秋の終わり頃になると葉っぱが枯れ、冬越しに入ります。

オキナグサの花言葉

オキナグサの代表的な花言葉は四つあります。一つ目の花言葉は「清純な心」です。二つ目の花言葉は「告げられぬ恋」になります。乙女の恥じらいに見える下向きの花姿が、この二つの花言葉の由来です。三つ目の花言葉は「何も求めない」で、白い毛の種子が風に運ばれていく様子からきています。四つ目の花言葉は「裏切りの恋」です。下を向いていた花はやがて上を向きますが、この変化が裏切りに例えられています。

オキナグサの毒性

オキナグサは全身に毒性があります。葉っぱや茎などを切った際にでる汁が肌につくと、水泡など皮膚(ひふ)の炎症を起こしてしまうので気をつけてください。口に入れるのは絶対にやめましょう。嘔吐(おうと)から腹痛や血便といった症状にいたります。また、プロトアネモニンという心臓毒を含むことから、心停止の恐れがあるため注意が必要です。乾燥させた根っこは漢方薬の白頭翁(はくとうおう)として用いられています。

オキナグサが適した環境

オキナグサは日光を好むため、日の当たる場所に置く育て方をしてください。ですが夏の直射日光に当たると葉っぱが焼けてしまうので、夏場は朝日に当たるぐらいの半日陰に置きます。さらに涼しい環境が適していますから、風通しのよさも重要です。鉢植えでの育て方ならいつでも気軽に移動させられます。天候などその都度の判断で最適と思う場所に置きましょう。

オキナグサの冬越し

オキナグサは涼しい環境を好むだけあって、寒さに強い植物です。そのため冬場でも外で育てられます。ですが北風のように乾燥した風にさらされると、花芽がダメージを受けるので気をつけてください。それに冬はオキナグサの休眠期にあたります。この時期に強い直射日光をあびることでも、花芽へのダメージとなる可能性がでてきてしまうため、置き場所に注意が必要です。

オキナグサの種まき

オキナグサは種まきと株分けによる方法で増やせます。種子は販売されていないため、自分で採取しないといけません。採取した種子を使って一から育てると、一連の成長過程がよく分かり勉強になりますし、何より愛着が強くわきます。絶滅危惧種とされているオキナグサをぜひ種まきで増やしてみてください。オキナグサは多年草ではありますが、おおよそ5年で尽きてしまいます。ずっと育て続けるためにも種まきは大切です。

オキナグサの種子の採取

生えている毛が長く広がっていて、簡単にほぐれる状態の種子が結実したものです。逆に短い毛で広がらないのは結実していません。種子に生えている毛は取ってから種まきをします。採取する時期の目安は、触ってみて簡単に取れる頃です。種子が熟すと風に飛ばされてしまうため、その前に採取してしまいましょう。

オキナグサの種まき


オキナグサの種子が発芽するのに必要な気温はおおよそ18度です。時期的に採取してからすぐにまかないといけません。ですが冷蔵庫に保存し、2月下旬頃〜3月頃にまく方法もあります。でも採取後にすぐまいた方が、発芽率は高いです。種子の乾燥によって発芽率は低下してしまいます。毛を取った種子を培養土にまき、うすく土をかぶせてください。発芽後2年〜3年たつと開花しますが、それまではうすめた液体肥料を月2回与えます。

オキナグサの株分け

多くの芽をつけたオキナグサの株は、株分けという方法で増やしていきましょう。植え替えの際に株分けします。春は根っこにダメージを与えてしまうことから、秋の方がおすすめです。株を手で持ち、簡単に割れるほどの大きさをした株にしてください。切った断面へは殺菌剤を塗るようにします。

オキナグサの用土

オキナグサは水はけのよい土で育てます。鉢も水はけをよくするために、深さがあり、釉薬(うわぐすり)を使っていないものを選んでください。山草鉢か素焼き鉢がおすすめです。プラスチック製の鉢は適していません。軽石小粒または山砂7割に腐葉土(ふようど)3割を配合した土か、鹿沼土(かぬまつち)5割、赤玉土4割、軽石1割を混ぜた土を使います。山野草用の培養土でも大丈夫です。

オキナグサの水やりと肥料

育て方の基本としてオキナグサは過湿が苦手です。土の表面を触ってみて、乾いていたらふんだんに水やりするようにします。土の乾き具合を確認せずに水やりをしすぎると、根っこがくさって枯れてしまうので注意してください。ただし乾燥のしすぎもよくありません。夏場は夕方以降、春と秋には朝方が水やりに適した時間帯です。冬場はあまり水やりせず、土が乾いてから与えます。

オキナグサの肥料

オキナグサは肥料をほどこした方が成長しやすく、花をよくつけるようになります。ポイントは成分がうすい肥料を夏と冬を除いて絶え間なく与えることです。まず植え付けの時に、効き目がゆっくりとあらわれる緩効性肥料(かんこうせいひりょう)をほどこします。それからは、10日に一回のひんどで液体肥料を与えてください。冬場は休眠期にあたり、夏場は株が暑さでダメージを受けている時期のため、肥料は控えておきます。

オキナグサの管理

基本の育て方は水やりと肥料ですが、管理も必要です。花や葉っぱが枯れていたら、見つけしだい取り除いてください。風通しをよくするためになります。そのままにしていると、内部が蒸れてしまい茎の徒長につながったり枯れたりしてしまうのです。それと種子を採取しない花は、花期が終わりしだい花茎(かけい)をカットしてしまいましょう。

オキナグサの植え替え

オキナグサの植え替えも重要な育て方の一つです。一年に一回、長くとも二年に一回はおこないます。適した時期は春か秋ですが、秋の方が根っこに優しいです。ゴボウ根と呼ばれる大きな根っこは、絶対に傷つけないようにしてください。傷んでしまうと根付かなくなってしまいます。植え付けから二週間ぐらいは、日に当たらない場所に置く必要があります。

オキナグサが被害にあう病害虫


オキナグサに限らず植物を育てていると、病気や害虫の被害にあうことがあります。オキナグサがかかりやすい病気は、白絹病(しらきぬびょう)、軟腐病(なんぷびょう)、ウイルス病です。害虫に関しては、アブラムシやハダニになります。

オキナグサの種類

オキナグサは45種類ほど存在していて、北半球に分布しています。日本に自生するオキナグサの他の種類は、ツクモグサです。漢字で九十九草と書きます。北海道と本州の限られた高山に自生しており、希少価値の高い植物です。開花期は初夏で、黄白色をした毛をまとっています。

オキナグサのさまざまな種類

有名なセイヨウオキナグサは、名前の通りヨーロッパ原産です。園芸品種が多く存在します。春咲きという意味の名前をしたウェルナリスは、和名がハルオキナグサです。他にもカシポオキナグサ、ルイコフイチゲ、ヒトツバオキナグサなどのさまざまな種類があります。

オキナグサのまとめ

絶滅危惧種とされるオキナグサの特徴や種類、育て方を解説してきました。本州以西の主に山で自生している植物ですが、あまり見かけることはできません。春には群生地を訪れてたくさんのオキナグサを鑑賞してみてください。しおらしい花言葉を持つものの、裏切りの恋といった意味もあることを覚えておきましょう。毒性には注意する必要があります。育てるなら種まきで増やしていくのがおすすめです。

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