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オリンピック競技のスポーツクライミングとは?ルールと注目日本選手まとめ!

東京オリンピックの正式種目に採用されたスポーツクライミング。国内での認知度はまだ十分とは言えません。スポーツクライミングは子どもから大人まで、一般の人にも楽しめるスポーツです。ルールを知り、活躍する日本選手をぜひ応援しましょう!
2020年8月27日
gssjotthkel921
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スポーツクライミングとは?

岩壁をよじ登るロッククライミングをご存知でしょうか。その際、自分の手足のみを頼りに自然の壁を登り、登ること自体を楽しむスタイルを、フリークライミングと呼びます。 スポーツクライミングの原型はフリークライミングですが、登る対象は「ホールド(人工突起物)がルート設定された人工壁」。そして「ルールに従いタイムや課題達成を競う」「安全性が考慮されている」などの点が、「スポーツ」と称される由縁です。

出典: http://extreme-expedition.com/tours/rock-climbing/

スポーツクライミングの種類

国際スポーツクライミング連盟(International Federation of Sports Climbing、以下IFSC)認定の公式競技会種目は、4種類あります。 「ボルダリング(Bouldering)」「スピード(Speed Climbing)」「リード(Lead Climbing)」と、これら3種類をすべて行う「複合(Combined)」です。

スポーツクライミングのルール①:リードクライミング

初めにスポーツクライミングとして発展したのが、このリードです。腰にロープ付きハーネスを装着し、壁の各所にぶら下がっている「クイックドロー(カラビナ同士をスリングで繋いだもの)」に引っ掛けながら登ります。壁の高さは12m以上、最長約60手の指定ルートを、墜落・時間切れ・反則・完登時点の獲得ホールド数(ホールドには番号がふられている)で競います。制限時間は1ルート6分、大体予選2ルート、準決勝・決勝1ルートに1回のみの挑戦です。 ルートはわざと難しく作られており、選手は持てる技術、戦略、体力すべてを注ぎ込んで挑みます。

出典: https://www.littlerockclimbingcenter.com/programs/lead-climbing/

スポーツクライミングのルール②:ボルダリング

ボルダリングの「ボルダー」とは、ある程度大きさのある丸い石のことです。人口壁に設置されたボルダーは「ホールド」と呼ばれ、選手達はこれを、手にチョーク(水分・油分で滑らないための粉や液体)、足にシューズのみで登ります。 壁は5m以下、最大約12手のルートを、予選では5ルート、準決勝・決勝では4ルート登ります。制限時間は予選、準決勝1ルート5分、決勝1ルート4分です。各ルート間には5分間の休憩があり、時間内にクリアできたルート数、クリアに要したトライ数、ボーナスなどで競います。

出典: https://www.theclimbingdepot.co.uk/manchester/about/get-into-bouldering

スポーツクライミングのルール③:スピードクライミング

日本での周知度はまだまだですが、観客にとって最も勝敗が分かりやすく、エキサイティングな競技の一つでしょう。2ルート(ホールド配置は事前告知)並んだ10mまたは15mの壁を、トップのタッチパネルまで駆け上ります。安全性確保のため、選手の腰にはハーネスが装着され、トップ地点から垂らしたロープと繋ぎます。予選は同じコースの壁が二つあるので、それぞれ1回ずつ登り、決勝ではどちらかの壁を1回登ります。 スタートからゴールまでに要する時間は、約6~8秒。100m走よりも速い、まさに驚異のスピード競技です!


スポーツクライミングのルール④:複合競技 

複合の正式ルールは、まだ詳しく発表されていません。ただ2017年9月、オーストリアのインスブルクで行われた世界ユース選手権では、全カテゴリーでの複合種目が実施されたので、追って明らかになるものと思われます。また日本山岳・スポーツクライミング協会(JMSCA)の発表によると、2018年6月には国内初の複合ジャパンカップが、岩手県盛岡市で開催されるということです。 現在明らかになっているルールは、一人の選手が「スピード→ボルダリング→リード」の順で競技を行い、各種目順位の掛け算で順位を決める、というものです。

スポーツクライミングはオリンピック競技になった

まずはこちらの動画をご覧ください。海外で行われた、スピードクライミング大会の様子です。 英語なんかわからなくたって関係ありません。このスピード、迫力、興奮は、言葉の壁などたやすく越えて楽しめます!!

次はリードの世界選手権の様子です。こちらはじりじりとした緊迫感の中、難しいルートを完登するまでの苦しみ、達成の喜びが、一体となって味わえます。

映像を見ているだけでもエキサイティングなスポーツクライミングですが、これが2年後の2020年、夏季東京オリンピックで初の正式種目としてお目見えします。そしてオリンピックで行われるのは、複合(Combined)競技。真のスポーツクライマーを決定するのに相応しい、見逃せない競技になりそうですね! それでは、2020年夏季東京オリンピックでの活躍が期待される、注目の日本選手をご紹介いたします。

スポーツクライミングの注目日本選手 【男子】

楢﨑 智亜(ならさき ともあ) 選手

高校卒業後、プロのクライマーとして活躍中の楢崎智亜選手。クライミングはお兄さんの影響で始めたそうですが、子どもの頃は器械体操を習っていました。体を揺らして次々にホールドを飛び移っていく様子は、海外では「ニンジャ」と称賛されています。ご本人のクライミング・スタイルは「がむしゃら」。筋肉美に甘いマスク、ワイルドなクライミングと世界トップクラスの実力で、今後ますますファンも増えていくことでしょう。

出典: http://www.jma-climbing.org/athlete/2017/

*実際の「崎」は「大」の部分が「立」の字

● 2017年日本代表チーム S代表 ● 1996年6月22日生まれ (21歳) ● 169cm ● 栃木県出身 ● 2017年シーズン、複合総合成績 男子1位 【国際大会】(L:リード、B:ボルダリング、S:スピード)  2017年 IFSC クライミング・ワールドカップ (L) 廈門 男子2位  2017年 IFSC クライミング・ワールドカップ (B) ミュンヘン 男子2位  2016年 IFSC クライミング・ワールドカップ (B) ミュンヘン 男子1位  2016年 IFSC クライミング・ワールドカップ (B) 重慶 男子1位 【国内大会】  2018年 第13回ボルダリング・ジャパンカップ 男子3位  2017年 日本選手権リード競技大会 男子2位

是永 敬一郎(これなが けいいちろう) 選手


是永敬一郎選手は小学生で体験したクライミングにはまり、そこからクライミング人生が始まったそうです。得意種目はリード。リードといえば、クライミング界のチェスと称されるほど、心技体を長時間酷使する競技です。小柄な身長は有利ですが、普段の練習量、現役大学生(日本体育大学)としての勉強、練習にも取り入れているマラソンなどの絶え間ない努力が、是永選手を世界トップクラスの実力者にしています。 今後はオリンピックに向けて、ボルダリングに力を入れていきたいとのこと。2年後、ぜひ大舞台での活躍を目にしたいですね!

出典: http://www.jma-climbing.org/athlete/2017/

● 2017年日本代表チーム S代表 ● 1996年2月16日(22歳) ● 160cm ● 北海道出身 ● 2017年シーズン、複合総合成績 男子10位 【国際大会】(L:リード、B:ボルダリング、S:スピード)  2017年 IFSC クライミング・ワールドカップ (L) 廈門 男子1位  2017年 ワールドゲームズ (L) 男子1位  2016年 IFSC クライミング・アジア選手権 (L) 都匀 男子1位  2016年 IFSC クライミング・ワールドカップ (L) ヴィラール 男子2位 【国内大会】  2018年 第13回ボルダリング・ジャパンカップ 男子11位  2017年 第12回ボルダリング・ジャパンカップ 男子6位  2016年 第30回リード・ジャパンカップ 男子1位

藤井 快(ふじい こころ) 選手

藤井快選手は、中高の部活動でクライミングを行っていました。上述した楢崎智亜選手が「動」のイメージとすると、藤井選手は「静」のイメージ。クライミング・スタイルは「淡々と」だそうです。自身の弱点を研究し、一つ一つそれを克服して全体のレベルアップを怠らない努力こそ、オールラウンドプレーヤー藤井選手の強みといえるでしょう。 都内ジムに勤務し、お若いながらも既に結婚していらっしゃいます。仕事と練習・大会の日々はかなりハードだと思いますが、ぜひクールなクライミングを世界中に披露してほしいです!

出典: http://www.jma-climbing.org/athlete/2017/

● 2017年日本代表チーム S代表 ● 1992年11月30日生(25歳) ● 175cm ● 静岡県出身 ● 2017年シーズン、複合総合成績 男子3位 【国際大会】(L:リード、B:ボルダリング、S:スピード)  2017年 アジアカップ 万仙山 (B) 男子1位  2017年 IFSC クライミング・アジア選手権 テヘラン(L,B) 男子1位  2016年 IFSC クライミング・ワールドカップ (B) ベイル 男子1位  2016年 IFSC クライミング・ワールドカップ (B) ナビムンバイ 男子1位 【国内大会】  2018年 第13回ボルダリング・ジャパンカップ 男子1位  2017年 第12回ボルダリング・ジャパンカップ 男子1位

楢崎 明智(ならさき めいち) 選手

苗字でお気づきの方もいらっしゃるでしょう。楢崎明智選手は、上述した楢崎智亜選手の弟さんです。お兄さんと共に器械体操を習っていましたが、一緒にやめて一緒にクライミングを始めました。現在もよく連絡を取り合い、クライミングやその他の話題で盛り上がる、とても仲良し兄弟だそうです。 明智選手は「応援されると頑張れるタイプ」ということなので、苦しい場面では精一杯皆で応援してあげたいですね。ご本人はオリンピックが目標ではないそうですが、やはり兄弟でオリンピックに出場する姿を見てみたいところです。

出典: http://www.jma-climbing.org/athlete/2017/

● 2017年日本代表チーム B代表 ● 1999年5月13日(18歳) ● 186cm ● 栃木県出身 【国際大会】(L:リード、B:ボルダリング、S:スピード)  2017年 IFSC 世界ユース選手権 インスブルック(複合) 男子1位  2017年 IFSC クライミング・アジアユース選手権 シンガポール(L,B) 男子6位  2016年 IFSC 世界ユース選手権 広州 (L) 男子6位  2016年 IFSC クライミング・ワールドカップ (L) ブリアンソン 男子10位 【国内大会】  2017年 ボルダリングユース日本選手権鳥取大会 男子1位  2016年 全日本クライミングユース選手権リード競技大会 男子1位

スポーツクライミングの注目日本選手 【女子】

野口 啓代(のぐち あきよ) 選手

野口啓代選手は、小学生の時訪れた海外のフリークライミング体験がきっかけとなり、クライミング人生を歩むことになりました。日本国内では常時1位、2位というほどの実力者ですが、野口選手曰く「素早く登っていくのが得意ではない」とのこと。そのため「スピード」を含む複合で争うオリンピックに向け、弱点克服に意欲を燃やしているそうです。

出典: http://www.jma-climbing.org/athlete/2017/

● 2017年日本代表チーム S代表 ● 1989年5月30日(28歳) ● 165cm ● 茨城県出身 ● 2017年シーズン、複合総合成績 女子6位 【国際大会】(L:リード、B:ボルダリング、S:スピード)  2017年 IFSC クライミング・アジア選手権 テヘラン (B) 女子1位  2017年 IFSC クライミング・アジア選手権 テヘラン (L) 女子2位  2016年 IFSC クライミング・ワールドカップ (L) クラーニ 女子2位  2016年 IFSC クライミング・アジア選手権 都匀 (L,B) 女子1位 【国内大会】  2018年 第13回ボルダリング・ジャパンカップ 女子1位  2017年 日本選手権リード競技大会 女子1位

野中 生萌(のなか みほ) 選手

野中生萌選手は父親の影響で、小学生からボルダリングを始めました。自身の強みを「パワーを生かした力強い登り」というほど、「強いクライマー」を目指す野中選手。単に競技で勝つ強さだけでなく、心身や人間性の強さまでも探求するストイックな面を持っています。またおしゃれなファッションにも定評があり、ヘアスタイルやネイル、アクセサリーなど、ファンの注目は競技以外にも向けられています。

出典: http://www.jma-climbing.org/athlete/2017/

● 2017年日本代表チーム S代表 ● 1997年5月21日(20歳) ● 162cm ● 東京都出身 ● 2017年シーズン、複合総合成績 女子15位 【国際大会】(L:リード、B:ボルダリング、S:スピード)  2017年 チャイナ オープン 広州 (B) 女子1位  2017年 ワールドゲームズ (B) 女子2位  2016年 IFSC クライミング・ワールドカップ (B) ミュンヘン 女子1位  2016年 IFSC クライミング・ワールドカップ (B) ナビムンバイ 女子1位 【国内大会】  2018年 第13回ボルダリング・ジャパンカップ 女子5位  2017年 第12回ボルダリング・ジャパンカップ 女子3位

大田 理裟(おおた りさ) 選手

大田理裟選手がクライミングを始めたきっかけも、山が大好きな「お父様」だそうです。小学生の頃から自宅にクライミング練習場を作ってもらい、大学ではスポーツクライミング部に所属。現在はプロクライマーとして、国内外を飛び回り活躍中です。 太田選手の特徴は、手を握る力ではなく、指先で物をつかむ「ホールド力」がとても強いこと。美しい容姿と実力で、今後更に観客の心もがっちりホールドしてくれることでしょう。

出典: http://www.jma-climbing.org/athlete/2017/

● 2017年日本代表チーム B代表 ● 1993年1月27日(25歳) ● 161cm ● 山口県出身 【国際大会】(L:リード、B:ボルダリング、S:スピード)  2017年 IFSC クライミング・ワールドカップ (L) 廈門 女子10位  2016年 IFSC クライミング・アジア選手権 都匀(L) 女子4位 【国内大会】  2017年 日本選手権リード競技大会2017 女子2位  2016年 クライミング日本選手権 女子2位

まとめ

スポーツクライミングのルールと日本の注目選手はいかがでしたか? 2018年冬季オリンピックも終わり、次は2020年夏季オリンピックが待ち遠しいです。今回正式種目となったスポーツクライミングを知れば、2年後、更に楽しめる事間違いなしですよ。