ヤブコウジを上手に栽培
ヤブコウジといえば、お正月の縁起物や、赤い実のイメージが強い植物ですよね。実は、ヤブコウジは常緑性なので一年中緑を楽しむことができるカラーリーフとしても使用できるんです。
日向はもちろん、日陰でも育つ植物で和風のお庭にも似合いますね。ヤブコウジの実に目が行きがちですが、そのヤブコウジの花もとってもかわいいんですよ。
気になる花言葉は、とっても素敵なワードになっていました。今回は、そんなヤブコウジの育て方や花・実の紹介、苗の増やし方や剪定方法もまとめました。肥料・水やりの時期など栽培に関する情報を詳しくご紹介いたします。
ヤブコウジとは
ヤブコウジに関する歌が、万葉集に詠まれていました。万葉集には、ヤブコウジのことを「山橘(ヤマタチバナ)」と詠んでいます。このことからわかるように、ヤブコウジは昔から私たち日本人に愛されてきた樹木だということがわかりますね。
お正月の縁起物として、赤い実のついたヤブコウジは重宝されてきました。江戸時代に、斑が入ったヤブコウジの苗が人気を呼んだことがあったそうです。この時から、ヤブコウジには品種改良がおこなわれるようになって、爆発的に様々な品種がつくられました。その後何度もヤブコウジのブームが起きました。
今では、ヤブコウジの苗の価格は1000万円もの高値になる立派な苗も売られているということです。
特徴
ヤブコウジの特徴は、日陰にも強いという性質や、耐寒性の強さで非常に簡単な育て方で増やすことができるのが人気のようです。もともとは、山野の森林に自生していた植物です。
そのため、日向というよりは明るい半日影が望ましいです。夏の強い直射日光では葉が焼けて、ヤブコウジは茶色く枯れてきます。あまりにも日に当たらあない場所では花付き、実付きは悪くなります。そのため、半日陰か明るい日陰が良いと思いますよ。
ヤブコウジの特性は、茎が枝分かれするのではなく地下茎で株を増やしていくところにあります。
樹高は20cm~30cmと低く茂るため、グランドカバーよく用いられます。常緑性の樹木なので、紋入りの苗の場合はカラーリーフとしても楽しめますね。花の後に出来る赤い実は、晩秋から冬にかけて長期間鑑賞することができますよ。
ヤブコウジ基本情報
ヤブコウジの育て方の前に、基本的な情報を紹介していきますね。
科名属名
ヤブコウジは、サクラソウ科ヤブコウジ属です。
学名
ヤブコウジの学名は、「rdisia・japonica」でした。
和名・別名
ヤブコウジの和名は、十両です。ヤブコウジを漢字で「藪柑子」とも書きます。別名は、「紫金牛(シキンギュウ)」や、「山橘(ヤマタチバナ)」とも呼ばれています。
原産国
ヤブコウジの原産国は、日本・朝鮮半島・中国・台湾です。
分類
ヤブコウジは、樹高が10~30cmの常緑性低木です。
ヤブコウジ開花・結実時期
江戸時代には、葉に斑が入るヤブコウジが人気となりました。明治にも再びヤブコウジのブームが起こりました。ここでは、人々を魅了するヤブコウジの花と赤い実について詳しく紹介していきます。
ヤブコウジの開花時期
ヤブコウジの花言葉は、「ふくよかな愛」・「明日の幸福」です。ヤブコウジの花の開花時期は7月です。この時期に咲くヤブコウジのっ小さな花は、薄紅色や白色をしています。
ヤブコウジの花は、一つひとつの花の大きさが5~8mm程度の小輪です。かなり小さいですが、まばらになってかわいらし色の花を咲かせるので花も鑑賞性がありますよ。
花は、下を向いているのが特徴です。ヤブコウジは、常緑で、茎を楕円形にしていて葉っぱは縁にギザギザしているおしゃれなイメージ感じられます。
ヤブコウジの結実時期
ヤブコウジは、晩秋から冬にかけて、まばらに付く赤い実がとても美しい低木です。湿り気のある半日陰に植え付ければ、手間をかけずに育てて楽しむことができますよ。また、病気や害虫の心配が特にないのも、育てやすいとされるポイントです。庭に和の雰囲気を演出するなら、ぜひヤブコウジを取り入れてみてください。
ヤブコウジ育て方・植え付け植え替え
それではさっそく、ヤブコウジの苗を植え付けていきましょう。場所や用土などの栽培の方法を紹介します。
用土
ヤブコウジを植え付けるときは、赤玉土小粒:腐葉土を7:3の割合で混ぜた土を作ります。ヤブコウジは乾燥を苦手とするので、水はけと水持ちのよい土を好みます。そのため、場合によっては腐葉土を混ぜておくのもよいと思います。
鉢植えのヤブコウジにする場合は、地下茎で伸びるので苗よりも1回り大きな鉢に植え付けておきます。ヤブコウジを地植えにする場合は、苗よりも1回り大きな穴を掘って耕しておき肥料などをすきこんでおくとよいですよ。
場所
ヤブコウジは、もともと自生地では日の当たらない森林に自生していた植物です。そのため、乾燥しない水はけのよい半日陰や日陰に植え付けるとよいと思います。ヤブコウジを栽培するときは、水切れに注意が必要です。
また、直射日光も苦手なので、5月から9月までは明るめの日陰で栽培し、4月や10月は半日陰(西日が当たらない場所)が好ましいです。寒さには強いですが、寒風には弱いので、冬日向で栽培しましょう。
植え付け
ヤブコウジの苗を植え付けるときは、2~4月・9~11月がよい時期です。熱い季節と寒い季節は避けるようにしましょう。新芽が伸びる前か後にするのがよいので、伸び始めるこの中間には根をいじらないようにすることがポイントです。
植え替え
ヤブコウジは、同じ場所で長く栽培していると根詰まりを起こすことがあります。地下茎でどんどん株を増やす性質を持っているので、同じ土だと水が染みにくくなって根が水切れを起こしてしまうんですね。
その時は植え替えを行いましょう。鉢植えは今よりも1回り大きな鉢に植え替えましょう。ヤブコウジの植え替えは、およそ2~3年に1度行います。植え替えの適期は、4月と8月~9月中旬です。
ヤブコウジ育て方・水やり
ヤブコウジの苗を最初に植えつけたら、しばらくは根付くまでの間葉水切れしないように気をつけます。植え付けた表土が乾いたら水やりをたっぷりと行いましょう。根付いてからの水やりは、必要ありません。
鉢植えの水やりは、乾燥させないように気をつけながら、同様に表土が乾いたら水やりします。夏場と冬場の水やりはこまめにチェックするようにしましょう。乾燥には苦手な植物なので、水やりのタイミングはやはりこまめにチェックするしかないようです。
ヤブコウジ育て方・肥料
花を咲かせて、長期間実をつけているのでヤブコウジには肥料は必須です。肥料は、花後は液体肥料ですぐに栄養を補給せてあげましょう。その他の時期は、鉢植え・庭植え共に緩効性化成肥料を株もとに与えます。また、時期や成長過程委に合わせて、肥料に固形油かすを施しても大丈夫ですよ。
肥料の時期
ヤブコウジの肥料は、4~11月は成長期間なので、2か月に1度肥料を与えるようにします。その他の肥料は、花後に急速に栄養が足りなくなるので気をつけましょう。
ヤブコウジ育て方・剪定
ヤブコウジを苗で購入した場合は、すぐには剪定の必要はありません。ヤブコウジを栽培して数年ほどが経過すると、樹形がぐずれてきます。そうなってきたら剪定を行いましょう。ヤブコウジの剪定は、伸びすぎている枝葉や下葉が落ちてしまった古い枝はそのままにしておくと樹形が崩れるので剪定しましょう。
剪定の時は、ヤブコウジの株元から5cm程度で剪定するようにしてくださいね。
少し樹形が乱れていたら、こまめに枝を剪定しておくとよいと思います。また、ヤブコウジの斑入りの苗は、斑が消えてしまった葉がついている枝は剪定したほうがよいでしょう。剪定しても、すぐに新芽が伸びて秋には葉が茂るようになります。
剪定の時期
ヤブコウジの剪定の時期は、3~4月に行います。時期を逃してしまった暑くなる前の6月までなら剪定が行えますよ。時期が遅くなった場合は、強剪定してくださいね。そのまま栽培していけば、秋には良く茂るようになりますよ。
ヤブコウジの増やし方
ヤブコウジの増やし方には、挿し木・株分け・種まきの3つがあります。それぞれの増やし方について、紹介していきます。
ヤブコウジ増やし方・挿し木
挿し木での増やし方は、剪定の際に使った若い枝を選びます。枝を5~10cmほどにカットしましょう。、赤玉土小粒か鹿沼土小粒、もしくは挿し木専用土を使います。一度水を吸わせておき、挿しておきます。挿し木したら風が当たらない日陰で管理しましょう。その後、約1か月ほどで根が十分に生えたら植え替えましょう。
ヤブコウジ増やし方・株分け
斑入りの苗では、なかなか難しい増やし方です。株分けは、ヤブコウジの株を掘り上げます。掘った根に付いた土をほぐしていくと、地下茎で繋がっている株があるとおもいます。その地下茎を園芸用ナイフを使って切り分けていきましょう。この時、どちらの株にも茎葉や芽を2個はつくようにしてくださいね。
ヤブコウジ増やし方・種まき
種まきの増やし方は、赤く熟した実から種を採取して行う増やし方です。9月下旬から12月に収穫します。収穫した種は、細かい産毛のような毛を取って水で洗って果肉を落とします。すぐに赤玉土小粒や種まき用培養土 にまきましょう。きちんとお水やりの管理ができていれば、春に発芽しますよ。
ヤブコウジの品種・苗の選び方
ヤブコウジには、たくさんの種類があるようです。ここでは、ヤブコウジの園芸品種を紹介します。ヤブコウジの種類の中から、好みの苗の選び方の参考にしてもらえたらうれしいです。
宝冠
ヤブコウジといえば、この姿を思いう我部理人が多いのではないでしょうか?明るい緑をしていて、葉っぱの内側にかけてきれいな黄緑色で大きいのが特徴です。
辻が花
最近の品種改良で作出されたヤブコウジの品種です。小型の品種で、反り返っている葉っぱが特徴です。葉の色はやや濃い緑色で、グランドカバーに向いています。
糸錦
葉の周りを囲むしろい班が入っている品種です。細くて白い覆輪が見事で人気のヤブコウジですよ。
白黄錦
冬から春にかけて、階変わりで葉っぱの色がかわる品種です。赤みがかって紅葉したようになる常緑のヤブコウジです。
平成の輝き
最近の新しいヤブコウジです。光沢のある、美しい濃緑と白の斑入りヤブコウジです。
ヤブコウジに赤い実をつけよう
お正月の縁起物として親しまれるヤブコウジの育て方はいかがでしたか?ヤブコウジは、育て方も簡単で、耐陰性・耐寒性にも強いことから、根締めとしてもよく使われていたんです。
ヤブコウジの苗には斑入りの品種や、葉色が美しい品種もありましたね。ぜひ自分の好みのヤブコウジをお庭で栽培してみてくださいね。