はなももってどんな植物?
ハナモモは名前の通り美しい花を鑑賞するために品種改良されたモモの事です。なので花が咲いたときに受粉していれば花の後に小さいですがモモの実がなります。ただし味はおいしくないので食用としては利用できません。モモはバラ科サクラ属に分類され、サクラやウメと似た花を咲かせます。
はなももの花
はなももの花の色は赤、ピンク、白などの色があります。そしてはなももには白い花と赤い花の両方がひとつの木から咲く”咲き分け”という種類の花も存在します。また、八重咲きといって花びらが普通よりも多く付きバラの花の様になるものや花びらの形にも様々な種類があります。
開花の時期
普通のモモの花と同じ様に基本的にはサクラと前後して花を咲かせます。花桃まつりの行われる長野県では毎年四月の中旬から五月の中旬にかけて花を見ることができます。
はなももの種類について
花桃にはさまざまな種類がありますが、ここでは代表的な5種類を紹介します。
矢口
ピンクの八重咲き品種でよく切り花として用いられます。ひな祭りで飾られるピンクの花は殆どが矢口という品種の花です。
菊桃
花弁が細く紅色の八重咲きで、花弁が細く薔薇のようでもあり菊のようでもある独特な花を咲かせます。
関白
関白は名前の通り白花で八重咲きの品種です。代表的な白花品種で透き通る様な白い花から寒白と書かれる事もあります。
源平桃
特徴的な「咲き分け」という咲き方をするはなももです。咲き分けとは一つの木から白と紅の二種類の花が咲く咲き方のことでとても珍しい咲き方です。源平桃はさらに八重咲きなので紅白の八重咲きの花が一本の木につくために非常に豪華な見た目になります。
寒緋桃
三月中旬に最も濃い紅色の八重咲きの花を咲かせる品種です。花の形は牡丹の様にも見えるので江戸時代には牡丹緋桃と呼ばれていました。まだ寒いうちに咲くので寒、花の色が紅いので緋を合わせて寒緋桃と呼ばれています。
はなももの育て方
はなももは暑さや寒さに強く育てやすい植物ですが、病気が多いので主な病気と対処方法を知っておくといいでしょう。また、剪定は見栄えを良くするだけでなく病気を防ぐ意味もあるのでしっかりと行ってください。基本的な育て方は普通の桃と同じですが、仕立て方などが異なっています。
場所について
基本的に庭に地植えで育てます。植え付ける場所は日向で風の強くない場所が良いでしょう。日陰だと徒長してしまうので花付きが悪くなってしまい、風が強いと枝が折れてしまいます。鉢植えの場合も同様ですが、地植えと違って乾燥しやすいので注意します。寒さには強いので鉢植えの場合も一年をとおして屋外で育てます。
水やりについて
地植えであれば夏によっぽど乾燥している時でなければ水やりは必要ありません。鉢植えの場合には普通の花木と同じ様に鉢の表面が乾いたらたっぷりと水をやってください。
剪定について
はなももは来年の花芽を8月ごろには作ってしまうのでそれ以降に剪定をすると蕾が減ってしまうので来年咲く花が少なくなってしまいます。なので剪定はの時期は開花後から次の花芽が作られる6~8月の間に行います。剪定では内側に向かって生えている枝や徒長した枝、重なった枝を切り落とし日当たりと通風を確保する事と大きくなり過ぎない様に枝を切り落とす事を考えて行います。
はなももの病気
はなももの病気について代表的なものを紹介します。これはどんな植物にも言えることですが、病気になっていたり害虫の付いた苗を買わないことが一番の予防です。はなももは丈夫な植物なので病気になった部分は切り取ってもまた成長するので躊躇わずに切ることが大切です。
枝折病
カビの仲間の病原菌によって引き起こされる病気で枝の中が腐り、枝先が枯れたり枝が折れてしまう病気です。罹患部位は切り取り、切り口には殺菌剤を散布します。
縮葉病
カビの仲間の病原菌によって引き起こされる病気で新しい葉が縮れた様になってしまいまう病気です。この菌は冬には葉の中では無く外に付いているので殺菌剤を散布する事で防ぐことが出来ます。もし感染してしまった場合には周囲の葉に感染する前に枝ごと切り取って殺菌してください。
害虫
アブラムシやカイガラムシ、ガの幼虫、ハダニ等の様々な害虫が付きます。ガの幼虫のような大きな虫であれば見つけて駆除もできますがアブラムシやカイガラムシ、ハダニでは小さすぎて難しいので薬剤を使用するのがおすすめです。アブラムシやハダニ等の汁を吸う害虫にやられると葉の色が薄くなったり新芽の葉から元気がなくなるので病気かなと思ったら害虫の可能性も考える必要があります。
はなももの増やし方
挿し木
はなももの挿し木は根が弱く、成長が遅いので基本的には挿し木ではなく接ぎ木で増やします。しかし、一般家庭で接ぎ木をするのは難しく台木の入手も困難なので剪定した枝などで挿し木をするとよいでしょう。刺し穂は切り口を斜めにして面積を増やして水を吸いやすくして清潔な土に挿し木します。その後発根して水が吸える様になるまでは乾かさない様に気を付けて管理します。発根が確認出来たら通常の管理に戻します。
メリットとデメリット
・メリット 手軽にできる。 同じ花が咲くはなももを増やすことができる。 ・デメリット 根が弱く成長が遅い
接ぎ木
一番一般的なはなももの増やし方です。根の強いモモの木に花の綺麗なはなももの枝を接ぎ木します。そうすることで根が強く、花の綺麗なはなももを作ることができます。接ぎ木をする場合には刺し穂として使う接ぎ穂と台木として利用する根の強いモモを用意して行います。
メリットとデメリット
・メリット 同じ花を咲かせるはなももを増やすことあできる。 丈夫なはなももを増やすことができる。 ・デメリット 台木を用意しなくてはいけないので手間がかかる。 接ぎ木には技術が必要
実生(種まき)
実生とは種を蒔いて育てることです。花が咲いた後にできる実から種を取り出して蒔くことで増やすことができます。種を蒔くときには種に付いている果肉などを綺麗に落とし、清潔な土に蒔きます。果肉が残っているとそこからカビが生えたり果肉に含まれる発芽抑制物質によって発芽しないことがあります。
メリットとデメリット
・メリット 丈夫な根を持った木に育つ 自分だけの花を咲かせる木が育つ ・デメリット 綺麗な花が咲くとは限らない 種を蒔いてから花が咲くまで数年かかる
花桃の里 阿智村
長野県南信州阿智村では春に一帯が桃源郷となります。阿智村には花桃まつりや花桃街道、花桃の里などがあり、はなももを堪能することができます。また、昼神温泉郷などの温泉宿もあるので温泉や食事も楽しめます。阿智村は日本日星空が綺麗なことでも有名な場所なので昼神温泉郷などに宿泊すれば星空とはなももの両方を楽しむことができます。
花桃まつりについて
花桃の里で4月~5月に行われるイベントで約5000本ものはなももが植えられています。赤、白、ピンクの美しい花が約4㎞渡って植えられているのではなももの花を堪能することができ、事前に予約をしておくことで昼神温泉郷と花桃まつりを往復するシャトルを利用できます。
昼神温泉について
昼神温泉郷は阿智村にあり、花桃まつりの期間中は花桃の里との間にシャトルバスが運行しています。昼神温泉郷にはいくつもの宿があり、温泉を楽しむことができるのでここに宿泊して花桃まつりを見たあとに汗を流すこともできます。
花桃街道について
また、同じく阿智村を通る国道256号線は40kmに渡り10000本ものはなももが植えてあり、花桃街道とよばれ春のドライブコースとしても親しまれています。車で楽しみたいのであれば花桃街道を、徒歩でゆっくりしたいのであれば花桃まつりをメインで楽しむといいでしょう。