ローズマリーの特徴は?
ローズマリーはシソ目シソ科に属する、常緑の低木です。原産は地中海沿岸。葉は3cmほどの長さで、線形で革のような質感を持ちます。唇形の花は葉の付け根につき、淡い紫や青など花が観られます。高さは、60cm~1.2mほどまで。家庭の庭でよく育てられている植物です
香草・石鹸・臭み消し・お茶に利用される
古くは薬草に使われ、葉から迷迭香(めいてつこう)という香油が摂れたことから、石鹸や香水に利用されてきました。料理にも使われ、肉料理の臭み消しや、ハーブティーにも活用されている植物です。和名は、マンネンロウ(万年蝋)。ローズマリーの蜜から作られる蜂蜜は高級品とされ、南フランスの名産として販売されていますよ。このように、ローズマリーは花を観賞するほかにも、たくさん用途に利用されている植物なのです。
初心者向け!ローズマリーの剪定方法
観賞のほかに、収穫をして香りを楽しむローズマリーは、どのように管理をすると、長く育てられるでしょう。ローズマリーは剪定の仕方や、育てる期間によって樹形が大きく変わります。剪定せずに放っておくと、見栄えが悪くなったり、木を枯らしたりします。そこで、初めて剪定を行う方や、一度失敗してしまった方に向けて、剪定するときのコツや木質化したときの剪定方法を画像と共に紹介します。剪定するときの参考にしてください。
初心者向け!ローズマリーの剪定方法・基本の剪定
ローズマリーの剪定は、4月~6月までに行います。最も花を咲かせる時期は、2月~4月です。花が咲いて半年~ひと月ほどを空けた時期が剪定する目安ですよ。
剪定の仕方
初めに、枯れた枝や細い枝、黄色く変色した葉を切ってください。切るところは、枝が分かれている手前です。赤い線のところで切りましょう。わき芽を残してあげると、新しい枝が伸びてきますよ。 古い枝を剪定したら、咲ききった花の、少し下を切りましょう。こちらも、わき芽を残して、黒い線のあたりで剪定をします。こうすると、秋にもう一度、花を咲かせることができます。
間引きを行う
太い枝を残して、細い枝・元気がない枝を剪定しましょう。こちらも、わき芽を残して、剪定をします。こうすると、秋にもう一度、花を咲かせることができます。
秋口の剪定
9月~10月ごろにも、剪定が行えます。秋の花が終わってから冬を迎える間の時期です。この時期には、樹形を整える強い剪定を行いましょう。春の剪定では、強剪定は控えてください。強く枝を切り詰めると、秋を迎えても花を咲かせてくれません。また、ローズマリーは暑い夏の時期に生長を鈍らせます。株に負担をかける強剪定を行うと、枝を枯らしてしまう危険があります。強い剪定は、冬の前に行ってください。
木質化した枝は剪定してもいいの?
ローズマリーは2年を迎えてから、根元に近い部分が木のように硬くなります(木質化)。細胞壁にリグニンが蓄積することで、細胞組織が硬くなってしまうのです。木質化した枝からは、枝葉を伸ばすことはありませんので、切ってしまっても構いません。ただ、枝の先に葉やわき芽が付いていれば、残してください。木質化しても先端の部分からは、葉や枝を伸ばしてくれます。
初心者向け!ローズマリーの剪定方法・品種に合わせた剪定
ローズマリーには、枝の伸ばし方によって3つの種類に分けられます。立性(りつせい)、匍匐性(ほふくせい)、半匍匐性(はんほふくせい)の3つです。
画像で紹介!立性のローズマリー
立性は画像のように枝を上へ伸ばし、扇形のように枝を広げる品種です。高さは2mを超えます。主な品種は、オフィシナリス、アープ、トスカナブルーです。
画像で紹介!匍匐性のローズマリー
匍匐性は、地面に近いところを這うようにして、枝を伸ばします(画像を参照)。高さは20cm~40cmほどです。枝が垂れる特徴を活かして、ハンギングバスケットや花壇の縁に植えられます。主な品種は、プロストラータス、サンタバーバラ、ハンティントンカーペットです。
画像で紹介!半匍匐性のローズマリー
立性と匍匐性の性質を備えた品種です。横に伸びてから縦方向へ伸びるため、画像のような状態から生長すると、こんもりとした樹形に仕上がります。丈は1m~2mほどまで伸ばします。主な品種は、ディープブルー、モーツァルト、ウッドです。
初心者向け!ローズマリーの剪定方法・立性の剪定
立性の特徴は、枝が縦に伸びることです。特徴を活かすには、地面に近い枝を剪定して、空間を作りましょう。幹に近いところを切ってください。地面との間に空間を作ったら、横へ伸びる枝を切りましょう。外へ飛び出ている枝・膨らんでいる枝を選んで、3分の2ほどを切りましょう。中央部の先端をスッキリとさせたい場合は、3分の1ほどの長さに切ることで、縦と横のバランスが取れますよ。
幹に近い部分の剪定
幹に近い部分で枝が重っているところは、片方の枝を3分の1ほど切り詰めましょう。必ずわき芽の手前で切ってください。これで蒸れが解消され、開花を迎えても程よい空間が維持できます。
根が生えた枝は切り取りましょう
動画に映っているローズマリーのように地面に近いところへ伸びる枝に、根が生えてくることがあります。そのままにしておくと、ほかの枝に養分が行き渡らなくなるため、見つけたら切っておいてください。
初心者向け!ローズマリーの剪定方法・匍匐性の剪定
匍匐性は、横や下に向かって枝を伸ばします。立性で行ったように、地面に近いところの枝を切りましょう。地面との間に空間ができたら、外に出ている枝を切りましょう。好みのサイズを想像してから、剪定すると思い描いた樹形が作れます。匍匐性のローズマリーには、根の生えた枝をよく見かけます。見つけたら、根元に近いところから切ってください。幹に近いところでは枝が混み合います。重なる枝の片方を、3分の2ほど切り詰めましょう。
匍匐性は夏にも剪定ができる
匍匐性のなかで、1年中花を咲かせる品種なら、梅雨~夏の剪定が可能です。暖地であれば、冬でも剪定が行えますよ。ただし、樹形を整える強い剪定はできません。間引きや摘心、古い枝・枯れ葉などを取り除く程度に留めておきましょう。
初心者向け!ローズマリーの剪定方法・半匍匐性の剪定
半匍匐性は、ローズマリーの性質に合わせて切り方を変えましょう。立性が強く表れているときは、立性の切り方で剪定をします。横へ伸びる性質が強く表れている場合は、匍匐性の剪定方法を選んでください。根が生えた枝・混み合うところは、立性・匍匐性と同じように、剪定を行いましょう。
初心者向け!ローズマリーの植え替え
ローズマリーを育てていると、数年で根が大きくなります。根を枯らさず、次の年にも元気な葉をつけ、花を観賞するためには、植え替えが必要です。地植えとプランター栽培でも植え替えの時期や方法は異なるため、育てる環境に合わせて植え替えをしましょう。
ローズマリーの植え替え時期
ローズマリーは春の「4月~5月」、秋の「9月~10月」に行いましょう。
植え替えの目安は?
地植えでは3年~4年、鉢植えでは1年~2年が目安です。鉢植え・プランターで育てる方は、鉢の底も確認しましょう。芽が飛び出していれば、植え替えを行ってください。
植え替えるときに注意すること
地植えでは畑の土によって、酸性に傾いていることがあります。その場合は、植え替えを行う1週間ほど前に、苦土石灰を漉き込んでおきましょう。
初心者向け!ローズマリーの植え替えに必要なもの
鉢植えの場合
・植え替える株 ・ひと回り大きい鉢(7号~8号が目安) ・赤玉土(大粒)、または軽石 ・培養土(肥料が含まれているもの) ・細い棒(割りばしなど)
初心者向け!ローズマリーの植え替え手順
鉢植えの場合
1.鉢からローズマリーの株を取り出します。抜けにくい場合は、鉢の縁を叩いたり、軽く地面に落としたりすると、抜けやすくなります。 2.根の周りの土を、3分の1ほどほぐします。細い棒や割りばしを活用しましょう。 3.長い根、黄色・黒に変色した根をはさみで取り除きます。 4.用意した鉢に赤玉土(大粒)か、軽石を2cm~3cmほどの高さまで入れましょう。 5.株を入れて、根の間までしっかりと土を入れてください。細い棒を使うと、隙間にも土が入れられます。 6.残りの土を、根のうえから被せてください。土は、鉢の縁まで2cm~3cmほどに留めましょう。これで、水をあげたときに、縁から溢れ出すことがありません。 7.最後に鉢の底から水が溢れ出るまで、水やりをしてください。
株を大きくしたくない場合は一緒に剪定
植え替えと剪定は、同じ時期に行います。そのため、株を大きくしたくない場合は秋の9月~10月ごろに行うと、よいでしょう。これで株に与える負担が減り、根の生長に養分を回せます。
初心者向け!ローズマリーの植え替え
地植えの場合
地植えでローズマリーを育てている方は、植え替えは控えてください。ローズマリーは植え替えを嫌います。地植えではプランターよりも障害物が少ないため、根がまっすぐに伸びています。掘り起こしたときに根を傷つける可能性があるのです。木質化を進めたり、枯らしたりする原因になるため、植え替えは行わないようにしましょう。
どうしても植え替えをしたいときは?
引っ越しや庭のレイアウトを変えるときには、植え替える必要がでてきます。この場合は、次の方法を試してみてください。 ・古い根を切る作業を行いましょう。植え替えを行う2カ月前~1カ月前に株の周りにスコップを入れてください。これで、植え替える時期には新しい根が生えてきています。 ・根を切る時期には、植え替える場所の土づくりも行いましょう。 ・植え替えるときは、根の周りの土を崩さずに、そのまま新しい場所へ移してください。
植え付ける場所を検討することが大切
なるべくなら、植え替えは行わないようにしましょう。植え付けるときに、管理する場所を検討しておくと、植え替えが原因でローズマリーを枯らしてしまう事態を避けられます。
剪定したローズマリーの活用法
ローズマリーの枝葉と花は、薬草や料理に使われてきました。剪定した枝は処分せず、暮らしを豊かにする材料に変えてあげましょう。
ドライハーブを作る
初夏から秋にかけて収穫をしたローズマリーを使います。花が咲く前の枝を収穫しましょう。晴れた日の午前中に摘み取ると、葉に含まれる香油が揮発せずに済みますよ。花を収穫する場合は、開花したあとに行います。花はすべて刈り取らず、3分の1ほどを残しておきましょう。収穫するときは、切れ味のよいはさみを使ってください。切り口を傷めずに済みます。
枝葉を乾燥させる
画像のように枝をまとめて適当な束を作り、輪ゴムで結びます。日のあたらない、風通しのよい場所に吊るしておいてください。
花を乾燥させる
花を水洗いして、水分を拭き取ります。ザルなどに並べて、乾燥させてください。早く済ませたい場合は、キッチンペーパーを敷いた皿に花を並べて、2分ほど加熱させましょう。
まとめ
ローズマリーの剪定方法と剪定する時期、植え替える方法を紹介しました。ローズマリーは、植え替えを嫌います。植え替える場合は、管理する場所を検討しておくと、植え替えによる負荷を与えずに済みます。毎年ローズマリーを収穫したいなら、剪定と植え替え、木質化に気を付けてくださいね。