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1990年代の名車「R1-Z」を振り返る!RZシリーズを受け継いだその魅力とは?

R1-Zというバイクがあります。バイクブームと呼ばれる1980代から1990年初頭における時期に、2ストロークエンジンを搭載した過激な乗り味のバイクが界隈をに賑わしていました。その時代を彩ったRZシリーズ、その後継機のR1-Zについて紹介していきます。
2020年8月27日
松山 優輝
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R1-Zとは??

ヤマハの「けじめ」ともいえるバイク??

かつて2ストロークエンジン搭載のバイクが一世を風靡した1990年代、ヤマハがかつての自社の名車、「RZ」をイメージして、開発競争が激しかった当時のバイク市場に新たな風を舞い込もうと開発されたバイクです。「RZ」とはその2ストロークエンジンのバイクブームを開拓したともいえるバイクであり、ある意味かつてのバイクブームの始まりのバイクでした。そこから後継機の「R1-Z」は2ストロークエンジンが一斉に市場から消えた1999年まで開発が続けられており、こちらはそのブームの終わり、終着点ともいえるバイクでした。

当時のヤマハ「R1-Z」の立ち位置とは??

出典: http://www.motorcyclespecs.co.za/model/yamaha/yamaha_r1z%201991.htm

当時はバイク人口が最も多かったともいえる時代、レーサーレプリカと言われるスペック至上主義のバイクが市場を支配していた時代でしたが、やはりブームとは去りゆくもの、だんだん時代は次のバイクを求めるよう風向きが変わりつつある時代でした。そんな中、ヤマハは性能ではなく、原点に返って2ストロークエンジンを操る「楽しさ」、スペックではなくフィーリングでバイクを表現しようと開発されたマシンでした。

R1-Zに搭載される「2ストロークエンジン」とは??

さて、ここで「2ストロークエンジン」たるものがいったいどのようなエンジンなのかをおさらいしてみましょう。

絶滅寸前の内燃機関??

出典: http://raresportbikesforsale.com/tag/tzr/

実は2018年現在、「2ストロークエンジン」を搭載されているバイクは新車ではほぼ開発されていません。(一部の海外で発売されるモデルや競技専用車両くらい)なぜなら2ストロークエンジンは排気ガスが汚く、環境問題が騒がれて年々規制が厳しくなる今日の市場では存在することすらままならないからです。動画を見たらわかるように、排気ガスは白くもうもうと上がり、燃費はひたすらに悪く、吹け上がるとともにマフラーからはエンジンオイルが飛散します。

その動力性能は一級品??

そんな時代に冷遇された2ストロークエンジンですが、今なお根強いファンがいるのです。その理由が、2ストロークエンジン特有のパワーバンドに入った瞬間の豹変したような暴力的な加速性能です。理論上今主流の4ストロークエンジンより同排気量だったら1.5倍の馬力があるといわれ、かつエンジンの構造はシンプルで重量も軽い。そのエンジンを搭載したバイクは4ストエンジン搭載バイクにはできないような運動性能を手に入れてしまいます。

「R1-Z」に搭載されるエンジンは??

「R1-Z」に搭載されている並列二気筒250cc2ストロークエンジンは、同社の「TZR250 1kt」に搭載されたエンジンです。一般的にピーキーな特製の2ストエンジンですが、そのTZR250のエンジンは扱いやすさで定評があり、ヤマハ独自の装置、「YPVS」によって制御されたそのエンジンは、高回転での加速と低速での扱いやすさの両方を手にするに至りました。燃費も2ストロークエンジンの中では悪くなく、さらに「R1-Z」に搭載されたエンジンはさらなる細かい仕様変更によってさらなる熟成が進んでおり、信頼のおける名エンジンともいえます。

R1-Zに流れる血筋

2ストローク開発競争で見出したヤマハの答え??

先にも紹介しましたが、「R1-Z」はその市場に新たな風を吹かそうと開発が試みられたバイクです。先代の「RZ」の後継機というバイクですが、そのエンジンはレーサーレプリカとして開発された「TZR250」のものです。それまでのヤマハの2ストロークエンジンのバイクの血が継がれたサラブレッドともいえるバイクがこの「R1-Z」です。


本当の名前は「RZ-1」??

先代のバイクが「RZ」というバイクでその後継機という位置づけである以上、この「R1-Z」も「RZ」を名乗るバイクであったはずなのでしょうが、このバイクは少し名前が違っているようです。これは、当時日産が「RZ-1」という車を商標登録しており、そのことから「RZ」を名乗れなかったという話があります。本当かどうかは定かではありませんが・・・

出典: http://automanas.tv3.lt/jau-tampantis-oldschool-nissan-sunny-coupe/

R1-Zスペック紹介

R1-Z車体スペック

R1-Zの全長×全幅×全高は、2005mm x 700mm x 1040mmです。2ストロークエンジン搭載のバイクはそのエンジンのコンパクトさから車体そのものも非常にコンパクトにまとまっており、車重も乾燥重量だと134kgと、非常に軽量な車体であることが分かります。この時代のバイクの特徴からシート高が775mmと低めであり、かつホイールベースも1380mmと短めに設定されています。

R1-Zのエンジンスペック

R1-Zのエンジンは、最大出力が規制前と規制語で分かれており前者が45馬力、後者が40馬力となっています。最大トルクは規制前が3.7kgf・m、規制後が3.4kgf・mとなっていますレーサーレプリカの「TZR250」そのまんまのエンジンは当時の馬力規制値ギリギリと数値となっています。社外チャンバーなどでチューンすれば50馬力くらいにまで上がるようです。

スペックその他

実はこのR1-Z、燃費が意外と悪い数値ではなく、街乗りでも15km/L前後の燃費の数値を出すそうです。これは2ストロークエンジンのバイクの燃費の数値の中では非常に良い数値であり、TZR250の1KT系のエンジンの優秀さがうかがえます。タイヤサイズはF110/70 17 R140/70 17と、現代的な17インチの足回りです。

R1-Zポジションインプレ

脱レーサーレプリカ!乗りやすいポジション。

このころの2ストロークエンジン搭載のバイクは、バックステップに低めのセパハンなど明らかに攻めのポジションを強いられるようなレーサースタイルのバイクが多かったのが特徴です。ですがR1-Zは、ネイキッドバイクと遜色ないくらいまでハンドルがアップライトなポジションにあり、非常に乗りやすくなっています。

小柄な日本人にぴったり!

このころの小排気量バイクの特徴として、主にバイク人口が多かった若い世代をターゲットにしているせいなのか、かなりシート高が低めで取り回しがやりやすいバイクが多いのが特徴です。シート高の低さは足つきもよく安心感があり、かつ車体も軽いので非常に扱いやすいバイクでしょう。タンクは細めで、がっちりと下半身で二―グリップをして車体との一体感を感じやすいものになっています。

R1-Zコーナリングインプレ

出典: https://classic-motorbikes.net/street-special-yamaha-r1-z/

車体の軽さを生かして素早いコーナリング!


R1-Zは、2ストロークエンジン搭載バイクならではの車体の軽さが特徴です。なので、その倒し込みはかなり爽快で素早いものです。ただし、それは裏を返せばどっしりとした車重がもたらす安定感に欠けるということ。なので、調子に乗って車体を傾けすぎないようより繊細なコントロールが求められるといえます。あと、車体の下に鎮座するチャンバーが、結構バンキング時に地面と当ってしまうことがあるようです。

アップハンならではの自由度の高い操作性

このバイクは、レーサーレプリカのエンジンを積んではいますものの、アップハンドルを装備したネイキッドスタイルのバイクです。アップハンドルの利点は、そのコントロールしやすい操縦性と豊富な舵の切れ角です。細身なタンクを足でがっちりとグリップすれば、まるでライダーの下半身がバイクと一体化したような、ライダーのアクションを忠実に走りで体現してくれる素直さがあります。車体の重量も軽くコントロールしやすいR1-Zは、以上の利点からジムカーナ競技で使われることが多い様です。

R1-Z走行性能インプレ

筆者は依然実際に友人のR1-Zに試乗させてもらったことがありました。その時の自分のフィーリングで走行性能のインプレッションを書いてみたいと思います。

低速は慣れないうちは気を付けるべき??

筆者の愛車は、SR400という4ストロークエンジンのバイクです。それと比べたら、エンジンの構造上、やはり低速トルクは4ストのエンジンには及ぶようなものはなさそうで、半クラッチを自分のバイクよりだいぶ大目に使って発進しました。エンストを避けたかったので必要以上に警戒してしまったかもしれませんが、慣れないうちは発進は気を付けないとエンストをしてしまうかもしれません。ただ、2ストエンジンを乗りなれたユーザーからは、低速トルクは比較的富んでいるというインプレを聞くことがあります。

パワーバンドの爆発的な加速感!

つぎは本命のパワーバンド域のインプレッションです。エンジンの回転数が低いうちはもっさりとした印象の加速感ですが回転数が上がっていくうちにどんどん目覚めるように加速度が上がっていきます。低速トルク型の自分のSR400と比べたら全く逆の性格なので、そのギャップはかなりのものを感じました。しかも車重の軽いR1-Zの加速感は安定感に欠けるので、体感で感じる加速感もかなりのものです。

R1-Zのカスタム車紹介

K2TEC クロスチャンバー タイプ1

K2TEC ケイツーテック:クロスチャンバー TYPE-1

ケイツーテックの社外ステンレスチャンバーです。素材の軽さがもたらす車体の軽量化や、リーズナブルな価格がこのチャンバーのウリです。エンジン出口からクロスを描くチャンバーは、車体のカスタム感、カッコよさをグッと引き上げます。インプレを見たら、その手ごろな価格や「エキゾースト音が良い」という評価が多くみられます。

ハリケーン セパレートハンドル タイプ1

ハリケーン HS3802G-01 セパレートハンドル ゴールド タイプI

出典:Amazon

ネイキッドバイクの楽なポジションに慣れたら、社外のセパレートハンドルに交換するカスタムは定番のカスタムです。中でもこのハリケーンのセパレートハンドルは、ハンドル自体がオフセットされているためハンドルが切れた際に干渉しにくいという特徴があります。

コワース レーシングステップ

COERCE コワース:レーシングステップ

こちらも、純正のポジションに飽きたら真っ先に変えられるカスタムパーツでしょう。バンク角を確保できるのと、セパハンにした際にステップ周りのポジションを最適化するのにお勧めです。また、正シフト、逆シフトが自由に選べるので、サーキットユースのライダーにも好まれるパーツです。

メーターバイザー


ワールドウォーク 汎用ネオクラシックメーターバイザー クリアws-18mc

出典:Amazon
出典:Amazon
出典:Amazon
出典:Amazon

これはネイキッドバイク全般に言えるのですが、やはり高速巡航は風圧との戦いになります。R1-Zも例に漏れず、メーターバイザーで巡航が快適になるよう風貌を設けるカスタムは結構されているユーザーも多い様です。メータバイザーは、あまりバイクの外観を損なうことのない様ななるべく透明で目立たないものが好まれる傾向がインプレッションを見ていると感じられます。

R1-Zの先代「RZ」とは??

RZはこの2ストレプリカブームのきっかけともいえるバイクです。ラインナップは250ccと350ccがあり、その当時抜きん出た走行性能で他のメーカーのバイクを圧倒しました。

750ccキラーと400ccキラー??

そのRZのスペックは当時の同クラスバイクのスペックと比べてかなり高性能なものであり、当時のバイク界に2ストロークエンジンのセンセーションを巻き起こしました。何せその速さから、RZ250は「400ccキラー」、350は「750ccキラー」と呼ばれ、呼び名の通り上のクラスの排気量のバイクの食らいかねないその性能は、さまざまなライダーを魅了しました。

R1-Zとのスペック比較

RZ350の最大出力は45馬力、最大トルクは3.8kgf・mです。排気量の差がある分トルクはやはりRZの方に采配が上がりますが、スペックを比べるとあまり差がないように見えます。これはRZの生まれたころの時代を考えたら、技術の進歩が感じられるところではありますね!車重はRZが164kg、R1-Zが134kgなので、この車重の差がエンジンの最大トルクの差も埋めてしまうような気がします。体感の加速は同じくらいなのではないでしょうか??因みに燃費は、RZが10km/Lと2ストロークバイクらしい燃費の数値です。

ついでにTZR250(1kt)も紹介!

型式1ktのTZR250は、いわゆる3回のモデルチェンジを果たしたTZR250の中でも初期型のモデルのことを言います。当時のヤマハの市販車開発部門とレース部門のコラボレーションで開発されたバイクで、市販車初のアルミフレーム、当時では抜きんでてしまった走行性能、それでいて確保されている乗りやすさと、当時の2ストロークバイク市場に大きな存在感を放ったバイクでした。

R1-Zまとめ

R1-Zに乗れるのは今が最後のチャンス??

いかがでしたでしょうか?ヤマハのモノづくりに対するこだわりが形になったようなこのR1-Z、所有するのであれば今が最後のチャンスかもしれません。と言いますのも、かつては一世を風靡した2ストロークエンジンも2018年現在はパーツの供給が終わっており、その中には維持することすら難しいバイクも珍しくありません。ですがR1-Zに関しては、後年までラインナップにあったバイクなだけあり比較的純正パーツの在庫もあり維持するのは(2ストロークバイクの中では)簡単な部類です。

今では味わえない2ストロークエンジンの辛口な味わいを是非!

2ストロークエンジンは排気ガスは臭い、燃費はすこぶる悪い、寿命が短い、低速のトルクが細いなどなどクセというクセは目立ちますが、そのエンジンだけが持つ刺激的な加速、機械の味わいは今でも根強いファンが残っています。このR1-Zでもってその刺激的な走りを皆さんも味わってみてはいかがでしょうか?