”ユズリハ”の名前について
ユズリハは英語ではfalse daphneと言います。学名は、『ユズリハ科ユズリハ属の常緑高木』。英語表記ではDaphniphyllum macropodum と言われています。Daphniphyllumは“ユズリハ属”、macropodumは“長柄の・太い軸の”という意味を持ちます。古名は『ユズルハ』と言います。
名前の由来
”新しい葉が成長し、古い葉が落ちる=新旧交代がハッキリしている”という由来から「譲る葉っぱ」→「譲葉」という名前が付きました。 日本国語大辞典では、名称の由来について次のように書かれております。
“新葉と旧はの交代がよく目立つところからの名。また、父から子に財産を譲という意味から、新年や祝事の飾りものとして珍重される”。心機一転心新たな気持ちにさせてくれる植物です。
ユズリハの別名
ユズリハには沢山の別表記・別名があります。 別表記:交譲木、譲葉 別名:オヤコグサ(親子草)、ウサギガクレ(兔隠)、ショウガツノキ(正月木)、ユズリシバ(譲柴)、ユズルハ(弓弦葉)、ホンユズリ(本譲)、アオバノキ(青葉木)、コガネノハ(黄金草)
ユズリハの特徴
太平洋側の暖地の海岸近くに多く分布しています。やや湿り気のある有機質の多い日陰地に適します。高さは5メートル~12メートルほど。成長はやや遅めです。原産地は日本ということで、愛着が湧きますね。
ユズリハの品種
ユズリハには、エゾユズリハ、ヒメユズリハ、アオジクユズリハ、フイリユズリハ(黄緑中斑など)の複数の品種があります。沢山の仲間がいることがわかりますね。
ユズリハの花
開花時期は5月~7月。小花が咲き、黄緑色や紫色をしています。一度は見たことのある方も多いかもしれませんね。
ユズリハの実
夏には実がなり、次第にブドウのような青い実に成長します。長さは8mm~9mmで、卵状楕円型をしています。見た目は綺麗で美味しそう!小鳥なども集まるほど。しかし中には有毒物質が含まれており、食べれば呼吸困難を引き起こす場合もあります。安易に口に含むのは避けましょう。
ユズリハの葉
葉は互生して大型の狭長楕円形。長さは8cm~20cm、幅は3cm~7cmほどあります。先は短くとがっており、基部はくさび形、厚く濃い緑色をしています。表面は光沢があり、裏面は白色を帯びています。葉の付け根が赤いのが特徴です。
ユズリハの分布
日本には、本州の福島県以西、四国、九州、沖縄など比較的暖かい場所に分布しています。アジアでは、中国中部、韓国などの暖地の山地に分布しています。
また、ユズリハの仲間の品種であるエゾユズリハは北海道、本州(北・中部)、南千島(エトロフ)に分布しています。 日本が原産ということもあり、日本やその周辺の国に多く分布していることがわかります。
ユズリハの使い方
ユズリハは庭木としてよく利用されています。また、葉が大きく常緑なため、門際や屋敷周辺の目隠しとしても使用されます。日向で良く育ちますが日陰にも強い植物。建物の北側にも利用できます。
いろんな場所で生き生きと育ってくれるユズリハは、頼もしいものですね。葉っぱと樹皮は薬用にもなります。どんどん活用していきましょう。
ユズリハの花言葉や誕生日を知ってを大切な人にプレゼント!
花言葉
ユズリハの花言葉は、主に4つあります 1 若返り 2 世代交代 3 譲渡 4新生 花言葉の由来は、”葉の入れ替わりが一斉に行われる=世代交代を連想させる”からです。心機一転新たな気持ちにさせてくれる植物。素敵ですね。心機一転したい場面は人々に沢山訪れます。そんな時にユズリハのことを思い出してみてください。
花言葉を使ってプレゼントしよう
ユズリハの花言葉である「若返り」「世代交代」「譲渡」「新生」のメッセージを大切なひとに伝えてみてはいかかでしょうか。 「これからも若く活き活きといてね」との意味を込めて母の日に。
「今までお疲れ様でした。後は任せてください!」との意味を込めてこれから退職をされる先輩や上司に。「今までありがとう!これからまた新しい環境で頑張ってね!」との意味を込めて卒業する先輩に。 それぞれの意味を込めた贈り物として、特別な日にプレゼントすると喜ばれます。
縁起の良いユズリハ
縁起が良いとされ、ユズリハの葉は新年の飾りによく用いられます。
縁起が良いとされる理由
ユズリハが縁起が良いとされるには理由があります。 ユズリハは実が熟す頃に葉が落下します。落下時には、新しい葉がすでにそろっています。この“全てそろってから一気に落葉する”という特徴が“縁起が良い葉”とされる理由です。それは「代々の家督の継承」を象徴します。
また、葉の軸が赤く、葉の裏は白っぽいことから“紅白”を連想させることも「縁起が良い」とされる理由の一つです。 縁起の良さを裏付ける理由がいくつもありますね。お正月に飾ってみると、良いことがめぐってくるかもしれません。
誕生日の花としてのユズリハ
友人や家族に誕生日の方がおられるなら、「生まれてきてくれてありがとう」とメッセージと共にプレゼントすると素敵ですね。 1月6日はケーキの日、佐久鯉誕生の日、東京消防庁出初め式、色の日でもあります。 1月11日は鏡開き・蔵開きの日、樽酒の日、塩の日でもあります。
ユズリハは句や民謡にも用いられる
”ユズリハ”を用いた句
万葉集でも多く歌われています。
“古(いにしへ)に 恋(こ)ふる鳥かも 弓絃葉(ゆずるは)の 御井(みゐ)の上より 鳴きわたりゆく“ ―――万葉集 弓削皇子(ゆげのみこ) 歌意:昔のことを恋に慕う鳥なのだろうか、ユズリハの樹のある御井の上を通って、鳴きながら飛んでいく “古いに恋ふらむ鳥は 雀公鳥(ほととぎす)けだしや 泣きしわが念(おも)へる如” ―――万葉集 弓削皇子(ゆげのみこ) 歌意:あなたが「昔を恋う」という鳥は雀公鳥でしょう。
恐らくは鳴いたでありましょう、私が昔を恋しく思うように これらはほんの一例です。他にも沢山詠まれているので、探してみるのも楽しいですね。
”ユズリハ”を用いた民歌・民話
『日本植物文化誌』によると、鳥取県や三重県の田植えの歌で歌われていたようです。また、『東京のわらべ歌』のわらべ歌でも歌われています。 “松竹や七五三なわで ところだいだいゆづりは” (三重県) ※言葉の意味:ところーヤマイモ科の植物、だいだいーミカン科の植物 “お正月がござった どこまでござった カンダまでござった 何に乗ってござった ゆずりはに乗オって ゆずりゆずりござった” (千代田区神田)
昔から日本での生活になじみがあったことがうかがえますね。
ユズリハの育て方のポイント
ユズリハは、庭木として用いられることが多い植物です。しかし庭木として鑑賞するためには、10年以上かかるほど。成長が緩やかな植物です。
幼樹の間は、比較的手を掛けなくても育ちます。庭木は、基本的に大きく育ててこその観賞価値のある植物。植栽にはある程度のスペースが必要となります。
1植えつけ時期
10月~入梅までに行うと良いです。寒冷地では12月~2月の極寒期は避けましょう。
2水の管理
雨が当たる場所に植える場合は、水は雨水だけで十分育ちます。とても育てやすい植物ですね。ほとんど雨が降らない場所・乾きやすい場所では、土が乾いてきたらたっぷりと水をあげましょう。
3消毒
病害虫はほとんどつきません。そのため消毒の必要はありません。
4剪定方法
ユズリハはほとんど枝を切る必要はありません。放任でOKです。スペースをたくさん取れない場合・枝が間延びした場合は切るようにしましょう。切り方は、枝を切り詰め、新しい枝を出させるようにします。剪定の適期は6月下旬から7月上旬、11月中旬から12月です。
5肥料
肥料の適期は2月~3月です。有機質肥料を多めに使いましょう。
まとめ
ユズリハについてお分かりいただけましたか?万葉集で詠まれるなど昔から人々の生活になじんでいたユズリハ。日本に多く分布し、実は今でも私たちの身近に寄り添っていました。
毎年のお正月には飾りとして、世代交代時の縁起の良い贈り物として、特別な日にも親しめるユズリハ。育てる予定の方はポイントをしっかりと押さえ、長く健康なユズリハを育てましょう。これからも末永く親しんでいきたいですね。