唐辛子はこんな植物
食用や観賞用として馴染みのある唐辛子はナス科の一年草で、病害虫に強く自宅でも簡単に育てることができます。主に食用では香辛料として、観賞用唐辛子は種類によって紫色や黄色、クリーム色など様々な色の実を付け、花壇や寄せ植えなどにも合わせやすい使い勝手の良い植物です。
原産は?
中国が原産だと思われている人が多い唐辛子ですが、実は中南米原産。日本へ伝わったのは17世紀ごろで、朝鮮より豊臣秀吉が持ち帰ったのちに日本で栽培されるようになったとする説が有力だと言われています。
唐辛子はあの人物の勘違いから広まった
唐辛子は英語で"Red Pepper"ですが、なぜ胡椒を意味する"Pepper"が入っているのかご存知でしょうか? 実は、ある偉人の勘違いからその名で呼ばれることとなったのです。
コロンブスが広めた?
時代をおおきくさかのぼり、大航海時代と呼ばれた15世紀のこと、新大陸発見を目指した探検家コロンブスがアメリカ大陸をアジアと勘違いしたことは学校でも習うほど有名な話ですが、そのときにカリブ海に浮かぶ西インド諸島にてコロンブスは唐辛子を発見しました。 唐辛子を持ち帰ったコロンブスですが、当時インドで生産されていた胡椒と勘違いして広めてしまいました。結果世界中に"Red Pepper"として流通してしまったのです。
唐辛子は世界中で数多くの種類が栽培されている?
ナス科のトウガラシ属に分類される唐辛子には、非常に多くの下位分類が存在しています。ハバネロやハラペーニョ、ブート・ジョロキアにししとうや鷹の爪などもここに分類されており、世界には400を超す品種があるうえに今でも新種が発見されているといわれています。
ピーマンはもともと唐辛子
そのなかでも意外と知られていないのがピーマン。ピーマンはもともと唐辛子の辛みを抑えることを目的として品種改良された野菜なのです。 実はピーマンも収穫せずに放置しておくと赤く色づきます。しかし収穫の回転数をあげるために緑色の早い段階で収穫してしまうので赤いピーマンはあまり市場で見かけることが少ないのです。 その為、ピーマンは唐辛子"Red pepper"を食べやすく改良した"Green Pepper"もしくは"Sweet Pepper"と英語で呼ばれています。
唐辛子の栽培にチャレンジしてみよう
ここからは実用的な唐辛子の育て方について種まきから説明していきます。自分で育てれば、もう買う必要はありません。ぜひ栽培にチャレンジしてみましょう。 一般的には栽培が簡単だと言われている唐辛子ですが、一概にそうとは言えず逆に難しいところもあるので、育て方が分からないときはまず一度確認しておきましょう
気温
ピーマンより高い温度を好む唐辛子は、生育の初期段階ではは15℃を下回ると生育に遅れが出てしまい、降霜にあうとたちまち枯れてしまう寒さに弱い植物です。
種まき
種まきの時期は2月下旬から3月中旬にかけて行います。赤玉土を入れた育苗箱に3センチ程間隔をあけてすじまきにしましょう。
発芽したら間引き
時期や地域にもよりますが、おおよそ3日から1週間で発芽し始めます。セルトレイに播種した場合は、発芽後に1株ずつになるように間引きをしてあげましょう。
苗のからの栽培が簡単
しかし、種の発芽には一定以上の気温が求められ、関東より北部だと収穫に適した時期である夏場に最盛期を持ってくることが難しいので、市販の苗を購入した方が失敗するリスクを抑えることができます。 この発芽の条件ゆえに、種まきからの唐辛子の育て方が簡単だと言われる地域と難しいといわれる地域に分かれます。不安ならまずは苗からの栽培にチャレンジしてみましょう。
育苗
唐辛子の発芽温度は25℃以上必要なので、寒冷地は特に育苗箱の内部の温度が低下しないよう注意します。ポリ袋などで育苗箱を多い株すようにしてあげると保温になり、温度を一定に保つことができます。
本葉が一枚発芽したら、3~4号のポットに植え替えをして開花するまで育苗します。
定植
定植に移る前に、土の準備をしておきましょう。定植2週間前までに石灰、1週間前までに施肥を行いpH6.5前後に調整します。唐辛子は寒さに弱い植物なので、気温が温かくなってから定植をするようにしましょう。 また、唐辛子は湿害に弱いので保水性や排水性のよい土壌が求められます。更に、畝を高くつくり根腐れなどの湿害を予防しておきましょう
定植のコツ
葉が広範囲に茂り、密植になると光量が不足し、光合成ができなくなるうえに通気性が悪く株元に湿気が溜まってしまいます。湿害や害虫が発生する原因となるので、路地なら40~50㎝、プランターなら30㎝程度の間隔で定植しましょう。 唐辛子の根は浅く弱いため、ポットから取り出すときは根鉢を崩さないようにします。少し余裕をもって広めの穴を掘り、優しく植えてあげましょう。 植え付けができたら、根が浅く倒れやすいので支柱をたてて茎を固定してあげると活着が良くなります。
管理
唐辛子は多くの枝を付け、横に広がりながら生長します。その為、プランターで育てると横の株に当たってしまう可能性がありお互いに生育に悪影響を与えてしまいます。枝がぶつからないように、主枝と一番花より下の枝2本を残しあとの枝は落としてしまいましょう。 露地栽培の場合は一番花より上にある枝もそのままで大丈夫です。
支柱
丈が伸び始めて、根が活着したら支柱を丈夫なものに取りかえる必要があります。唐辛子は大きくなるので、100~120㎝以上の支柱を準備しましょう。
収穫
唐辛子は定植から1か月半から2か月ほどが収穫の目安の時期になります。しかし収穫については、その都度使いたい人やまとめて作っておいて保存したいで異なるのでそれぞれに合った方法を選びましょう。 また、収穫を始める目安は1か月半から2か月ですが、栽培する地域や種類によっても異なってきますので、あくまでも大まかな例として捉えてください。
収穫のコツ
赤く色づいたものだけをハサミで収穫します。唐辛子は枝が弱いので、手で収穫しようとすると折れてしまうことがあるので注意してください。 また、唐辛子は青い状態でも食べることができ、青い方が辛みが強く感じられます。青い唐辛子を味噌などにつけて好んで食べる方もいらっしゃるそうなので、ぜひ試してみてはいかかでしょうか。
唐辛子の栽培後の保存方法
唐辛子をプランターで1~2株のみ栽培する場合は最後にそこまで余らないと思いますが、プランターで何鉢も、または路地で数株栽培する場合は1シーズンでは使い切ることは難しいでしょう。しかし、唐辛子は保存のきく食材なので安心です。収穫しきれずに樹が枯れてしまいそうなときはどのような方法を選べばよいのでしょうか?
まとめて収穫するなら
まとめて収穫したい場合には、まずはついている実がすべて色づくまで待ちましょう。赤くなったら根から引き抜いて、根の付近から下は切り落とし、逆さにした状態で風通しの良い場所に吊るして乾燥させます。湿気のあるところだとカビが生えやすいので注意しましょう。 乾燥したら瓶などの密閉できる容器で保存してください。
唐辛子栽培で覚えておきたい主な病害虫
唐辛子に発生する病害虫として、主にアブラムシをはじめとして数種類の害虫が挙げられます。露地栽培ではヨトウムシにも注意しなければなりません。
害虫対策の仕方
また、アブラムシなどがウイルスを媒介してモザイク病などの病気を引き起こす場合もあり、未然に防ぐために害虫対策を怠ってはいけません。 また、家庭菜園などで農薬の使用を避けたい場合には、防虫ネットや粘着シートで対策したり、前年度に作りだめしておいた唐辛子があれば焼酎に2~3週間浸した液を、水で300倍に薄めて散布すると害虫に効果的です。濃度が濃すぎると葉焼けを引き起こす原因となるので注意しましょう。 このとき、目や口に唐辛子液が入らないように気を付けてください。
まとめ
唐辛子は比較的簡単に育てられる植物です。ですが、今回ご紹介させていただいたように場合によっては繊細な一面があったり、害虫などの危険性も捨て切れません。 今回の記事を参考に正しく、美味しく育てていただければ嬉しいです。